工場見学 RF1静岡ファクトリー1
第1回 入口が物語るANDO建築
■『料理通信』では、2010年7月号より、株式会社 ロック・フィールドのサラダブランド「RF1」との共同編集で、『SHOKU-IKU新聞』(月刊)を制作しています。
(RF1店頭で配布。一部紙面は『料理通信』に掲載)
新聞でお伝えし切れなかった、ぜひ知ってほしいRF1の取り組みの数々を、TRIPPA通信でご紹介してまいります。
株式会社 ロック・フィールドの神戸ヘッドオフィスは、安藤忠雄氏が監修しています。
阪神大震災で被災した巨大な物流センターを「もったいないから残す」をコンセプトに基礎部分から補修し、オフィス、ファクトリー、物流センターの3つの機能を兼ね備えた建造物へとリノベーション。第9回神戸市建築文化賞「ストック再生部門」を受賞した、メッセージ性の強い建物です。
昨年9月にリニューアル・オープンした「神戸コロッケ元町店」の店舗デザインも、安藤氏が手掛けています。
RF1のサラダ作りを一手に担う静岡ファクトリーを訪れて、まず強い印象を受けるのが、長いアプローチです。
(神戸ヘッドオフィスのアプローチも長い……)
ゆるやかなカーブと傾斜を描きながら、来客入口へ導いてくれるアプローチは、現代美術館のエントランスのよう。
長いアプローチからは周囲の景色が眺め渡せます。
実は(というか、ちょっと考えればすぐ想像がつくのですが)、静岡ファクトリーの入口はここだけではありません。
スタッフ入口があり、食材搬入口があります。
なかでも一番厳重なのが、食材搬入口。
虫などの侵入を防ぐため、二重扉で仕切られているのです。そればかりでなく、食材搬入口と製品搬出口は、建物の正反対の面に位置していて、食材から製品までの加工の流れが逆流することは決してありません。ファクトリー内において食材と製品が同居する瞬間も絶対に存在しません。
⇒食材搬入口。反対側に製品搬出口があります。
すべては食品の安全のため。
ファクトリーの構造とはすなわち機能であることを、正反対に位置する入口と出口が教えてくれていると言えるでしょう。
じゃ、来客用のアプローチは何のため?
きっとそれはワクワクのため。
ほら、「チャーリーとチョコレート工場」と一緒だと思うのです、工場って「中はどうなっているの?」って、誰もが気になるもの。そんなワクワクを倍増させるための長いアプローチ、ってことはないか……。(kimijima)