2010年3月24日 (水)

【秋田】フルーツトマトのふろふき

2_3 最近独立した、若い料理人が開いた料理会に出席してきました。テーマは春待ちの献立です。箸置きには菜の花。細部に心遣いを感じられます。有名和食店で10年修業してきた彼の食事会はお料理の一つ一つが本格的でありながら、料理研究家としての立場から家庭でも簡単につくれるように工夫しています。デモンストレーション中の説明もわかりやすく、とても楽しい時間でした。
斬新な組み合わせがおいしい「フルーツトマトのふろふき」。

ところで、東京都内で活躍している料理家の彼に私はあることをお願いしています。「教室の献立にできるだけ秋田の食材を使ってください」と。秋田には素晴らしい食材がたくさんありますが、一般的にはまだまだ知られていません。驚いた事に「あきたこまち」でさえ感動されます。小さい積み重ねですが秋田のおいしさを多くの人に伝えられたらと思います。

今回ご紹介するお料理はここで教えてもらった「フルーツトマトのふろふき」です。
【材料(4人分)】
フルーツトマト4個 (A)カツオだし300cc 薄口醤油10cc 酒10cc肉味噌 (B)赤味噌100g 砂糖大さじ1 みりん大さじ1 鳥ひき肉50g
【作り方】
1.フルーツトマトはへたを取り、熱湯に30秒つけ冷水に落して皮をむきます(湯むき)。
2.1のお湯で鳥ひき肉を霜降りにし、水に落とさずそのまま別鍋に入れ、(B)と合わせて火にかけて練ります。ふつふつと沸いて火が入ったら止めます。
3.鍋に(A)を合わせて火にかけ、沸いたら1のトマトを入れ弱火で5分ほど味を含めます。
4.トマトのへた部分に2の肉味噌をつめ、器に盛ってください。

盛りつける時のポイントは汁を張らない事です。せっかく詰めた肉味噌が流れ出てしまいます。トマトと思って箸を入れたら中から肉味噌が出てきます。トマトの汁と混ざってとてもおいしいです。トマトは冷たいものより暖めた方が甘みが増すようです。是非、挑戦してみてください。(榎本鈴子)

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2010年2月17日 (水)

【秋田】冬のスター食材、蟹を楽しむ

Kegani読者の皆さんも蟹好きの方は多いと思います。蟹は北海道や北陸、福井、通の方ならタイザが有名か思いますが、秋田でもおいしい蟹が獲れます。特に10月、11月に獲れる1キロ以上の毛蟹は絶品です。身自体になんともいえない旨味があるのです。この話をことあるごとにしていたら、当店にたくさんの方が遠方からわざわざ蟹を食べに来てくださいました。かくゆう私も無類の蟹好きです。学生のころの夢はお腹いっぱい蟹を食べることでした。

20代のころ会社の慰安旅行で北海道に行き、花咲蟹というとてもおいしい蟹をいただきました。蟹も珍しいものだったし、お店のおじさんもいい人そうだったので、是非家族にも食べさせたいと思い、クール宅急便で送りました。ところが、喜んでもらうはずの家族の反応が悪いのです。身はスカスカで鮮度も良くないものが届いていたのでした。どうもわたしは騙されてしまったようです……。似たような経験をなさった方もいらっしゃるのではないでしょうか。このようなことがあると、産地へのイメージはぐっと悪くなります。真面目になさっている方のためにも「うそ」はやめていただきたいですよね。

Kanisyab011_2このようにあたりはずれも多い食材ですが、蟹はやはり冬の食材のスター。今回ご紹介する料理は当店の名物料理です。作り方は簡単。写真のように蟹をむくのは難しいですが、殻付きもまま入れても充分おいしい蟹鍋になります。お鍋に豆乳とだしを1対1の割合ではります。お好きな野菜をたっぷり入れて、ポン酢やごまだれで召し上がってください。秋田では5月までおいしいズワイ蟹が獲れますよ。(榎本鈴子)

さっと火を通していただきます。シンプルながら絶品の味わい。

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2010年1月18日 (月)

【秋田】元旦から大騒動、温かい人情に感謝

Iwaimochi今年のお正月は大変でした。私は2匹のシェパードを飼っているのですが、そのうちの1匹がアルミサッシの窓に激突。前足を深く切る大怪我をし、驚いたもう1匹は逃げてしまいました。外は地吹雪が吹き荒れています。元旦の夜です。救急で看てくれる動物のお医者さんなどどこにもありません。ほどなく逃走した犬は見つかりましたが、獣医さんは見つかりません。電話はかけてもかけても留守番電話が応答するばかり。傷口の血は止まらず、もうこうなったら人の救急にお願いするしかないと思った時、看てくれる先生が見つかりました。家畜の獣医さんでしたので、奥様が「牛のお産かも」と電話に出てくださり、車を出すために30分も雪かきをして駆けつけてくださったのです。牛用の糸でごめんね。といいながら、傷口を縫合してもらった時には本当にほっとしました。新年早々人の情けのありがたさに感謝いたしました。
写真:紅白祝い餅。ゆずジャム ゆであずき、きなこをつけていただきます。

Osechi秋田のお正月は例年、今年のように悪天候のことが多く、初日の出はまず見れません。ですが、雪がしんしんと降る中、暖かい室内で囲む食卓はなんとも楽しいものです。
今回紹介させていただく写真は当店のおせちです。もちろんすべて手作りで、なかでも伊達巻きは一日かけて作る自慢の一品です。そして、秋田の鱈の卵とこんにゃくを出汁で煮て、日本酒、砂糖、醤油で味をつける「鱈のこの煎り上げ」は私の大好物です。新鮮なたらの卵が手に入ったら是非作ってみてください。

