2013年3月21日 (木)

【東京】ベトナムおやつ屋台村

読者アンバサダーの和田です。

『料理通信』4月号『 「シェア」する店の作り方 』表紙のお店、江古田「ヘム」で開催されたイベント「ベトナムおやつ屋台村」に参加してきました!今回の主役は、ベトナム料理ユニット「チェーカフェ」の御三方です。

01
写真右から、鈴木珠美さん(西麻布「kitchen」、東京現代美術館「カフェ・ハイ」店主)、足立由美子さん(江古田「マイマイ」「ヘム」店主)、伊藤忍さん(ベトナム料理研究家、ベトナム料理教室「An Com」主宰)。

もう、ベトナム料理好きにはたまらない、すごいメンバーでしょ?

彼女たちがベトナム各地方の「おやつ」をそれぞれ担当。参加者はベトナムの市場みたいな「ヘム」の空間で次々「おやつ」を味わえる、なんともゴージャスな趣向です。それでは、当日の「おやつ」をご紹介しましょう。

02
上の写真・左上は、鈴木珠美さん担当の北部のおやつ「鶏のもち米酒煮込みスープの米麺」。

ベトナム北部ハノイの「もち米酒の鍋」をアレンジしたスープでいただくブン(米麺)で、ベトナムのもち米焼酎「ネップモイ」と甘酒が使われています。ネップモイのナッティーな香ばしさと、麹の優しい甘味がかさなり、どこかほっとするような美味しさに仕上がっていました。

右上は、伊藤忍さん担当の中部のおやつ「ホイアン風チキンライス」。

中国の影響をうけたチキンライスはシンガポールやタイなど東南アジア全土に広く存在しますが、ベトナム中部ホイアン風はターメリックと一緒に炊いた黄色いライスが特徴的。ハーブや野菜と混ぜ混ぜして、ヌックマム、鶏スープ、そしてホイアンの豆板醤(ちょっと甘くて、かなり辛い!)で各自好みの味に仕立てていただきます。

左下は、足立由美子さん担当の南部のおやつ「ベトナムバゲットサンド」。

おなじみバインミー!南部のバインミーはタレにこだわるんだとか。今回はさんであった具はレモングラス風味の豚つくね。ヌックマムほかの調味料でしっかり味のついたつくねは、食べ応えばっちりでした。

右下は、おなじく足立さんの「白豆ともち米のココナッツミルク風味のチェー」。

「チェーカフェ」イベントのシメは、やっぱりコレだよね!というわけで、ベトナムを代表するスイーツ「チェー」の登場です。やわらかいもち米とココナッツミルクのかもし出すまったり感がクセになりそう。

チェーは、屋外に設置された雰囲気満点の屋台から運ばれてきました。

03

ベトナムらしいディテールへのこだわりは、さすが!

『料理通信』4月号で詳細にリポートされていますが、「ヘム」は敷地に3個のコンテナを設置し、それぞれ麺の屋台、ご飯ものの屋台、スナック&ドリンクの屋台として営業するという、常識やぶりのスタイル。でも、このあり得ない形式が、これまで体験したことのない活気あるムードを作り上げていて、すっごく楽しいんです!

この感覚、やっぱりアジアの市場に似てますね。3月にしてはかなり暖かった当日は、屋外のテーブルと椅子で食事している人もおり、さらに面白い空間に感じました。こういうイベントにも最高のスペースだと思います。

最後に追加注文した練乳入りの濃厚なベトナムコーヒーを味わいながら、伊藤忍さんにお聞きしたベトナム料理のお話にも興味津々。たとえば、おなじみのフォー。実はこれ、フランスの影響で生まれた麺で、意外なことに伝統的な料理ではないそうです。・・・などなど、なんだかコの字型のカウンターに座って先生を囲む生徒たちの気分で、さながらベトナム食文化の講座みたいでした。

さらなるオモシロ企画も用意されているという、江古田「ヘム」。
誰もやらなかったような「場づくり」で、また驚かせてください!
(『料理通信』読者アンバサダー・和田和己)

◎ベトナム料理ユニット「チェーカフェ」
    http://checaphe.exblog.jp/
◎江古田「ヘム」「マイマイ」
    http://www.ecoda.jp/
◎ベトナム料理教室「an com」
    http://www.vietnamfoodnet.com/
◎西麻布「Kitchen」
    http://www.fc-arr.com/site/kitchen.html

| | トラックバック (0)

2013年2月20日 (水)

日本のスローフード活動

東京のアンバサダー今井晴子です。イタリア発祥の「スローフード」、日本でも公式の支部があることをご存知でしょうか。スローフード協会とは地域の伝統食や環境への配慮、生産者に公正な評価を行う活動を中心とした国際的なNPO団体です。味覚教育や希少食材の保護活動なども行っています。1989年の設立以来世界中へと広まり現在132ヶ国、支部(コンヴィヴィウム)の総数は1300を超えると言われています。

12月10日。この日はスローフード協会発足記念日「テッラマードレデー」です。毎年各地の支部では食を通じながら、その持続可能な在り方について語り合うイベントが行われます。スローフードジャパン「すぎなみTOKYO」では交流会や情報発信を積極的に行っている「ソーシャルラウンジAJITO」にてイベントを開催。「美食と共に生産者と語らう夕べ」と称し豚肉とさつまいもの食べ比べを行いました。
01
豚肉は林 寛康さんの生産する「林SPF豚」からロース、フィレなど5つの部位を。さつまいもは内山研一さんの生産する「紅あずま」「紅はるか」「紅まさり」の3種類です。安全性とおいしさを重視した養豚について、また、さつまいもの出荷時期とおいしさの関係など貴重なお話を伺いつつ、一同試食に入ります。味や触感の違いを話し合ったり、生産者の方に質問したりと会場はとたんに賑やかに。生産者と消費者が直接交流するのも、スローフードならではの活動です。

