2008年8月29日 (金)

#43 最終回 神楽坂「アグネスホテル東京」 

Roomimage “神楽坂にしっかりしたエステサロンもある隠れ家的なホテルがあるんだけど知ってますか?”
“神楽坂にフランス料理の美味しい小さなホテルがあるのを知ってる?”と、よく耳にすることが増えていた今日この頃……

前回の帰国の際、学士会館のイベントで酒井シェフに偶然、レセプションの方をご紹介していただき知り合いになることができたので、これも何かのご縁かなと思い、今回の滞在は神楽坂の「アグネスホテル東京」を選ぶことにしました。

本当は中目黒にあるClaskaというホテルに泊まってみようかどうか迷っていたのですが…。このホテルは僕のフランス人の仲間達から注目されていて、是非いってみたいな~と思っています。ま、そのうち行ってみよ~。次回かな?

実はホテルビジネスには興味大! たくさんいろんな事を勉強して、見て、いつかやってみたいな~~~っと思っています。その日が来るまではいろんなホテルや宿に泊まって、見に行って勉強です!!

アグネスホテル東京へは、成田からまずはリムジンバスに乗り、東京ドームホテルまで行き、そして、そこからホテルまでタクシ-。1時間30分かな~、ちょうど良い移動時間、いい睡眠ができます。とてもこぢんまりしたホテルで、何かフランスの地方のホテルを訪れたような雰囲気があり、そして置かれているオブジェにも何かそういう雰囲気があり、すぐ気に入ってしまいました。ホテルのコマーシャルをしているわけではないのですが……本当に落ち着いた感じがあって本当に素敵です!! 是非一度お試しください。
http://www.agneshotel.com/


Tealounge_2RoomtwinDoubleroom

レセプションの人たちもとてもアットホームな感じで本当にゆっくりとできました。
でも残念な事にまだ男性はエステサロンを使えないそうです……(苦)

Teras ホテル内にあるフレンチレストラン「ラ・コリンヌ」のシェフ笹嶋さん(レセプションの方に紹介していただいたのですが)は僕の親友Michel Del Burgo(元3ツ星タイユヴァンのシェフ)と仕事をしていたそうで、何かとても親近感をもてました。でも残念ながら今回は食事はしませんでした。とてもいい評判を良く聞くし、行ってみたいとは思っていたのですが……

日本滞在中は、なかなかフレンチレストランには足が傾かないのが現実です。でも、次回は是非試してみようと思います。

フランスで地方のホテル・レストランに行っていつも思うことなんですが、レストランにホテルがあると、思いっきり飲めますよね~~~!! ミシュランのガイドブックを片手にホテル・レストランに車で移動して、その晩は食事、”今日は飲もう~~~”っていう気分になってついつい良いワインを選んじゃいます。そしてふらふらになり部屋に戻り爆睡……それがいつものパターンです!!

昔は東京に住んでたんですが、神楽坂とは縁がなく、なにも知らないので、少し時間があるときにホテルを出て神楽坂を散歩してみたのですが(実は日仏学院以外なにも知らなかった僕)、びっくり!! 神楽坂って、なんかとても素敵な下町で雰囲気が良い所だということを知りました。この街だったら外国人の観光客も喜ぶだろうな~~~。しかも美味しい和食屋さんが一杯あるようだし(ミシュラン一ツ星のお店が多いようです)。

うちのお店ではよくお客様に、日本の東京や京都のお勧めのお店であったり、ホテルを聞かれます。ここだったらホテルも良いし、この周りの環境もいいし、胸張ってお勧めできるな~~~。ホテル自身もミシュランに選ばれているようだし……僕のお勧めができた気分です!!