材料は鱈のこ1腹、糸こんにゃく1袋、しょうが1片、日本酒、薄口醤油、砂糖適宜です。


作り方

1.鱈のこを5cmぐらいに切る。 2.鍋に鱈のこを入れ、ひたひたに出汁を張る。 3.火が通ったら、調味料で味をつけ、汁けがなくなるまで煎り上げる。 4.仕上げにしょうがの絞り汁を加える。味が足りなければ途中で味を足して調整してください。(榎本鈴子)

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2009年12月 9日 (水)

【秋田】秋田名物「きりたんぽ鍋」をご家庭で

秋田の鍋料理といえば、なんといっても「きりたんぽ鍋」ですが、きりたんぽをご家庭で作るのはちょっと無理ですよね。写真ではきりたんぽを使っていますが、これを今回ご紹介する「だまこ」に代えると簡単に作ることが出来ます。是非、挑戦してみてください(きりたんぽは半殺しに搗いたうるち米を棒状にし、表面を焼いたものです。一方のだまこは、同じく半殺しにしたうるち米を団子状に丸めたもので、基本的には焼きません)。

Kiritanpo〈きりたんぽ(だまこ)鍋〉
出汁:鶏ガラ、昆布、日本酒、薄口醤油 
具材:鶏肉、しらたき、舞茸、ごぼう(ささがき)、しらたき、油揚げ、長ネギ、セリ、
だまこ:ご飯、片栗粉、塩

1.きれいに洗った鶏ガラと昆布を水から煮て、鶏ガラスープをつくる。沸騰したら弱火にして30分ほど、アクをとりながら煮込む。日本酒少々と薄口醤油で味をととのえ、鍋にはる。
2.食べやすい大きさに切り、大皿に盛る。
3.炊きたてのごはん、片栗粉少々をすり鉢(ボール)に入れ、すりこぎで半殺しになるようにつぶす。ピンポン球のようにまるめて、3パーセントの塩水に放します。塩水に1分程度つけたのち、取り出しお皿に盛ります。炊きたてのご飯で作ることがポイントです。
*写真のきりたんぽをだまこに代えれば気軽に楽しめます。

◆次のお鍋も定番料理ですが、つけだれや割下に凝れば、いつもと違う味わいを楽しめおすすめです。各家庭でアレンジし、おいしい食卓を囲んで下さいませ。(榎本鈴子)

〈豆乳豚しゃぶ〉
材料:豆乳、豚肉 お好みの野菜
ポン酢:だし6、醤油1、味醂1、お酢1、すだちの絞り汁適量
※ポン酢に練りごま、ラー油をたらすとごまだれも簡単にアレンジできます。

Sukiyaki〈羽後牛のすき焼き〉
基本の割り下:だし6 濃口醤油1、日本酒1、砂糖大さじ3

⇒地元産の羽後牛を使ったすき焼きです。

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2009年11月 6日 (金)

【秋田】米どころ秋田の、おいしいどんぶり

Akitameibutsudon米どころにちなんで、秋田名物どんぶりのコンテストが開かれました。「食の国あきた」をスローガンにした食育イベントのひとつです。料理評論家の服部幸應さんといっしょに審査員を務めさせていただき、料理のレベルの高さに驚かせられました。最終的には3作品が残ったのですが、1作品に決めるのに他の審査員の方も随分悩んだご様子でした。写真は「秋田名物丼」。味噌のこっくりとした味が食欲を増すどんぶりです。

最終選考に残ったお料理は素晴らしいものばかりでしたので、皆様にもご紹介させていただきます。まずは、ジュンサイや長芋、オクラを使った「ねばねば丼」。秋田県人はねばねばが大好きなのです。そして2つめは大学生が考案したユニークな「ハタハタの丼」です。酒に漬けたハタハタの身をほぐして卵黄とともにご飯にのせたもので、後からブリコ入りのだし汁をかければ二度楽しめます。3つめは秋田のおいしい野菜をタップリのせた見た目も麗しいどんぶり。どれも本当においしくて「このままレストランのメニューにしてもいけますね」と皆さん感心していました。

さて、これに刺激を受けて、今回は私も2種類のどんぶりをご紹介します。お米は是非、あきた小町でお願い致します。
 
■秋田名物丼
親子丼の味噌バージョンです。味噌にトマトソースや豆板醤を加えてもおいしいです。フライパンに割り下(だし6、みりん1、しょうゆ1、日本酒少々にみそを加えます)、玉ねぎ、しいたけ、鶏肉を一緒に入れ、火が通ったら卵で閉じます。

Ikuradonburi■いくら丼(写真左)
この時期秋田では生の筋子がたくさんとれます。この筋子でいくらの醤油漬けをつくります。ポイントは手でほぐすこと(お湯を使えば簡単ですが、タンパク変性をおこし味が落ちますので、あくまでも手で行ってください)。ほぐしたものを3%の塩水に漬け、それを醤油3、酒1、みりん0.5の付け汁に漬ければ完成です。冷凍すれば、お正月まで召し上がれます。(榎本鈴子)
「いくら丼」どんぶりとは言え、小さめの器に盛ると上品に仕上がります。

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2009年10月 7日 (水)

【秋田】絶景露天風呂となべっこ遠足

Kuri 錦秋の季節になってまいりました。今回はまず、絶景露天風呂をご紹介致します。栗駒山荘の中にあるお風呂なのですが、標高の高いところにあるお宿のどの位置からも眼下に錦絵の世界が広がります。周辺にも見所が多く、温泉が噴き出していたり、トレッキングコースもあります。最盛期には麓まで渋滞する、大人気のスポットです。最寄り駅からでも車で1時間以上かかりますので、土日にお安くなった高速を利用されてお車でいらしてみてはいかがでしょうか。わざわざ行く価値あり、星3つです。
秋田は美しい紅葉の季節が始まりました。櫻山の庭では栗がたわわに実っています。
 
