日本料理の国際化と、松茸の午後
■今、京の老舗には、脂ののったアラフォー世代の若主人が多数活躍中。その中核を担う「美山荘」中東久人さん、「木乃婦」髙橋拓児さん、「瓢亭」髙橋義弘さんを招いての「KCC食文化と料理の講習会」がキッコーマンの主催で行われました。海外のトップシェフ等との交流も盛んで、世界を股にかけ、忙しい日々を送られているお三方。今回は、「木乃婦」髙橋拓児さんの会に潜入!お話のテーマは「日本料理の技術と進歩、国際化」、食材は「松茸(!)」とあって、勇んで出かけてきました。
「木乃婦」3代目、髙橋拓児さん。「こういう和え物は、箸で一口分ずつつかんで盛ること。食べやすく、口に入る味のバランスが均一に」。なるほど!
折しもロシアでの料理講習会を終えての帰国直後、まずはロシアのガストロノミーの今をスライドで紹介。どの国であれ、訪れた地の食文化を必ず「俯瞰する」ことを心がけるという髙橋さん。「なぜその調理法が生まれたのか、どうおいしさに結び付けるか……歴史や文化背景なども加味して俯瞰することにより、一元的な技術収集に留まらず、日本料理を見直し、進歩させる糧にできるのです」と髙橋さん。
今、世界のトップシェフが注目する日本料理。その美点は「だしを引く」という言葉に表れてる、と高橋さんはいいます。フォンやブロードを「煮出す」「取る」という考え方に比して、素材の旨味、よいところだけを引出すという捉え方は確かに、日本料理の核と感じます。また、素材の目利き、品質管理に至るまでが日本料理。今後もっと外国で浸透するには「漁法、活け締めなどの品質管理、流通技術、加工品の技術発展が不可欠になってくるでしょうね」。
さてお待ちかねの松茸料理デモ。「日本料理ではキノコ類は加熱しますが、外国では生食や塩漬が一般的。松茸の香りを生かすには優れたアプローチと考え、取り入れてみました」。1品目の松茸の菊花浸しには、松茸をコンフィ&真空調理に。油を介することで香りが持続します!うまだしと湯がいた菊花を合わせて。二品目の松茸と鱧の椀は、逆に生食ギリギリの火入れで。最後の「松茸粥」は有馬酢で! 松茸と、だしを引く豊かな匂いに包まれて、日本の秋を満喫した午後でした。(hayashi )
◎キッコーマン KCC食文化と料理の講習会
2012年 11月 1日 EVENT(食の世界の様々なイベント) | 固定リンク