パリ「サロン・ド・ショコラ」 -2-
会場入り口近くには、「ダロワイヨ」による“フィフス・エレメント”をモチーフにした、大きなチョコレート細工や、アルノー・ラエールが制作したチョコレートのレーシングカーが飾られ、お祭りムードを盛り上げました。会場奥のブースでは、フランス国内のみならず、ベルギー、ロシア、イタリア、日本、ドイツ(今年初登場)などのショコラトリーがチョコレートを販売。ショコラティエ(パティシエ)もブースに立ち、新作の試食を勧めたり、チョコレートの説明をしたりするなど、訪れた人々と気さくに言葉を交わしていました。毎年足を運んでいるファンも多く、お気に入りのショコラティエと1年ぶりの再会を喜ぶ姿も。また、会場奥のデモ会場では、ショコラティエ(パティシエ)によるデモンストレーションを開催。元「オテル・ド・クリヨン」のクリストフ・フェルデール、「フォション」のクリストフ・アダム、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のパスカル・ル・ガックらが続々と登場し、観衆の目の前でチョコレート菓子を仕上げながら、プロの技を分かりやすく丁寧に解説していました。2日目はピエール・エルメ、フレデリック・カッセル、ローラン・デュシェーヌ、ティエリー・ミュロップ、アルノー・ラエールら、ルレ・デセール* 会員15人が結集。連日、大盛況でした。
*ルレ・デセール…フランスを中心に、世界各国の腕利きパティシエ、ショコラティエのみが加盟する協会。
■「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のロベール・ランクス。昨年まではチョコレート細工を展示する程度の小さな展示だったのだが、今年初めて、その場でチョコレートも販売する大きなブースを構えた。試食のボンボン・オ・ショコラを求め、たくさんの人だかりができていた。
■ジャン=ポール・エヴァンは、テレビ局からのインタビュー真っ最中。新作は“Minui”(真夜中)と名づけられたボンボン・オ・ショコラ。メース(ナッツメグの仮が種皮)が香るミルクキャラメル・ショコラガナッシュと、オレンジの花の水とユズで香りづけしたパート・ダマンド(マジパン)の組み合わせで、香りも味わいも豊か。
■日本でも、有塩バターのキャラメルでお馴染みの、アンリ・ル・ルー。ブース内で、ボンボン・オ・ショコラのトランパージュ(ガナッシュなどのセンターにチョコレートがけすること)を実演していた。新作のボンボン・オ・ショコラ「トマト・バジリック」は、トマトのパート・ド・フリュイ(フルーツのゼリー)とバジル風味のビター・ガナッシュが2層に。「まさにキュイジーヌ・シュクレ(甘い料理)でしょう!」とル・ルー。カカオ分65%のビターチョコレートにピンクペッパーを散らしたタブレット、「ベ・ローズ」も人気で、3日目には売り切れるほどだった。
■フォンテーヌブローに店を構える、フレデリック・カッセル。チョコレートの評判も高く、現ルレ・デセールの会長でもある。「来年、初めて日本でルレ・デセールの会合を開きます。世界中から100人ものすばらしいパティシエ達が集まる予定。日本でぜひお会いしましょう!」
■アルノー・ラエールは、果物やスパイス、アルコールなどの香りが豊かなボンボン・オ・ショコラのほか、さまざまなタブレット、マンディアン、バトン状チョコレートなど、多彩な品揃え。一角には、早々と、ナッツやドライフルーツで飾られたチョコレートのクリスマス・ツリーも並べられていた。
■日本の「マダム・セツコ」のブースでは、日本人ならではの繊細な絞りによるボンボン・オ・ショコラのデコレーションを実演し、黒山の人だかり。フランス人には驚異の細かさのようで、ため息とも歓声ともつかぬ声が上がっていた。
■ 「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」パスカル・ル・ガック氏は、3日目のデモンストレーションで、「レモンで香りづけしたタルト・オ・ショコラ」を披露した。「チョコレートを湯せんで溶かす時は、低温で、時間をかけてゆっくりと」など、作業を細かく解説。終了後は熱心な参加者から質問攻め。笑顔を絶やさず、一つひとつ丁寧に答えている姿が印象的だった。
■ル・マンに店を開く、MOF(フランス最優秀職人)パティシエ、ジャック・ベランジェ。写真を頼むと、裏がチョコレート色の帽子をかぶってにっこり微笑んでみせた。ブースには、緻密な仕事ぶりが窺える美しいボンボン・オ・ショコラや、チョコレートでコーティングしたソーテルヌのレーズンなどがずらり。試食に手渡されたカルダモン風味のボンボン・オ・ショコラは、彼の笑顔のようにやさしい味と香りがした。
*最終回は、謎のチョコレート・エステ・リポートです!
2005年 11月 22日 WORLD TOPICS | 固定リンク
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