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2009年8月 9日 (日)

庄内で出会った250年歴史の甲州畑

6月末、山形へ出かけました。山形でレンタカーを借りて、月山の横を通って庄内地方の櫛引地区へ。『料理通信』7月号野菜特集でご紹介した山形の伝統野菜・月山筍の産地の近くです。

この地区には250年の栽培の歴史のある甲州種のブドウ棚があります。平均樹齢は40~50年。何より驚いたのは、ここの甲州種の平均糖度は、なんと20度だというのです! 畑は砂質に礫が混じる水はけの良い土壌。雨よけのネットがついています。20度という糖度は、収穫量の制限とぎりぎりまで収穫を遅らせることで可能になっているようです。

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山梨県の甲州ブドウの糖度が、16度前後(収穫時期を遅らせても16度以上には上がらないことも多い……)、18度あったら恩の字です。おまけに昨年は、ボルドー液という農薬をまかなかったことに加えて天候が不順。このダブルパンチを受けて、ベト病という病気が大発生。8月にして、甲州のブドウ棚の葉っぱが枯れ落ちるという前代未聞の事態が発生しました。14度とか15度とか、かなり糖度の低いブドウもありました。それに比べると夢のような話なのです。

このブドウから造ったのが「月山ワイン ソレイユ・ルバン 甲州シュール・リー2008」なのです。アタックから、口中に広がる柑橘系の香り。口の中にしっかりと感じられる厚み、フルーツのエキス。そして伸びやかな酸。山梨の甲州ワインには見られない、きりっとした爽快感が小気味良い。

ワインを仕込んだのは阿部豊和さん。月山ワインぶどう研究所の若きホープです!
 
 

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2009年8月 7日 (金)

クーカル:おつまみとワインのマリアージュをお楽しみに!

曽我彰彦さんのおばあちゃんが育てた小布施丸茄子も登場!!

Photo今年のクーカルの日本ワインイベントでは、各生産者の地元の食材にワインを合わせてみようという試みもしています。目黒のワインバー「キッチンセロ」岩倉久恵さんが、それぞれの生産者に連絡をとって、彼らのお勧めの食材、あるいは彼ら自身や家族が育てた食材などを取り寄せて、おつまみを考えてくれました。

Photo_5小布施ワイナリー曽我彰彦さんからは、早速、彰彦さんと貴彦さんのおばあちゃんが育てた小布施丸茄子とタマネギが到着。ぷっくりと太った茄子は小布施町に伝わる伝統野菜だそうです(信州の伝統野菜にも選定されています)。
「僕らが小さい頃、茄子っていえば、この丸い茄子だけで、長い茄子はなかったんですよ」とは、彰彦さん。肉質がしまっていて、煮崩れしにくく、甘味がのっているのが特徴です。地元ではおやきの具に使われることが多いそうで、夏のお盆にはなくてはならないものだったとか。
「僕たちも子供の頃のオヤツにおばあちゃんが作ってくれた丸茄子のおやきを食べていたんです」。貴彦さんも、懐かしそうに話してくれました。 小布施ワイナリー

当日は、このおやきのキッチンセロ・バージョン。ワインは曽我彰彦さんの「ル ヴァン ナチュレル ドメイヌソガ カベルネフラン」。どんなマリアージュになるんでしょう?
ちなみにル ヴァン ナチュレル シリーズのカベルネフランは今年からのリリースです。

貴彦さんの余市のサクランボ、タケダワイナリーの会長(岸平典子さんとお父さんです)の上山のキュウリ、小林剛士さんの山梨の桃(無化学合成農薬!)とデラウエア(これはなんと山梨の金井醸造場の金井一郎さんがこれから仕込むブドウです)、彰彦さんからはグリーンハーベスト(収穫量を制限するために、まだ色付くまでのシャルドネを摘むこと)のシャルドネなど、様々な食材が到着します。
これらの食材を使って14種類のワインそれぞれに合わせたおつまみが登場します。お楽しみに。

私は、書くことでお手伝い。今回は8人の軌跡をたどってみようと、大学卒業からの今までの道のりのお話を伺いました。ワイン造りを始めた彼らに転機はあったのか? 年表やデータも集めて、20ページ弱の冊子も作りました。皆さん、畑仕事で忙しいなか、丁寧に言葉を選んで、自分の道を自分の言葉で語ってくれました。
改めて話を聞いてみると、彼らの悦び、迷い、そして想いが、心に染み入ります。
うーん、これだから、ヴィニュロンの取材はやめられないんだなぁ。

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クーカル参加ヴィニュロン(2) 中澤一行さん

北海道で農業がしたい! 岩見沢でブドウ園を拓いて8年目

飛び入りで参加してくれることになった中澤一行さん。以前、『料理通信』2008年3月号でもご紹介した「クリサワブラン2007」のブドウは、中澤さんが育てています。

柑橘系の香り、蜂蜜のような香り、そしてバラのような香り。時間の経過と共に次々と現れる様々な香りと優しい膨らみを感じさせる味わい。そして余韻に続く、伸びやかで上品な酸。初めてこのワインを飲んだ時、私はいっぺんでこのワインに魅了されてしまいました。まさにワイン産地としての北海道の実力が確信できるような1本でした。
 
