2008年7月 4日 (金)

「レ・カランドレ」の料理本が、ベストクックブック賞に!

Photo 「レ・カランドレ」といえば、“世界最年少三ツ星シェフ”として有名なマッシミリアーノ・アライモが、兄ラファエレと営むミラノの三ツ星リストランテ。彼らが豪華本『In.Gredienti』を出版したニュースは、『料理通信』2007年1月号のワールドトピックスでご紹介の通りです。
ラファエレが総指揮を執り、マッシミリアーノが自ら執筆。カメラマン、デザイナー、アートスタッフとすべて一流どころで固め、さらに「出版社から一切規制を受けたくない」と、この本を出版するためだけに出版社を立ち上げた、気合の入った一冊です。美しくコンテンポラリーな料理写真が67点。それぞれに、レシピをはじめ、下準備のコツ、おいしく仕上げるヒント、アレンジが詳細に記されています。見所はマッシミリアーノ自筆のラフスケッチ。

その出来栄えが評価され、「Gourmand World Cookbook Award 2007“The best cookbook in the world”」を受賞したニュースが、編集部に寄せられました。この賞はグルメ出版界に貢献した本に与えられる、国際的にも注目度の高い賞。過去受賞者はアラン・デュカス、フェラン・アドリア、ピエール・エルメなど錚々たるメンバーが並びます。
日本では東京・丸の内の新丸ビル7階「イル カランドリーノ 東京」「イル カランドリーノ ドルチェ サラート」でのみ購入できます(定価28000円 税込み)。プロの料理人はもちろん、鑑賞用としても楽しめる贅沢な一冊。ちょっぴり高価ですが(売り上げの一部は恵まれない子供たちに寄付されます)、この機会に手にとってください。

イタリア語版と英語版があります。書店には並ばないので、新丸ビルまで足を運んでください。郵送販売も行なっています。問い合わせ&ご注文は(株)アーク・ジョイア Phone03-5273-7381まで。

リストランテ「イル カランドリーノ 東京」
東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビルディング7F Phone03-5918-6551

ブティック「イル カランドリーノ ドルチェ サラート」
同 新丸の内ビルディングB1 Phone03-5913-9551

2008年 7月 4日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2008年4月13日 (日)

【速報】 イタリアワイン・スキャンダル part3

イタリアの人気経済誌『L'espresso』(週刊)が暴露した、3つのワインスキャンダル。最終回です。

スキャンダル1フランス原産種ブドウ入りブルネッロ
スキャンダル2塩酸、硫酸入りのワイン事件

Vinitaly最後の疑惑は、DOCGであるキャンティ・クラッシコに、このワインには使うことのできないアブルッツィオ州で栽培されているモンテプルチャーノが混ざっていたというものである。

ワイナリーの名前は明かされていない。モンテプルチャーノは色素の濃いブドウであり、キャンティ・クラッシコの色をより濃くするために使ったと考えられる。その昔、イタリア北部の色の淡い、またはアルコール度数の低い赤ワインを調整するためによく使用されていた方法でターリオと呼ばれる。

5日間にわたって開催された「Vinitaly」で私が出会ったほとんどの外国人は、この事件を知らずにいた。会場で、生産者達はこの事件について「見ざる、言わざる、聞かざる」という無難な態度を選んだように思う。私のほうから、さりげなくこのスキャンダルを話すと、すべての生産者達は憤慨していた。「Vinitaly」に合わせて『L'Espresso』誌が大々的な記事にしたのは、計算づくで仕掛けたことだ、と。

Campatelli例年に比べると訪問者の少ないブルネッロの生産者が集まるブースの一角にあるブルネッロ協会で、責任者Campatelli Stefano氏にインタビューした。疲れ切った表情の彼は、「塩酸、硫酸入りのワイン事件と、ブルネッロの他ブドウ品種混入の可能性を一緒の記事にして、消費者を混乱させたことに憤慨している」と述べた。

Castello Banfiでは、現在ブルネッロの製造はすべて中止している、ただすでに出荷した2003年のボトルを回収することはないであろう、と語った。

実際に他ブドウ品種が混入しているかどうかを調べることは大変難しい。化学分析では解明できないだろうから、そうなると官能検査に頼るのみになるはずである。ワイナリーに他ブドウ品種から作ったワインのタンクがあっても、生産者は「ブルネッロではなく他のワインに使うため」と答えて疑惑を回避することができる。このスキャンダルに白黒つけるのは、不可能に近いのではないだろうか。
「ブルネッロは潔白か?」―――実は、疑惑を抱いている人は少なくない。ブルネッロにフランス品種が入ると、色や香り、味わいが、サンジョヴェーゼだけで造ったものとは明らかに異なるのだが、ここ何年か、「昔からのブルネッロではないな」と思っていた人はいるのだ。

