#41 漁師・・・の感覚!!
とある日曜日、念願かなって付き合いのある漁師から漁に連れて行ってもらいました。
朝5時に港で集合。
前日は土曜日、自宅に戻ったのは、夜中の2時。少しだけ仮眠して出発!!でも自分は興奮状態……初めてのピクニック状態でした(笑)
“ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”
暗闇の中、小さな漁船が港に到着!!
「ケーン、ちゃんと起きてこれたんだね……朝早いから来れないと思ってたよ」(何故かケーンと呼ばれます)
「失礼しちゃうな~~約束は守るよ俺だって」
と言いつつ船に乗り、黄色い作業着を着せられ、前日仕掛けたと言う網を引き揚げに行きました!!
ニースの海上からニースと言う街のあの景色……と~~っても素敵でした!!
写真取ったけど、伝わるかな~~~あの時間帯海から見る街は、初めての経験で、僕にはまた新しいニースと言う街が見えたようで感動でした!!
一番最初に引き揚げに行った網は、海岸沿いから50メートルぐらいに仕掛けた場所で、先週10キロ近くのカンパチを引き揚げた網でした。
「魚はお腹が空くと、海岸付近まで上がってきて小さな魚を目指して狩りをするんだよ。しかも先週は月が満月で大魚によっては絶好の狩りデーだったんだ」
なるほど~~~
と言いながら網を引き上げ、揚ってきたのは、かなり大きめな鯖、鯵、そしてホウボウ、イカと小さな的鯛、たいした量はなかったのですがかなりの品質のものが揚がりました。
「ここら辺は良い型の魚が揚がるから、網は丈夫で大きめのほうがいいんだ」とアドバイス。「たぶん普通に海岸から釣りしてもこれぐらいの魚は簡単に釣れるはずだよ」って。
「へ~~~」
網を引き揚げたら、その後は、その網をそのまま今度は明日のために漁船を流しながら設置していきます。
「今の時期はまだ海の温度が低いから前日に網を仕掛けてもいいんだけど、夏になって熱くなると、前日に網を仕掛けると魚が腐るし、人が泳ぐから、夜中の12時に網を仕掛け朝のこの時間帯に引き揚げなきゃいけなくなるから、夏は本当に辛いんだよ。しかもただでさえ年々魚の収穫が減ってるのに、夏はさらに量が減るし」
「良い時期もあれば、悪い時期もある。漁師とはそんなもんさ」って……なんかカッコよい!!
運転がすごい、エンジンをかけたら舵取りは、またに挟んだ棒一本!!
「何でハンドルじゃないの」と聞いたら、「ハンドルだと網を投げれないから、足のほうが手が空くから便利なんだ」とごもっとな意見!!
ニースの海岸の前に仕掛けた網を3つ回収したところで、朝日が昇り始めました。いや~~これまた絶景!!
プロカメラマンになった気分で写真取りまくりました。
(気付いてる人は気付いてるかもしれませんが、ここ最近の写真の質が良くなっているんですよね~同世代のライバルに負けじと、年末に一眼レフを購入しちゃいました。しかもレンズまでプロ用のを買っちゃい、写真にもチャレンジ中!!たまにはいい写真がマグレで取れます!!)
いいでしょう~~~海から見る朝日!!
と同時に飛行機が出発、漁師の背中をバックに1枚”パシャッ!”
今度は場所を移動、空港の近くに行きました。
「ここら辺は岩場があるからまた違った魚が獲れるんだ~~」って
「たぶん今日はルージェ(ヒメジ)が揚がるんじゃないかな?」「しかもルージェ ド ローシュ(岩場のヒメジ)」
と言いながら網を引き揚げるけど、獲れたヒメジは2匹、採れたのは雑魚だけ。「ま~こんなときもあるさっ」と言いながらも、この雑魚たちは”Soupe de Poisson(魚のスープ)”としてキロ6ユーロで売られます。
そそ、日本でも良く飲まれる、サフランとにんにく、ウイキョウの利いたスープドポワソンは、この雑魚たちで作るのが本当なんです!!
とまた網は元に戻し、今度は前日に仕掛けたと言う仕掛けを引き揚げに行きました。
この仕掛けは網じゃなくて、針で、前日の余った魚の鯵や鰯を引っ掛けて、海底に沈めます!!
手で引き揚げていくのですが、揚がってきた魚は???
「うっぎゃ~~~」
「何でも食べる海のギャング 巨大アナゴ!!」
軽く10キロぐらいのアナゴでした。「こいつらは強暴だから気をつけろ!!指噛まれたらいちころだからむやみに触るなよ」って。「は~~~い」と意外と怖がりな僕です!
全部で6針仕掛けていたのですが、全部で3つに掛かっていました!!
こんなエピソードがありました。
(何でこんなに大きくなるんだろ~~日本じゃこんなに大きいのは見ないのに……と不思議な疑問!!たぶんたけど、需要がないから大きくなってるんだと思います。
それはその後の賄いで発見しました。フランス人の従業員、誰も進んで食べたがっていなかったので。「気持ち悪い~~」との声が。
「あ~なるほど、Toniも言ってたけど、たまにしか漁されないから大きくなるんだろうな~~」)
Toni何をするかと思いきや、引き揚げたら早速脳天に大きな釘を……天誅!!