ところでみなさんは「なべっこ遠足」なるものをご存知ですか? 秋田では義務教育の間、秋になると、野外で里芋汁(秋田では芋の子汁と呼びます)を作って食べる遠足があります。めいめいで鍋やブリキで作った手製のかまどを持ってきて、野外で料理する楽しさは格別でした。私の家の芋の子汁は醤油味なのですか、みそ味がスタンダードなお宅もあり、家の味の違いに驚きました。全国的には山形の芋煮会が有名ですが、秋田では、里芋汁といえば、なべっこ遠足なんですよ。秋田の県南の郷土食です。

そして、今月ご紹介するお料理はこの里芋を使ったまんじゅうです。作り方は里芋5個の皮をむいて柔らかくゆでます。熱いうちに上新粉、砂糖大さじ1、薄口醤油小さじ1を加えてつぶします。これがまんじゅうの皮になります。あんは鶏挽肉150グラムをフライパンで炒めます。粗みじんに切った椎茸5枚、長ネギ半分を加えさらに炒めます。薄口醤油、味醂大さじ1で味をつけ水溶き片栗粉で粘りをつけます。サランラップで茶巾にしぼり、食べる時に蒸し器で8分。吸い地をはるとおもてなしの一品になりますし、衣をつけるとコロッケにもなります。冷凍もできますので、是非つくってみてくださいませ。(榎本鈴子)

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2009年9月14日 (月)

【秋田】初秋の御馳走レシピ

Sukiyaki9月に入り、たんぼの稲穂も日に日に首を垂れてまいりました。秋田には秋の訪れを告げる最高の食材がございます。なんだと思いますか? それは見つけた人が小躍りしたということからその名を名付けられたとも言われる、「天然の舞茸」です。養殖の技術が普及して今は舞茸は珍しいものでありませんが、それ以前は松茸と同じぐらい貴重なものだったのです。召し上がったことのあるお方はお分かりかと思いますが、まず、食感が違います。あわびのようにコリコリしています。そしてなんといえず上品な山の味がします。生で食べてもけっして苦くはありません。舞茸はきりたんぽの定番ですが、天然の舞茸はどちらかというと、まだ暑さが残る頃に採れます。

今回、ご紹介するお料理の一つ目は、この最高の食材をこれまた秋田が誇る比内地鶏と一緒にいただく、すきやきです(写真上)。比内地鶏は偽装事件以来、産地証明が義務付けられています。完全平飼いで飼育期間は通常の3倍の180日にもなります。お肉はもちろんですが脂肪や皮の部分がかみしめるほどにおいしいです。天然の舞茸は手に入らないとおもいますが、全国ブランドの比内地鶏なら大丈夫です。作り方は、割り下(カツオだし:1と2分の1カップ、日本酒、みりん、濃口醤油:各大さじ4)を作ります。比内地鶏は半解凍の状態が薄く切りやすいです。お好みで白菜や香味野菜を焼いても美味しいと思いますよ。

Zundashiratama_2そして、デザートにはずんだ白玉はいかがでしょうか? 枝豆の薄皮をむくのは少し面倒ですが、ずんだあんはゆでた枝豆をフードプロセッサーでつぶして砂糖を入れるだけです。たくさん作っても冷凍できます。ステキなグラスに白玉が見えないくらいずんだあんを入れてください。とてもおしゃれで気のきいた一品になります。この料理のヒントは郷土料理なんですよ。(榎本鈴子)


器も工夫すると、郷土料理も新感覚スイーツに変身します。

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2009年8月 7日 (金)

【秋田】西馬音内盆踊り

Bonodori1_2 東北の夏は祭りで始まり、祭りで終わります。8月に入ると青森のねぶたを皮切りに、秋田の竿燈、仙台の七夕祭りと、毎日どこかでお祭りがあります。私が住む羽後町には日本三大盆踊りの一つともいわれる「西馬音内盆踊り」があり、毎年8月16、17、18日に行われます。このお祭りの歴史は古く、天明年間から始まったとも伝えられ、盆踊りとしては全国で初めて国の重要無形民俗文化財に指定されました。

会期中は、人口1万8千人の小さな町に約10倍もの人が訪れます。多くの人々を魅了する踊りの魅力はなんなのでしょうか? 一言で申しますと、それは「陽気なお囃子にのって踊る幽玄な踊りのアンバランス」です。秋田音頭に似た調子に、踊る私たちも吹き出してしまうような秋田弁の卑猥な歌詞。鳥追い笠や彦三頭巾で顔を隠した踊り子がゆったりとリズムをとって踊ります。かがり火に照らされるのは、赤い襟端から覗く真っ白なうなじとよく反る指先をもつ美しい手です。衣装も素晴らしく、代々受け継いだ古い着物を剥ぎ合わせて作った、この世にただ一つしかない着物です。8月の第一日曜日に行われる虫干しの日は、家々で自慢の衣装を展示いたしますので、着物好きな方にはこちらも必見のものだと思います。私の着物は明治時代のひいおばあさまのものですが、踊るたびに破損するので今は残念ながら出番がありません。でも一番好きな着物です。お店も1年で一番忙しいのですが、たとえ30分でも踊らない事には私の夏は終わりません。亡くなられた花柳壽輔さんもご覧になり、しきりに感心なさっていました。

