#43 最終回 神楽坂「アグネスホテル東京」
“神楽坂にしっかりしたエステサロンもある隠れ家的なホテルがあるんだけど知ってますか?”
“神楽坂にフランス料理の美味しい小さなホテルがあるのを知ってる?”と、よく耳にすることが増えていた今日この頃……
前回の帰国の際、学士会館のイベントで酒井シェフに偶然、レセプションの方をご紹介していただき知り合いになることができたので、これも何かのご縁かなと思い、今回の滞在は神楽坂の「アグネスホテル東京」を選ぶことにしました。
本当は中目黒にあるClaskaというホテルに泊まってみようかどうか迷っていたのですが…。このホテルは僕のフランス人の仲間達から注目されていて、是非いってみたいな~と思っています。ま、そのうち行ってみよ~。次回かな?
実はホテルビジネスには興味大! たくさんいろんな事を勉強して、見て、いつかやってみたいな~~~っと思っています。その日が来るまではいろんなホテルや宿に泊まって、見に行って勉強です!!
アグネスホテル東京へは、成田からまずはリムジンバスに乗り、東京ドームホテルまで行き、そして、そこからホテルまでタクシ-。1時間30分かな~、ちょうど良い移動時間、いい睡眠ができます。とてもこぢんまりしたホテルで、何かフランスの地方のホテルを訪れたような雰囲気があり、そして置かれているオブジェにも何かそういう雰囲気があり、すぐ気に入ってしまいました。ホテルのコマーシャルをしているわけではないのですが……本当に落ち着いた感じがあって本当に素敵です!! 是非一度お試しください。
http://www.agneshotel.com/
レセプションの人たちもとてもアットホームな感じで本当にゆっくりとできました。
でも残念な事にまだ男性はエステサロンを使えないそうです……(苦)
ホテル内にあるフレンチレストラン「ラ・コリンヌ」のシェフ笹嶋さん(レセプションの方に紹介していただいたのですが)は僕の親友Michel Del Burgo(元3ツ星タイユヴァンのシェフ)と仕事をしていたそうで、何かとても親近感をもてました。でも残念ながら今回は食事はしませんでした。とてもいい評判を良く聞くし、行ってみたいとは思っていたのですが……
日本滞在中は、なかなかフレンチレストランには足が傾かないのが現実です。でも、次回は是非試してみようと思います。
フランスで地方のホテル・レストランに行っていつも思うことなんですが、レストランにホテルがあると、思いっきり飲めますよね~~~!! ミシュランのガイドブックを片手にホテル・レストランに車で移動して、その晩は食事、”今日は飲もう~~~”っていう気分になってついつい良いワインを選んじゃいます。そしてふらふらになり部屋に戻り爆睡……それがいつものパターンです!!
昔は東京に住んでたんですが、神楽坂とは縁がなく、なにも知らないので、少し時間があるときにホテルを出て神楽坂を散歩してみたのですが(実は日仏学院以外なにも知らなかった僕)、びっくり!! 神楽坂って、なんかとても素敵な下町で雰囲気が良い所だということを知りました。この街だったら外国人の観光客も喜ぶだろうな~~~。しかも美味しい和食屋さんが一杯あるようだし(ミシュラン一ツ星のお店が多いようです)。
うちのお店ではよくお客様に、日本の東京や京都のお勧めのお店であったり、ホテルを聞かれます。ここだったらホテルも良いし、この周りの環境もいいし、胸張ってお勧めできるな~~~。ホテル自身もミシュランに選ばれているようだし……僕のお勧めができた気分です!!
