【速報】 イタリアワイン・スキャンダル part1
「ワインの偽装が発覚した!」。4月4日夜中、イタリアからニュースが飛び込んできました。スローフードの国で起きた事件に編集部は「イタリア人よ、お前もか……」。現地からの緊急ルポを3回に分けてお届けします。
■イタリアワイン界で最も重要とされる見本市「Vinitaly」(4月3~7日/ヴェローナ)の会期中、人気経済誌『L'espresso』(週刊)が、3つのワインスキャンダルを暴露した。その概要を3回にわたってお伝えしよう。
ちなみに 題名になっているVELENITALY のVELENIはVELENO(有害物、毒物)の複数名詞で、今開催されているワインの見本市、VINITALY(VINIはワイン)に引っ掛けた。
第1回目は、日本のワイン愛好家にも人気のブルネッロ・スキャンダルについて。
■イタリアの著名なDOCG、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(以下ブルネッロ)に、フランス原産種であるメルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、ぺティト・ヴェルド、シラーが10~20%入っていたというのである。
ブルネッロは、土着品種であるサンジョヴェーゼのみで造ることが義務付けられている。そこにフランス原産種を混ぜた理由としては、まず、ブルネッロの需要にサンジョヴェーゼの供給が間に合わないこと。もうひとつは、ブルネッロの力強い味をあまり好まない消費者とりわけアメリカ人(アメリカへのブルネッロ輸出率は総生産量の約25%)向けに、口当たりをよくするためらしい。
2003年ヴィンテージのボトル、2004年以降のまだタンクや樽に入っているワイン、そしてブドウ畑が押収されたと言われるワイナリーは、Castello Banfi、Frescobaldi、Argianoなど。疑惑がかけられているワイナリーは20社ほどで、Casanova di Neriも監視下に置かれている。
Castello Banfiはモンタルチーノで一番大きいワイナリーで、サンジョヴェーゼのブドウ畑が約180ヘクタール。これはモンタルチーノにおけるサンジョヴェーゼの畑総面積中10%を占める。20ある畑のうち10の畑と、2003年ヴィンテージ60万本のブルネッロが押収され、工場の機能はブロック状態と言われている。
国有林警備隊によるこの調査は、昨年11月に始められていたのだが、調査はまだ終了していない。
ブルネッロ協会の会長であり、ワイナリーCol d`Orciaのオーナー、Francesco Marone Cinzano氏が、ピエモンテの主要新聞「La Stampa」で語った言葉で締め括ろう。 「この事件で、ブルネッロはイタリアワインの中で一番チェックの厳しいワインになったのは確かである」。
文―池田美幸
明治大学農学部卒。1986年渡伊。イタリアにてソムリエ、チーズテイスターの資格を取得。食品・ワイン関係の通訳・コーディネートを手掛けている。2007年は、イタリアソムリエ協会ロンバルディア支部発行のワインガイドブックVINIPLUSのテイスターとしても活躍。現在ミラノ在住。
2008年 4月 8日 WORLD TOPICS | 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント