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2006年3月13日 (月)

#11 ラ・メゾン・デュ・ショコラ -前編-

手にすれば誰もが心躍る、唯一無比のショコラトリー

Maison  大切な人のための、確かな贈り物を考える時、真っ先に思い浮かぶのが、やはりメゾン・デュ・ショコラのチョコレートだ。エルメスが箱の発注しているという同じアトリエで作られたブラウンのバロタン(小箱)は、外からの衝撃をものともしないしっかりとした作りで、重厚な様相。中に散りばめられたチョコレートの品格そのものをも表している。

 私は、メゾン・デュ・ショコラの、精巧に出来上がったその一粒を味わう時、その創始者でショコラティエの、ロベール・ランクス氏を思わないではいられない。何度か行った取材の中で、取材の内容を超えた、彼の語ったいくつかの言葉が、脳裏に焼きついて離れない。
 
「君ね、人生は長いようで短いよ。その間に、愛するものと出会い、それとともに時間を過ごすことができ、それに心を割けるかが、どれだけ大切なことか。年を重ねるごと、身にしみてわかってくるよ……」

 彼のことを本当に凄いと思うのは、1977年、48歳という年齢で、メゾン・デュ・ショコラをオープンしたということだ。

 ランクス氏は1929年生まれ。フランスでは初めてチョコレートが上陸したというバスク地方出身の彼にとって、ショコラトリーをもつことは、昔からの夢だったという。しかし、戦後、50年代のパリで、チョコレートだけの店では、商売とするには難しかったので、パティスリーとトレトゥールも兼ねた店を55年にオープンした。 

 それから22年。長い道のりを経て、長年の夢を実現させる。一つの思いを持ち続け、人生の折り返し地点を過ぎた歳に、それを叶えるというのは並大抵ではない。
 
 こうした一途な思いは、チョコレートの製作においても同じように注がれる。おきまりのレシピはなく、収穫などによって変化するカカオ豆の味わいに応じて、品種の調合を変えるのはもちろん、フレーバーの調合にも妥協はない。レモンの香りがほとばしるような「アンダルシア」は、冬に味わいたいボンボンチョコレートの一つ。生クリームに入れる砂糖に、レモンの皮をすりつけて香り付けをし、強すぎるレモンの酸味を抑えるという工夫が凝らされ、品の良いガナッシュに仕上がっている。


*写真はレモンの香りが清々しい「アンダルシア」のアントルメ版(手前)、「マロン風味のマカロン」(奥)。

La Maison du Chocolat
225 rue du Fbg. Saint-Honoré 75008 Paris
Tel:01.42.27.39.44(国番号33)

2006年 3月 13日 |

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