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2008年7月21日 (月)

#41 漁師・・・の感覚!!

とある日曜日、念願かなって付き合いのある漁師から漁に連れて行ってもらいました。

朝5時に港で集合。
前日は土曜日、自宅に戻ったのは、夜中の2時。少しだけ仮眠して出発!!でも自分は興奮状態……初めてのピクニック状態でした(笑)

“ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”

暗闇の中、小さな漁船が港に到着!!
「ケーン、ちゃんと起きてこれたんだね……朝早いから来れないと思ってたよ」(何故かケーンと呼ばれます)
「失礼しちゃうな~~約束は守るよ俺だって」
と言いつつ船に乗り、黄色い作業着を着せられ、前日仕掛けたと言う網を引き揚げに行きました!!

Photo

ニースの海上からニースと言う街のあの景色……と~~っても素敵でした!!
写真取ったけど、伝わるかな~~~あの時間帯海から見る街は、初めての経験で、僕にはまた新しいニースと言う街が見えたようで感動でした!!

一番最初に引き揚げに行った網は、海岸沿いから50メートルぐらいに仕掛けた場所で、先週10キロ近くのカンパチを引き揚げた網でした。

「魚はお腹が空くと、海岸付近まで上がってきて小さな魚を目指して狩りをするんだよ。しかも先週は月が満月で大魚によっては絶好の狩りデーだったんだ」

なるほど~~~

Photo_8 と言いながら網を引き上げ、揚ってきたのは、かなり大きめな鯖、鯵、そしてホウボウ、イカと小さな的鯛、たいした量はなかったのですがかなりの品質のものが揚がりました。
「ここら辺は良い型の魚が揚がるから、網は丈夫で大きめのほうがいいんだ」とアドバイス。「たぶん普通に海岸から釣りしてもこれぐらいの魚は簡単に釣れるはずだよ」って。
「へ~~~」
網を引き揚げたら、その後は、その網をそのまま今度は明日のために漁船を流しながら設置していきます。

「今の時期はまだ海の温度が低いから前日に網を仕掛けてもいいんだけど、夏になって熱くなると、前日に網を仕掛けると魚が腐るし、人が泳ぐから、夜中の12時に網を仕掛け朝のこの時間帯に引き揚げなきゃいけなくなるから、夏は本当に辛いんだよ。しかもただでさえ年々魚の収穫が減ってるのに、夏はさらに量が減るし」

「良い時期もあれば、悪い時期もある。漁師とはそんなもんさ」って……なんかカッコよい!!

運転がすごい、エンジンをかけたら舵取りは、またに挟んだ棒一本!!

「何でハンドルじゃないの」と聞いたら、「ハンドルだと網を投げれないから、足のほうが手が空くから便利なんだ」とごもっとな意見!!

ニースの海岸の前に仕掛けた網を3つ回収したところで、朝日が昇り始めました。いや~~これまた絶景!!

Photo_2

プロカメラマンになった気分で写真取りまくりました。
(気付いてる人は気付いてるかもしれませんが、ここ最近の写真の質が良くなっているんですよね~同世代のライバルに負けじと、年末に一眼レフを購入しちゃいました。しかもレンズまでプロ用のを買っちゃい、写真にもチャレンジ中!!たまにはいい写真がマグレで取れます!!)

いいでしょう~~~海から見る朝日!!

と同時に飛行機が出発、漁師の背中をバックに1枚”パシャッ!”

Photo_9Photo_10 

今度は場所を移動、空港の近くに行きました。
「ここら辺は岩場があるからまた違った魚が獲れるんだ~~」って
「たぶん今日はルージェ(ヒメジ)が揚がるんじゃないかな?」「しかもルージェ ド ローシュ(岩場のヒメジ)」
と言いながら網を引き揚げるけど、獲れたヒメジは2匹、採れたのは雑魚だけ。「ま~こんなときもあるさっ」と言いながらも、この雑魚たちPhoto_3は”Soupe de Poisson(魚のスープ)”としてキロ6ユーロで売られます。
そそ、日本でも良く飲まれる、サフランとにんにく、ウイキョウの利いたスープドポワソンは、この雑魚たちで作るのが本当なんです!!