そして深まる会話の中で「つながり」という言葉が多く発せられました。生産者と消費者、親と子、そして現代から未来へ。持続可能な食環境を守るスローフードには人と人とのつながりが不可欠です。食について知りたい人、そして伝える人を「つなげる」ことの大切さを改めて実感したイベントでもありました。

02
社会の中で人のつながりが薄れがちな日本において、人と人がつながる場所、機会を積極的に作っていくことは、日本におけるスローフードの一つのキーワードになるのかもしれません。ご興味のある方は是非、お近くのスローフード支部のイベントに参加してみてはいかがでしょうか。食についてより深い「つながり」が得られると思います。

スローフードジャパン副会長の林俊弥さんが代表を務める「スローフードすぎなみTOKYO」では、食に関する様々なイベントが企画されています。詳しくはHPをご覧ください!

スローフードすぎなみTOKYO 
http://www.slowfood-suginami.net/

| | トラックバック (0)

2012年5月31日 (木)

【東京】カレー&スパイス伝道師

読者アンバサダーの和田です。実はボク、カレー&スパイス伝道師ことインド料理研究家・渡辺玲さんのファンなんです。

01_3

渡辺玲さん。クッキングスタジオ「サザンスパイス」の厨房で。

本格インドカレーが一般化し、「やっぱりカレーはナンで食べなきゃね」という認識が完全定着したところに、「いやいや、南インドではライスが主流。カレーも南は北と異なり、あっさりヘルシーで油もひかえめ。さらに、南インドにはドーサなど、主に米粉や豆粉で作られる『ティファン』なる軽食類も多種存在。とにかく、インドという国は広大で、それぞれ地方ごとに多様な食のスタイルがあって、日本人の想像を超えるバリエーション豊富な料理世界が広がっているのだ」ということを教えてくれたのが渡辺玲さんでした。

ついでにボクなんて渡辺さんの著作を片手に、インド各地をさすらってしまったほどです。

そんな渡辺玲さん自らが作る料理をじっくり味わえる稀有な機会が、西荻窪のクッキングスタジオ「サザンスパイス」で開催されるプライベートディナー。ふだんは渡辺さんの料理教室が行われているこのスペースで、有志の依頼に応じて開かれる会食形式のインド料理レッスンです。

さて、ボクが参加した、某日のプライベートディナーの料理を紹介しましょう。

02
「ラジマチャット」。ラジマ(キドニービーンズ)をチャットマサラ(マンゴーパウダーなどが入ったミックススパイス)で味付けした酸味のあるサラダ。

03

「アワルウプマ」。お米をぺったんこにつぶした押し米のアワルを、ウプマと呼ばれる炒り蒸しに仕立てた南インドのティファン(右)。南インドの定番カレーであるサンバル(奥)や、コリアンダーのチャトニ(左)と一緒にいただきます。

04
「ロマネスコの南インド風ガーリック・ペパー炒め」。にんにく、ブラックペッパー、カレーリーフ、マスタードシードなどを使った南インド風の野菜炒め。現地ではカリフラワーが一般的ですが、ここではロマネスコを使って、オリジナルなニュアンスで。

ほかにも、卵のポリヤル、メカジキのスパイス焼き、鶏レバーのスパイス炒め、南インド風チキンカレー、キドニービーンズのマサラ、オクラのサブジ、ジャガイモの辛い炒めもの、キドニービーンズのスンダル…といった具合に、もう惜しみなく繰り出されるスパイシーな美味、美味、美味…。食べきれないぶんはジップロックで参加者各自持ち帰りました。しかも後日、料理の詳細なレシピが渡辺さんから届くアフターサービスまで!

渡辺さんの著書や料理教室でレシピを学び、スパイスを集めて料理すると、誰でも簡単にそれらしい味を作り出せてしまうのもビックリしますが、やっぱり、渡辺さんご本人の料理は全然違います(当然ですが)。コントロールされたスパイス使いは的確で、表情豊か、繊細、といった印象なのです。

クミン、チリ、コリアンダー、マスタードシード、ターメリックなどなど数々のスパイスを、ホールで、パウダーで、炒って、油で熱して、焦がして、混ぜて…様々な調理法でマトリックスのごとく組み合わせることにより無限のニュアンスが生まれる。この、舌上のマンダラを自在にあやつって、スパイスのミラクルをボクたちに教えてくれるのが伝道師・渡辺さんなのです。

う~ん、インド料理はやめられない!

(『料理通信』読者アンバサダー 和田和己)

------------------------------------------------------------------
●カレー&スパイス伝道師ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/akirawatanabe2191960

●誰も知らないインドカレー
http://www5e.biglobe.ne.jp/~masala/

●クッキングスタジオ「サザンスパイス」
http://southern-spice.com/
------------------------------------------------------------------

Fin

| | トラックバック (0)

2012年1月24日 (火)

【東京】日本初のお弁当屋「弁松」

読者アンバサダーの草薙です。今回は日本橋にまつわる話題を。と言っても、地名ではなく、まさにあの「橋」。2011年は日本橋架橋100周年でした。

橋のある中央区では至る所で100周年を祝うイベントが開催されていましたが、中でも私のハートを鷲掴みしたのは、「弁松」から発売された日本橋架橋100周年記念弁当「百寿」。中身もパッケージも特別仕様のお弁当で、値段もセンスの効いた1911円!! これは買わずにいられません。

01
江戸時代の終りに日本橋東河岸で初代が開いた食事所「樋口屋」。忙しい客のために、食べきれずに残した食事を竹皮に包んで持たせたところそれが評判に。三代目の松次郎は食事所をたたみ、日本初の折詰料理専門店を1850年に開業します。弁当屋の松次郎、略して「弁松」と呼ばれていたのがそのまま屋号に。本店のシャッターは浮世絵が豪華!