由緒あるブルネッロ。タンニンのあの渋さが決め手のブルネッロに、このような疑惑がかかってしまったことを本当に残念に思う。

文―池田美幸

明治大学農学部卒。1986年渡伊。イタリアにてソムリエ、チーズテイスターの資格を取得。食品・ワイン関係の通訳・コーディネートを手掛けている。2007年は、イタリアソムリエ協会ロンバルディア支部発行のワインガイドブックVINIPLUSのテイスターとしても活躍。現在ミラノ在住。

2008年 4月 13日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2008年4月 9日 (水)

【速報】 イタリアワイン・スキャンダル part2

イタリアのワイン見本市「Vinitaly」(4月3~7日/ヴェローナ)の会期中、人気経済誌『L'espresso』(週刊)が暴露した、3つのワインスキャンダル。2つ目のスキャンダルとは・・・

Lespresso2つ目のスキャンダルは、ワインは20%ほどに過ぎず、残りは水、砂糖、化学薬品、挙句の果てには塩酸、硫酸をミックスしたものが、ワインとして7000万リットル、市場に出回っている、というニュースである。これらの成分は、すぐには人体への支障がないが、長い間に発ガン性をもたらすという恐ろしいもの!

イタリアでは、ワインを造るのに砂糖を添加してはいけないと法律で定められている。が、禁止の砂糖を添加しても、砂糖(サッカロース)の分子を分解する塩酸と硫酸も同時に加えると、品質チェック時にはすでにブドウ糖と果糖(どちらもブドウに含まれる糖)になってしまっているため、ばれない、というトリックがある。

これらのワインはガラスボトル、フィアスコ(トウモロコシの皮と麦で編んだカバー付ボトル)、あるいはテトラパックに入った、チェーンスーパーや食料品店で、1リットル70セントから2ユーロほどの値段で売られているものだ。

北イタリアはヴェローナ、モデナ、ボローニャ、クーネオ、アレッサンドリア、そしてペルージァ、プーリアとシチリアにある約20社のワイナリーが疑惑をかけられた。添加物のお陰で、生産者は10分の1の費用でワイン(?)を造り上げていたそうだ。

22年前にイタリアで起きたメタノール(メチルアルコール)入りワイン事件をご存知の方もいるかと思う。死亡者19人、失明した人が15人。なんと、同じワイナリーが上記の20社の中に入っているのである。昨年9月からの調査で、このワイナリーに出向いた調査官が、調査中、蒸気を吸い込んで気を失い、救急車で運ばれた。ここのオーナーはすでに逮捕されている。

22年前に世界からの信用を失い、しかしながら勇気と情熱を持った人々が何年もかけて再建し、花開いたイタリアワイン界……今回も立ち直ることができるのだろうか?

●スキャンダルその1はコチラから

文―池田美幸
明治大学農学部卒。1986年渡伊。イタリアにてソムリエ、チーズテイスターの資格を取得。食品・ワイン関係の通訳・コーディネートを手掛けている。2007年は、イタリアソムリエ協会ロンバルディア支部発行のワインガイドブックVINIPLUSのテイスターとしても活躍。現在ミラノ在住。

2008年 4月 9日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2008年4月 8日 (火)

【速報】 イタリアワイン・スキャンダル part1

「ワインの偽装が発覚した!」。4月4日夜中、イタリアからニュースが飛び込んできました。スローフードの国で起きた事件に編集部は「イタリア人よ、お前もか……」。現地からの緊急ルポを3回に分けてお届けします。

Wineイタリアワイン界で最も重要とされる見本市「Vinitaly」(4月3~7日/ヴェローナ)の会期中、人気経済誌『L'espresso』(週刊)が、3つのワインスキャンダルを暴露した。その概要を3回にわたってお伝えしよう。

ちなみに 題名になっているVELENITALY のVELENIはVELENO(有害物、毒物)の複数名詞で、今開催されているワインの見本市、VINITALY(VINIはワイン)に引っ掛けた。

第1回目は、日本のワイン愛好家にも人気のブルネッロ・スキャンダルについて。

イタリアの著名なDOCG、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(以下ブルネッロ)に、フランス原産種であるメルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、ぺティト・ヴェルド、シラーが10~20%入っていたというのである。

