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2008年6月25日 (水)

五感の学校ワークショプ開催

「ワインは鼻で飲む」。フランス料理を物理化学の視点から解き明かすエルヴェ・ティス氏の言葉です。
確かにひどい鼻風邪をひいているときに、ワインを飲んでも、ワインはなんとも味気ない。そう、鼻がきかないと、ワインは味がしなくなってしまうのです。
私たちが食を楽しむとき、においはとても大事なものなのに、最近はむしろにおいを消すことのメリットばかりが強調されがち。嗅覚だって、人にはいまだ重要な機能なのに。。。

そんな嗅覚のメカニズムについて、以前ワイン雑誌で記事を書いたとき、ご指導いただいたのが、東原和成先生。東京大学の大学院新領域先端生命の准教授をされています。
その後も先生には、若手栽培醸造家のために講演会を開いていただいたり、山梨のワイナリーにお連れしたり、なんだかんだと日本のワインに関わっていただいております。
(実は先生、食べるのも飲むのも大好き)

東原先生は、社会のさまざまなにおい問題を解決するためには、におい、香り、嗅覚に関する正しい知識をもち、その重要性を理解することが大事だと考えていらっしゃいます。そしてこうした考えのもと、研究の傍ら、環境、医療、教育、文化、食生活、芸術、学術などといったにおいやかおりに関係する領域のエキスパートに集めたネットワークも立ち上げて、様々な情報を提供する活動をはじめようとしています。ネットワークの名は「におい・かおり専門ネット」。このネットワークの活動の一環としては、すでに昨年、今年と、お台場でイベントも実施、大きな反響を呼びました。

そして今月は、東原先生とアーティストの井上尚子さんが一緒に「五感の学校」のワークショップとして、「かおりの道」を開きます。
ご興味のある方是非、ご参加を!

●「五感の学校」のワークショップ 「かおりの道」
くんくん、においをかいでみよう。ボトルの中はどんなにおい?
身のまわりにあるさまざまなにおいをかぎながら、嗅覚を研ぎ澄ませ、東原先生からにおいのしくみや不思議を学びます。
親子でかおりのひみつにせまろう!

日時     6月29日 13:00~16:00
場所     柏の葉アーバンデザインセンター
対象     親子(小学生以上と保護者)
定員     20組40名
参加費    無料
応募〆切  2008年6月25日
問い合せ  五感の学校事務局 event@artgoespubilic.jp
       TEL: 090-1733-0712 (受付10時から18時)
主催         三井不動産レジデンシャル
※五感の学校とは柏の葉キャンパスシティで開催される地域の住民向けのワークショッププログラムやアートイベントの総称。詳細は以下でご確認ください。
「kaori-no-michi.pdf」をダウンロード

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2008年6月20日 (金)

女性ヴィニュロンが手掛けたワイン

先月、女性ヴィニュロンの1人として丸藤葡萄酒工業安蔵正子さんをご紹介しましたが、彼女が手掛けたワイン、「マスカットベリーA樽貯蔵」(2100円)がリリースされています(正子さんは主に樽の管理を担当。ワインの熟成を見守る仕事ですね)。丸藤葡萄酒工業から樽で熟成させたマスカットベリーAがリリースされるのは今年が始めてです。最近、マスカットベリーAのワインを樽で熟成させるワイナリーが続々と登場。香りも味わいも従来のマスカットベリーAのワインとは随分異なります。
このワインもそう。ちょっとした隠し味(プティベルドがブレンド)が利いていて、アフターがだれずに、きれいな輪郭が感じられる。
丸藤葡萄酒工業では、大村春夫さん率いるチーム大村が元気。まもなく、甲州シュールリー2007もリリース。今年はどんな仕上がりでしょうか?

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2008年6月19日 (木)

東京から、またひとつ農地が消えた

Photo_16わたしが住んでいるのは東京狛江市。住まいは11階建てのマンションなのですが、我が家の周辺にはまだネコの額ほどの農地が数多く点在しています。そのためか農家さんの農産物直売所が多く、わたしもときどき利用しています。
(狛江市では市内農家の皆さんの協力で狛江市農産物直売所マップを作成して37箇所の直売所を紹介しています)。

直売所のひとつはマンションの目の前にあり、よくベランダから双眼鏡でのぞいて、「あっネギがある」と思うと100円玉を握り締め下りていきます。また夏の初めには、朝獲れた枝豆も並びます。この枝豆がまたたまらなく美味。獲れたての枝豆は、豆特有のえぐみが全くなく、甘さが引き立ちます。柔らかさも全然違う。
都市近郊で農業を営む生産者は、音の問題、匂いの問題(鶏糞など撒けない)、農薬の問題など、農作業をするとしても、周辺の住民への配慮が重要です。作業の効率も悪く、こうした農地は、年々減り続けているようです。
そして先々週、ふとベランダから眺めてみると、ふたつ見えていたうちの一つの畑の区画がシートで覆われている。あれよあれよという間に、工事が始まって、住宅が建ち始めました。あそこでネギを育てていたおじいさんはどうしたんだろう?