とまた網は元に戻し、今度は前日に仕掛けたと言う仕掛けを引き揚げに行きました。

この仕掛けは網じゃなくて、針で、前日の余った魚の鯵や鰯を引っ掛けて、海底に沈めます!!
手で引き揚げていくのですが、揚がってきた魚は???

Photo_5 「うっぎゃ~~~」

「何でも食べる海のギャング 巨大アナゴ!!」


軽く10キロぐらいのアナゴでした。「こいつらは強暴だから気をつけろ!!指噛まれたらいちころだからむやみに触るなよ」って。「は~~~い」と意外と怖がりな僕です!
全部で6針仕掛けていたのですが、全部で3つに掛かっていました!!

こんなエピソードがありました。
(何でこんなに大きくなるんだろ~~日本じゃこんなに大きいのは見ないのに……と不思議な疑問!!たぶんたけど、需要がないから大きくなってるんだと思います。
それはその後の賄いで発見しました。フランス人の従業員、誰も進んで食べたがっていなかったので。「気持ち悪い~~」との声が。
「あ~なるほど、Toniも言ってたけど、たまにしか漁されないから大きくなるんだろうな~~」)

Toni何をするかと思いきや、引き揚げたら早速脳天に大きな釘を……天誅!!
そしてまたに挟んで押さえ込んで腹を開き、そして内臓を海に捨て始めました。

「おおお~~~~い」

Photo_11「辞めろ辞めろもったいないじゃない、何をするんだよ。肝臓は絶品じゃないか。捨てるのはもったいない、残りの2匹は自分で買うからそのままにしといてくれ」……と船のお供に……乗船させました!!
「日本人は変なものが好きなんだな~~」って、カタツムリ(エスカルゴ)を食べる人種から言われてしまいました(笑)
魚の肝などは上品なのに解ってないよな~~~
乗船したのはいいものの”うにょうにょ うにょうにょ”生命力の強いアナゴは船の上を踊りまくり。でも少し怖かったので蹴りを一発!!そしたら大人しく端っこで固まっていました!! (笑)

「よしっ、大物も釣れたし、今日のメインに行くぞ~~~」っと
船を空港の裏につけました。「実はこの場所は埋め立て区域で、空港がなかった頃はここに川が流れて来ていたんだ。だから小さな魚が本来はたくさんいたところなんだけど、埋め立てをして川の流れを変えたから、ここら辺は前に比べると収穫がぐっと減ったけど、魚達にはえさのたくさんある、やはりいい場所なんだ」って。

Photo_13「ここ最近少しずつ海の温度が上がってきているから、ルージェ ド サーブル(砂地のヒメジ)が揚がる筈」だ。
砂場のヒメジは岩場のヒメジに比べて色が少し薄めで、しかも焼いたときの香りがすこし弱いです!!

で、網を引き上げ1分……大漁にヒメジが揚がるではないですか。Toniもう超ご機嫌!勝ち誇ってたよな~~あいつ!!名誉挽回って感じでした。
それにしても揚がる揚がる。“うちこんなに買い取れないよ”ってぐらい揚がりました!!
軽く30キロは上がったのかな?

上げる途中、目の無い魚がいくつか揚がりました???でも中身は空っぽ。?な?ぜ?

聞いてみると、海老の仕業だそうです。目が一番軟らかいから目から進入して身を食べていくそうです!!だから空っぽなんだそうです。

勉強になるな~~~

「ここら辺は小さめの魚が揚がるから、網の糸は細くなきゃいけないんだ。太いと魚たちに発見されるから。でも網はもろいからすぐ破れて大変なんだよ!!
でもこの日本製の網はとてもしっかりしてるよな~~~」っと、船の上でもMade in Japan!!
何もしてないけど、なんか少し誇らしげな気分になっちゃいました。
その日の前日は少し風があって海が荒れていたので、どうやら少し石が網に引っかかって破れて大変だったみたいです!どうやら網の修理は大変みたいです。

ここの網は修理が必要との事、そして次の日は月曜日で少し漁を休みたいから網ごと引き揚げて、退散!!