Bonodori2_3 さて、盆踊りのときに必ずいただくお料理に「里芋の芋がら汁」がございます。作り方は、芋がらの皮をむいて、塩水につけてあくを抜き(茎の部分も柔らかいところは食べられます)、あとは普通のみそ汁と同じ調理方法です。見た目はなんの変哲もないのですが、いただくとお汁全体がぬるぬるして独特の味わいです。たぶん、現地でしか食べられないごちそうと思います。私の町では2、5、8のつく日に朝市が立つのですが、8月17日にお泊まりのお客様はみなさん、必ず出かけられて、芋がらの正体を見て喜ばれます。
踊っている女性がみんな美人に見える不思議な盆踊りに、是非一度おいでになり、芋がら汁もお召し上がりくださいませ。(榎本鈴子)

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2009年7月15日 (水)

【秋田】旬の御馳走、小砂川の絶品岩牡蠣

1_2 秋田で夏にとれる牡蠣があるのをご存知ですか? 7月と8月だけ解禁となる天然の岩牡蠣です。岩牡蠣はいろいろなところでとれますが、秋田のものもまた格別です。中でも小砂川産の岩牡蠣は、ミシュラン三ツ星の「すきやばし次郎」の小野二郎さんや、今は亡き花柳壽輔さんも絶賛してくださいました。

この岩牡蠣、大きなものでは、なんと大人の長靴の底くらいのものもあります。私はどちらかというと牡蠣は苦手だったのですが、これは違いました。大きくてとても一口で食べきれませんが、口に入れると海の旨みが広がり、まさしく海のミルクです。どうしてこんなにおいしいのでしょうか? その秘密は秋田の自然にあります。小砂川は、秋田を代表する山・鳥海山の伏流水が日本海に注ぎ込むポイントで、岩牡蠣はその栄養たっぷりの水で育ちます。

「櫻山」では、お客様に小砂川産の岩牡蠣と他の秋田産の岩牡蠣とを食べ比べていただきますが、皆さん一様にその違いに驚かれます。もちろん秋田の岩牡蠣は全ておいしいのですが、小砂川のものはミネラルが特に感じられます。夏に秋田にいらっしゃる機会がございましたら、是非堪能していただきたいものの一つです。

さて、今回は生牡蠣が苦手のお客様にもおいしさを知ってほしくて考えたレシピをご紹介いたします。岩牡蠣が手に入ったら是非お試しくださいませ。
       
〈岩かきの紹興酒焼き〉
1. 薄口醤油大さじ3、紹興酒大さじ1、潰したニンニク1片を合わせ、殻を剥いた岩牡蠣を1時間ほどつけておく。
2. オーブンで7分ほど焼く(焼きすぎは厳禁です。かきの白い部分がぷりっとしたら食べごろです)。

冷やして、ハーブや焼きナスとあわせたサラダ風も、おもてなしの一品にふさわしいものになります。是非、お試しくださいませ。(榎本鈴子)

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2009年6月10日 (水)

【秋田】山菜が出盛り、美しい季節が間もなくです

Ouzan1 まずはご挨拶代りに、私が経営する櫻山の庭を少しご紹介しましょう。幕末~明治に生きた漂泊の画家、蓑虫山人が設計した庭のシンボルは、樹齢600~700年といわれる大きなケヤキです。大人3人が手をつないで、ようやく取り囲めるほどの巨木は、庭内の様々な物語を見守ってきました。櫻山には料亭のほかにカフェもあり、その建物「対川荘」は築120年。東洋思想家、安岡正篤によって命名され、かつては迎賓館として利用してきた場所です。俳人、河東碧伍桐も逗留し幾多の句会を催したことも。現在は歴史的な雰囲気やアンティークの調度品を生かしつつ、ヨーロッパのテイストなども取り入れたモダンな空間に再生させています。秋田にお越しの際は是非、このカフェや庭園にお気軽にお立ち寄りいただけたらと思います。
写真は庭のシンボル、樹齢600~700年のケヤキ。

さて、秋田は田んぼに水が入り、一番きれいな季節が間もなくやってきます。と同時に、ほんな、しどけ、あいこなど春の山菜が出盛りを迎え始めました。私の料理の最初の先生は、徳川家最後のお料理番だった方ですが、先生と一緒に考案した山菜料理「春野菜と山菜の白和えサラダ」をお教えしましょう。作り方はいたって簡単。

1.お好みの山菜を用意し、塩茹でする。
2.水切りした豆腐、生クリーム、みりん、薄口醤油、柑橘類の絞り汁、砂糖、塩、オリーブオイルをフードプロセッサーにかけソースを作る。
3.1に2をかければ出来上がりです。

Ouzan2実は、山菜を食べ慣れている地元の方たちは、この時期に私の店を予約してくださる際、「食べ飽きているので、山菜を出さないでください」と仰ることがあります。この料理はそんなお客様を驚かせたくて考えたものなのです。以前この時期に先生を秋田にお招きし、山菜採りをご一緒したときの発案です。岡山出身の先生が、こんな優しい山の緑を見たのは初めてとしきりと感心されていたのを懐かしく思い出します。(榎本鈴子)
奥に見えるのが「対川荘」。美しい庭を眺めながらゆったりとした時間を過ごせます。

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榎本鈴子:120年営まれてきた旅館に生まれ、平成元年より料理旅館「櫻山」の女将兼料理人として包丁を握っています。平成18年には隣接する千坪の庭に、古民家を再生させたカフェレストラン「オウザン村」も開村。地元食材を大切においしく幸せになれる料理を常に心がけています。
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2009年5月20日 (水)

【秋田】田舎菓子を侮るなかれ

Atsumi_2これまで秋田の伝統野菜や岩かき、きりたんぽ鍋などをご紹介してきましたが、最終回は菓子です。と言ってもパティシエの作る菓子ではなく、田舎菓子(駄菓子)に分類される菓子の紹介です。

