読んでうっとり 関西食文化
■どうも、編集部の亀山です。
元来食いしん坊なもので、愛読書もやっぱり食にまつわるものが多いのですが、中でも白眉がこちら。大阪出身の田辺聖子さん!
特にこの2冊。『春情蛸の足』(講談社文庫)、『無芸大食』(ポプラ文庫)。
田辺さんは、人生の酸いも辛いも、ユーモアをもって情感豊かに描き出すことにかけて並ぶ人のいないほど上手だなあ、と思うのですが、食の情景がまた、いいんです。
「~その女は昼どきの店内の喧騒からうどんの鉢を守るように抱え、うどんのひとすじをいとおしむようにすする。やわらかな、まったりとした奥ゆきぶかい薄味のおつゆを、どんぶりを傾けて心ゆくまで飲み干す」(『春情蛸の足』所収「慕情きつねうどん」より)
もう、ここを読んだだけで、ふわっとしたかつおの香りや、もちっとしたうどんの歯応えがありありと思い出され、しみじみと幸せな気持ちになります。
うどんを、1本ではなく、ひとすじと数えるところも、またよし。こう、なんといいますか、豊かさを感じます。田辺聖子さんが登場人物に喋らせる言葉も、昔の関西弁なのでしょうか、柔らかく、ふくよかで、ふだん自分が使っている東京弁がきつく、味気ないものに感じられます。
さてさて、この2冊。最近読み返したのは訳がありまして……。
亀山担当の「何でもテイスティング」のテーマが「お好みソース」なのです!
今回揃えたのは、広島、兵庫、大阪のほか、栃木のソースメーカーが作るもの、東京人ならお馴染みのブルドックが果敢にも挑んだものなど、17種。ソースといえばの洋食、というわけで、洋食のお料理人さんと、「なぜかお好み焼き屋さんがうちのワインを置いてくれることが多いんです」という自然派ワインインポーターさん(大阪生まれ、兵庫育ち)。
さあ、お二人のお気に入りは?(今回は久々の大穴が出ましたよ!)
次号をどうぞ、お楽しみに♪ (亀山)
2013年 1月 18日 トリッパ隊のつぶやき | 固定リンク