Gaikan ご縁がありホテルのオーナー夫妻をご紹介していただいたんですが、とっても素敵なご夫妻で、そしてPassionをお持ちで……
生まれ育ったこの土地が好きで、この土地を守りたいと言う気持ちからホテル運営にチャレンジされた方達で、土地とホテルに対する愛情がものすごく感じられました。
だから、居心地よく感じるのかな~~~
ヨーロッパの小さなオーベルジュに行っても同じような気持ちによくなります、大事なのはその土地を愛して、そのたちの価値をわかってもらいたいということをすれば、そこにビジネスが生まれてくるのかなと思います。

改めて成功するポイントは、ビジネス先行ではなく、まずはそこを愛することから始まるのかなと思いました。

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来年5月末には、僕も東京にお店をオープンさせます。土地を愛する気持ちは大事に持ちたいと思っています! 日本の良さ、東京の良さを解ってもらえるようなお店作りというものを実は考えていて、“The Tokyo”みたいな感じのお店をできればいいなと思っています(あ、肝心なお店の名前はまだ決まっていません……)。そう考えると、お客様は必然的に海外からのゲストが沢山来ていただければと思っています。だからといって地元客を断るわけでもなんでもないんですけど。

ん~~~これからもっとしっかりコンセプトを詰めていかなければ行けません。

で、単純に・・・僕が東京を愛してるか? って自問自答してみると、ん~~この答えをすぐに”はい”と言うのは難しいような気がしますが、やはり東京、日本は好きです。

特にヨーロッパに出てからは、日本の文化に対してとても興味があるし、もっと勉強しておけば良かったな~~と思うと同時に、何も知らない自分が恥ずかしく思います。にも関わらず、特にここ最近はニースのお店に来てくださるお客様、友人にはもっと日本のことも知ってもらいたいなと思っています。

ヨーロッパに住みだして10年、自分のお店を出して5年……毎日、毎日本当にいろんなことを考えてきました。その中で特に意識していることは、どうやったらこの土地で、この土地を理解した上で、どう自分をうまく表現できるんだろう……。それはヨーロッパで生活していく、お店を経営していく、他のお店との違いを生んで勝負をしていく中では、とても大事なことだと思っています。

でも答えは簡単です。“日本人である!!” たったそれだけを意識することだと思います。それは僕にとって、最大の武器なんですよね~~~

このグローバルである世の中で、日本人である自分がフランス人、イギリス人、アメリカ人のようなことをやっても何の価値もないと思うし、それでは勝負にならないと思います。でも、他の国の人たちの気持ちを知らずに“日本人”だけを出しても、なにも通じないと思います。しっかり世の中を見て、その中で日本人と言うものを表現していくのが大事なことだと思います。

やはり、自分のアイデンティティを大切にするのは、とても大事なことだと思います。

それを磨きかけるためにも、このタイミングで、日本の中心の東京に自分のお店を出すのは、自分自身の勉強、成長になると思うし、それと同時にその経験、体験をもとに、もっと海外で勝負を仕掛けていくエネルギーを生めればいいなと思っています。それは、まだまだ世界各地でお店を出して、その土地土地で、いろんなことを勉強をしてみたいと思う、僕の欲からです。そのお店には、東京で修業を重ねたスタッフが働いてくれれば良いな~~~っと思っています。

頑張らなくては……

僕は日本のレストランビジネスは、あまり海外に目を向けてるようには見えません。もっと世界にしっかりPRしてもいいんではないかと思っています。それはチェーンのお店を世界中に作れと言うことではなく、もっとお店の価値、食材の価値をうまく伝えなくてはいけないと思うのです。

日本っていう国は、とても素晴らしい文化があり、食文化があるのだから、もっともっと海外に宣伝をして観光客をもっと呼んでみてもいいのではないかと思っています。海外の人は皆、日本に興味を持ってるから絶対うまく行くと思うんですが。実際、世界中を見渡すとやはり和食がブームになっていますし……日本ブームですよね!!

日本人の物事に対する考え方とか捉え方は、見直し始められきているし、今は本当に絶好のタイミングかなと思っています。景気が悪くなりそうなこと以外は。

でも、本当に日本の飲食業の方達が、もっと海外へ視野を広げれば、僕はこの業界もっと豊かになるのではないかと思います。
ヨーロッパにおける料理人の社会的地位は違うし。皆飛び出して欲しいよな~~~

それだけ日本人の仕事は技術が高いし、皆勤勉ですし(僕は不真面目ですが……)絶対成功するはずです!

