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2007年8月18日 (土)

#23 デザイナーホテル

Building 今回は地元ニースのデザイナーホテルの紹介をさせていただきます。

Hi-Hotel
3 avenue des fleurs 06000 Nice
( 33 )04 97 07 26 26

http://www.hi-hotel.net/

4年前、僕の最初の店とほぼ同じ時期にオープンしたデザイナーホテルで、店から歩いて10分未満のところにあります。
パトリックとフィリップの若い共同経営者で、とてもダイナミックな二人です。

こういったホテルができたのはニースでは初めてだったので、ものすごい噂になり世界中からたくさんのジャーナリストの方が見えていました。

ホテルの内装はMatalie Crassetという女性が手掛けました。
それもたくさんのジャーナリストの興味を引いた要因であると思います。
http://www.matalicrasset.com/
間違っていなければ、彼女は確かあの巨匠Phillipe Starckのお弟子さんだと思います。

Strat 彼女のスタイルは、ホテルの作品……他の作品、彼女の出版した本を見る感じでは、僕の意見としては少し派手で、オリジナリティがあって、子供心を感じます!!
で、このホテルの部屋のコンセプトに関しては……
正直言うと、好き嫌いの二つの意見があります。
もちろん部屋にもよりますが。
お風呂が部屋の中にあったりするので、友達同士で出かけるのには少し恥ずかしい思いをするという事を聞きます。
僕のお店に来るお客さんからたまに“恥ずかしかった”という事をたまに聞きます。とても仲の良いカップルだったりすれば問題ないんでしょうが……(苦笑)

でも、部屋は何か家庭的な感じがするので、ゆっくりと過ごせるという声も聞きます。

ホテルはとても面白く、若いオーナーということを随所となく感じさせてくれます。

ホテル内にはDJスペースがあり、週末になると食事をするサロンがクラブになります。
DJは全然詳しくはないのですが、結構有名な方もいらしてるようです!!

Aout_2007_125_2Aout_2007_128_2 

そして夏の間は(これは週末だけですが)、屋上のプールのあるスペースを使って屋外クラブにしています。夜景を見ながらのんびり素敵な音楽聴くのも悪くないものです(ニースの裏山の景色は結構素敵ですよ)。

部屋数は確か38室しかないのですが、サービスは結構充実していて、ハマムはありますし、宿泊客にはニース観光のために自転車貸し出しサービスや、それから美術館めぐりの為の特別パスサービスなどいろいろと頑張っています。

で食のほうは……“restaurant biologique  Cantine Bio(ビオ給食)”。これもまた面白いコンセプトで、ミニピクニックといった形式で、小さなボックスの中に料理を入れて食べるという新しいシステムです。
前菜、メイン、デザート、しっかり別れていて、パトリック曰く
「どんな時間にホテルに来ても食事を簡単にとりやすいようにしたかったから」。

“普通のレストランのような事をできないから、ホテルのサイズ上、常に質の良い料理人を雇うことが難しい”ことから考えたようです。

ちょっとおしゃれな雰囲気を楽しみたいときは、お勧めするホテルです。
サービスの質はというと、小さなホテルなので、大きなホテルほどの上質なサービスではありませんが、若いスタッフが活き活き働いていて元気にさせてくれると思います。
若いカップルにはお勧めです。

デザイナーホテルといえば、ここ最近世界中にたくさん出てきていろようですが、お客さんはサービスの質を楽しむというより、そのデザイナーのデザインのオリジナル感を楽しむといった感じを感じます。

自分も気をつけなければいけないのですが、レストランもホテルもサービス業なので、やはりサービスありきを忘れないようにしなければと思っています。
デザイナーのレストラン、ホテルだからといって、料理の質の手を抜くわけには行きませんよね?


P.S オーナーの二人ともとても野心家で、たまに一緒に飲むのですが、タイミングが合えば、いつか一緒に仕事をしたいねと話しています。
もしかしたら新しいコンセプトのビーチ、それからスペインへの進出……近いうちに何か発表できるかも!! がんばりまーす。

2007年8月15日 ニースにて

Keisuke Matsushima

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http://blog.goo.ne.jp/keisukematsushima/

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2007年8月 1日 (水)

#22 博多祇園山笠

Juillet2007_219 今年も博多山笠に行ってきました。

本音を言うと、山笠の事をこのブログで書くのはどうかな?
と少々疑問に感じているのですが……
毎年このお祭りから山のようにいろんな事を学んでいるので、是非是非ご紹介させてください!!