02
そうして今は八代目。創業当時からの濃ゆい味付けを守り続けています。八代目のコレクションである、日本橋を描いたハガキでデザインされたパッケージの記念弁当「百寿」。ふたを開けるとイラストで描かれた100年前の日本橋が飛び出してきます。大人も子どもも楽しめる何ともポップな仕掛けにセンスを感じます。

03
中身は甘辛で濃厚な味付けの野菜の甘煮(うまに)、出汁の効いた卵焼き、百人一首にも歌われたタコの桜煮、弁松スイーツの豆きんとんなど、弁松のお惣菜のほぼ全てを味わえるラインナップ。そしてご飯はおめでたい紅白おにぎりという、箱も中身も目も楽しめる豪華な一折。

私の中で弁松と言えばお赤飯のお店であり、お惣菜を味わって食べたのは初めてでしたが、改めて江戸から続く“甘辛”で“濃ゆい”味つけを満喫しました。

ヘルシーで薄味嗜好の今の時代にあえて真逆を貫く姿勢は見事です。確かにどれも甘くて濃い。でも癖になる。この味付けじゃないとダメという常連が多いのもうなずけます。常連さんが100歳のお祝いにまとめ買いするというおめでたい話もあったようです。歴史を、感じますね。
(『料理通信』読者アンバサダー 草薙清子)

---------------------------------------------------------------
【ブログ、必見です】
「弁松」さんのブログを発見。これがまた、どうにもこうにもユニークなんです。老舗なのにこのユルさ! 営業Cと共に胸を打たれ、二人で“お気に入り”に登録しました。素敵な八代目だなぁ。 (管理人)
「弁松かわら版」→ 
http://benmatsu.seesaa.net/
---------------------------------------------------------------
Fin

| | トラックバック (0)

2012年1月 4日 (水)

【東京】渋谷にある「ブルターニュ」

突然ですが、みなさんクイズです。下の写真のオリーブに刺さっているのは、何の旗だかご存知ですか? ガレットやクレープをはじめ、ゲランドの塩、有塩バター、塩キャラメル、シードル、オマール海老や牡蠣などの海産物で知られる、フランスの北西部といえば……。

01_3
そう、答はブルターニュ。モノトーンの地方旗は、現地のブルトン語で“Gwenn Ha Du”(グウェン・ア・デュ)=「白と黒」と呼ばれるそうです。

今回ご紹介するのは、渋谷・松涛のクレープリー「ティ・ロランド」。ガレット&クレープの専門店だけあり、ブルターニュ文化に対する並々ならぬこだわりを感じます。まず、エントランスの看板がブルターニュの旗をモチーフにしたデザイン。

02_3
店名の“Ti”はブルトン語の「家」。フランス語なら“Chez”。つまり「ロランドさんの家」の意味。白黒ストライプと、動物の白テンを表す「エルミン」と呼ばれる紋章は、ブルターニュ地方を旅していると何度も目にするおなじみの図案です。

生地には、そば粉と塩、水しか使われていません。卵などを入れる店もありますが、そば粉の風味を最大限に活かすにはシンプルがいちばん。ただ、シンプルであるほど、そば粉の質が問われます。お店では、日本産のそば粉を二種類ブレンドして使用。最終的にそば粉のブレンドをジャッジするのは、お店のクレピエであるジャン・ポールさんが修行したパリのクレープリー“Ti Jos”のロランド夫人だそうです。

04
上の写真は、フォアグラ、生ハム、洋梨のソテー、ポーチドエッグ、マンゴーのピュレが添えられたゴージャスな2011年クリスマス・ガレット。いただいたのは、お店で開催されたケルティック・クリスマス・コンサートの日でした。演奏はKAAZ Celtique(カーズ・セルティック)。手前から、山根京子さん(キーボード)、山根篤さん(バグパイプ)、大竹奏さん(フィドル)。

05
KAAZ Celtiqueはバグパイプを中心としたケルト音楽のグループ。そう、フランスのブルターニュは、アイルランドやスコットランドに連なるケルト文化の地であり、音楽にはそれが強く反映されています。

ちなみに、最近多くの日本人が耳にした意外なブルターニュ・ミュージックは、ジブリの「借りぐらしのアリエッティ」主題歌かもしれません。歌とハープのセシル・コルベルさんは生粋のブルトン人で、ブルターニュ西部の街、カンペールのレーベル“Keltia Musique”からアルバムをリリースしています。KAAZ Celtiqueも共演したことがあるそうです。

この日は、スコットランド、ブルターニュ、クリスマスソングなど織り交ぜての演奏でしたが、ハイライトはお客さん全員参加のブルターニュ・ダンス! みんなで大いに盛り上がりました!

