2008年2月 7日 (木)

街中がショコラの香り?!

バレンタイン目前。年明け早々からテンション高めだったショコラマニアには、すでに過去となりつつあるかもしれませんが、世の人々にとっては、今こそまさにショコラシーズン真っ盛り!デザインも様々なショコラトリーの袋を下げた人を其処ここで見かけます。最近は、誰かに贈るだけでなく自分用に買い求める女性も多いとか。ショーケースを覗き込む目が真剣なのはそのためかも?!
さて、今週の「逸品ものがたり」は、日本を代表するショコラトリーの一つ「オリジンーヌ・カカオ」のボンボン・ショコラです。鮮やかに立ち上がるカカオやガナッシュの香りと、繊細な味わい、そして滑らかな口溶け。日本のショコラティエの底力を見せつけてくれます。

詳しくは、本日の『朝日新聞』朝刊をご覧ください。
*連載は東京および関東の『朝日新聞』マリオン欄(毎週木曜日)に掲載されています。横浜市のみ、翌週火曜日の掲載となります。


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料理通信でも、バレンタイン特別イベントを開催しています。三越では「シェ・イノ」ソムリエ伊東賢児さんが講師を務める「ショコラ×リカー至福のマッチング テイスティングセミナー」を行います。また、新丸ビルでは「丸の内ショコラ・ブランド展」と題し、世界のショコラ・ブランドの歴史や魅力をお伝えする他、「丸の内ショコラ・ブティックMAP」をお配りしています。共に入場無料。この機会をお見逃しなく!(yagi)

『ショコラ×リカー至福のマッチング テイスティングセミナー』
日本橋三越本店 7階催物会場

2月8日(金) 14:00~15:00/17:00~18:00
銀座店 8階催物会場
2月9日(土) 14:00~15:00/17:00~18:00

『丸の内ショコラ・ブランド展』
新丸ビル7F丸の内ハウス・アトリエルーム

2月14日(木)まで毎日展示 11:00~23:00

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2006年4月14日 (金)

今月のトリッパ! ~番外編

Trippa_3

 久しぶりの「今月のトリッパ!」はちょっと変化球です。なぜならこちら、牛の胃袋ならぬ羊の胃袋。日本では、いやイタリアでも出会う機会の少ないトリッパ料理をご披露くださったのは、以前トリッパ隊の胃袋を北海道の黒牛で満たしてくれた堀江純一郎シェフです。

 このレアなるトリッパ料理、珍しいのは羊の胃袋だけじゃありません。トリッパの下に隠れるジャガイモもまた、日本ではレアな熟成もの。「ジャガイモは寝かせることで水分が程よく抜け、糖質、粉質が凝縮されるんです」と堀江シェフ。イタリアでは、一冬寝かせたジャガイモが普通に売られていたそうです。

 日本ではジャガイモは収穫した後すぐに出荷されるものが大半ですが、北海道十勝にある「村上農場」の村上知之さんは、秋に収穫したジャガイモを3℃に保った倉庫で寝かせ、品種ごとに最適の熟成を経たところで出荷しています。その村上さんのジャガイモに惚れ込んだ堀江シェフが、同じく十勝「ボーヤ・ファーム」の生後10ヵ月の仔羊と、「共働学舎新得農場」のチーズを使い、コラボレーションディナーを開催。ご覧のトリッパ含め6品のコラボ料理をご紹介します。

Nourin_1農林1号のピュレ
羊の脳みそのピカタとレバー、心臓、腎臓のソテーマルサラソース
ラクレットとレラ・ヘ・ミンタルのフォンデュソース

「農林1号はポテトチップスなど専ら加工用に使われる品種。食べてみると日向くさいんだけど味が強い。そこで羊の臓物の荒々しさとぶつけたら面白いと思いました。ピュレには動物性脂肪を使わずイモの味をストレートに出し、マルサラソースとフォンデュソースでリッチ感をプラスしています」

Trippa_4北海こがねと羊のトリッパのグラタン
「この料理はジャガイモとトリッパの食感のコントラストが重要です。北海こがねは熱にとても強い品種。スライスして下茹でしてから、トマト煮にしたトリッパと、フォンデュに使ったチーズの残りの固い部分を重ねてオーブンで焼いても、まだ歯応えが残っている。熱に弱い品種だとマッシュポテト状になって、トリッパを受け止められないんです」



Dansyaku_1 男爵のニョッキと羊のラグー フォンデュソース
「男爵は粉質のジャガイモの王様。特に冬を越すと水分が抜けてニョッキに最適です。ニョッキはジャガイモの味が決め手となるので、僕は冬から春の間しかメニューに載せませんでした。羊の骨に残った肩肉、あばら肉、スネ肉を香味野菜や白ワインと煮込み、柔らかくなったら骨から外して叩いて戻す。肉の一番おいしい部分を余さず生かす、トスカーナで覚えたラグーです」