さ、これから東京のお店の準備そしてオープンとなれば、ますますバタバタになると思いますが、それが好きな自分。実はあまり大変だとは思っていません。

それから、いろんな人からは”忙しくなるよね~~~”とよく言われますが……
字のごとく、心を失うことはしたくないと思っています。今後もしっかりオーガナイズして仕事に取り組んで、しっかり人生を愉しんで行こうと思っています。

ここ10年間フランスで自分が一番学んだこと、体験したことって、もしかしたら“profiter la vie(人生を愉しむ)”なのかもしれません。

これからも自分自身もしっかり愉しんで、この考えを日本で浸透させれれば良いなと思っています。

2008年8月28日

Keisuke Matsushima

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■松嶋啓介シェフのブログは今回で終了いたします。2年にわたりご愛読いただきありがとうございました。今後の活動については、松嶋シェフご自身のブログ(上記URL)をご覧ください。au revoir !!

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2008年8月 6日 (水)

#42 ニース旧市街

Img_4579_3

ニース観光といえば必ず来るのがここ旧市街。

僕は休みの日の散歩や、友人がニースに遊びに来たときなどは観光でよくご案内をします。とても風情があって素敵な空間です!!
そして美味しいもの屋さんがたくさんあります。

Img_4500パスタといえば100年以上の歴史があるMaison Barale(メゾンバラル)
ここのフレッシュパスタは歯ごたえがあって最高です!!
ラヴィオリも美味しいです。リコッタ入りと、ブレット(ふだん草)入りと2種類あります。

Img_4503_3ニースに来たら是非食べてもらいたいですね~~~。これ使って料理すると、シェフになった気分になれるので、それだけ美味しいんですよ~~~。ちなみにここのグリーン生パスタはメランダでも使っていて、あの有名なパータ・オ・ピストゥーのパスタはここで買っています!!この一皿も傑作です。

Img_4489鳥系それから乳製品を扱っているのが、このLa Poulette(ラ・プレット)、ここのトリュフ入りブリ・ド・モーは最高です!! たま~~にだけど買います。
冬になるとジビエも少し置いてあるし、キッチン付きアパートメントを借りるときなんかここに寄って買っていただければと思います。外で回っているローストチキンも最高です!!

魚といえば……、rue saint-francois通りに3軒ほど出ています。
ここの魚はお隣町のCagnes Sur Merから直接届いている地のものです。ま~~ここのマダム個性があって……いつもたくさん売りつけようとします!!(気をつけてください)
ヒメジとか、鱸とか結構いいのが揚がっていますよ……

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お肉屋は、その魚屋の横にあるSaint-Francois(サンフランソワー)。通りの名前そのままを店にしています。
この店は唯一日曜日に開いているお店で、日曜の昼前はいつも超長蛇の列が出来ています。特別すごいお肉を扱っているわけではないのですが、コストパフォーマンスが非常によくニース市民の日曜の胃袋になってくれています。

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Img_4520_3 オリーブオイル屋さん、ここは隠れ家的存在で、このお店のオーナーが趣味でやっているようなお店です!!
オリーブオイルにPassionを注いでいて、自分自身で小さな生産者を回ってオリーブオイルを集めてきて、それを店内で瓶詰めして売ってくれます。常に15~20種類くらいのオリーブオイルを用意してくれているので、実はテースティングもできます。
自分のお好みのオリーブオイルを買って行っていただければと思います。
実は僕も先日購入!!すこし甘みがあリ、少しピリッとしたオリーブオイルを買って、クール・ド・ブッフ・トマトのカルパッチョにオレガノの花を振ってメスキュランサラダと塩コショウ、そしてこのとっておきのオリーブオイルを掛けました!!
“ばくっ” 思わず笑いが出てきました。感動はテクニックじゃなく素材なんだよな~~~って改めて痛感!! http://www.oliviera.com/
是非訪問してみてください、こういうお店っていつも多くの刺激を僕にくれて創作意欲を引き出してくれます。これからも頑張ってよ~親父!!