そしてまたに挟んで押さえ込んで腹を開き、そして内臓を海に捨て始めました。
「おおお~~~~い」
「辞めろ辞めろもったいないじゃない、何をするんだよ。肝臓は絶品じゃないか。捨てるのはもったいない、残りの2匹は自分で買うからそのままにしといてくれ」……と船のお供に……乗船させました!!
「日本人は変なものが好きなんだな~~」って、カタツムリ(エスカルゴ)を食べる人種から言われてしまいました(笑)
魚の肝などは上品なのに解ってないよな~~~
乗船したのはいいものの”うにょうにょ うにょうにょ”生命力の強いアナゴは船の上を踊りまくり。でも少し怖かったので蹴りを一発!!そしたら大人しく端っこで固まっていました!! (笑)
「よしっ、大物も釣れたし、今日のメインに行くぞ~~~」っと
船を空港の裏につけました。「実はこの場所は埋め立て区域で、空港がなかった頃はここに川が流れて来ていたんだ。だから小さな魚が本来はたくさんいたところなんだけど、埋め立てをして川の流れを変えたから、ここら辺は前に比べると収穫がぐっと減ったけど、魚達にはえさのたくさんある、やはりいい場所なんだ」って。
「ここ最近少しずつ海の温度が上がってきているから、ルージェ ド サーブル(砂地のヒメジ)が揚がる筈」だ。
砂場のヒメジは岩場のヒメジに比べて色が少し薄めで、しかも焼いたときの香りがすこし弱いです!!
で、網を引き上げ1分……大漁にヒメジが揚がるではないですか。Toniもう超ご機嫌!勝ち誇ってたよな~~あいつ!!名誉挽回って感じでした。
それにしても揚がる揚がる。“うちこんなに買い取れないよ”ってぐらい揚がりました!!
軽く30キロは上がったのかな?
上げる途中、目の無い魚がいくつか揚がりました???でも中身は空っぽ。?な?ぜ?
聞いてみると、海老の仕業だそうです。目が一番軟らかいから目から進入して身を食べていくそうです!!だから空っぽなんだそうです。
勉強になるな~~~
「ここら辺は小さめの魚が揚がるから、網の糸は細くなきゃいけないんだ。太いと魚たちに発見されるから。でも網はもろいからすぐ破れて大変なんだよ!!
でもこの日本製の網はとてもしっかりしてるよな~~~」っと、船の上でもMade in Japan!!
何もしてないけど、なんか少し誇らしげな気分になっちゃいました。
その日の前日は少し風があって海が荒れていたので、どうやら少し石が網に引っかかって破れて大変だったみたいです!どうやら網の修理は大変みたいです。
ここの網は修理が必要との事、そして次の日は月曜日で少し漁を休みたいから網ごと引き揚げて、退散!!
で最後は2日前に仕掛けたと言う、伊勢えびの網を引き揚げに行きました!!今度は少し沖に出ました。
どうやら伊勢えびの漁は2日かけてやるようです!!
なぜって?
一日目に網に引っかかった魚を餌として、伊勢えびが引っかかるそうです!!釣れた伊勢えびは1匹でしたが、なんか考えさせられた漁でした。
大物狙うためには犠牲が必要なんだよなって。
そうそう途中で蛸まで引き揚げました!!
とりあえずお供にしましたが、なんと船から脱出をもくろみ逃げようとするから、籠の中に閉じ込めてやりました!!(笑)
これで本日の漁は一応終了。
”ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”
股で運転する漁船に揺られ、漁師の妻の待つ漁港に戻りました。なんともドラマチックです!!
旦那が漁に出て妻が港で待つ……あ~~ロマンです。
しかも今日は大漁です!!奥さんも素敵な笑顔でした……
(でも漁の半分は僕もう買っちゃいました・・・)
漁に出る。僕にとってこんな大きな収穫があるとは思っていませんでした!!
網のサイズ、仕掛け方、天気や環境を見る……全ての状況を瞬時に判断する行動は、マーケティングと同じ哲学だなと思いました。
それをしかも自然を相手に判断する。
なんとも難しい職業だなと思います。確かに探知機があれば簡単なのかもしれないけど、野生の勘と言うか、自分の感性で自然と勝負!!
もしかしたら、人としてとても大事なことだと思います!!
僕ももっとそんな感性を磨いていければと思います。頑張るぞーーー
そしてその日のランチの為に、早速友達にメール、”今日は巨大アナゴが連れたからアナゴ丼パーティーだよ。店に集合!”って連絡。皆でハマチのカルパッチョと、アナゴ丼堪能しました。いや~~~働いた後の飯はうまかった!!
写真は、大親友 Jean-Luc Colombo
2008年7月15日
Keisuke Matsushima
もうひとつの松嶋啓介のブログはこちらから
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2008年7月 21日 | 固定リンク | トラックバック (0)