ブルネッロは、土着品種であるサンジョヴェーゼのみで造ることが義務付けられている。そこにフランス原産種を混ぜた理由としては、まず、ブルネッロの需要にサンジョヴェーゼの供給が間に合わないこと。もうひとつは、ブルネッロの力強い味をあまり好まない消費者とりわけアメリカ人(アメリカへのブルネッロ輸出率は総生産量の約25%)向けに、口当たりをよくするためらしい。

2003年ヴィンテージのボトル、2004年以降のまだタンクや樽に入っているワイン、そしてブドウ畑が押収されたと言われるワイナリーは、Castello Banfi、Frescobaldi、Argianoなど。疑惑がかけられているワイナリーは20社ほどで、Casanova di Neriも監視下に置かれている。

Castello Banfiはモンタルチーノで一番大きいワイナリーで、サンジョヴェーゼのブドウ畑が約180ヘクタール。これはモンタルチーノにおけるサンジョヴェーゼの畑総面積中10%を占める。20ある畑のうち10の畑と、2003年ヴィンテージ60万本のブルネッロが押収され、工場の機能はブロック状態と言われている。

国有林警備隊によるこの調査は、昨年11月に始められていたのだが、調査はまだ終了していない。

ブルネッロ協会の会長であり、ワイナリーCol d`Orciaのオーナー、Francesco Marone Cinzano氏が、ピエモンテの主要新聞「La Stampa」で語った言葉で締め括ろう。 「この事件で、ブルネッロはイタリアワインの中で一番チェックの厳しいワインになったのは確かである」。 

文―池田美幸
明治大学農学部卒。1986年渡伊。イタリアにてソムリエ、チーズテイスターの資格を取得。食品・ワイン関係の通訳・コーディネートを手掛けている。2007年は、イタリアソムリエ協会ロンバルディア支部発行のワインガイドブックVINIPLUSのテイスターとしても活躍。現在ミラノ在住。

2008年 4月 8日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年12月18日 (日)

ビオのワインとビオのパン 日本編

■日本でもビオのパンが続々と

 では、日本ではどうなのか。帰国してからまわりに目をやると、ビオの人気は日本でも着実に芽吹いていました。
 
 まずはパン。前回に述べた「ミッシェル・モワザン」の「ル・パン・オ・ナチュレル」は、今年9月、ABマークとJASオーガニック認定の違いを乗り越え、大阪に上陸。大きな話題を呼んでいます。
 また「アンデルセン」では、オーガニック素材を使ったパン「GREEN BREAD(グリーンブレッド)」を、同じく9月から東京・新宿の伊勢丹本店内の「アンデルセン新宿店」で販売開始。11月からは、広島アンデルセン(本店)でも販売を開始しました。
 いずれも、健康食品とは一線を画し、おいしさを追求するなかで安心・安全を考慮して生まれたパンであり、焼き色、香り、キメ、味わい、すべてにおいてクオリティの高いものです。
 もちろん、大型店や企業だけでなく、個人店でもビオを意識するブーランジェが増加中。今後が楽しみです。
box 

アンデルセン「GREEN BREAD」は、「粉の自然な味を最大限に生かした“豊かな香りと味わい”のパン」。小麦やレーズン、クルミ、イーストなどのオーガニック素材のほか、天然水、自然海塩等、天然の素材を使用しています。ハード系のパンのほか、サンドイッチ、菓子パンなどもラインナップ。一部、通信販売も可能です。
(写真は、通信販売用・グリーンブレッド詰合わせ \4,725)


通信販売はアンデルセンのウェブサイトからhttp://www.andersen.co.jp/



■自然派ワインの生産者が大集合!

 そして、ビオのワインにも、大きな動きが! 11月28日~29日、東京で初めて、世界中の自然派ワイン生産者による大試飲会が開かれました。

 フランスの自然派ワインを代表する造り手の一人である、アンジュ「ラ・フェルム・ド・ラ・サンソニエール」のマルク・アンジェリさんも来日。さわやかな味わいの後に香りが大きく花開き、余韻で体中が包まれるようなワインは、感動ものです。
 アンジェリさん自身は、一見、学者のようでもありますが、日焼けした顔やゴツゴツした大きな手は農夫そのものといった感じ。穏やかで、深い瞳の素敵な人でした。

 詳しくは、トリッパ通信プラス1「NIPPON WINE」でリポートされる予定です。どうぞお楽しみに。
 
 ビオのワインとビオのパン。パリのように日本でも人気となり、近所で気軽に買えるようになる日も、そう遠くはないのかもしれません。(seto)