Img_4565SOCCA「ソッカ」 
ニース名物、ヒヨコマメのクレープ
旧市街の市場Cours SaleyaにMme Thelesaテレザと言う、これまた強い個性のあるおばさんが毎朝売っています。
その工場がここrue droite(ドロワット通り)にあり、ここではテレザの旦那さんがクレープを焼いています!!
でかいピザ用の古い釜に、クレープ生地を丸い鉄板の上に引いて、それを釜にほうり込みます。約10分ほどで焼きあがります。
味はとても素朴なのですが、胡椒と食べるとすこしアクセントが出て美味しく食べれます。市場で購入する際は是非胡椒かけてみてください。

Img_4572 ソッカ屋と同じ通りにEspuna(エスプーナ)と言う天然酵母で薪でパンを焼いているお店があります。
残念ながら日曜日はお休みで写真はフェルメ…
ここのバゲットは上品の酸が出ててお勧めです。
観光しててお腹が空いたときは、ここでバゲットを1本買ってすこし腹ごしらえ!!確か先日出した料理本の僕がバゲットを持った写真はここのパンでした…(笑)


Img_4581 Bistrot d'Antoine「ビストロ・アントワーヌ」

rue de la prefecture(プレフェクチュール通り)にある僕のお勧めビストロです。

ここのオーナーは数々の星付きレストランで支配人をしてきて、3年前にこのビストロをオープンさせました!!
とっても雰囲気は良く、ワインのチョイスも良く、そして料理がリーズナブルで美味しい!
まさしくビストロって感じで、まるでパリにいるような感じです!!
いままでニースにはここまでしっかりしたビストロがなかったので、ビストロ・アントワーヌ、今ブレークしています! やるなアーマン(でも俺も年末から年明けにかけてビストロ出すから覚悟しとけよ~~なんてね、でも場所もコンセプト違うか、皆さん乞うご期待を。和食とハンバーガー屋さんもやる予定です一気に3軒です!!(松嶋啓介また勝負ってかんじです))

Img_4516Fenocchio「フェノッキオ」 
ニースで一番有名なジェラート屋さん、いつもたくさんの雑誌で紹介されます。
Place Rosetti(ロゼッティ広場)にあるのですが、何せ種類が多い……いろんな味が用意されています。そりゃ~~~皆買いたくなるよな~!!
ここって旧市街を歩き疲れたときは寄りたくなるんだよな~~~何かいろいろと一杯種類はあるのですが、僕のお勧めはレモン味! かなり定番です。

旧市街これ以外にも魅力はたっぷりです、ニースのお土産を購入できるし、ギャラリーもたくさんあります!!
そしてニース料理を食べれるお店がたくさんありますし、パブやバーもたくさん、たまにだけど深夜徘徊しています(笑 秘密にしといてください)

Img_4511Img_4558Img_4540_2   

あまりこういう事を言いたくはないのですが、念のために……夜だけは治安が少し危ないので気をつけて欲しいです!!
さ、ニース楽しんでください!!

2008年8月4日

Keisuke Matsushima

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2008年8月 6日 | | トラックバック (0)

2008年7月21日 (月)

#41 漁師・・・の感覚!!

とある日曜日、念願かなって付き合いのある漁師から漁に連れて行ってもらいました。

朝5時に港で集合。
前日は土曜日、自宅に戻ったのは、夜中の2時。少しだけ仮眠して出発!!でも自分は興奮状態……初めてのピクニック状態でした(笑)

“ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”

暗闇の中、小さな漁船が港に到着!!
「ケーン、ちゃんと起きてこれたんだね……朝早いから来れないと思ってたよ」(何故かケーンと呼ばれます)
「失礼しちゃうな~~約束は守るよ俺だって」
と言いつつ船に乗り、黄色い作業着を着せられ、前日仕掛けたと言う網を引き揚げに行きました!!

Photo

ニースの海上からニースと言う街のあの景色……と~~っても素敵でした!!
写真取ったけど、伝わるかな~~~あの時間帯海から見る街は、初めての経験で、僕にはまた新しいニースと言う街が見えたようで感動でした!!

一番最初に引き揚げに行った網は、海岸沿いから50メートルぐらいに仕掛けた場所で、先週10キロ近くのカンパチを引き揚げた網でした。

「魚はお腹が空くと、海岸付近まで上がってきて小さな魚を目指して狩りをするんだよ。しかも先週は月が満月で大魚によっては絶好の狩りデーだったんだ」

なるほど~~~

Photo_8 と言いながら網を引き上げ、揚ってきたのは、かなり大きめな鯖、鯵、そしてホウボウ、イカと小さな的鯛、たいした量はなかったのですがかなりの品質のものが揚がりました。
「ここら辺は良い型の魚が揚がるから、網は丈夫で大きめのほうがいいんだ」とアドバイス。「たぶん普通に海岸から釣りしてもこれぐらいの魚は簡単に釣れるはずだよ」って。
「へ~~~」
網を引き揚げたら、その後は、その網をそのまま今度は明日のために漁船を流しながら設置していきます。