秋田の菓子というと米どころ秋田として煎餅やおかきが連想されますが、秋田では様々な「かりんとう」が売られています。「かりんとう」と聞くと、棒状のものに黒蜜などをつけたものが一般的ですが、秋田では形や味(味噌など!)が多種多様なのです。一般的なのは木の葉型や平たい短冊状の「かりんとう」です。私の周りでは数多い「かりんとう」の中でも特に、渥美菓子店の「あつみのかりんとう」を好む人が多いです。この「あつみのかりんとう」は、薄くてサクサク、たくさん食べても飽きないので、常備しておきたい菓子ですが、伝統的な手作りで生産量に限りがあることや、夏期(6~9月頃)には製造を一時中断することから常時買えるわけではないレアな「かりんとう」です。また県内でも買える場所が少なく、工房に併設された店舗や秋田空港内の売店など限られた場所で販売されています。工房併設の店舗以外のお店では、常時販売されているわけではなく、入荷され次第の販売です。県外では昨年東京・品川にオープンした秋田県アンテナショップあきた美彩館にも時折入荷するようです。ちなみに値段は各店まちまちです(プレミアが付く?)。
「あつみのかりんとう」優しい甘さとゴマの風味とサクサクした食感がやみつきです。

Gojyome_2変わった「かりんとう」に伊藤菓子店の「五城目の駄菓子かりんとう」があります。「かりんとう」なのに平たい円盤状で、煎餅のようですが、黒蜜味の「かりんとう」です。直径も12cm程度あるのでなかなか食べ応えもあります。こちらは秋田県物産振興会でも販売しています。(齋藤文信)

「五城目のかりんとう」ソース煎餅のようにも見えますが、れっきとしたかりんとうです。


●渥美菓子店 
秋田県にかほ市金浦字高森115-1
TEL:0184-38-2233

●伊藤菓子店
秋田県南秋田郡五城目町田町字石田六ヶ所村堰添120-7
TEL:018-852-3419
 

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2009年4月17日 (金)

【秋田】県花「ばっけ」を食す

Fukinotou 全国の都道府県では、シンボルとして制定している花(郷土の花・県花)があり、首都東京都の県花はソメイヨシノで、私の住む秋田県は「ふきのとう」です。その県花である「ふきのとう」ですが、秋田では春の山菜として食卓を飾ります。
「ふきのとう」地表に出てきたふきのとう。春を感じつつも天ぷらにしようか味噌にしようか考えてしまいます。

「ふきのとう」は山菜類の中では最もポピュラーではないでしょうか。秋田では春が近づき、雪が融け始めれば、芽を出しているのをよく見かけます。通常、植物は葉の部分が先に地表に芽が出ますが、「ふき」は、葉より先に花茎と呼ばれる花をつけた茎の部分(つぼみのようなもの)が伸びて地表に出てきます。これが「ふきのとう」です。「ふきのとう」のことを東北地方では「ばっけ」と呼んでいます。秋田に赴任して最初の春に、職場の人たち(全員秋田出身)と居酒屋に行った時、「ばっけの天ぷらとばっけ味噌」と注文する様子を見て、「ばっけ」が何であるか分からず、一体どんなものが出てくるのだろうかと思いました。運ばれてきたものはふきのとうの天ぷらとふき味噌で、その時初めて「ばっけ=ふきのとう」であることが分かりました。

Bakkemiso_2ふきのとうは天ぷらにしてもおいしいですが、「ばっけ味噌」もおすすめです。味噌にすることで、あの独特の香りとほろ苦さをより長く楽しめます。「ばっけ味噌」はそのまま食べて肴にするも良し、熱いご飯とも相性抜群の春の逸品です。「春の皿には苦味を盛れ」と昔から言われていますが、この「ばっけ」のほろ苦さは春にいただくごちそうの一つです。(齋藤文信)
左は「ばっけ味噌」。各家庭で手作りされることが多く、スーパーなどではあまり売っていません。これは農産物直売所で見つけました。

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●第2期読者アンバサダーを募集中です。締め切りは4月末日!
 応募の詳細はこちらからどうぞ
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2009年3月13日 (金)

【秋田】雪の下の小さな野菜

1 秋田県南部、湯沢地方で冬から早春にかけて風物詩になっている「ひろっこ」の収穫作業。秋田では早春の味覚として昔から食されています。もともとは野に自生していたものを食べていたのですが、50年ほど前から畑で栽培するようになりました。秋田県内で商品作物として栽培されているのは湯沢市のごく一部地域で、それ以外では自家用としてわずかに栽培されている程度です。厳しい冬に雪の下で芽を出して春の訪れを待っているものを掘り出します。太陽の光に当たっていないため、芽は黄色です。温度が上がったり、光に当たると芽が黄色から緑色に変わってきます。

収穫は畑の除雪作業から始まります。雪の降り積もった畑を除雪し、土の中から掘り上げます。1つの芽から2本の「ひろっこ」が採れます。掘り上げた後は、出荷のために雪解け水の流れる農業用水路で土を洗い流し、細い根を切り、きれいに整えます。細い根を切る作業は細かい作業で根気のいる仕事です。生野菜が乏しい真冬に収穫する「ひろっこ」は貴重な秋田の伝統野菜です。

2「ひろっこ」はエシャレットや沖縄の島らっきょうに似ていますが、生で食べることはあまりありません。天ぷらやかき揚げとして食べたり、歯ごたえを残す程度にさっと茹でて、酢味噌和えにします。味は浅葱や島らっきょうの甘みを強くしたような風味です。雪の下であるために光が当たらず、甘みが増すと言われています。形は湾曲し細長いものが良いとされています。(齋藤文信)
「スーパーで購入したひろっこ」収穫から時間が経っているのか少し緑色の芽になっています。

