« 『料理通信』1月号、本日発売です! | トップページ | お詫びと訂正 »

2010年12月 7日 (火)

お好みはどの世代、どのお酒? (1)

『料理通信』2月号の日本酒特集は“ジェネレーション”がキーワード。企画の冒頭では、日本酒ジャーナリストの山同敦子さんと、「鈴木三河屋」の大熊潤さんに、同店取り扱いの酒をテイスティング、味わいのマトリックスを作っていただきました(『料理通信』の誌面とONLINEで公開)。このマトリックスと、以下のテイスティングコメントを参考に、“ジェネレーション”を感じながら飲み分けて、好みのタイプを探ってみてください。

テイスティングコメントは3回にわたりご紹介します。まずは、安定感バツグン、しみじみ旨い(上手い!) 40代・50代から…。



―50代以上―

冒険はしないが、その分、落ち着きがありダンディで上品。熟成タイプで燗向きの酒も多い。

【神亀 純米
山同:これぞ日本の酒ですね。圧倒的な存在感、圧倒的に濃くて深い。あん肝など濃い味の料理に合いますね。豚カツやグラタンなど油っこい料理にも合うから不思議。
大熊:熟成しているので、冷やだと渋味を感じますが、お燗をすると劇的に変わりますよね。

【乾坤一 純米吟醸 冬華
大熊:淡麗なお酒で、辛口の代表ですね。
山同:締まっていて落ち着きがあり、タキシードを着た熟年紳士という感じ。燗にするとさらにいい。旨味のボリュームが出て、キリリと引き締まる感じです。

【奥播磨 山廃純米
山同:迫力ある旨味があります。山廃ならではの酸の太さが魅力的。
大熊:旨味も酸味も引き算していない、ボリューム感があります。
山同:これも燗をした方がおいしいお酒ですね。



―40代―

高木酒造「十四代」(’94年リリース)を筆頭にした、蔵元杜氏の走りの時代。クセがなく隙のない味わいの酒が揃う。

【王禄 丈径 無濾過生原酒
山同:ぐっと胸に迫ってくる旨味と、酸の切れがあり、塩のようなミネラルを感じます。
大熊:張り詰めた芯がありますね。力と信念を感じてスピード感もある。
山同:唯一無二の個性がある、芸術家タイプのお酒ですね。

【喜久醉 純米吟醸
山同:甘くて丸い。何のつっかかりもなく体に染みわたる、まさに甘露。はかない美しさがあります。以前、もろみを見せていただた時に、面(つら)の肌理が整っていて、ものすごくきれいでした。無理して発酵させているのではなく、見守って自然に発酵させているから、きめ細かく美しいんでしょうね。青島さんの蔵は、いつ行ってもビシーッとすべてがきれい。掃除がすみずみまで行き届いています。
大熊:搾りに使う布の洗浄がとにかく徹底していますよね。造りの最後には、水だけで2週間もかけて何度も何度も洗うんです。あのきれいな味わいは、そういうところからも来ているんでしょう。

【醸し人九平次 純米吟醸 山田錦
大熊:私はこのお酒で日本酒に目覚めました。甘味、酸味、旨味、どれもしっかりと出ていて、香りのバランスも素晴らしい。圧倒的なスケール感がありました。
山同:私も別格、と感じました。スケール感があるのに、滑らかでエレガント。貴族の女性みたい。
大熊:今飲んでもやはり何かが突出している。緻密で、抜けがいい。洋風の料理と合いますね。
山同:“洋”のニュアンスがある。ワイン好きの方に薦めると喜ばれます。

【飛露喜 特撰純吟
山同:廣木さんは、30代でお父様が亡くなられて跡を継いだんですが、マーケティングではなく、自分で好きなお酒を造って大ブレイクしたタイプですね。“ポスト十四代”と騒がれましたが、今でも圧倒的な人気です。
大熊:満遍なくおいしいイメージ。クセがないところがすごくいいですね。全体に調和がとれています。
山同:地方都市の清楚なお嬢さん、みんなに好かれる学校のマドンナみたいな。やわらかい甘さがあって、シャープさもあります。

【天遊琳 特別純米酒 限定瓶過囲い
大熊:伊勢神宮などの新嘗祭にお神酒を納めている蔵です。派手さはないけど落ち着きがある。燗で飲むとなおいいですね。
山同:つやつやのお米の甘さと水のきれいさを感じる。和風だしに合いますね。おばんざいとか、野菜もおいしく食べられる。

【竹林 ふかまり純米
山同:米作りから力を入れている蔵で、日本で唯一、日本とアメリカ、ヨーロッパのオーガニック認定を取っています。“農産酒蔵”というキャッチフレーズ。
大熊:西日本らしい熟成タイプで、お燗にすると本領を発揮しますね。

TASTER
●山同敦子さん
編集者として全国の酒蔵を訪問した際に感銘を受け、独立。日本酒蔵、焼酎蔵や海外のワイナリーの取材を続けている。著書『愛と情熱の日本酒 魂をゆさぶる造り酒屋たち』(ダイヤモンド社刊)には、今の日本酒の担い手の姿が鮮やかに描かれて、感動必至! 3月に同書の改訂版をちくま文庫から出版予定。他、著書多数。

●大熊 潤さん
日本酒と焼酎の店「鈴木三河屋」取締役。同世代の造り手を中心に、質の高い酒を全国から厳選し販売。蔵元へも積極的に足を運び、造り手や飲食店からの信頼も篤い。
(東京都港区赤坂2-18-5 TEL:03-3583-2349)

お詫びと訂正


---------------------------------------------------------------
『料理通信』1月号日本酒特集P53で掲載した年表に誤りがございました。
神亀酒造の全量純米化は、1973年ではなく、正しくは1987年でした。
訂正し、お詫び申し上げます。
---------------------------------------------------------------

2010年 12月 7日 今月の『料理通信』 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/146421/50218834

この記事へのトラックバック一覧です: お好みはどの世代、どのお酒? (1):