「今の時期はまだ海の温度が低いから前日に網を仕掛けてもいいんだけど、夏になって熱くなると、前日に網を仕掛けると魚が腐るし、人が泳ぐから、夜中の12時に網を仕掛け朝のこの時間帯に引き揚げなきゃいけなくなるから、夏は本当に辛いんだよ。しかもただでさえ年々魚の収穫が減ってるのに、夏はさらに量が減るし」

「良い時期もあれば、悪い時期もある。漁師とはそんなもんさ」って……なんかカッコよい!!

運転がすごい、エンジンをかけたら舵取りは、またに挟んだ棒一本!!

「何でハンドルじゃないの」と聞いたら、「ハンドルだと網を投げれないから、足のほうが手が空くから便利なんだ」とごもっとな意見!!

ニースの海岸の前に仕掛けた網を3つ回収したところで、朝日が昇り始めました。いや~~これまた絶景!!

Photo_2

プロカメラマンになった気分で写真取りまくりました。
(気付いてる人は気付いてるかもしれませんが、ここ最近の写真の質が良くなっているんですよね~同世代のライバルに負けじと、年末に一眼レフを購入しちゃいました。しかもレンズまでプロ用のを買っちゃい、写真にもチャレンジ中!!たまにはいい写真がマグレで取れます!!)

いいでしょう~~~海から見る朝日!!

と同時に飛行機が出発、漁師の背中をバックに1枚”パシャッ!”

Photo_9Photo_10 

今度は場所を移動、空港の近くに行きました。
「ここら辺は岩場があるからまた違った魚が獲れるんだ~~」って
「たぶん今日はルージェ(ヒメジ)が揚がるんじゃないかな?」「しかもルージェ ド ローシュ(岩場のヒメジ)」
と言いながら網を引き揚げるけど、獲れたヒメジは2匹、採れたのは雑魚だけ。「ま~こんなときもあるさっ」と言いながらも、この雑魚たちPhoto_3は”Soupe de Poisson(魚のスープ)”としてキロ6ユーロで売られます。
そそ、日本でも良く飲まれる、サフランとにんにく、ウイキョウの利いたスープドポワソンは、この雑魚たちで作るのが本当なんです!!

とまた網は元に戻し、今度は前日に仕掛けたと言う仕掛けを引き揚げに行きました。

この仕掛けは網じゃなくて、針で、前日の余った魚の鯵や鰯を引っ掛けて、海底に沈めます!!
手で引き揚げていくのですが、揚がってきた魚は???

Photo_5 「うっぎゃ~~~」

「何でも食べる海のギャング 巨大アナゴ!!」


軽く10キロぐらいのアナゴでした。「こいつらは強暴だから気をつけろ!!指噛まれたらいちころだからむやみに触るなよ」って。「は~~~い」と意外と怖がりな僕です!
全部で6針仕掛けていたのですが、全部で3つに掛かっていました!!

こんなエピソードがありました。
(何でこんなに大きくなるんだろ~~日本じゃこんなに大きいのは見ないのに……と不思議な疑問!!たぶんたけど、需要がないから大きくなってるんだと思います。
それはその後の賄いで発見しました。フランス人の従業員、誰も進んで食べたがっていなかったので。「気持ち悪い~~」との声が。
「あ~なるほど、Toniも言ってたけど、たまにしか漁されないから大きくなるんだろうな~~」)

Toni何をするかと思いきや、引き揚げたら早速脳天に大きな釘を……天誅!!
そしてまたに挟んで押さえ込んで腹を開き、そして内臓を海に捨て始めました。

「おおお~~~~い」

Photo_11「辞めろ辞めろもったいないじゃない、何をするんだよ。肝臓は絶品じゃないか。捨てるのはもったいない、残りの2匹は自分で買うからそのままにしといてくれ」……と船のお供に……乗船させました!!
「日本人は変なものが好きなんだな~~」って、カタツムリ(エスカルゴ)を食べる人種から言われてしまいました(笑)
魚の肝などは上品なのに解ってないよな~~~
乗船したのはいいものの”うにょうにょ うにょうにょ”生命力の強いアナゴは船の上を踊りまくり。でも少し怖かったので蹴りを一発!!そしたら大人しく端っこで固まっていました!! (笑)