ブルターニュ色を強く打ち出し、お店のアイコンやインテリアも「白と黒」のモノトーンを基調に、ぐっと大人向けのクレープリーを作り上げたのは、店主の服部さんです。

08
もともとホテルやレストラン、航空会社向けのテーブルウェア・プロデュースの仕事をされていたとのことで、店のインテリアや、アティテュードまで含め一貫したスタイルを感じてしまうのは、前職で培われたセンスが関係しているのかな、と想像したりします。

2010年にオープンし、いきなり翌年に震災を体験。店のコンセプトがなかなか理解されないケースもあるそうですが、それでも初志をつらぬく服部さんの姿勢に、ボクはすごく共感しています。

渋谷の小さなブルターニュ。いつも気になるお店です。
(『料理通信』読者アンバサダー 和田和己)

クレープリー ティ・ロランド
http://ti-rolande.com/
http://www.facebook.com/pages/Creperie-Ti-Rolande/135389039899601
東京都渋谷区松涛1-28-11
TEL:03-5456-8177
11:30~21:30(L.O.) 月曜定休

---------------------------------------------------------------
【今年も1年よろしくお願いいたします】

明けましておめでとうございます。全国各地の食情報をお届けする「ニッポン列島食だより」。今年も緩やかに更新してまいります。たまにプレゼント企画を織り交ぜてみたり! 今年も1年、お付き合いのほどどうぞよろしくお願い申し上げます。(管理人)
---------------------------------------------------------------


Fin

| | トラックバック (0)

2011年11月11日 (金)

【東京】ファーストクラスのコーヒー

「機内でコーヒーはお飲みになりますか?」。いきなり直球の質問を投げてきたのは、客室乗務員の柳瀬さん。「これまで珈琲の味に関しては、おいしくないというお言葉をかなりいただいておりました」

01_2写真は、客室業務員の柳瀬さん(粗くてごめんなさい!)

東京のアンバサダー、草薙です。私は飛行機でコーヒーを飲んだことがありません。冒頭のとおり、機内のそれはおいしくないというイメージを持っていました。ですが、このコーヒーなら飲んでもいいかも! というサービスがスタートしました。

それが、「JAL  CAFE  LINES」

『料理通信』の皆さんにもおなじみのコーヒーハンターの川島良彰さんと、コーヒーの焙煎・抽出の第一人者として知られる石脇智弘さんをアドバイザーに迎えて始まったJALの新しいコーヒーサービスです。

02
機内で本当においしいコーヒーを飲みたい、そう思い続けていた川島さんの協力の下、世界最高峰のJALオリジナルコーヒーの開発が行われたとのこと。国際線、国内線、全てのクラスで提供されるオリジナルコーヒーが完成しました。

某競合他社は、シアトルのコーヒーチェーンのコーヒーを有料で提供していますが、「JAL  CAFE  LINES」ではすべて無料。「皆様に助けていただいて再生することができたので」とのことです。

8月25日から9月7日の2週間、日本橋「WIRED CAFE NEWS」で二週間だけこのコーヒーを飲めるイベントが行われていました。目指すはもちろん、国際線ファーストクラス用1200円のもの。

入口で客室乗務員が出迎えてくれ、サービスも担当してくださる。私が行った日は前出の柳瀬さん。交代で現役客室乗務員が期間内のサービスを担当していました。(一生乗ることがないであろう……)ファーストクラスのコーヒーはボダムのフレンチプレスのポットでサーブ。器も砂時計も全て機内で使われる物を使って。おもしろい形のカップは、機内でもしっかり持ちやすそう。

03
ブラックとミルク入り(ちゃんとスチームミルクが付きました)を飲み比べたところ、かなりの量を入れてもミルクの味に全く負けない力強い味。コーヒー好きにはたまらないでしょう。しかも機内ではおかわり自由なんですよ!

国内線500万杯、国際線1000万杯のすべてが、「JAL  CAFE  LINES」に変わっています。飛行機の旅に出る楽しみが増えたというものです。
(『料理通信』読者アンバサダー 草薙清子)

「JAL  CAFE  LINES」
http://www.jal.co.jp/inflight/dom/drink/coffee/

---------------------------------------------------------------
【読者プレゼント】

写真のセット(↓)を、ブログ読者の方1名様にプレゼントいたします。ad@r-tsushin.com までご連絡ください。タイトルは「JALのコーヒー欲しい!」でお願いします。締切は、2011年11月13日(日)です。すぐですよ~。そのほか、なんやかんやとおまけも付くかもしれません。

04_3
付かないかも、しれません。(管理人)
---------------------------------------------------------------
Fin02_2

| | トラックバック (0)

2011年10月21日 (金)

【東京】馬場の新名物?「トーフー」

こんにちは。東京の読者アンバサダー和田です。愛すべき我が街、高田馬場からお届けします!

学生街、高田馬場は庶民的な美味の宝庫。『料理通信』読者の皆さんなら、現在発売中の11月号<東京バル―レシピ集>に登場する『vivo daily stand』『タカダノバル』などで高田馬場の街を記憶しているかも。予約の取れない人気ビストロ『ラミティエ』なんかも、気軽だけれどおいしい、馬場らしい名店ですね。2010年10月号、“『ラミティエ』に学ぶメンテナンス&掃除術”』をご紹介しています! :管理人)

さらに高田馬場はエスニック料理店も豊富で、特筆すべきは国内でも珍しいミャンマータウンであること。90年代ごろ、西武新宿線の中井駅周辺に存在したミャンマー人コミュニティが徐々に移動し、現在では駅周辺に10数軒のミャンマーレストラン、ミャンマー食材店などが営業しています。

さて、このミャンマータウンで、ぜひオススメしたいのが「トーフー」料理。

「トーフー」とは、ひよこ豆から作るミャンマー東部シャン州の郷土料理。トーフー・カオソイは、幅広の米麺をピュレ状のクリーミーなトーフーにからめて食べるもので、エスニックなクリーム・フェットチーネ、といった感じでしょうか。ボクは大好物です。

01_2高田馬場のミャンマー・シャン料理レストラン『マイソンカー』のトーフー・カオソイ。下に隠れている幅広の米麺とトーフーをまぜて食べる。

ほかには、ピュレ状のトーフーを固めて、まさに豆腐のようにして食べる「トーフ・ガッ」。見た目も日本の冷奴みたいで、これを和え物にした料理もあります。

02『マイソンカー』のトーフ・ガッ。

お次は「トーフー・トウ」。固めたトーフーのスライスを唐辛子、油、魚醤、ごま、パクチー、酸っぱい漬物などで和えて食べるものです。日本の豆腐というよりは、韓国の「ムク」を思い出す食感。

03シャン地方の料理を提供する『ノング・インレイ』のトーフー・トウ。

固めたトーフーを揚げた料理が「トーフー・ジョー」。外はカリッ、中はトロッ。チリソースにつけて食べるとおいしい。ビールのつまみにピッタリ!