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2009年2月16日 (月)

【秋田】山の数の子・畑のキャビア

Tonburi 秋田県の特産品「とんぶり」。そのツブツブした見た目や食感が、高級食材キャビアに似ていることから「畑のキャビア」とも呼ばれています。アカザ科のコキア(ほうき草)の実を皮むきなど加工すると「とんぶり」になります。このコキアは夏には鮮やかな緑となり、秋には赤く紅葉することから鑑賞植物としてガーデニングにも使われる植物です。
「袋入りとんぶり」県外では保存の利く瓶詰めや真空パック入りですが県内では要冷蔵の袋入りもあります。

現在では秋田の特産品として定着していますが、1970年代半ば頃まで秋田県北部にある比内町(現在は大館市)を中心とする、ごく限られた地域で少量食べる程度のものでした。ほうき草の名の通り、茎の部分を数本束ねると軽くて使いやすい「草ほうき」になります。草ほうきに加工する手軽さに比べ、とんぶりとして食べるためには非常に手間がかかります。刈り取り、脱穀し、十分に乾燥させた小さい実を水で何度も洗いながら薄い皮をむく作業が必要です(もちろん手作業)。この皮むき作業が大変なため、大量生産ができず、限られた地域で自家用として食べられていたのです。1973年に人手に頼っていた皮むき作業の機械化に成功し(仕組みは企業秘密!)、比内町内に加工施設が建てられ、瓶詰め・真空パックなど商品として各地に流通するようになりました。

Caviton 植物としては全国各地で栽培できますが、とんぶり産地として栽培し出荷しているのは秋田県だけで、中でも大館市が85%の割合を占めています(農水省統計部資料「地域特産野菜の生産状況」)。(齋藤文信)
「キャビとん」県内企業が開発した新商品。しょっつるやイカスミで整えて見た目も味もキャビアそっくり。

●「キャビとん」製造元
有限会社ベジ&フルあきた
秋田県鹿角郡小坂町小坂字上前田4-5
TEL:0186-30-7887 FAX:0186-30-7886

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2009年1月23日 (金)

【秋田】お雑煮?きりたんぽ汁?

Osechi 秋田に来て4年目ですが、年末年始は静岡の実家に帰るか、名古屋の友人宅でパーティーをするので、秋田でお正月を迎えることはありません。実家や友人宅でのお正月は賑やかで良いのですが、子供の頃とは違っておせち料理の手作り比率が下がり、料亭やホテルのお節料理になることが多くなってきました。それでも、お雑煮だけは手作りであることに変わりはありません。両親ともに関東出身の我が家のお雑煮は、鰹出汁のすまし汁に鶏肉、かまぼこ、青菜(小松菜やほうれん草)を具にしたお雑煮です。
料亭の重箱お節 重箱にきれいに収められています。

Zouniせっかく秋田で働いているのだからと、今年は秋田のお雑煮を地元の方々に聞き、自分でも作ってみました。お雑煮について聞くと、皆さん熱い思いを語ってくれました。
秋田は藩政のころの名残もあって、県北・県央・県南で食習慣が違うと言われています。お雑煮も地域ごとで違い、さらに沿岸部と内陸部でも違いがありました。県南ではお正月に、汁仕立てのお雑煮を食べることが少ないようです。お餅を焼いて小豆や餡と一緒に食べることの方が多いとのこと。県央と県北では、醤油仕立ての汁に、具は鶏肉・マイタケ・セリ・ニンジン・山菜類に四角い切り餅と、同じようなものですが、出汁の取り方が魚系と鶏ガラ系に分かれました。前回紹介した比内地鶏の産地がある県北では、鶏ガラで出汁を取るという方が多かったです。沿岸部では、この具に海草類(ギバサや岩のり)が加わるようです。(齋藤文信)

秋田のお雑煮 餅をきりたんぽに変えたらきりたんぽ汁です。具はほとんどきりたんぽ鍋と同じ。

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2008年12月12日 (金)

【秋田】鶏百花繚乱

Hinaijidori 鶏肉と一口に言っても、「地鶏」「銘柄鶏」「若鶏」「ブロイラー」などさまざまな名称があります。
「地鶏」は、在来種(38種)の純系か在来種を素雛の生産に両親か片方の親に使ったもので、在来種由来の血液百分率が50%以上のもの。そして飼育期間が80日以上であり、生後28日以降は平飼いで、1㎡あたり10羽以下で飼育されたものです。つまり、単純に地面の上で育ったとか地元で育ったというものではないのです。
「銘柄鶏」とは、地鶏に比べ増体に優れた肉用鶏品種を両親に使い(素雛の羽色が褐色系の「赤どり」や若鶏と同じ品種の場合があります)、通常とは異なる飼育方法(飼料内容、出荷日齢等)をとり、、その違いを表示したものです。「若鶏」と「ブロイラー」はほぼ同意語です。生後49~56日で出荷される肉用鶏品種の総称で、肉質が柔らかく食べやすいことが特徴です。

さて、前回の「新米と鍋」でも紹介した「比内地鶏」は、日本三大地鶏(比内地鶏、薩摩地鶏、名古屋コーチン)の1つに数えられる、秋田が誇る地鶏です。
「比内地鶏」は、日本固有の鶏である「比内鶏」の雄と在来種「ロードアイランドレッド」の雌をかけあわせて秋田県畜産試験場で育成された地鶏です。キジやヤマドリのようなジビエに似た風味があり、旨み成分であるイノシン酸がブロイラーの1.6倍含まれるなど味わい豊かで歯ごたえのある鶏肉です。(齋藤文信)