ご縁がありホテルのオーナー夫妻をご紹介していただいたんですが、とっても素敵なご夫妻で、そしてPassionをお持ちで……
生まれ育ったこの土地が好きで、この土地を守りたいと言う気持ちからホテル運営にチャレンジされた方達で、土地とホテルに対する愛情がものすごく感じられました。
だから、居心地よく感じるのかな~~~
ヨーロッパの小さなオーベルジュに行っても同じような気持ちによくなります、大事なのはその土地を愛して、そのたちの価値をわかってもらいたいということをすれば、そこにビジネスが生まれてくるのかなと思います。
改めて成功するポイントは、ビジネス先行ではなく、まずはそこを愛することから始まるのかなと思いました。
* * * * * * * * *
来年5月末には、僕も東京にお店をオープンさせます。土地を愛する気持ちは大事に持ちたいと思っています! 日本の良さ、東京の良さを解ってもらえるようなお店作りというものを実は考えていて、“The Tokyo”みたいな感じのお店をできればいいなと思っています(あ、肝心なお店の名前はまだ決まっていません……)。そう考えると、お客様は必然的に海外からのゲストが沢山来ていただければと思っています。だからといって地元客を断るわけでもなんでもないんですけど。
ん~~~これからもっとしっかりコンセプトを詰めていかなければ行けません。
で、単純に・・・僕が東京を愛してるか? って自問自答してみると、ん~~この答えをすぐに”はい”と言うのは難しいような気がしますが、やはり東京、日本は好きです。
特にヨーロッパに出てからは、日本の文化に対してとても興味があるし、もっと勉強しておけば良かったな~~と思うと同時に、何も知らない自分が恥ずかしく思います。にも関わらず、特にここ最近はニースのお店に来てくださるお客様、友人にはもっと日本のことも知ってもらいたいなと思っています。
ヨーロッパに住みだして10年、自分のお店を出して5年……毎日、毎日本当にいろんなことを考えてきました。その中で特に意識していることは、どうやったらこの土地で、この土地を理解した上で、どう自分をうまく表現できるんだろう……。それはヨーロッパで生活していく、お店を経営していく、他のお店との違いを生んで勝負をしていく中では、とても大事なことだと思っています。
でも答えは簡単です。“日本人である!!” たったそれだけを意識することだと思います。それは僕にとって、最大の武器なんですよね~~~
このグローバルである世の中で、日本人である自分がフランス人、イギリス人、アメリカ人のようなことをやっても何の価値もないと思うし、それでは勝負にならないと思います。でも、他の国の人たちの気持ちを知らずに“日本人”だけを出しても、なにも通じないと思います。しっかり世の中を見て、その中で日本人と言うものを表現していくのが大事なことだと思います。
やはり、自分のアイデンティティを大切にするのは、とても大事なことだと思います。
それを磨きかけるためにも、このタイミングで、日本の中心の東京に自分のお店を出すのは、自分自身の勉強、成長になると思うし、それと同時にその経験、体験をもとに、もっと海外で勝負を仕掛けていくエネルギーを生めればいいなと思っています。それは、まだまだ世界各地でお店を出して、その土地土地で、いろんなことを勉強をしてみたいと思う、僕の欲からです。そのお店には、東京で修業を重ねたスタッフが働いてくれれば良いな~~~っと思っています。
頑張らなくては……
僕は日本のレストランビジネスは、あまり海外に目を向けてるようには見えません。もっと世界にしっかりPRしてもいいんではないかと思っています。それはチェーンのお店を世界中に作れと言うことではなく、もっとお店の価値、食材の価値をうまく伝えなくてはいけないと思うのです。
日本っていう国は、とても素晴らしい文化があり、食文化があるのだから、もっともっと海外に宣伝をして観光客をもっと呼んでみてもいいのではないかと思っています。海外の人は皆、日本に興味を持ってるから絶対うまく行くと思うんですが。実際、世界中を見渡すとやはり和食がブームになっていますし……日本ブームですよね!!
日本人の物事に対する考え方とか捉え方は、見直し始められきているし、今は本当に絶好のタイミングかなと思っています。景気が悪くなりそうなこと以外は。
でも、本当に日本の飲食業の方達が、もっと海外へ視野を広げれば、僕はこの業界もっと豊かになるのではないかと思います。
ヨーロッパにおける料理人の社会的地位は違うし。皆飛び出して欲しいよな~~~
それだけ日本人の仕事は技術が高いし、皆勤勉ですし(僕は不真面目ですが……)絶対成功するはずです!
さ、これから東京のお店の準備そしてオープンとなれば、ますますバタバタになると思いますが、それが好きな自分。実はあまり大変だとは思っていません。
それから、いろんな人からは”忙しくなるよね~~~”とよく言われますが……
字のごとく、心を失うことはしたくないと思っています。今後もしっかりオーガナイズして仕事に取り組んで、しっかり人生を愉しんで行こうと思っています。
ここ10年間フランスで自分が一番学んだこと、体験したことって、もしかしたら“profiter la vie(人生を愉しむ)”なのかもしれません。
これからも自分自身もしっかり愉しんで、この考えを日本で浸透させれれば良いなと思っています。
2008年8月28日
Keisuke Matsushima
もうひとつの松嶋啓介のブログはこちらから
http://blog.goo.ne.jp/keisukematsushima/
■松嶋啓介シェフのブログは今回で終了いたします。2年にわたりご愛読いただきありがとうございました。今後の活動については、松嶋シェフご自身のブログ(上記URL)をご覧ください。au revoir !!
2008年8月 29日 | 固定リンク | トラックバック (1)