本当に小さな区画だったけど、また一つ、東京から農地が消えてしまいました。

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2008年6月18日 (水)

松原農園ミュラートゥルガウ&アスパラ@キッチンセロ

Photo_12 メルシャンの塩尻ツアーで一緒だった柿本礼子さんとキッチンセロにいってきました。ツアー帰りの中央本線の中では、話題はもっぱら食べ物の話。入稿地獄を乗り切ったら松原農園ミュラートゥルガウとアスパラを食べに行こうと約束をしていたのです。


この日はちょうど、アミューズが松原さんのアスパラのムース。口に含むとトップノートにアスパラの風味がふわっと広がります。
Photo_15 そして念願の松原さんのミュラーと松原アスパラの鉄板焼。同じ土、同じ水、同じ空気を取り込んで育ったブドウとアスパラの醸し出すハーモニーは何物にも変えがたい。もとはひとつのものから生まれたエキス同士がしばし別れ別れになり、再び出会ったような。。。。そんな一体感が感じられます。

夕方5時に待ち合わせて、2人で猛然と食べて、飲んで、夜の8時にはすっかり幸せ気分でした。

日本ワイン2008年の夏、また新たな局面を迎えています。キッチンセロでもそんな兆が伺えました。現在、次号の料理通信の記事に向けて、そうした新たな動きを、猛然と取材中です。

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2008年6月17日 (火)

松原さん、今年の春は大忙し!

あたふたと入稿、校了を乗り切ったあと(5月26日でした)、春が訪れたばかりの北海道のブドウ畑を回ってきました。でかける前は連日、3時間睡眠。出発当日の2時に料理通信の編集部に校正紙を送って、仮眠後、羽田に向かいました。
千歳空港からまず初めに向かったのは松原農園。千歳からは車で2時間半。意外に距離がありましたが、途中、支笏湖の湖畔を走る、なかなか気持ちのいいドライブです。

Photo_5 今回で3回目の訪問の松原農園。そのうち1回は今回とほぼ同じ時期の訪問なのですが、今年は何だか生育ステージが遅い印象でした。この畑を拓き16年目を迎える松原研二さんは、相変わらず真っ黒に日に焼けていました。これぞヴィニュロンの証です(マッチロの顔をして畑仕事してますといわれても、あるいはスーツで出てきてブドウと向き合うなんていわれても、正直なんかウソくさい)。
なんでも今年の春は、アスパラの出荷(これは芽が出てきた時が出荷どき。自分で出荷の時期は決められません)と予定していた2007年ヴィンテージの初出荷が重なってしまったとか。松原さん夫妻は睡眠を削って、両方を同時に出荷。

松原農園を訪れていつも思うのは野鳥の多さ。この日もさまざまな鳥の鳴き声が聞こえていました(私にはコジュケイしかわからなかった)。それでも鳥の声は木々の間を響きわたり、耳にも心地よい。

Photo_6 さてこれが松原さんの畑。手前に見えるのは遊休地ではありません。実はここはアスパラの畑なのです。普通アスパラの畑というと、茶色の地面からアスパラがニョキニョキ生えている光景が一般的。確かに松原農園に着くまでそうしたアスパラ畑を随分と見かけました。でもここは違う。ブドウ畑と同様に除草剤を撒いていないため、ほかの野草も元気で茶色の地肌はあまり見えていません。アスパラはさまざまな野草の合間に見え隠れしています。ときどき見過ごして収穫時期を逸してしまった、なんてこともあるそうです。

Photo_7そしてこれが巨大タンポポの隙間からちょこんと顔を出したアスパラの芽。うーん、なんともおいしそうです。畑で収穫したばかりのアスパラは生でもうまい。みずみずしさと広がるアロマ がたまりません。
Photo_8ちなみに新鮮なアスパラは炭火や直火で焼くとトウモロコシみたいな香りが立ち上るんですよ。もちろんアスパラと松原さんのミュラートゥルガウの相性は無敵です。




Photo_10そしてこちらがブドウ畑。ワイルドさ、さらにアップ!松原さんは基本的には不耕起(畑を耕さない。海外の有機農法の生産者は堆肥を撒き、鋤きこんでいくタイプが比較的多いようですが、日本の果樹栽培は不耕起、堆肥は撒かない人が多い)なのです。奥さんの展与さんと時には娘さんのサポートも得ながら、ブドウを育てている松原さん。16年目を迎えて、すこし転機に差し掛かっているようです。ブドウも少しずつ更新を始めています。

