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2007年7月16日 (月)

#21 La Meranda

Dominique Le Stanc(ドミニック・ル・スタンク)

日本には、この名前を知っている料理関係の方が結構いるのではないかと思います。

そう、彼は元「ネグレスコ」の総料理長、ジャック・マキシマンの後を継いで、「レストラン・シャンテクレール」の二ツ星を維持し、数々の有名レストラン(エズヴィラージュの「シャトーエザ」、「モンテカルロ ドミニックルスタンク」)でシェフをし、フランス中の有名レストラン(ミヨネー村の元三ツ星「アラン・シャペル」、パリ三ツ星「アルケストラート」、現アラン・パッサール率いる「アルページュ」、アルザスの元二ツ星の「ル・セルフ」、パリの現三ツ星「ルカ・カルトン」)で修業を積んだグランシェフ(偉大なシェフ)です。

こう言って良いのかはわかりませんが、僕の愛してやまないシェフの一人でもあります。

僕の知る限りでは、ここまでのすごいレストランで修業をして、これだけのキャリアの人って、フランス人でもそんなにいないと思います。

そして驚くことに、アラン・シャペルではカミーユこと「ハウステンボス」名誉総料理長、上柿元勝シェフの下で仕事をしたそうで、今もその事を自分の自慢話のように話してくれます。

もう20年以上も前の出来事なんでしょうが……日本人がフランスで作り上げてきた信用、信頼というのを何かそこで感じ、そのおかげで今日こうやって僕が店を持つようになったのだと思います。
本当に感謝の気持ちになります。

少し話はそれましたが……

Juillet2007_079 そんなキャリアを積んだにも関わらず、約10年前に「ネグレスコホテル」を辞め、今はニースの旧市街で小さなお店「La Meranda(ラ メランダ)」(ニース語でっ軽食という意味だそうです)というニース料理を出すお店をやっています。


Juillet2007_082このレストランはとてもミステリーな感じで、電話はなく、クレジットカード、そして小切手も使えず、ついでに禁煙!!
前のオーナーからだと、もう30年近く歴史はあるそうで、その前のオーナーは超が付くほど頑固親父で有名だったそうです。

初めて行ったのは2000年の夏前、その日はまずニースの市場を訪れ、野菜の豊富さや色に感動したのを覚えています。

そして、警察官に道案内をお願いしました。

「メランダというお店を知っていますか?」と聞くと、警察官は「何でそのお店の事を知ってるんだ」と言い、僕が「彼は元ネグレスコのシェフだから有名だろ」って聞くと、「そう、彼はいつも朝、市場を自転車で訪ね買い物をしていく、有名人だよ」って言うんです。
そして「僕も良く行くし、店まで連れて行くから付いて来なさい」って言うんです。

正直びっくりしましたが、そのお店が街から愛されてるんだな~と思い、羨ましく思ったものです。

で、肝心な料理と言うと……
ものすごくおいしい、地方性を感じるすばらしい料理でした。

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今でもしっかり覚えていて、僕が初めてこのお店で食べたお皿は……
ズッキーニの花のフライ
牛の胃袋(トリッパ)の煮込みニース風パニス添え
サクランボウの赤ワイン煮

トリッパなんかあまりにもおいしくてお代わりもしてました(苦笑)。
“シンプルってやっぱりいですよね~”

僕は自分のお師匠さんである、酒井一之シェフ訳の『源流を訪ねて』という地方料理の本をフランス料理のバイブルとして、常にフランス中を旅行して、地方料理を食べ歩き回り、自分ひとりで“源流を訪ねて”をしていたので、このレストランの地方料理の質の高さには本当に感激しました。
正直、レストランで食べるフランスの地方料理の質の低さにがっかりしていた時期の出会いだったので、本当に感動しました(家庭で食べると地方料理はおいしいのですが……)。ま、その時期の話なのですが……

でも、今でも難しいんですよね~~洗練された地方料理のレストランを見つけるのは……。よっぽど日本のほうが良かったりする場合もあります!!(さすがっ日本人てかんじです)

Juillet2007_086 で、食事が終った後に、ドミニックに質問をしたのですが……
「なぜガストロノミーを辞めたのですか?」って。

帰ったきた言葉が即答で「土曜、日曜を家族と過ごしたい! そして、僕は自分の友人達が来れないレストランの料理をやるよりも、自分の友人達にも僕の料理を食べてもらいたい」と。
“かっこいいな~”と思ったのが僕の正直な思いで……、それだけストレートに言われると、“ぐぐっ”と何かくるものがあり、
“料理人も、やはり自分の食べ手を選ぶ権利はあるんだな”って……
“誰に食べてもらいたいか?”って、結構重要ですよね。
そのため内装を決めたりするわけだし……
いや~彼の言葉は僕に影響を与えてくれました!!
こんなかっこいい生き方したいって……
そして“こんなおいしいお店のある近くで、僕も店がやれたらな~”と思っていました!

Juillet2007_113_1 それが今、現実になっていて……
お店をオープンした当初は、ほぼ毎週のように食べに行っていました(苦笑)

ここ最近は、友達が来た時などに行きますが、さすがに以前ほどは行ってないです……。
まあ近くを通ればお店に挨拶するし、市場でドミニックには良く会います。
こんな理由も僕がお店を出した理由の一つに実はありました。

今のこの時期は、おいしいラタトゥイユ、それから野菜のファルシ、ミニトマトのタルトなどを季節限定でやっています。
メニューがあまり変わらないことで有名なのですが……まるで日本の定食屋のように。

でもこの時期は、地元産のナスが採れる間だけ、ラタトゥイユなどやっています。
もしニースに来ることがありましたら、うちに来るよりも必ず行ってみてください!!
感動するはずです。
あ、でもワインはあまりないです。
赤ワイン冷たいのと常温、それから白ワインとロゼワインの4種類構成です(苦笑)

電話予約がもちろんできません……。
ですので直接お店に予約するか、もしくはランチは12時前、ディナーは19時前から並んでみてください!!
後は2回転してますので、タイミングよく2回転目に入るか?
頑張ってトライしてみてください!!
ボナペティ……

2007年7月15日 ニースにて

Keisuke Matsushima

松嶋啓介のブログ
http://blog.goo.ne.jp/keisukematsushima/

2007年 7月 16日 |

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