で最後は2日前に仕掛けたと言う、伊勢えびの網を引き揚げに行きました!!今度は少し沖に出ました。

どうやら伊勢えびの漁は2日かけてやるようです!!

なぜって?

一日目に網に引っかかった魚を餌として、伊勢えびが引っかかるそうです!!釣れた伊勢えびは1匹でしたが、なんか考えさせられた漁でした。

大物狙うためには犠牲が必要なんだよなって。

Photo_12 そうそう途中で蛸まで引き揚げました!!
とりあえずお供にしましたが、なんと船から脱出をもくろみ逃げようとするから、籠の中に閉じ込めてやりました!!(笑)

これで本日の漁は一応終了。

”ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”

股で運転する漁船に揺られ、漁師の妻の待つ漁港に戻りました。なんともドラマチックです!!
旦那が漁に出て妻が港で待つ……あ~~ロマンです。

しかも今日は大漁です!!奥さんも素敵な笑顔でした……
(でも漁の半分は僕もう買っちゃいました・・・)

漁に出る。僕にとってこんな大きな収穫があるとは思っていませんでした!!
網のサイズ、仕掛け方、天気や環境を見る……全ての状況を瞬時に判断する行動は、マーケティングと同じ哲学だなと思いました。
それをしかも自然を相手に判断する。
なんとも難しい職業だなと思います。確かに探知機があれば簡単なのかもしれないけど、野生の勘と言うか、自分の感性で自然と勝負!!
もしかしたら、人としてとても大事なことだと思います!!
僕ももっとそんな感性を磨いていければと思います。頑張るぞーーー

Photo_14
そしてその日のランチの為に、早速友達にメール、”今日は巨大アナゴが連れたからアナゴ丼パーティーだよ。店に集合!”って連絡。皆でハマチのカルパッチョと、アナゴ丼堪能しました。いや~~~働いた後の飯はうまかった!!
Photo_6
写真は、大親友 Jean-Luc Colombo



2008年7月15日

Keisuke Matsushima

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2008年7月 7日 (月)

#40 日仏交流!!ちょうど150周年です・・・

今年で2回目です!!

福岡小郡の親戚の崇行さんをニースに呼んで、またまた和食フェアを1週間やりました。
今年は、彼自身昨年の経験があるので、もっとできの良い面白いフェアにしようといろいろと趣向を凝らしました。

Gp2“やはり多くのフランス人の方、自分のお客様に日本を知ってもらいたい”そういうシンプルな気持ちから……

シャンパーニュ、ブリュノーパイヤールを呼んでのシャンパンと和食のマリアージュinニース、そしてお寿司教室、カンヌ映画際Gpデビュー、モナコGP

最近仲良くなったニースの漁師がいるから、魚は自信もって用意できるし、今年は昨年よりいい条件揃えました。

今年も昨年と同じように、まずはニースのワイナリーに行ってワインのデギュスタシオンをし、そしてオリーブオイルの味見をしてきました。
偶然、友人の高畠さんもいたので一緒に社会科見学。
ワインを味見して、ビオのオリーブオイルを味見して、彼の作る傑作マールを味見!!

Photo21   

僕はその帰り、お約束のようにドメーヌの脇に生えてるハーブとお花を回収。普通に摘んでただけなのに二人から呼ばれたのが“啓介は野生児”

そして崇行さんは昨年よりもワインとのマリアージュを意識し、そしてオリーブオイルを使った料理なども挑戦!!
いろいろとアイデア絞ってやってくれました!!