04 『ノング・インレイ』のトーフー・ジョー。

おそらく日本では、ここ高田馬場でしか食べられないミャンマー・シャン州のトーフー料理。せっかくなので、作り方を『ノング・インレイ』のサイセンさんにお聞きしました。サイセンさんのうしろの絵画は店名にもなっているシャン州の名所、インレー湖の風景です。

05

---------------------------------------------------------------
サイセン直伝! 「ト
ーフー」の作り方
---------------------------------------------------------------

(1) ひよこ豆を一晩水につけて、ミキサーにかける。

(2) 1を、豆乳とおからを分けるような感覚で、上澄み液と沈殿物に分ける。

(3) 上澄み液を火にかけながら、沈殿物を少しずつ混ぜ合わせ、とろみのあるペースト状に。この段階の凝固していないトーフーが「トーフー・カオソイ」に使われる。


(4) 3
を容器に入れて冷蔵庫で冷やし固めると「トーフー・ガッ」や、「トーフー・トウ」に使われる固形トーフーの出来あがり。にがりのような凝固剤は必要なく、そのままで固まるそうです。

---------------------------------------------------------------

ぜひ、『料理通信』10月号掲載「豆とハーブとスパイスと」特集と併せてお楽しみください。最後に……、豆好き男子のボクが勝手に認定! 「トーフー」料理は高田馬場の新名物です!!!
(『料理通信』読者アンバサダー・和田和己)

●『ノング・インレイ』
東京都新宿区高田馬場2-19-7 TAK11 1F
TEL:03-5273-5774
11:30~23:30 年中無休

●『マイソンカー』
東京都新宿区高田馬場3-12-1 タイリクビル 2F
TEL:03-3367-6535
11:00~23:30 月曜休

---------------------------------------------------------------
【お詫び】

和田さんから原稿をいただいたのが、9月
……。『料理通信』10月号でご紹介した“豆好き男子”と絡めてUPする予定だったのに、すっかり遅くなりました。ごめんなさい! でも、再び「豆」熱が上がってきましたよー。(管理人:新人A)
---------------------------------------------------------------
Fin_2

| | トラックバック (0)

2011年9月26日 (月)

【東京】目黒のさんまで何を思う?

東京のアンバサダー、草薙です。「目黒のさんま」と聞いて思うのは、落語? それともサンマ祭り? どっちを選ぶかで、食いしん坊ぶりがわかります。

先日、JR目黒駅前で開かれた、毎年恒例の「目黒のさんま祭り」に行ってきました。岩手県宮古市から送られた約7000匹のサンマが参加者に振る舞われ、新鮮な秋の味覚を味わいました。

01_2↑頭にサンマが!

サンマに添えられるのは、日本一の産地、徳島県神山町のすだち、栃木県那須塩原市高林の辛味大根。そしてサンマを焼く炭は、和歌山県みなべ町の備長炭。おいしくないはずがありません。この日は、午前3時半から並んでいた人もいたとのこと。参加者も、サンマにかける意気込みが違います。

02↑お顔にご注目。火事のような煙のため、ゴーグル無しでは焼けません。

今年のテーマは「がんばれ! 宮古」。宮古市は第4回目から無償でサンマを提供していました。第16回目となる今年、震災の影響を受けつつも、昨年とほぼ同数が目黒に届けられたとのこと。さんま祭りは、宮古市の漁業復興のアピールにもなったのではないでしょうか。

03_2 ↑はるばる宮古から今日のために駆けつけた皆さん。

落語「目黒のさんま」を聞きたい人には、会場の中心となる「誕生八幡神社」にて落語会も開催されていました。こちらももちろん木戸無料。整理券の行列は、炭焼きサンマに負けていません。数ある八幡神社でも、「誕生」と付くのはこの誕生八幡神社だけで、その名の通り、安産の神様です。

境内には、これまた不思議な名前の「重箱稲荷神社」も祀られて、こちらはなんと重箱の神様。お弁当屋さんが商売繁盛の祈願に訪れることで有名な神社だそうです。

気になったのが各地の物産展ブースで、徳島県神山町のブース「すだちつかみ取り2回100円」には目が釘付け。もちろん、列に並びました。両手で2回の掴み取り、おまけも入れてくれて、ビニール袋一つ分。量ってみると、800グラムを超えていました。その晩はあらゆる料理にすだちを絞って堪能しました。

04↑かなりお得! 「すだちのつかみ取り」 

この日食べたサンマは、今年の初物。来年もおいしく宮古市のサンマが食べられることを、(すだちハイボールを飲みつつ)願いました。
(『料理通信』読者アンバサダー 草薙清子)

| | トラックバック (0)

2011年8月27日 (土)

【東京】信州食材meetsタイ料理!