2005年 12月 18日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年12月17日 (土)

ビオのワインとビオのパン PARIS編

 10月にパリへ行って感じた“ビオ(オーガニック)”への意識の高まり。以前に比べて一段と、さまざまなシーンで「BIO(ビオ)」の文字を目にすることが多くなったような気がしました。(seto)
 
■やさしくて素直なビオのワイン

 特にビオのワインは大きな支持を集めている様子。私もすっかり、心奪われてしまいまいした。ブドウの自然な味わいや香りが感じられて、やさしくて素直なのです。一気に酔いが押し寄せるというのではなく、ふんわり包み込まれる感じ。「たくさん飲みすぎたかな」と思っても、体が軽くて、頭も痛くなりません。
 マドレーヌ広場近くには、「La Vinia(ラ・ヴィーニャ)」という、ビオ・ワインをたくさん扱う大きなワインショップがあります。また、街のあちらこちらに、bar a vinやbistro a vinといって、ワインショップ(食材も売っている)とビストロを兼ね揃えた小さな店で、ビオのワインをたくさん揃えているところがあります。ここでは、カジュアルな食事とともに、おすすめのビオのワインをグラス1杯から楽しむもよし、ワイナリーから直接仕入れた、とっておきのビオのワインを持ち帰るもよし。
 パリの人たちは、特に気負う風でもなく、自然体でビオのワインを楽しんでいました。

A-1「カーヴ・ミアール‐クレムリー」は、その名からも分かるように、クレムリー=乳製品を扱う店を改装して作られた、かわいいお店。この日のランチは、リゾットを詰めたズッキーニで、ビオの白ワインのナチュラルな味わいにぴったり。

Caves Miard-Cremerie

9, rue des quatre vents 75006 Paris
tel: 01.43.54.99.30

A-2










B
元「タイユヴァン」のシェフ・パティシエだった、Bertrand Bluyがオーナーシェフを務める「レ・パピーユ」。料理はもちろん、ビオのワインもたくさん揃っていると評判です。

Les Papilles

30 rue Gay-Lussac 75005 Paris
tel: 01.43.25.20.79






■おいしくてカラダにもいいビオのパン

 一方、ビオのパン屋も人気です。ミッシェル・モワザンの100%ビオの店、「ル・パン・オ・ナチュレル」も店舗数を増やしており、スーパーの「モノプリ」でも、「モワザン」のビオのパンを販売していました。

 「ビオのパン」を正式に名乗るためには、有機産品の認定証である“ABマーク”が必要。食品の場合、含有物の95%以上がビオを起源とするものでなくてはならず、ビオの粉とビオでない粉とを併用することもできないし、お店にとっては、認定のための経済的負担も少ないとは言えません。それでもなお、ビオのパン屋が増えているというのは、それだけ人々の関心が高いということなのでしょう。ABマークを掲げずとも、ビオの粉を使っているパン屋も増えているようです。
 
 私のお気に入りは、「ル・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ」の「パン・ビオ」(パン・ド・カンパーニュ)。きめの細やかな生地で、やさしい酸味と甘味。聞けば、天然酵母にハチミツ、シナモン、バニラを加えているとのこと。かといって、それらが存在を主張するわけではなく、隠し味のように全体の味わいにコクを与えています。
 確かに、ビオのパンだからといって、味や食感が大きく異なるわけではないかもしれません。しかし、ビオに果敢に取り組んだブーランジェたちの作るパンには、並々ならぬ熱意と高い技術が感じられます。少なくとも、おいしい上に体にいいとなれば、より気分がいいもの。わざわざメトロに乗って買いに行った甲斐のある味わいでした。


C
夕方にもなると、「ラ・ブーランジェ・ドゥ・モンジュ」は店の外まで大行列。売り場のすぐ横に窯があり、次々にパンが焼き上げられていく様子を見ることができます。ハード系のパンのほか、焼き色の美しいヴィエノワズリーや素朴な菓子もたくさん並んでいました。

La Boulanger de Monge

123 rue Monge 75005 Paris
tel: 01.43.37.54.20




*次回は、ビオへの関心の高まり-日本編です。

2005年 12月 17日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年12月10日 (土)

パリのパティスリー案内が始まります!