で、その中で美味しかったのは、白身魚の握りに、にんにく醤油とオリーブオイル、ゆず胡椒添え。いや~~お客様にも大うけでした。

アイデア一つゲット!!ありがとう崇行さん

Photo_10ここ最近、本当に漁師と仲良くなっています!!
そんな間柄……漁の内容にもいろいろと注文をし始めました。

で、今回のフェアではアナゴが必要ということで、特別にアナゴのわなを仕掛けてもらい、フェア用にアナゴを用意してもらいました。

どうやってアナゴ漁をしているかって? 漁師さんにでも聞いてください。教えてくれますよ きっと!! なんちゃって・・・また次回のブログにでも説明します。

Photo_3Tako_2Ika   

実はもう一つのブログでも紹介しましたが、漁はとても良い勉強になりました。ビジネスをするに当たって、とても共感している所がいくつもあってとっても楽しかったんです。
朝早く起きて正解でした。

いつものように話がそれましたが……アナゴでだしとって、それをベースに茶碗蒸しを作りました。傑作!!
フランスのアナゴは日本と違ってとても筋肉質で、そして巨大です。僕が先日漁に出たときは、軽く10キロを超えたものを釣っていました。なので火入れが少し難しいようでした。

ま、そんな感じで今年のフェアは前回よりももっとニースを体感してもらいながら料理を創ってもらいました。何事も経験です!!

Photo_5で、今年はカンヌ映画祭にも参加させて頂きました。松嶋家カンヌデビューです!!
レッドカーペットデビューとは違いますが、自分たちの中ではまぁ一応カンヌデビューでした!!
参加させていただいたのは、Cinema de la Plageと言うカンヌ映画祭の一貫のイベントで、1日目は普通にカクテル用のアペリティフを用意し、そして2日目には寿司を用意させていただきました!!

Photo_7Photo_6これまた大好評で、皆さん喜んでいました。中には有名なフランスの役者さんなどがいたのですが……ぜんぜん知らない僕、仕事するだけ仕事してさっさと退散でした(笑) もったいな~~~い
でもお店で仕事もあったし、とても良い経験にはなりました。

Photo_8そしてなんとも今回のメーンは料理教室、お店のお客様を相手に寿司の実技実演をして頂きました。

崇行さん自身はフランス語をしゃべれないので、今回は僕が通訳!! 講習を通して皆さんがとても興味があるのがわかりました。本当に皆真剣でした。

Photo_9 実技は本当に楽しかったです!!
一人ずつ握ってもらったのですが、これまたとても楽しかったです。いろんな形の握りができました。
崇行さんもこんなことやったことなPhoto_11かったのですが、楽しんでもらったようです。是非是非日本でも料理教室をやってもらいたいですね~~~お客さん本当に喜んでくれるし。



通訳をするって言うのは大変ですが僕自身もお客様との会話も楽しかったし、これもまたとても良い体験になりました。
食材の用意など大変だったけど、本当にやってよかったです。
来年もやりたいな~~~

そして、フェアの最終日にはシャンパーニュ ブリュノーパイヤールさんがわざわざニースの僕のお店まで来てくれ、和食とのコラボレーションをやりました。お店はおかげ様で満席。雰囲気もよかったし。皆グイグイ飲んでいました。
Photo_14
パイヤールさんもほど酔い加減で……いい気分なようで、皆にシャンパーニュのレクチャーしてくれました。 MERCI…

Photo_15そして後日、改めて手紙(⇒右の画像をクリックすると拡大します!)を頂いたのですが、そのときの鳩料理にはとても感動してくれたようでした。

ま、そんなこんなで崇行さんとのフェアは無事に終りました。
スタッフもとても勉強になったようだし、本当にやってよかったです。皆、崇行さんの魚の切り方とか興味津々でしたし、営業の最後に余ったネタで握ってくれるお寿司が好きになったようでした。

ちょっとずつだけど日仏の交流の役に立てればと思う気持ちが強くなってきています、今年は日仏外交150周年だし、もっと何かができれば良いな~~~

2008年7月6日

Keisuke Matsushima

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