木村成克シェフ×編集長のスイーツ対談 開催報告!
■4月22日から3日間に渡って開催された「ファベックス2009」&「第6回 デザート・スイーツ&ドリンク展」。総来場者数60,867人と、飲食業界きっての大展示会は昨年を上回る盛況ぶりでした。
初日に開催された、編集長キミジマと「ラ・ヴィエイユ・フランス」木村成克シェフとのスイーツ対談。テーマは「フランス菓子の伝統を現代に生かす法」。木村シェフのルーツとも言えるフランス「BERNACHON」及び「LA VIEILLE FRANCE」での修業時代の話題を皮切りに、シェフのフランス伝統菓子への愛情、フランス菓子の現状、消費者のニーズへの対応や、次世代への期待などが、おいしそうなお菓子の映像とともに語られました。
対談途中、シェフお手製のお菓子が会場の皆さんに振る舞われました。シェフがもっと食べてほしいと願う「サヴァラン」です。きっちりと焼かれた生地が、ラム酒入りシロップにしっかりと浸かり、甘くもほろ苦く、誘惑めいた味わいに、うーん、大人になってよかった……!
目の前の誘惑の虜になりながらも、シェフとキミジマのトークは続きます。おしまいには、木村シェフのお店に行ったら絶対に買おうと、密かに心に決めたお菓子がモニターに登場。それは「フィグ」。画面に映し出された鮮やかな黄緑色と、イチジクをかたどりながらもずんぐりと可愛らしい姿に目を奪われました。実はこの「フィグ」、フランスの伝統菓子の一つであり、ポピュラーな再利用菓子。「いかに材料を無駄にしないかがプロの仕事」と語る木村シェフの、食べ物への感謝の念がギュッとつまった一品です。オペラの切れ端をラム酒漬けのブドウやイチジクと混ぜて団子状にし、マジパン生地で包んだもので、ラム酒の効いた濃厚なチョコレートケーキのような味わいとのこと。「もとのお菓子とは全く違う形、味わいになり、それは新たな楽しみを生みだします」とシェフは語ります。環境破壊や食糧調達が問題となっている現代では、一番にお手本にしたい「最後まで素材を使い切ること」が、伝統的に(しかも楽しく)行われてきたフランス菓子。その奥深さを改めて教わりました。
時代を超えて伝えられていくことには何かしらの理由が必ずあるものだし、フランス菓子の伝統や精神は、お菓子作りだけでなく、もしかしたら生活全般にも生かすことができるのかもしれないなぁと、しみじみとしていたら、あっという間に対談は終了、濃密な時間はサヴァランとともに去りぬ…。木村シェフ&ご来場くださった皆様、どうもありがとうございます。(watanabe)
会場には旭屋書店さんも出店し、『料理通信』バックナンバーをお取り扱いいただきました。
2009年 4月 30日 EVENT(食の世界の様々なイベント) | 固定リンク