来週から分家ブログ「TRIPPA通信+1 from Paris」がスタートします。
パリのパティスリーの最新傾向を、
パリ在住のジャーナリスト・伊藤文さんがリポートします。

第1回目は序章として、TRIPPA通信にて伊藤さんのメッセージをお送りします。


■パリのパティスリー取材ノートから 
  ~プレリュード


books 来年2006年の春、パリのL'IF社より、『パリとパリ近郊のパティスリーガイド』が刊行される予定です。同社は2000年に創立したばかりの若い出版社ですが、04年に出版された 『パリのブランジュリーガイド(Le Guide des Boulangeries de Paris)』は、世界ブックアワードでもフランス部門で受賞するなど、その評価を高めつつあります。
 
 来年刊行予定のパティスリーガイドは、ラジオ番組などで活躍するスイーツジャーナリストのシルヴァン・エティエンヌと歴史学者のフィリップ・シュミット=クメルリの共著。150軒ものパティスリーの紹介に加え、さまざまなパティスリーの歴史なども掘り下げて構成するということで、ガイドの域を超えた、読み応えのある内容になりそうです。
 
 その2人から、私にもガイドに記事を書いてくれないかと、依頼がありました。

「どのパティスリーの厨房にも、日本人の研修生の姿を見ないことはないくらいの状況に驚いている。また最近は、サダハル・アオキのようにパリで店を持ち、逆にフランス人のクリエイションに影響を与え始めている。パリのパティシエたちはというと、抹茶などの素材を違和感なく使ったり、研ぎすまされたフォルムを好んだり。パリにおける、そんな日仏融合を、日本人ジャーナリストの目にはどのように映り、受け止めているのか。そんな内容の記事を書いてくれないか」と、シルヴァン。
 私自身、日本の素材がフランスパティスリーにとけ込み、新たな世界を作り出していることの面白さを感じているのと同時に、もっと日本について、総体的にフランスの人たちに伝えていくべきじゃないか、という思いもあり、二つ返事で引き受けました。

 フランスに来て多くのことを学び日本に帰るという日本人は多いものの、その逆は本当にひと握り。しかし、日本に対する好奇心がこれほど高まっているのは、それこそ20世紀初頭以来ではないでしょうか。
 私の壮大な計画はさておき、このガイドへの参加が一つの突破口になるのでは、と思ったのでした。
 
 このテキストを仕上げるにあたり、主だった店に、改めて足を運ぶことにしました。おそらくガイドの原稿は、包括的な内容になるでしょう。取材記録は私の中にだけ留まってしまうことになります。
 味の記憶は未来においては不確かです。取材記録には、未来へのヒントが含まれるはず。それはたくさんの人に伝えられるべきなのでないだろうか・・・。そこで、私の取材ノートを日本の皆さんに公開していくことにしました。

 この取材ノートが日仏の架け橋のほんの一端になることを祈りながら、パリの才能あるパティシエさんたちのクリエイションと、日本へのラブコールをお楽しみください。

文 伊藤文(いとう・あや)
美食愛を舌と胃袋、筆で追求する食文化ジャーナリスト。93年よりフランス在住。メニューの行間にシェフのエスプリを読むことを愉しみとする。訳書にグリモ・ド・ラ・レニエール著招客必携中央公論新社など。蟹座、O型。


*TRIPPA通信+1 from Paris の更新は毎週月曜、木曜。

  >>>右のバナー[PATISSERIE from Paris]をクリック!!クリック!!

2005年 12月 10日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年11月30日 (水)

バルセロナ「サロン・デ・チョコラテ」リポート

とどまるところを知らないチョコレート人気。パリからの「サロン・ド・ショコラ」レポートに続いて、バルセロナのチョコレートの展示会「サロン・デ・チョコラテ」を、バルセロナ在住の秦真紀子さんにリポートしていただきます。


 11月3日から4日間、スペインのバルセロナでも第1回「サロン・デ・チョコラテ(Salo de la xocolata)」が開催されました。主催はカカオ・チョコレート協会(Instituto de cacao y chocolate)と、バルセロナ・パティスリー組合(Gremi de la pastisseria de Barcelona)。他国に負けずスペインでもチョコレートは大人気。「カカオ・サンパカ」や「ショコア」等、チョコレート専門店も次々できて競争も激しくなっています。
 今回は、一般消費者にカカオとチョコレートにより親しんでもらおうという目的なだけに、入場料も低め(大人5ユーロ、7歳以下子供無料)、まさに大人も子供も楽しめるイベントでした。

salo2 メインは、約20のチョコレート製造業者、約15のパティスリー等の販売スタンド。ヴァローナ、リンツ等、海外の大手から地元店カカオ・サンパカまで、ほとんど全社、全店で商品の味見ができる豪華ぶり。店頭でボンボンやピエスのデモストレーションを行い、人気を集めたスタンドも。
           ヴァローナ社のスタンドでのピエス制作。
           テーマはお国柄を反映して「ドン・キホーテ」。

