日本酒と梅だけで作る梅酒
■岩手・二戸の「南部美人」と言えば、「全麹仕込み」「木桶仕込み」等々のこだわりの酒造り(と五代目蔵元・久慈浩介さんの賑やかな人柄)で、酒好きにはちょっとは知られた日本酒蔵。その久慈さん入魂の「特別な仕込みで造った他にない梅酒」が、このたび発売になるということで、記者発表会に行ってまいりました。
この「糖類無添加梅酒」、その名の通り、砂糖など糖類を一切使わず、日本酒と梅だけで造っているそうです。梅酒は普通、砂糖を使わないとうまく造れないものなのですが、南部美人ならではの「全麹仕込み」を応用し、梅酒専用の甘口純米酒を造り、低温・短期間で梅を漬け込むことで完成に至ったそうです。
梅を引き上げて数日経つと、酒の酸化反応で自然に薄桃色に染まるそうです。ご興味のある方は酒販店にGo!ちなみに、林は非売品「08年ビンテージ」の熟成梅酒も試飲。黒砂糖のような上品な熟成香が加わって美味でした!
原料は日本酒と梅だけ、と聞くと「それだったらどうにかすれば(簡単に)造れそう」と思ってしまいますが、ところがどっこい。本当に難しいのです。大手メーカーの梅酒はその40%が糖分と聞きますし、久慈さんも、この酒を完成させるのに、今まで「腐造」は一切出したことがなかったのに、何回も出してしまったといいます。
仕込み過程の要所要所に特許を所得したり、農林水産省の補助金交付を受けての「梅酒専用新蔵」を建設したりという力の入れよう。日本酒ファンとしては、「梅酒にシフトしてしまって、肝心の日本酒造りは大丈夫なのかしら・・・・・・」と一抹の不安がよぎるところですが、「日本酒造りは今までと変わらず精進します!その為にスタッフも増員しました」とのこと。久慈さんの狙いとしては、新規開拓&日本酒の裾野を広げるため、だそうです。これも日本酒蔵のひとつの活路なのかしら、と感じた林なのでした。
五代目蔵元・久慈浩介さん。
さっぱりとして、べた付く甘さがないので、食中酒としても非常によいです。特に夏場、梅のさわやかな香りと酸味は食欲を刺激するのでおすすめです。エスニック、イタリアンといった、味の濃い料理にもうまく伴走してくれそうです。糖類無添加なので、ヘルシーですし。(カロリーは既存梅酒の2/3~1 /4だとか)
今後、この「スパークリング」バージョンや、イチゴ、山葡萄など、二戸産の果物を使ったリキュールも考案中とのこと。久慈さん、頑張ってください!(hayashi)
会場は二戸の産直素材を使ったご馳走が。トマトやキュウリ、岩手の地米「いわてっこ」のおにぎりの他、地元ブランド豚「佐助三元豚」を使って岩手で造ったという生ハムも。
2010年 8月 11日 INFORMATION | 固定リンク