Kakoushisetsu比内地鶏の認証制度や詳しい歴史についてはこちら
http://www2.e-komachi.jp/hinaijidori/
写真上:鶏舎で平飼いされる比内地鶏。毛の色は茶系ですが濃淡に差があります。
写真下:部位別に手作業で解体する作業場です(通常はなかなか見ることができない場面です)。

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2008年11月12日 (水)

【秋田】新米と鍋

Kiritanpo鍋物がおいしい季節になりました。米どころ秋田には、米が主役の鍋があります。郷土料理百選にも選ばれた「きりたんぽ鍋」です。秋田全域で食べられていると思われていますが、実は、県北部を中心として食べられたもので、県南ではあまり食べられてはいません。秋田市から130kmほど北にある鹿角市周辺に住むマタギ(伝統的な方法で狩猟を行う人)料理が起源であるとされています。その後、同じ県北部にあり、日本三大地鶏の1つである比内地鶏の産地、大館市で、きりたんぽと比内地鶏のセットを商品化しました。そして、秋田県を代表する郷土料理として広く親しまれるようになりました。
熱々のきりたんぽ鍋。きりたんぽの香ばしさと比内地鶏の歯ごたえ、セリのシャキシャキ感がたまりません。

Zairyou材料は、鶏ガラでとった出汁に醤油ベースのスープ、セリ、長ネギ、鶏肉、ゴボウ、マイタケが基本になっています。マイタケに代わってキンタケが使われることもありその土地土地で、いろいろなきのこが使われます。このほか、糸コンニャクなどや場所によってはさまざまな具材が使われますが、白菜やシイタケは使いません。

秋田市内にも「きりたんぽ鍋」を提供するお店がたくさんありますが、今回は秋田市山王(さんのう)にある、郷土料理「芝良久(しばらく)山王店」で、今シーズン初の「きりたんぽ鍋」とお酒を美味しく頂いてきました。(齋藤文信)
きりたんぽ鍋の材料。手作りの「きりたんぽ」です。

●芝良久 山王店
秋田県秋田市山王1丁目2-17
TEL:018-865-4809 FAX:018-865-4822

http://shibaraku.net/

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2008年10月10日 (金)

【秋田】イチゴの旬は夏や秋?

Fraise1 イチゴの旬はいつ頃でしょうか。12月や1月と思う方が多いでしょうか。イチゴは30年位前まで、4~6月頃の限られた時期に流通していました。しかし、現在では、ハウス栽培の普及や花を早く咲かせる育苗技術の進歩により11月~翌年5月頃まで収穫するようになりました。この時期のイチゴを「冬春どりイチゴ」と呼び、産地も北海道から沖縄まで各地にあります。生産量は年間約19万トン、面積では約6800ヘクタールとなっています。
写真右:秋田県内で10月に赤く実ったイチゴ。このまま頂きたいです。

一方で「夏秋どりイチゴ」と呼ばれる、6~11月に収穫されるイチゴがあります。面積はわずか100ヘクタール、収穫量では1500トン程度と言われ、非常に少ないです。普通、イチゴは涼しくなければ花ができず、実ができません。産地は夏でも冷涼な北海道、東北や長野の高冷地など、限られた地域です。私の住む秋田県は、隠れたイチゴ産地で、今年の6~7月に東京都中央卸売市場に入荷したイチゴ(輸入品も含む)のうち、約40%が秋田産のイチゴでした。

Fraise2夏や秋にイチゴなんて見たことないと思うかもしれませんが、洋菓子業界では季節を問わずイチゴを使ったケーキが必要で、一年中イチゴ扱っています。もちろん、わずか1500トンの国産イチゴだけでは足りないため、カリフォルニアなどから約5000トン輸入しています。各地の研究機関では、国産の夏秋どりイチゴを増やすために新品種の開発や栽培法の研究を続けています。(齋藤文信)
左はケーキ店で使われるイチゴ。1粒ずつくぼみのあるトレーに入れて出荷されています。

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2008年9月17日 (水)

【秋田】名水百選から生まれた地サイダー

Rokugouyuusui_2 先日のTPIPPA通信秋田の海・山の恵みを堪能でご紹介いただいた、「仁手古(にてこ)サイダー」。最近「地サイダーブーム」といわれていますが、この仁手古サイダーの歴史は古く、100年以上に渡る伝統を誇ります。
 仁手古サイダーが作られている秋田県仙北郡美郷町(みさとちょう)は、秋田県のほぼ中央にあります。この美郷町の中にある六郷(ろくごう)地区は、古くから「百清水」と呼ばれるほど無数の湧水に恵まれた土地です。現在では「六郷湧水群」として60カ所以上の湧水が保全されています。
この湧水群は、昭和60年に環境庁(当時)の「名水百選」に認定され、最近では7月19日付「日経PLUS1」の特集記事で、昭和の名水百選の第4位にランクインしています。

「六郷湧水群:御台所清水」町にはこのような湧水池がいくつもあり、生活用水になっています(スイカを冷やすことも)。

Nitekopomme_2以前は豊富な湧水を生かしていくつかのサイダー工場があったそうですが、大手メーカーのサイダーに押され、今ではこの仁手古サイダーだけになっています。仁手古サイダーは、数ある六郷湧水群の中で、最も湧水量が多いとされているニテコ清水の湧き水を使った地サイダーです。「水」本来のうまさを引き出すため、柔らかな甘さと、まろやかな炭酸で仕上げています。
 六郷地区にある酒店などの商店で、冷えたものを購入すると、「すぐお飲みになりますか」と声をかけてくれます。昔ながらの王冠で栓がしてあるので、栓抜きがないと飲めないからです。(齋藤文信)
「仁手古サイダーリンゴ」
糖類と秋田県産リンゴ果汁、炭酸で仕上げた優しい味です。こちらもオススメ。