東京の読者アンバサダー、和田です。先日、日本の各地方の食材とタイ料理をコラボさせるイベント「ヤム! ヤム! ソウルスープキッチン」に参加してきました。今回のテーマは長野県。東銀座の会場は、定員の50名をオーバーする参加者で大盛況でした。

長野の生産者の方々から届いたフレッシュな食材を夏にぴったりのスパイシーなタイ料理に変身させるシェフは、諏訪出身のフードコーディネーターで恵比寿のタイ料理店「coci」にも所属する両角舞さん。

01_6
↑東京のタイ料理店に勤めたご経験もある主催の西田さん(右)と、料理もルックスも優しげな長野県諏訪市出身の両角シェフ(左)。

たんに信州食材でタイ料理を作るのではなく、レシピには小気味良いアイデアがたっぷり。たとえば…、木島平村産ズッキーニで作ったタイ風サラダ「ソムタム」。

02_8 
ソムタムはタイ東北地方を中心に食べられる定番料理で、未熟パパイヤの千切りを使います。両角流では、それをズッキーニに置き換えたレシピに。さらに千切り野菜と酸味の連想から、北信地方の郷土料理「いもなます」の要素をプラスして、じゃがいもも入っています。

お次は、軽井沢産ルバーブのコンポートとココナッツミルク味のもち米を合わせたデザート「カオニャオ・ルバーブ」。

03_2
「カオニャオ」とはタイ語でもち米のこと。本場ではマンゴーと合わせた「カオニャオ・マムワン」やドリアンと合わせた「カオニャオ・トゥリアン」が定番です。ぽてっと甘いココナッツミルク味のもち米に酸っぱいルバーブ、さらにジューシーな巨峰が爽やかなアクセント。

ほかにも、信州サーモンと信州ソバを巻いた生春巻き、信州みゆき豚のタイ東北風ひき肉サラダ「ラープ・ムー」、信州の夏野菜を信州味噌のタイ風タレにつけていただく「ナムプリック」などなど、信州とタイのフュージョンをたっぷり堪能。

タイと日本はともに米食文化としての共通項があるし、ナンプラーと秋田の「しょっつる」や石川の「いしり」が同じ魚醤であるように発酵調味料の食文化も共有しています。日本の食材でタイ料理を表現することには、きっと無限大の可能性があるはず。

そうそう、楽しいイベントにはお酒も欠かせません。

04
↑「神渡」蔵元の方と、タイ料理と出会うのを待つ信州銘酒たち。

長野の「神渡」や「御湖鶴」、タイワインの「モンスーン・ヴァレー」、タイビールの「シンハー」などが飲み放題で、ついつい大酔っ払いになってしまったボクは、初対面の参加者の方々と軽口たたき合うほどリラックスして盛り上がってしまったのです。これも陽気なタイマジックのなせるワザでしょうか?

アロイマーク! サヌックマーク!(美味しかった! 楽しかった!)
(『料理通信』読者アンバサダー・和田和己)

●Yum! Yam! SOUL SOUP KITCHEN
http://yumyam47.com
http://www.facebook.com/yumyam47

----------------------------------------------------------------
【編集Hと日本酒】
和食以外の料理と日本酒を合わせると新しい発見がある! というのを、ブログ『TRIPPA通信』でもご紹介しています。編集部Hが「フレンチ×日本酒の饗宴」のレポートをしているのですが、どうやらたくさん飲んできた様子……。記事は、コチラ です。

【ご報告】
イベント後日、「ヤム! ヤム! ソウルスープキッチン」が内閣府の支援事業に正式認定されたそうです。これからもご活動が更にバージョンアップされますね!

(管理人)

----------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2011年8月23日 (火)

【東京】缶づめでロシアンルーレット

東京のアンバサダー、草薙です。食べ物のバックストーリーを知ると、何も知らないで食べるよりずっとおいしく感じます。先日、こんなにもストーリーのある食べ物は他にあるだろうか……という出合いがありました。宮城県石巻市にある「木の屋石巻水産」の缶詰です。

“開けてみないと中身がわからない”缶詰です。
かわいくも、被災の爪痕を残すパッケージ。

01_2
↑左の缶のふたには、「Guess!  Who am I ?」 という文字が。なんてセンスのあるパッケージ!

木の屋石巻水産は津波で工場が全壊、多くの缶詰が流されました。しかし、本社の瓦礫の下に残ったものが掘り出され、ラベルがはがれた缶詰たちにボランティアの人達がイラストを描き、そして再び人々の食卓に上ることに。

そのいくつかが、私の元にもやってきました。

当たりならカニ缶、外れならサバ缶、珍しいところだとエイひれ缶、というロシアンルーレット状態だから、ふたを開けるときには、タイムカプセルを開けるような興奮が押し寄せました。

石巻で被災したこの缶詰が、人々の手によって再生し、そして私のところまで届いた。そんな背景に思いを馳せて感謝をしながら食べると、やっぱり、普通の缶詰よりもずっとおいしい気がしたのでした。(当たったのはサバ缶でしたが……)

缶詰と共に飲んだ日本酒は、会津若松市の宮泉銘醸「寫楽(しゃらく)」の純米吟醸(原料米は備前雄町)。甘い香りと軽い飲み口に杯が進みます。

02
↑左は新潟、樋木酒造の「鶴の友」。安くて旨い酒の代表選手です。(地元を意識した酒造りに徹していることから、新潟市内以外ではほとんど見ることはありません)

会津地方も震度6を超え、宮泉銘醸は貯蔵していた酒や、蔵の壁が壊れたそうです。それでも震災後の4月から出荷していたと聞くと、まだ30代の宮森義弘社長の志の高さに驚くばかり。とはいえ、ご自分たちで作られていた原料米の田んぼはどうなったのか? 来年の春に使う籾はどうしたのか? 震災後の状況を想像すると本当に胸が痛みます。