Mekuin_1メークインのピュレと羊モモ肉の赤ワイン煮 フォンデュソース
「メークインはエレガントな甘さが特徴ですが、村上さんのメークインはさらに糖度が高く黄色味も強い。僕の赤ワイン煮は、シナモンや八角、五香粉などのスパイスと、黒糖、バルサミコ酢、2種の赤ワインビネガーを効かせた甘酸っぱい煮込みなので、普通のメークインだと負けてしまいますね」


Redmoon_1 レッドムーン、仔羊の肩肉、ラムチョップのロースト
「村上さんのレッドムーンはサツマイモかと思うくらい甘いんです。そこに塩をビシッと効かせてローストすると、甘じょっぱい、後をひく味に。仔羊のローストも基本中の基本。こうした根っこの技術こそ、リストランテとトラットリアの違いが出ると思っています」











Inka_1インカのめざめのきんとん風 シナモンムース
「インカのめざめは、甘味とホクホク感がまるで栗のよう。そこで砂糖を使わず、栗の花のハチミツだけで甘味をつけ、きんとんにしました。シナモン、八角、五香粉のムースを合わせ、つなぎに生のリンゴを、食感にアーモンドとオレンジのチュイルを添えました」



 ちなみに安西さんは「羊の肩肉とチョップのロースト」を3人前ペロリとたいらげ、村上さんは「北海こがねと羊のトリッパのグラタン」を抱え込んで食べていたとか。
「トリッパ隊の皆さんより召し上がっていましたよ」。生産者の皆さんの胃袋も、レアものだったんですね。(sone)

Murakami_2村上さんご夫妻。今回のコラボディナーは村上さんのご自宅で開かれました。

Anzai
見るからにおいしいそうな仔羊のローストを前に満面の笑みの安西さん。「この羊、人懐っこかったんだよな」

CHECK!CHECK!
私も食べてみたーい、と思った皆様。5月3日(水)~7日(日)の5日間、北海道「ボーヤ・ファーム」にて堀江シェフのコラボ料理を楽しむファームイン企画があります。詳しくは
こちらをご覧ください。

Chef_2堀江純一郎シェフ。96年イタリアに渡り、04年ピエモンテ州のリストランテ「ピステルナ」で、日本人として初めてミシュラン一ツ星を獲得。昨年帰国し、いよいよ東京で店をオープンすべく準備中。オープンまで待てない! という方は、堀江シェフがナイフを携え出張料理に伺います。お問い合わせはメールにて(ただ今イタリア旅行中のため返信は5月以降になります)。pisterna2006@nifty.com





■トリッパ通信+1よりINFORMATION

ITALIAN in the country side>>>

今週は石川県にある魚介料理のリストランテ「Ciuppin(チュッピン)」をご紹介しています。NIPPON WINE>>>
山形県タケダワイナリーのビオディナミ畑訪問記をお届けしています。

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2005年12月26日 (月)

連載 今月のトリッパ!

第2回 日髙良実シェフ「アクアパッツァ」

■イタリア行きを意識させた食材

trippaA-1 日本のイタリア料理店で、トリッパに出会う機会がまだ低かった1980年代。フランス料理から転身してイタリア料理店の「リストランテ・ハナダ」で働き始めた日髙シェフは、同店が六本木にオープンさせたカジュアルラインの店で初めてトリッパを体験しました。「当時、イタリア修業から帰ってきたばかりの嶋田シェフ(現・大阪府豊中市「チェレスティーナ」)がトリッパを扱う姿を見て、やっぱりイタリアに行きたい、自分も本物を見たい……と思ったことを憶えてます」。
 今でこそ、日本のイタリア料理店では当たり前の食材となりましたが、情報が少なかった当時、日高シェフにとって、イタリア行きを強く意識させたのがトリッパだったのです。

「トリッパのサラダ」
塩とコショウでソテーしたトリッパがアクセント。グリーンサラダの中にはソテーしたネギ隠れ、これがトリッパと生野菜の間をうまく取り持ってくれる。ドレッシングはバジルベース。
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■トリッパにふりむかせた料理


trippaB-1  その後イタリアへ渡った日髙シェフ。「最初に入ったフィレンツェの『エノテーカ・ピンキオーリ』では、もっぱら賄いで食べていた」と言います。高級店で出る内臓といえばフォワグラ。トリッパがメニューに入り込む隙はありません。
 イタリア各地で修業を続ける中、日髙シェフをトリッパに振り向かせたのが、フリウリ地方の修業先で出会った「エクスポ」とう名のトリッパ料理でした。「トリチェージモという町にあるレストランのスペシャリテで、豆と大麦が入った煮込みです。それまで賄いで食べることは多くても、スペシャリテとして出会うことがなかったので、気合いと完成度が違ったんでしょうね」。
 今回作ってくださった二つのトリッパ料理には、日髙シェフがトリチェージモで「エクスポ」を食べたときに感じたであろう気合いと完成度が、ひしひしと伝わってくるものでした。「トリッパ→安価な食材→カジュアルな店」という図式に甘んじることなく、リストランテの一皿として完成度を高めることができたのも、トリッパに愛情を注いだ一人のシェフとの出会いがあったからだと今、日髙シェフは思っているそうです。(ito)