salo3  会場内のサロンでは、様々なセミナーが行われました。先着順で無料とあり、どの講座も 開講前は大混雑。目玉はチョコレートテイスティング講座。歴史や製造法の説明を聞き、カカオの品種や濃度の違う7種類のチョコレートを五感で味わう方法を体験。味わいの特徴をつかもうと、受講者はひとかけら口に含み真剣そのもの。とはいえ、中には席につくなり全部食べてしまった人の姿も。その他、各種ワインとのマリダージュ講座も大人気でした。

salo4  熱心にメモをとる人の姿も見られたのが、会場奥の舞台。スペイン最優秀チョコラテロ (ショコラティエ)最終選考のピエス作成や、ミシュラン星付きレストラン「ラコ・デン・フレイシャ」のラモン・フレイシャ氏、「チョコビック」のラモン・モラト氏等によるデモストレーションが行われました。
         ラモン・フレイシャ氏のデモンストレーション。
       
チョコレートリゾットや、チョコレートスープを披露。
          

salo0  最も熱気に包まれたイベントは「KCAU」。テレビの料理番組でおなじみのイスマさん司会で、プロの料理人と有名人のコンビ2組が、時間内に異なるチョコレート菓子を作って競うというもの。ロカ3兄弟の末っ子、「セリェール・デ・カン・ロカ」のジョルディ・ロカ氏や、99年スペイン最優秀パステレロ(パティシエ)、ケーキ店「ブボ」のカルレス・マンペル氏等が登場。人気歌手も参加し、会場が沸きました。

 予想を上回る3万5千人が来場した、第1回サロン・デ・チョコラテ。来年以降、さらに充実したイベントになると期待されています。
 
SALO DE LA XOCOLATA
http://www.saloxocolata.com/
 

文・写真 秦 真紀子(はた・まきこ)
2000年からバルセロナに住み、オリーブ油、生ハム、チーズの欠かせない胃袋に。飲めなかったワインにもはまる。日々スペインのおいしいものを追求し世に広めたいと願うフリーライター。

2005年 11月 30日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年11月24日 (木)

パリ「サロン・ド・ショコラ」 -3-

■注目のチョコレートマッサージ!?

 サロン・ド・ショコラの楽しみは、チョコレートを見て歩くだけではありません。チョコレートにぴったりのワイン、紅茶を販売するブースをのぞくのも楽しいし、ベネズエラやコートディボワールといった、カカオ生産国のブースで生産者、ショコラティエらが集まって豆談義に花を咲かせているのに耳を傾けるのも興味深いものです。その他、チョコレートの歴史や文化を知るための小さなミュゼ(美術館)や、子供のためのチョコレート菓子製作アトリエも用意されているし、中央の舞台では、カカオ原産国の陽気な民族舞踊まで観ることができます。
 
 そんな中、来場者の注目を集めていたのが、“美しくなるためのチョコレート”。昨年は、ボディ・ソープがチョコレートの香りのリップ・バームを販売していた程度だったのが、今年は、チョコレート入りスキンクリームや石鹸、リンスを販売するブースが立ち並び、いくつかのブースではチョコレートマッサージの実演をしていました。 肌に栄養を与え、しっとり、やわらかくする効果があるのだそうです。白い陶器のポットから温かなチョコレートを顔、肩、足、などにたっぷりと垂らし、塗りたくっている様子は、なんとも奇妙(失礼!)。とはいえ、チョコレートまみれになってマッサージを施しているエステティシャン達の表情は、真剣そのものだし、マッサージされている人たちも、どうやら気持ちよさそう。それなりに効果はあると見るべきか!?

C-1 希望者は、ガウンに着替えて施術台の上へ(有料)。たくさんのギャラリーが見守るなか、おいしそうな(と見える)チョコレートソースが体にとろとろとかけられていく。その後は、チc1ョコレートを塗り広げながらじっくりとマッサージし、拭き取ったら終了。


