シュー生地の穴には職人魂が詰まっている。
■パン屋下見3日目のこと。ヤギとハヤシが買い回って来た包みを開けていたら、「あ、まただよ」。バゲットがまたも齧りかけなのです。犯人はヤギ。焼きたてバゲットに出会うと、つい、その場で齧っちゃうんですね。それと、なぜか、調査品目に入っていないドーナッツが出てきた。これも犯人はヤギです。彼女、ドーナッツ好きなんです。
このドーナッツが大ヒットでした。大岡山「ヒンメル」製なのですが、見た目はゲンコツのようなゴツイ岩状、中はシュー皮のように大きな穴がボコボコあいた半生っぽい生地で、かる~い。フランス伝統菓子にシュー生地を揚げた「ペ・ド・ノンヌ」というお菓子がありますが、それともちょっと違う。
シュー生地と言えば、偉大なる志賀シェフのパン屋さん「シニフィアン・シニフィエ」の「チャバタ」のクラムもシュー生地のようです。もしかしたら、シュー生地のテクスチャーって、職人魂を刺激するものがあるのでしょうか。
■『料理通信』9月号「スイーツ最前線」(明日発売!)では、フランス菓子を作る(食べる)上で知らずには済まされない「6つのベーシック」を特集していますが、そのひとつ「シュー生地」を教えてくださったのは、「ラ・ヴィエイユ・フランス」の木村成克シェフです。
「ラ・ヴィエイユ・フランス」には、エクレア、サントノーレ、ルリジューズ、パリ・ブレスト、そしてもちろんシュークリームと、シュー菓子のラインナップが勢揃いしています。中でも木村さんのお気に入りは、ルリジューズ。ルリジューズとは「尼さん」の意味で、尼僧の姿を模したお菓子です。「焼き上がった生地にクリームを詰めて、フォンダンをかけて、飾りのクリームを絞っていると、可愛くて抱きしめたくなるんですぅ」と木村シェフ、格闘家のような風貌の目尻を思いっきり下げておっしゃる。このギャップがたまらなく魅了的なんですよね。味も抜群。誌面でご紹介いただいた作り方にもポイント満載です。(kimijima)
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