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2008年8月18日 (月)

【秋田】 桃太郎ばかりがトマトじゃない

Sicilianrouge2 夏を代表する野菜の1つであるトマト。トマトの品種と言えば「桃太郎」が有名です。1981年に誕生した「桃太郎」ですが、現在ではハウス栽培に適した「ハウス桃太郎」などそれぞれ特徴の違う15品種以上の「桃太郎」シリーズで構成され、トマトのトップブランドの地位を確立しています。

このようなトマトの世界ですが、最近では「桃太郎」以外の品種も増えてきています。ここ秋田県でも「桃太郎」以外のトマト栽培に取り組んでいます。なかでも県内有数のトマト産地である横手市では、調理用トマト「シシリアンルージュ」の栽培を推進しています。横手市が運営する実験農場では農家の方に苗を供給すると共に、県の農業試験場と共同で、地域内有機資源(堆肥)を活用した栽培方法、特にこのトマトの美味しさをより引き出すため、施肥量(投入する堆肥の量)とビタミンや美味しさに関わる成分の関係について研究を行っています。

Sicilianrouge1_2 「シシリアンルージュ」は、イタリア・シシリア島南部で育種された新しいトマト品種で、イタリア生まれのトマトにふさわしくパスタなどと非常に相性の良いトマトです。日本には2005年に導入されたと言われています。現在、全国各地で栽培されていますが、導入されて間もないことから生産量が少ない状況です。横手産「シシリアンルージュ」は市内のお店のほか、東京方面にも出荷されています。(齋藤文信)

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2008年7月11日 (金)

【秋田】 「カキフライはじめました」

普通、牡蠣の旬はいつかと聞かれると、秋から冬にかけてと答えることが多いと思います。特に英語圏では“June”(6月)や“August”(8月)など、“r”の付かない月(5~8月)は食べないといわれています。これは「真牡蠣」のことで、夏に旬を迎える「岩牡蠣」というものがあります。そして真牡蠣の多くは養殖ですが、ほとんどの岩牡蠣は天然物です。

Photo_9 ここ秋田でも天然岩牡蠣の素潜り漁が、7月3日に県内有数の産地、にかほ市の象潟(きさかた)地域と金浦(このうら)地域(両方とも難読地名ですね)で解禁されました。漁師の方たちは水深5~10メートルの海に潜り、水揚げします。素潜り漁ですので、天候が悪ければ漁には出られません。また資源保護のため、漁獲量を1日1人200個までと自主規制しているので、流通量には限りがあり、貴重な食材の1つになっています。和食店でレモンを添えて生牡蠣としていただくのはもちろんのこと、岩牡蠣を使ったカキフライを提供するとんかつ店も人気です。

市場にて。殻を剥くのは大変ですが店の人に頼めば剥いてくれます(その場でいただくこともできます)。産地ならではの楽しみです。

Photo_5おいしさの秘密は山にあり。
象潟地域と金浦地域は鳥海山からの伏流水が豊富な地区でもあります。この鳥海山にはブナの原生林など豊かな森林が広がっています。ブナの落ち葉などから溶け出した栄養分が浸透し地中のミネラルをたっぷりと含む伏流水となっていくことで、岩牡蠣のエサとなるプランクトンを豊かにし、おいしい岩牡蠣を育てています。(齋藤文信)

↑真牡蠣に比べると大粒なものが多いです。このくらいの大きさになるまで4~5年かかると言われています。

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2008年6月18日 (水)

【秋田】 旬を迎えた秋田の特産品「じゅんさい」

Photo じゅんさいは、きれいな水の池や沼に生育するスイレン科ジュンサイ属の水草で、スイレンなどと同じように葉を水面に浮かべる水草です。米どころ秋田では自然沼のほか、休耕田と白神山地水系からの豊富な水を利用した人工沼による栽培も盛んで、秋田県山本郡三種町が日本一のじゅんさい産地(全国収穫量の80%以上が三種町産)となっています。5月~8月が旬で、じゅんさい沼に小舟を浮かべた摘み取り風景は、初夏の風物詩となっています。最近は「摘み取り体験」ができる場所も増えているので、週末に行ってきました。

Photo_3 食用となるのは、まだ葉が開ききっていない水中の若芽や若葉で、寒天のようなヌルヌルしたゼリー状物質に覆われているのが特徴です。じゅんさいにはミネラルのほか、食物繊維が含まれ、低カロリー(100g当たり5kcal)食品として、酢の物やお吸い物など和食を中心にさまざまな料理に使われています。ちなみに、秋田県外出身の私がじゅんさいを初めて食べたのは、銀座のステーキ店のコンソメスープの浮き実として(都会らしい食べ方です)で、そのときには海草だと思っていました。

地元では「じゅんさい鍋」を新たな食べ方としてPRしています。じゅんさい鍋については、このページをご覧下さい。(齋藤文信)
http://shoko.skr-akita.or.jp/yamamoto/junsai/index.html  (外部リンク)

写真上:小舟で水中にあるじゅんさいを摘み取ります。上手な人だと1日に30~40kg摘み取ります。写真下:とれたての生じゅんさいです。飲食店では小さな芽葉が数個程度入ったものが出されますが、産地では大きめのものも頂きます。

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齋藤文信:子供の頃は少食な食いしん坊。今は農林水産系研究機関の研究員。食べることを楽しむことはもちろんのこと、食べ物について、見たり聞いたり話したりすることが大好きです。でもグルメではありません。「農場から食卓、食卓から農場を考える」がモットーです。
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