「モルト×ショコラ」撮影秘話 その2
ボトルの背中が語る撮影隊の苦労
■女性の後姿でも撮るかのように、なぜ、ボトルの背中を撮ったのかと言えば、ここに撮影隊の苦労の結晶が表れているから。「何もないじゃないか!?」と言われそうですが、「何もない」のが苦労の結晶なのです。
実は、背中に裏ラベルが貼ってありました。ボトル、グラス、スイーツをセットして、カメラマンがテストのシャッターを切る。それを、サントリーさん、電通さん、カメラマン、編集部のみんなでチェック。
「色が沈んでいるよね」
「ライティングのせいかな」
「いや、裏ラベルのせいだ」
で、クリアな琥珀色を正しく写し撮るために、裏ラベルをせっせと剥がす……(剥がしたのは、ワタシじゃなくて、カメラマンさんと電通さん)。
ボトルの液色、グラスの液色、ラベルの向き、ラベルへの光の当たり加減、等々、あらゆる角度からチェックします。
こういう場合に必要な道具は漏れなく持参しているカメラマンさんのおかげで、見事、背中はすっきりつるつるに。どれくらい琥珀色がクリアに写っているかは、『料理通信』2月号P.56をご覧ください。
ちなみに、この時のモルトは「ボウモア12年」。そのスモーキー感に合わせて、「ル・コワンヴェール」の上霜シェフは「ガトー・フロマージュ・フュメ」を作ってくださいました。チーズケーキのスモークですが、「5分燻製」「10分燻製」の2タイプを用意。両方試食した結果、5分燻製が採用に。
これがすばらしく合うんですね、ボウモアに。スイーツとつまみの境界を超えた味わいは、真剣に新しい味覚の地平が拓かれた印象でした。(kimijima)