Photo_6 「北海道の太陽の下で農業がしたい!」。
そもそもきっかけは、これ! そう、中澤さんは、初めからワイン造りの道に入ったわけではないのです。某大手電気メーカーでエンジニアだった彼は、北海道で農業をするという夢を抱きました。この夢は次第に北海道でワイン用ブドウを育てるという具体像を描き、中澤さんは北海道のワイナリーに就職します。そして、北海道に移住して6年後。彼は奥さんの由紀子さんと、自分自身のブドウ園を拓きます。

中澤さんの畑は、札幌から車で約1時間。栗沢という土地にあります。南向きの緩斜面に広がった一枚続きのブドウ園です。もともと除草剤、化学合成肥料は使わずに、化学合成農薬もできるだけ使わずにいた中澤さんですが、フランスのシャンパーニュやロワールを研修で訪れたことが大きな転機となり、2008年からは化学合成農薬の完全廃止を決心しました。畑では、足下に様々な野草が生い茂り、歩いているとクモの巣が頬にひっかかります。

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農薬にも化学肥料にも頼らない農業は、決してなまやさしいものではありません。とりわけ、今年の北海道は記録的な日照不足。中澤さんをはじめ、北海道各地の生産者たちは皆かなり苦労をしているようです。天候の回復を祈るばかりです。

先日、日本各地でブドウ畑を拓いたヴィニュロンたちの取材をしましたが、とりわけこうしたヴィニュロンが多いのが北海道。中澤さんに加えて、松原農園の松原研二さん、近藤良介さん、ブルース・ガットラヴさん、そして佐々木賢さん。何よりもブドウを育てることに自分のワイン造りのベースを置こうとしています。彼らは、情報を交換したり、困った時には支え合ったり……。北海道には、ヴィニュロンたちのネットワークが生まれているのです。また中澤さんは、今のところはワイナリーの設立は考えていません。栃木にあるココ・ファーム・ワイナリーに委託醸造でワインを造っています。

さて、「クリサワブラン2007」はすでに完売していますが、イベント限定ということで、中澤さんが「クリサワブラン2008」を用意してくれています。北海道の涼風のようなワインを味わってみてください。

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2009年8月 3日 (月)

クーカル参加ヴィニュロン(1) 曽我貴彦さん

北海道のピノに惚れ込んだ日本のヴィニュロン 

0148人の造り手さんのうち何人かについて、近況もまじえつつ、どんなワインを造っているかなど、お知らせしたいと思います。まずは曽我貴彦さんから。

曽我貴彦さんは北海道余市町からの参加です。貴彦さんは、長野の「小布施ワイナリー」曽我彰彦さんの弟。今春独立して、北海道の余市町でブドウ栽培を始めました。それまでの彼は、栃木県の「ココ・ファーム・ワイナリー」でヴィンヤードマネージャーをしていました。その頃の貴彦さんは、ブルース(醸造責任者のブルース・ガットラヴさん)と一緒に全国を飛び回る日々。ココファームで仕込むワインの原料を求めて、北海道、山形、長野と全国の畑を訪ねていたんですね。電話をすると「今、北海道」とか、「今、山形」、なんてことがよくありました。

彼は、日本各地でブドウを栽培するヴィニュロンたちのネットワーク作りにも力を注いでいます。メーリングリストを作成して、みなが情報交換できる場を提供したり、年に1度の勉強会を開催したり……。
今年3月には、『奇跡のりんご』で知られる木村秋則さんを講師に招いた勉強会を開きました。自然な栽培とは、自然な農法とはを悩み続ける中、木村さんの話を伝え聞き、青森まで訪ねていったのですが、これがきっかけとなって、勉強会も実現したのです。

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こんな彼が惚れ込んだのが、北海道余市のピノ・ノワール。ピノ・ノワールというブドウに、魅せられるのは、ワインファンだけじゃありません。造り手にも、このブドウに特別な想いを抱く人が実はとっても多いんです。とはいえ、ピノをラインナップの中心に据えるのではなく、メルロとか、シャルドネをメインに考えて、「自分へのご褒美」あるいは「趣味」という位置づけで試しに育ててみるといったケースがほとんどです。
しかし、貴彦さんは違いました。ピノ・ノワールを自分のワイン造りのメインに考えているのです。昨年、少量ですが、貴彦さんは余市町のピノを試しに仕込みました。

Photo_12 その試験醸造のワインを、自然派ワインの父といわれるマルセル・ラピエールフィリップ・パカレがテイスティングしたところ、彼らはこのピノを大絶賛!日本でこんなピノができるのかと、驚きを隠せない様子でした。

貴彦さんは、ヴィニュロン中おそらくもっとも強力な質問魔です。この日はそんな貴彦さんを質問攻めにして、北海道のピノの話、木村さんの話など、聞いてみてはいかがでしょうか?

2009年8月 3日 | | トラックバック (1)