« フランス・ビオ界のスーパースター山梨訪問記 #2 | トップページ | 2006年の抱負 56連発! 第一弾 »

2005年12月30日 (金)

マダム・ルロワmeets日本ワイン

 11月に開催をお伝えした「世界自然派ワイン生産者大試飲会」。実は前回のブログでご紹介したマーク・アンジェリたちも、この試飲会に参加するために来日していたのです。マークだけでなく、この試飲会にはビオ界のスーパー・スターが勢ぞろい。ミスター・ビオディナミのニコラ・ジョリー、カリスママダムのマダム・ラルー・ビーズ・ルロワ、凄みさえ感じるオーラを発するマルセル・ダイス、ビオ界の新星、デディエ・バレルなど、会場を見回すと、単独でワイン雑誌の主役を張れそうな生産者の姿が飛び込んできます。
 
 なんとも凄いイベントに日本から参加していたのが、金井醸造場とルミエール・ワイナリーです。そして今回、彼らのワインをなんと、「ドメーヌ・ルロワ」 率いるマダム・ルロワにテイスティングしてもらう機会を得ました。

manriki1 「ヴィノ ダ 万力 カベルネ・ソーヴィニヨン 2004」 (金井醸造場)
マダム・ルロワのコメント 
~ 良く出来ています。ただ高級ワインとなるには、まだ大きな壁があるかもしれません。畑での取り組みは間違っていないので、焦ることなく、努力を続けていくしかないでしょう。濃縮感のあるブドウを得ることが、壁を超えるためにするべきことです。

****
万力は金井さんの自社畑。甲府盆地を見下ろす南向きの斜面には、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロが植えられています。ここのカベルネ・ソーヴィニヨンは山梨県のほかの畑のものと比べると粒が小さく、実のつき方もまばら。山梨を訪れたマーク・アンジェリもギィ・ボサールも万力畑の土の匂いを褒めていました。
「ヴィノ ダ 万力」は抜栓後2週間立つと俄然開いてきて、味わいに立体感と奥行きが出てきます。この立体感は万力のカベルネならではのもの。

lumiere 「光甲州 2002」 (ルミエール・ワイナリー)
マダム・ルロワのコメント 
~ 果実味、味わいの厚みがあり、とても良く出来ています。初めて甲州種を飲んだのですが、個性的で素晴らしい品種です。畑での仕事を充実させ、より濃縮感のあるブドウを得ることが出来れば、最上級のワインとなるでしょう。
****
原料は南野呂地区にある契約農家の甲州ブドウを使っています。古樽で熟成15ヶ月間。空気との接触を取りつつ熟成させた白ワインです。いわゆる今の日本の醸造学から見ると、まさにNGを出されることの多いワインかもしれません。しかし、ヘーゼルナッツなどの芳しい香りの果実味の織り成す微妙な風合いこそ、このワインの魅力。2002年は前のヴィンテージに比べ、やや果実味が増しています。

日本ワイン界に風穴を開ける注目の若手
 金井醸造場の金井一郎さんは、お父様の後を継ぎ、山梨市にある小さなワイナリー(年間生産量15000本)を経営しています。国産比率は100パーセント。うち自社畑率40パーセントという数字は、日本では破格に高い比率です。ビオディナミ農法こそ、昨年からの取り組みですが、農薬の軽減や化学肥料との決別を志して、すでに7年。最近では畑の中だけでなく、セラーの中の醸造法についても、ビオディナミの考え方が取り入れられています。
 ブドウの病害との闘い、収穫直前のぎっくり腰、お父様の逝去……と、今年はさまざまな苦難が降りかかりましたが、それでも、ただ一人、ひたむきに前へと進む金井さんのイメージには“purity”という言葉が重なります。そして彼の努力は、確実に「ヴィノ ダ 万力」のシリーズ(カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネとメルロのブレンドの3キュヴェ)、「キャネー甲州万力村」などワインとして結実し始めています。いくつかのワインはリリース直後に完売というように、すでに熱烈なファンも育ちつつあります。
 
 一方ルミエール・ワイナリーは、今、大きな変化の時を迎えています。「由緒あるワイナリーであるがゆえに日本ワインの悪しき慣習が根強い」というのが、つい最近までの私の印象。ですから、こうしたワイナリーに栽培重視の若手栽培醸造家、小山田幸紀さんがいるのを知ったときはかなりの驚きでした。クロード・クルトワのワインにしびれる、出会った頃の彼の姿は、強烈に印象に残っています。
 ここ数年間でルミエール・ワイナリーは自社畑の栽培に力を入れ、買い付けブドウの品質を向上させることを実現しました。また5年前から、小山田さんはブドウ栽培だけでなく、醸造も担当しています。「レ・ザンファンシリーズ」(カベルネ・フランなどCP抜群のキュヴェが揃う)、「光シリーズ」(甲州、カベルネ・ソーヴィニヨンの2キュヴェ)といった彼が手掛けるワインも続々登場。彼の情熱と周囲を動かす影響力が成果を出し始めているのです

 対照的なワイナリーにいる2人ですが、交流はとても密です。ほかの仲間たちも一緒にアンダー・グラウンドな研究会も開いています。こうした彼らが、日本のワイン業界に風穴を空けてくれるのかもしれません。

2005年 12月 30日 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マダム・ルロワmeets日本ワイン:

コメント

この記事へのコメントは終了しました。