「やわらかく煮込んだ牛の胃袋の香草風味、大麦と白インゲン豆を添えて」
飴色のタマネギと香草で煮込んだトリッパに、別鍋で仕込んだ豆のスープ、トマトソース、茹でた丸麦を合わせて完成。暖かみの中に複雑さも共存させたリストランテならではの味。
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chef日髙良実(ひだか・よしみ)シェフ。お正月は東京でのんびり過ごし、年始の営業は1月5日のディナーから。1月7日には神戸の「舞子ヴィラ」で凱旋ディナーが開かれる予定。

撮影協力 「アクアパッツァ」
東京都渋谷区広尾5-17-10 EAST WEST B1
●Phone03-5447-5501
●11:30~13:30LO 18:00~21:30LO ●無休
●昼3000円、4000円、5500円 夜7000円、9200円、10500円 ●48席



写真 うらべひでふみ

連日の忘年会で昼夜逆転の毎日。住まいを初台から恵比寿に移し、ますます飲み歩きがとまらない様子。来年は更なる飛躍をしたいと話す40歳・独身。

2005年 12月 26日 シェフのトリッパ料理 | | トラックバック (0)

2005年11月26日 (土)

新連載 今月のトリッパ!

トリッパ隊を結成してからというもの、トリッパを使った料理が気になって仕方がない隊員たち。「今月のトリッパ!」では、シェフの全面協力のもと最新トリッパ料理をご紹介していきます。(ito)


第1回 落合務シェフ「ラ・ベットラ」

bettola3■落合シェフのトリッパ歴

 落合シェフは料理修業でローマに行くまで、トリッパには触れたことも、料理したことも、また食べたこともなかったと言います。「赤坂にグラナータができたのが1982年5月。オープンと同時に、トリッパもメニューに載せたけど、結局ぜーんぶ自分たちの胃袋に入ったよ」。オーダーをとれなかったトリッパは、メニューから即降格。ところが、しばらくしてイタリア人のお客さんが増え始めると、「なんでトリッパやらないの?」という声が度重なり、1年後にはまた復活。ベットラでもオープンからずっと作り続けられ、パスタや、卵を落としてグラタン仕立てにしたりと様々なアレンジで登場しています。
 ローマに行くまでトリッパを食べたことのなかった落合シェフのレシピは、純粋なローマ風。ソースを含んで幸せそうにふっくらとしたトリッパと赤インゲン豆。ミントの刻み加減も絶妙な間合いを生んで、いつまでも愛されるロングセラーとなっているのです。

伝統
トリッパのローマ風トマト煮込み

時々、張りのないクターッとした姿のトリッパを見ますが、それは煮すぎて中の水分やゼラチン質が失われてしまった状態。このように見た目の張りと瑞々しさも重要です。

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■特製のトリッパ料理参上!

bettola4  ふっくらトリッパとは逆に、シャープなトリッパのグリルは落合シェフがこのブログのために考案してくださった今宵限りの新作。やわらかく茹でてから重しをし、表面をカリッカリに焼いたトリッパと、そのトリッパに負けないくらいカリッカリに焼かれたカチョカヴァッロの組み合わせです。カチョカヴァッロは弾力のあるチーズ。二つを同時に噛み始めると、トリッパの内側に潜んでいた濃厚なゼラチンが表に浮き出て、カチョカヴァッロを包み込み、トリッパはチーズを食べるための濃厚なソースのようでもあるのです。「イタリアにあるかどうかは知らないよ。でも旨そうだな、って直感で思ったの」。カチョカヴァッロやトリッパを、思いっ切りカリカリに焼いても負けないのは、素材の良さ(岡山・吉田牧場のカチョカヴァッロです)と仕込みの完璧さがあってこそ。レシピを上辺だけ真似しても同じ味は生まれない…と痛感するレストランならではの存在感を示す一品でした。

新作
トリッパとカチョカヴァッロチーズのグリル 沖縄風

重しをしてカリカリに焼いたトリッパとおせんべいのように香ばしい焼き色のカチョカヴァッロ。付け合わせはグリルしたマルオクラや四角豆、ズッキーニ、栗。手前は島トウガラシのペーストをオリーブ油でのばしたソース。この辛みも食欲に火をつける。

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chef落合務(おちあい・つとむ)シェフ。詳細なプロセス写真満載の新刊『ちゃんと作れるイタリアン』(マガジンハウス刊)は、ラ・ベットラの味を根っこで支えるイタリアンの基本がみっちり詰まった一冊。

撮影協力  「ラ・ベットラ・ビス」

東京都中央区銀座1-27-8
●Phone03-3567-5657
●11:30~14:30LO 18:30~22:00LO(土曜、祝日18:00~21:30LO)
●日曜、第2,4月曜休 ●昼1050円,2100円 夜3360円


料理写真  今清水隆宏(いましみず・たかひろ)
落合シェフからの突然の指名により今回料理写真を撮ってくださった今清水カメラマンは、自称「なんちゃってヒーラー」。今は密かにヒーリングカフェを開きたいな……との夢を持つ。

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