春を待ちわびる北海道のヴィニュロン
『料理通信』5月号日本酒特集「杜氏ウォッチャーVSヴィニュロンウォッチャー」対談でご紹介した、「松原農園」の松原研二さんから、メールが届きました。
メールが来たのは、東京で桜の開花宣言があった頃のこと。その頃、松原さんの畑がある北海道・蘭越(ニセコの山麓にあります)では、まだ1m50cmほど積雪がありました。今年の北海道は、とりわけ春の到来が遅く、3月になってから大雪が降ることが多かったのです。
「だいたい5年に1回くらいは、雪解けがとても遅れて苦労します。その年の最高積雪量より3月頃の気候によるところが大きいです。この時期、晴れの日が少
なくて、また南風が吹かないと、なかなか雪が解けてくれないのです。晴れ間や雨で解けるより、意外と強い風の日に一気に解ける印象があります。1日に
20cmくらい解ける日もあるんです」と、松原さんのメールにはありました。
実際、北海道の栽培家たちは、雪解けを少しでも早めるため、春先に融雪剤をまくことも多いそうです。
ブドウ栽培にワイン造りのベースをおいた造り手たちが、畑を拓くことの多い北海道ですが、北国のゆえの大変さもあります。雪の中の剪定作業、春の遅霜の心配、春先の雪による作業の遅れなどなど。
松原さんのいる蘭越から、さほど遠く離れていない余市からは、今年、ピノ・ノワールの苗木を植えて、いよいよ自分自身のブドウ園を拓く曽我貴彦さんからメールが入りました。貴彦さんも今年の雪には困っているようです。
「余市の3月20日時点における積雪量は平年90cm程度。今年は75cmと少なく、早い春を迎えられそうだと非常に期待していました。しかし、 20日過ぎから雪の日が続き、29日は93cm。逆転してしまったのです。この時期に、雪がこんなに積もることは異常なことです」。
積雪量は蘭越に比べるとはるかに少ないけれど、これからブドウを植えようという貴彦さんにとって、この時期の積雪はかなり気がかりです。
「開
墾と約5000本の苗植えの準備を進めている私にとって、雪解けが遅れることは非常に困るのですが、一方、既にワインブドウを栽培している農家にとって、
早すぎる雪解けは、萌芽を早めさせる原因ともなり、遅霜や開花時期の低温障害などによる被害の心配をしなければなりません。余市の特殊なミクロクリマは、
この雪で支えられているのです。とはいっても、この時期の大雪にはまいっています。なにはともあれ、もう積雪は要りません。平年並みに雪が解けることを願
うばかりです」。
●松原農園
http://web.mac.com/matsubara_kenji/Matsubarawine/Home.html
●ドメーヌ・タカヒコ
http://www.takahiko.co.jp/
2010年 4月 13日 | 固定リンク