それでも、被災の状況をどんなに想像しても、それは想像の域を超えません。では、東京に住む私にできることって――? それは、被災地に思いを馳せ、おいしく、ありがたく食べて、呑むこと。それが、微力な私の復興支援だと信じています。
(『料理通信』読者アンバサダー 草薙清子)

「木の屋石巻水産」のブログ http://ameblo.jp/kinoya-blog/
宮泉銘醸株式会社 http://www.miyaizumi.co.jp/

| | トラックバック (0)

2011年8月14日 (日)

【ゲスト/東京】粋な“手拭い”文化

----------------------------------------------------------------
荒井康成 : 洋菓子店長、和陶器店主を経て、1997年より仏陶器エミール・アンリ社の日本代理店立ち上げから11年間営業リーダーとして勤務。2009年よりフリーで執筆、料理道具コンサルタント、講師に。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター)。

www.araiyasunari.com
----------------------------------------------------------------

      
江戸の染文化の代表でもあり、日本の織物の文化でもある「手拭い」。今では夏の風物詩とも取れるが、かつて江戸時代では手を拭いたり、汗をぬぐうだけでなく、生活必需品として日々使われてきた道具だった。

01_7   
現在の日本といえば、世界中の「食」と「料理道具」で溢れている。職業柄なのか、海外の食文化や料理道具に触れれば触れるほど、日本の食文化や道具の素晴らしさを改めて感じさせられる。

現在私が拠点を置いている蔵前は、東東京に位置し、玩具問屋街として栄えた。国技館があった地としても有名だが、ここ5年の間に若いクリエイターの店や飲食店も増え、新しい息吹が感じられる場所となった。この場を選んだ理由のひとつに、江戸の文化を感じたてみたい、というのがあった。

02_5 
水滴を落としたくない調理の時には、蓋に手ぬぐいを巻く、という使い方も。

隅田川沿いを蔵前から浅草橋へ歩くと、柳橋という橋がかかっている。そこはかつて江戸前料亭、船宿としても栄え、神田川との合流地点である。神田川の現在といえば、川とは言い難い光景の場所もあるが、神田川こそ江戸文化に大きく貢献した、といえよう。神田川は水量が多く、新宿の落合は「染の里」として、今でもその文化を継承している。

川と共に発展してきた、江戸東京。粋な江戸っ子たちがこぞってお洒落に演出していた「手拭い」こそが、東京で生まれ育った私自身の必須アイテムとして、ここ十年どこに行くにも身につける道具となった。

03_4
いつものビールも、手ぬぐいでこんなに風情が。

夏といえば、ビールにワインとお酒がおいしい時期でもあり、友人宅へ招かれたり、お世話になっている方や実家を訪ねたりする機会も多い。手持ち酒も増える時期こそ、この「手拭い」で粋な計らいをしてみてはいかがだろう。毎年絵柄が変わり、相手の個性を表す絵柄も見つかるかもしれない。

絵柄を選ぶ、という楽しみもひとつあるが、ワインのボトルや缶ビールなどもひょいと捻って「手拭い」で巻けば、粋な演出は勿論、相手の喜ぶ顔でわくわくもしてくる。

04_3
丈夫で給水性の高い「手拭い」。保冷剤を入れた氷枕として、日よけ帽子として、ケガをした時の包帯として、和菓子のお皿として、ナプキンとして…。理にかなった素材と絵柄の工夫に驚かされる。

だからそこ、東京っ子として、かつて粋でお洒落な江戸っ子たちが必須道具として使ってきた「粋な手拭い文化」を継承していきたい、夏になると、そう勝手に感じるのであった。
(『料理通信』ゲスト・アンバサダー 荒井康成)
※ 2010年11月号にインタビュー記事掲載

----------------------------------------------------------------
『料理通信』の連載「食の世界の美しき仕事人たち」にご登場いただいた荒井さんに、第4期ゲスト・アンバサダーをお願いすることになりました(ゲスト・アンバサダーの皆さんのご紹介はまた改めていたします!)。道具×食のお話を寄せていただく予定ですので皆さんお楽しみに!

【お知らせ】
2011年8月16日~ TUTAYA TOKYO ROPPONGI にて、荒井さんの著書「ずっと使いたい世界の料理道具」で紹介されている調理道具を集めたフェアが開催されます。長年、道具を見続けてきた荒井さんがセレクトした品々をぜひお手にとってご覧ください。(管理人)
----------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2011年7月29日 (金)

【東京】夏も「ひとてま」かけて

『料理通信』読者アンバサダーを仰せつかりました、墨田区在住の草薙清子です。スカイツリーで熱い墨田区。ディープな下町情報を盛り込みつつ、東京の情報を伝えていきたいと思います。1年間よろしくお願いします。

食べることが好き。でも、作る方はもっと大好き!