松原さんと話していて伝わってくるのは、現実を見据えた冷静な目と熱い想いの交錯した心。決して優しいとはいえない自然と折り合いをつけながら、自分のとるべき栽培方法を見つけ出し、ブドウづくりを続けているんだということがじわじわと伝わってきます。
16年目を迎えた松原農園の取材内容は近いうちに記事として、ワイン雑誌に寄稿します。またご高覧いただければうれしいです。

ちなみに今日(6月10日)の松原さんからのメールにはこんなメッセージが
「現在はぶどう畑は草刈りも済み、一応(今のところは)こざっぱりした光景になっています(まぁ、ふつうの果樹園と比べたら全然トラ刈りのおおざっぱな状態ですが・・・)。急に暑くなり、雨も比較的多かったので葡萄の生育は一気に進み始めた感じです。北国の生育というのはこんなもんで、その年の気候でかなり遅れたりするのですが、取り戻すときもあっという間です。これからの半月は、劇的に生育が進む時期なので、お楽しみに」

時おかずして、九州、北海道を訪れる機会を得ましたが、気候だけでなく、地勢の違いを実感。運転していても、山国九州は山道がすごく多くてメチャハードだったけど、大平原北海道は地平線一本道が多くてむしろついついアクセル踏みすぎてスピード違反しないように気をつけなきゃいけない。そんな地勢の違いを反映して、畑一つひとつの在り様にも違いが見られます。もちろん、地勢だけでなく、気候や造り手の考え方が栽培方法には影響しているのですが、一般的にいって北海道は畑のスケールが大きく、畑作業の機械化も進んだ垣根栽培が圧倒的に多い。でも九州では、山間の一角にひっそりと佇む小さな畑で、しかもアルファベットのHの形をした棚栽培が多い。

出会った生産者のみなさんは、雄弁な人、寡黙な人、性格もワイン造りにいたる経緯はいろいろあれど、心の中にはブドウづくりやワイン造りへの想いがふつふつと湧いている。たとえ苦労を口にしていても、その人自身からは今を生きている力がびんびんと伝わってくる。彼らへの尊敬の念を改めて強―く感じた取材旅行でした。

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2008年6月10日 (火)

モロッコから来たてんぐさ

先日、ところてんについて調べる機会がありました。
2年ほど前、ダイエットに最適な食材として脚光を浴び、原料確保にところてんメーカーが目の色を変えました。取材したところてんやさんは同じつるつるした食感のこんにゃくも作っているところが多かった。
原料は海藻のてんぐさ(天草)。海草じゃないです。海藻は海の中の藻類、胞子で増える植物で、ワカメも海藻の1種。一方、海草は海の中の草。アマモなど、種で増える顕花植物です。伊豆半島あたりの海でちょっと素潜ってみると、麦の葉をさらに細長くしたような緑色の葉っぱが茂っているのですがそれがアマモ。
ところてんの材料となるてんぐさの産地は伊豆七島、伊豆半島、千葉、四国、九州、和歌山など、関東以南、各地に広がっています。実は、てんぐさが取れる場所によって、ハリがあったり、弾力があったり。ところてんにしても味わいには違いが出るようです。その特徴によって、ところてんに使われたり、寒天に使われたりするんです。
ところてんや寒天の味わいなんて、あまり気にしたことなかったなぁ。

驚いたのがてんぐさの自給率。
自給率はなんと2割前後! てんぐさも、自給率が低かったのか!

もうひとつ驚いたのがてんぐさの産地。
日本への最多輸出国がモロッコでした!遠路はるばるモロッコから日本にまで運んでいる。てんぐさのフードマイレージはいったいどのくらいになるのでしょうか?
次が韓国(済州島)。これはなんとなく納得かな?モロッコと輸出量を競っています。
恥ずかしながら、今まではところてんの原料は当然のように日本だと思い込んでいました。最近、ワインを買うときも、食べ物を買うときも、裏ラベルを熟読するようにしていましたが、見落としていました。思わぬ食材のルーツが日本の外にあるのです。

*フードマイレージとはどのくらいの量の食糧がどれだけの距離を運ばれているかを数値化したもの。日本が輸入するあらゆる食品のフードマイレージを合計するとは約9000億トン・キロメートル。フランスの約10倍、イギリス、ドイツの約5倍にもなる。世界のなかでダンドツトップだ。それだけ多くの二酸化炭素量を放出して食糧を運んでいることになります。

2008年6月 10日 | | トラックバック (0)