「よしっ、大物も釣れたし、今日のメインに行くぞ~~~」っと
船を空港の裏につけました。「実はこの場所は埋め立て区域で、空港がなかった頃はここに川が流れて来ていたんだ。だから小さな魚が本来はたくさんいたところなんだけど、埋め立てをして川の流れを変えたから、ここら辺は前に比べると収穫がぐっと減ったけど、魚達にはえさのたくさんある、やはりいい場所なんだ」って。

Photo_13「ここ最近少しずつ海の温度が上がってきているから、ルージェ ド サーブル(砂地のヒメジ)が揚がる筈」だ。
砂場のヒメジは岩場のヒメジに比べて色が少し薄めで、しかも焼いたときの香りがすこし弱いです!!

で、網を引き上げ1分……大漁にヒメジが揚がるではないですか。Toniもう超ご機嫌!勝ち誇ってたよな~~あいつ!!名誉挽回って感じでした。
それにしても揚がる揚がる。“うちこんなに買い取れないよ”ってぐらい揚がりました!!
軽く30キロは上がったのかな?

上げる途中、目の無い魚がいくつか揚がりました???でも中身は空っぽ。?な?ぜ?

聞いてみると、海老の仕業だそうです。目が一番軟らかいから目から進入して身を食べていくそうです!!だから空っぽなんだそうです。

勉強になるな~~~

「ここら辺は小さめの魚が揚がるから、網の糸は細くなきゃいけないんだ。太いと魚たちに発見されるから。でも網はもろいからすぐ破れて大変なんだよ!!
でもこの日本製の網はとてもしっかりしてるよな~~~」っと、船の上でもMade in Japan!!
何もしてないけど、なんか少し誇らしげな気分になっちゃいました。
その日の前日は少し風があって海が荒れていたので、どうやら少し石が網に引っかかって破れて大変だったみたいです!どうやら網の修理は大変みたいです。

ここの網は修理が必要との事、そして次の日は月曜日で少し漁を休みたいから網ごと引き揚げて、退散!!

で最後は2日前に仕掛けたと言う、伊勢えびの網を引き揚げに行きました!!今度は少し沖に出ました。

どうやら伊勢えびの漁は2日かけてやるようです!!

なぜって?

一日目に網に引っかかった魚を餌として、伊勢えびが引っかかるそうです!!釣れた伊勢えびは1匹でしたが、なんか考えさせられた漁でした。

大物狙うためには犠牲が必要なんだよなって。

Photo_12 そうそう途中で蛸まで引き揚げました!!
とりあえずお供にしましたが、なんと船から脱出をもくろみ逃げようとするから、籠の中に閉じ込めてやりました!!(笑)

これで本日の漁は一応終了。

”ぼっぼっぼっぼっぼっぼ……”

股で運転する漁船に揺られ、漁師の妻の待つ漁港に戻りました。なんともドラマチックです!!
旦那が漁に出て妻が港で待つ……あ~~ロマンです。

しかも今日は大漁です!!奥さんも素敵な笑顔でした……
(でも漁の半分は僕もう買っちゃいました・・・)

漁に出る。僕にとってこんな大きな収穫があるとは思っていませんでした!!
網のサイズ、仕掛け方、天気や環境を見る……全ての状況を瞬時に判断する行動は、マーケティングと同じ哲学だなと思いました。
それをしかも自然を相手に判断する。
なんとも難しい職業だなと思います。確かに探知機があれば簡単なのかもしれないけど、野生の勘と言うか、自分の感性で自然と勝負!!
もしかしたら、人としてとても大事なことだと思います!!
僕ももっとそんな感性を磨いていければと思います。頑張るぞーーー

Photo_14
そしてその日のランチの為に、早速友達にメール、”今日は巨大アナゴが連れたからアナゴ丼パーティーだよ。店に集合!”って連絡。皆でハマチのカルパッチョと、アナゴ丼堪能しました。いや~~~働いた後の飯はうまかった!!
Photo_6
写真は、大親友 Jean-Luc Colombo



2008年7月15日

Keisuke Matsushima

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