                 全身をさらすのは恥ずかしい・・・という方には、
                                   フェイシャル・チョコ・マッサージを。

 食べるだけにとどまらず、チョコレートの可能性をより多様な形で示した、今年のサロン・ド・ショコラ。しかし、ショコラティエや生産者が集まって、チョコレートへの愛を訪れた人々と分かち合い、純粋にお祭り騒ぎを楽しんでいた以前に比べると、だいぶビジネス色が強くなっているようで、寂しい気がしました。
 とはいえ、なかには、今回初参加した、1884年創業の老舗「ボナ(BONNAT)」のように、カカオ豆から焙煎して作るチョコレートを頑なに代々受け継ぐショコラトリーもあります。少しでも多くの人が、こういった職人の手仕事に目を向けてほしい。ささやかな願いを抱きつつ、熱気溢れる会場を後にしたのでした。

car armand
アルノー・ラエール制作のレーシングカー(左)、アマンド・ショコラの実演風景(右)。

2005年 11月 24日 WORLD TOPICS | | トラックバック (0)

2005年11月22日 (火)

パリ「サロン・ド・ショコラ」 -2-

■人気ショコラトリーが勢揃い

 会場入り口近くには、「ダロワイヨ」による“フィフス・エレメント”をモチーフにした、大きなチョコレート細工や、アルノー・ラエールが制作したチョコレートのレーシングカーが飾られ、お祭りムードを盛り上げました。会場奥のブースでは、フランス国内のみならず、ベルギー、ロシア、イタリア、日本、ドイツ(今年初登場)などのショコラトリーがチョコレートを販売。ショコラティエ(パティシエ)もブースに立ち、新作の試食を勧めたり、チョコレートの説明をしたりするなど、訪れた人々と気さくに言葉を交わしていました。毎年足を運んでいるファンも多く、お気に入りのショコラティエと1年ぶりの再会を喜ぶ姿も。また、会場奥のデモ会場では、ショコラティエ(パティシエ)によるデモンストレーションを開催。元「オテル・ド・クリヨン」のクリストフ・フェルデール、「フォション」のクリストフ・アダム、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のパスカル・ル・ガックらが続々と登場し、観衆の目の前でチョコレート菓子を仕上げながら、プロの技を分かりやすく丁寧に解説していました。2日目はピエール・エルメ、フレデリック・カッセル、ローラン・デュシェーヌ、ティエリー・ミュロップ、アルノー・ラエールら、ルレ・デセール* 会員15人が結集。連日、大盛況でした。

*ルレ・デセール…フランスを中心に、世界各国の腕利きパティシエ、ショコラティエのみが加盟する協会。 

B-1 「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のロベール・ランクス。昨年まではチョコレート細工を展示する程度の小さな展示だったのだが、今年初めて、その場でチョコレートも販売する大きなブースを構えた。試食のボンボン・オ・ショコラを求め、たくさんの人だかりができていた。




B-2 ジャン=ポール・エヴァンは、テレビ局からのインタビュー真っ最中。新作は“Minui”(真夜中)と名づけられたボンボン・オ・ショコラ。メース(ナッツメグの仮が種皮)が香るミルクキャラメル・ショコラガナッシュと、オレンジの花の水とユズで香りづけしたパート・ダマンド(マジパン)の組み合わせで、香りも味わいも豊か。


B-3 日本でも、有塩バターのキャラメルでお馴染みの、アンリ・ル・ルー。ブース内で、ボンボン・オ・ショコラのトランパージュ(ガナッシュなどのセンターにチョコレートがけすること)を実演していた。新作のボンボン・オ・ショコラ「トマト・バジリック」は、トマトのパート・ド・フリュイ(フルーツのゼリー)とバジル風味のビター・ガナッシュが2層に。「まさにキュイジーヌ・シュクレ(甘い料理)でしょう!」とル・ルー。カカオ分65%のビターチョコレートにピンクペッパーを散らしたタブレット、「ベ・ローズ」も人気で、3日目には売り切れるほどだった。


B-4フォンテーヌブローに店を構える、フレデリック・カッセル。チョコレートの評判も高く、現ルレ・デセールの会長でもある。「来年、初めて日本でルレ・デセールの会合を開きます。世界中から100人ものすばらしいパティシエ達が集まる予定。日本でぜひお会いしましょう!」



B-5アルノー・ラエールは、果物やスパイス、アルコールなどの香りが豊かなボンボン・オ・ショコラのほか、さまざまなタブレット、マンディアン、バトン状チョコレートなど、多彩な品揃え。一角には、早々と、ナッツやドライフルーツで飾られたチョコレートのクリスマス・ツリーも並べられていた。




B-6
日本の「マダム・セツコ」のブースでは、日本人ならではの繊細な絞りによるボンボン・オ・ショコラのデコレーションを実演し、黒山の人だかり。フランス人には驚異の細かさのようで、ため息とも歓声ともつかぬ声が上がっていた。