「博多祇園山笠」は全国に知られる夏祭りで、国指定重要無形文化財で766年の歴史があり伝統と格式を持っています。
この祭りから何を学ぶかというと……昨年は伝統と秩序、しきたりという事を学びました!!

中村製菓調理師専門学校の校長先生からの一言、
「山笠は伝統と秩序、しきたりを大事にする祭りだから」
この言葉にじ~~んときました。
でこのことを福岡の友人に話すと、
「感動するのは良いけど、一番秩序を守ってないのはお前だ」
と言われました(苦笑)。

Juillet2007_200Juillet2007_156Juillet2007_173Juillet2007_176   

で、今年は何を学んだかというと……
「伝統も時代の変化と共に変化する」という事を学びました!

それは以下の校長先生のブログから。
http://blog.livedoor.jp/nsg3/archives/50816105.html

「日本の文化の特徴のひとつに、山笠だけでなく、建物なども木や紙でつくり、それを定期的に壊して、また再びつくることがあげられます。
その象徴が伊勢神宮の20年に一度の遷宮で、1200年以上にもわたり、定期的に神社の建物を建て替えつづけてきたものです。
また、私の幼い頃は、定期的に畳や襖(ふすま)、障子などを張り替えたものでした。

これに対し、ヨーロッパの文化は、石やレンガでつくった建物や構築物を、数百年あるいは千年以上も大事に保存するものです。
パリの建物は築100年以上のものがほとんどです。またローマ時代の構造物を現在も利用しているところもあります。
先日、お話した外尾悦郎君のやっている「サグラダ・ファミリア」などは建築にすでに100年かかっており、完成までに今後200年はかかるだろうと言われています。そうなれば1000年は使わなければ減価償却できませんね。(セコイ計算で申し訳ありません)

Juillet2007_226 日本は、壊して再構築することにより、伝統を継承する人材を育て、ノウハウを伝えていきます。また、その継承の中で、わずかに改革や新しい考えも取り入れていきます。
博多祇園山笠でも、昨年までは「不浄の者立ち入るべからず」の立て札があり問題となっていましたが、今年からはそれも全く見かけませんでした。

Juillet2007_229 また、昔は今の八番「上川端流」のような巨大な山笠をすべての流(ながれ)がかついでいましたが、明治の頃に電線などが邪魔になって、今のような低い山笠をかつぐようになり、大きな山笠は「飾り山笠」という動かないものにと分離していったそうです。
伝統を守り続けている博多の山笠も、実は時代の流れとともに少しずつ変化しているのです」
中村先生のブログ「てつ校長のひとりごと」http://blog.livedoor.jp/nsg3/

料理も同じで、伝統をベースに時代の変化と共にすこしずつ変化してきました。だからこれから先も、伝統を大事にしながら時代の変化を身体で感じながら、変化していかなければという事を思いました。

そしてここ最近、料理の再構築という言葉を良く聴きますが(僕もたまに使う言葉ですが)、

分解→再構築

僕はそこに対して、時代に合った調理法で伝統、地方性というものを表現できれば良いと思っています。
でもただ間違えていけないものが、芯をはっきり決め、軸のぶれていないものを作らなければいけないとも思います。

ご存知だとは思いますが、この“再構築”という言葉をよく使い始めたのが、カタルーニャの奇才、エル・ブリのシェフ、フェラン・アドリアです!!
おかしなことに、あのサクラダ・ファミリアのあるカタルーニャ地方出身のシェフです。
ヨーロッパの文化の石やレンガを大事にするという中から、彼が再構築という言葉を流行らせたのは、何かあるようで気になってしょうがないです。

「もしかしたらこのカタルーニャ地方に何かヒントがあるのか……。あの環境あの建物を見て何かを感じたのかな~?」
バルセロナ好きな自分にとっては、勝手に想像してしまいます。

久しくバルセロナに行ってないので行きたくなりました~~~。
なので近いうちに行ってきま~す。

P.S. 他にも感じたことはたくさんあったのですが・・・・
これはもう一つのブログのほうに書かせてもらいます!!

2007年8月1日 ニースにて

Keisuke Matsushima

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