シャーベット状のケルナーの粒
鶴沼の畑に雪がしんしんと降るなか、今村農場長がケルナーの区画に連れていってくださいました。ここは、春、夏、秋と何度も訪れている区画。そこには今まで訪れたときとはまったく違った世界が広がっていました。
美しい……
北海道ワインの営農部の齋藤浩司さんでさえ、その光景に見とれていました。ここの区画は毎年、貴腐、雪摘みケルナー(レイトハーベスト)といったワインを造るため、雪が降っても、収穫せずに、ブドウの糖度が上がるのを待つそうです。収穫の見極めは?と今村農場長に訪ねると
「根雪になってしまう雪か一度は融ける雪かの見極め。一気に根雪になってしまい雪にすっかりも埋もらせてしまった年もあるけれど、収穫後に剪定作業をしなければいけないし……。天気図を見たり、山の積雪具合や雲の動きを見たり、春からずうっと天気を予想しながらの作業だよ」
ただこのように寒さが厳しくなっても、ブドウ樹に房をつけていくのは樹にも負担がかかるようです。そのため、この鶴沼より寒さがさらに厳しい富良野では、ケルナーでアイスワインを造るのを断念して、寒さにより強い山ブドウとの交配種、「ふらの2号」でアイスワインを造ることにしたのです。微妙な気温の高低で、適する品種も変わってくるのですね。
これが半分凍ったケルナーのブドウの粒。この日は、雪の結晶もきれいに見えました。今村農場長の許可を得て一粒口の中に入れてみると、何と半分、凍っていました。
「あっ、シャリシャリしてる!シャーベットみたいです」
果肉がしだいに溶けて、何ともいえない風味と甘みが広がります。でも後口は爽やかで伸びやかな余韻がたまりません。なかには貴腐がついている粒もありました。
貴腐ブドウでワインが仕込めるのは3年に1回くらい。そのほかの年は「雪摘み」(レイトハーベススト)にしているそうです。
この後、鶴沼ではさらに雪が降り積もり、毎年12月の中旬頃には、ブドウ樹はすっかり、雪に覆われてしまいます。しかしそのおかげで、凍害に遭わずに済むそうです。今村農場長の話しでは、最近、雪が降り積もるのが遅くずれ込むようになっているとか。いたずらに温暖化を叫ぶつもりはありませんが、できることから、地球に負荷をかけないようにしていきたいものです。
●北海道ワイン
www.hokkaidowine.com/
●北海道ワイン鶴沼ワイナリー
http://www.hokkaidowine.com/contents/production/vineyard/index.html
2009年12月 25日 | 固定リンク | トラックバック (0)