B-7 「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」パスカル・ル・ガック氏は、3日目のデモンストレーションで、「レモンで香りづけしたタルト・オ・ショコラ」を披露した。「チョコレートを湯せんで溶かす時は、低温で、時間をかけてゆっくりと」など、作業を細かく解説。終了後は熱心な参加者から質問攻め。笑顔を絶やさず、一つひとつ丁寧に答えている姿が印象的だった。

B-8 ル・マンに店を開く、MOF(フランス最優秀職人)パティシエ、ジャック・ベランジェ。写真を頼むと、裏がチョコレート色の帽子をかぶってにっこり微笑んでみせた。ブースには、緻密な仕事ぶりが窺える美しいボンボン・オ・ショコラや、チョコレートでコーティングしたソーテルヌのレーズンなどがずらり。試食に手渡されたカルダモン風味のボンボン・オ・ショコラは、彼の笑顔のようにやさしい味と香りがした。



*最終回は、謎のチョコレート・エステ・リポートです!

2005年 11月 22日 WORLD TOPICS | | トラックバック (1)

2005年11月19日 (土)

チョコレートの展示会 パリ「サロン・ド・ショコラ」-1-

 10月も半ばを過ぎ、秋風に誘われてパリに行ってきました。旅の目的のひとつは、「サロン・ド・ショコラ」。今年で11回目を迎え、すっかり秋の風物詩となったチョコレートの展示会です。10月22日~25日、ポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場にて盛大に開かれたこのサロンの模様を、3回に分けてリポートします。(seto)


■「サロン・ド・ショコラ」リポート
  ファッション・ショー

 開催に先立って行われた前夜祭には、名だたるショコラティエやパティシエ、業界関係者、プレス関係者が集結。シャンパンを傾けながら、あちらこちらでおしゃべりの輪が広がっていました。
 前夜祭の目玉は、なんといっても、デザイナーとショコラティエのコラボレーションによるチョコレート・ファッション・ショー、「ア・ラ・モード・ショコラ」。ポール・カ、ランセルといったフランスの有名メゾンの他、ポルトガル、レバノン、中国など海外のデザイナーも参加していました。彼らのデザインを元に、ショコラティエたちが、ときに大胆に、ときに繊細にチョコレートを操り、豊かな質感やスタイルを表現。両者の卓越した感性とテクニックによって繰り広げられる、“甘い”モードに、会場内は歓声とため息に包まれました。
 ショーの最後には、デザイナー、ショコラティエ、モデルが揃って舞台に登場。観客から熱い拍手が送られる様子は、テレビで見るファッション・ショーそのもので、「さすが、モードの都!」といった華やかさです。これらのドレスは、会期中は会場内に展示され、訪れた人々の目を楽しませていました。

A-1 PAUL KA + Jean-Paul Hévin
ポール・カとジャン=ポール・エヴァンのコラボレーションによるドレス。ポール・カの今年の新作ドレスのデザインが、見事にショコラで表現された。襟元やスカート、リボンのチョコレートのグラデーションが美しく、エレガント。




A-2Henri Le Roux + Aurélie Cherell
アンリ・ル・ルーは中国のデザイナー、オーレリー・シ ェレルとコラボレーション。もともとは、北京でのサロン・ド・ショコラのために作られたドレスである。オーレリーから、「テーマは“蝶の夢”ではどうでしょうか」と提案されたル・ルーは、「ああ、“夢”なら漢字を知ってるよ!」とすぐさまFAXに書いてオーレリーに送ったのだという。オーレリーはびっくり。ルルーが漢字の達人というわけではない。実は昨年、サロン・ド・ショコラで彼を支えてくれている日本人スタッフから、「夢」と書かれた習字の作品をプレゼントされ、気に入っていたのだという。それならば、この文字を使おうと、ドレスの背中には“夢”の漢字。中国でのサロン・ド・ショコラにふさわしいドレスが完成した。


A-3 La Maison du Chocolat + Jean Boggio
ラ・メゾン・デュ・ショコラはジャン・ボッジョがデザインした、クラシカルかつゴージャスなドレスで観客を圧倒。スカート全体に美しいチョコレートの細工が施されている。写真ではマントに隠れて見えないのが残念!

A-4












Story Tailors + Jacques Bellanger

ポルトガルのストーリー・テイラーズとジャック・ベランジェのコラボレーションによる作品は、バラがあしらわれたキュートなドレス。光が放たれたような冠も華やかで、目を引いた。


*次回は、サロン・ド・ショコラに集結した人気ショコラトリーをご紹介します。

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