ということで初回は、先日参加した料理教室をご紹介します。井の頭公園に近い三鷹台の一軒家、フードソムリエにも参加されている成沢正胡先生が、ご自宅で開催している少人数制の教室です。

「人が好き。だから、続けてこられたのでしょうね」

茶懐石教室のアシスタントを経て料理の道に入った成沢先生。「多くの人が茶懐石の世界を知らないなんてもったいない。この奥深さを伝えたい」との想いから、自宅で茶懐石料理教室を開いたのが15年前。15年間通い続けている生徒さんもいるそうです(!)。明るい“薩摩おごじょ”キャラと、和に洋やエスニックの要素を取り入れた料理を知れば、長く続けている生徒さんが多いのもうなずけます。

参加したのは、「ひとてま料理教室」。本来の茶懐石教室ではなく、単発の教室でした。

この日のメニューは、
◎豚肉とアスパラの梅巻きフライ
◎白身魚と高菜のにんにく酢蒸し
◎新南瓜のクリーム焼き など

02_4   
↑出来上がった料理をセッティング。器もどれもすてきなものばかりでした。

旬の野菜を多く使った“おもてなし”にも使えそうな全6品。レシピの説明から始まり、材料や調味料のアレンジを教えてもらったあとはいざキッチンへ。4人の参加者が手分けして作るので、あっという間に料理は完成します。テーブルへ並べたら、皆で試食です。

皆さん初めて会ったとは思えないほど喋る喋る食べる食べる。口の閉まる時がないとはこのことか……と思った、暑い全6時間でした。(えっ、6時間!?:管理人)

01_3
↑デザートはリコッタチーズのムース。コーヒーは徳島の「アアルトコーヒー」との事。

こう毎日暑いと料理も簡単になりがちですが、ちょっと頑張って、“ひとてま”かけた料理も日々の食卓に出したい――そう思った一日でした。

おいしい料理に、笑いやお喋り! 健康の秘訣が揃った濃密な女子会的ノリの料理教室。次回の予約を入れたのは言うまでもありません。
(『料理通信』読者アンバサダー 草薙清子)

「料理教室うらら」
ブログ「日毎のごはん帖」 http://hitotema.blog20.fc2.com/
教室案内 http://hitotema.blog20.fc2.com/blog-category-14.html

| | トラックバック (0)

2011年7月21日 (木)

【東京】震災後の「ソバ屋で憩う」

はじめまして。東京の読者アンバサダー、和田和己です。第一信はご挨拶も兼ね、わが街、高田馬場の至宝「傘亭」さんのお話を。

ソバ好きのバイブル『ソバ屋で憩う』で、故・杉浦日向子さんが“特撰五店”の一軒に選んだ名店「傘亭」。ご主人のこだわりは、“食材の確かさ”です。

ソバ粉、醤油、鰹節、昆布などの基本材料から、卵、じゃこ天、島らっきょ、徑山寺味噌まで、その産地や製法を明記した一覧がカウンターに貼り出され、一目瞭然。食材の素性を可能なかぎり食べ手に公開する。それが、基本姿勢。

01_2 
↑傘亭のカウンターは、いろんな説明書きを読むだけでも楽しい。

いま、そのありがたさがことさら身にしみます。震災後の某日、カウンターで宮城の銘酒「伯楽星」の杯を傾けながら、仕入れについて尋ねると、見せてくれたのが、下(↓)の仕入れ先一覧。野菜や、とくに季節の山菜などの仕入れに苦労したそうです。

02
原発事故によって食品の汚染が深刻化しはじめていたこの時期、ほうぼうを探し回って可能な限り納得できる品を集めたとか。傘亭イズム、健在です!! 止まぬ余震のストレスと、少なからぬ外食への不安を感じていたボクですが、この地道な努力に接したことで、ふと肩のあたりの緊張がとけ、「気分をかえて、お酒とソバで憩おう」と素直に思えたのでした。

そして、なんと、各地の放射線量一覧や、関連ニュースの新聞スクラップまで作っていたご主人。仕入れの指針を立てるために役立ちそうですね!

03
↑新聞のスクラップは震災発生から現在まで欠かさず続けている。

こうした姿勢のもとには、これまで実践してきた自然食の考えがあるとか。

たとえば、私たちが摂取する食品添加物は年間4kgにもおよびますが、食品を選べば1kgまで減らすことができるそうです。また野菜などは、水につける、洗う、皮を剥く、茹でるなどの処理で農薬の影響を減らすことが可能とか。こうしたノウハウを放射能への対処にも応用できるのでは、とおっしゃっていました。

04
↑写真のせいろのほか、そば粉の滋味を実感できる田舎、けし切りなど変わりソバもあり。うどんもうまい!

「頑固おやじってよく言われるけれど、ぜんぜん頑固じゃないですよ」

“気むずかしげな敷居の高い店”なんて思われているフシもあるけれど、実はとっても食べ手思い。ソバ屋の憩いと食の安心が共存する稀有な店、それが「傘亭」なのかもしれません。
(『料理通信』読者アンバサダー 和田和己)

●傘亭
東京都新宿区高田馬場3-33-5
TEL:03-3364-5758
12時~17時 金曜定休

05
↑かならず頼んでしまう玉子焼き。「大根は○○産ですけど、もし気になるようなら言ってくださいね」と声をかけてくれた。

| | トラックバック (0)

2011年6月 3日 (金)

【東京】今、「食」を通じてできる事

東京のアンバサダー、神森です。震災以来、多くの飲食店やシェフたちが、被災地復興支援のため活動しています。

「HAL YAMASHITA東京」の山下シェフは、「ハルヤマシタ飲料水を被災地へ! 支援基金」を立ち上げ、集まったお金をすべて飲料水に換えて、被災地へ届けています。「KEISUKE MATSUSHIMA」「レストラン アイ」の松嶋シェフは、被災地への「追悼」と「復興」の意味を込めて、東北数か所で花火を一斉に打ち上げるプロジェクト「LIGHT UP NIPPON」を立ち上げ、活動しています。

01
↑シェフとレストランを元気にするために作られた応援プロジェクト「CHEF-1」では、「CHEF-1 チャリティー節電ナイト」を開催。会費の一部やオークション落札金全額を、炊き出しの活動資金としています。

炊き出し隊のメンバーとして、「リストランテ・ヒロ銀座店」の山田シェフ、「賛否両論」笠原シェフ、「トシヨロイヅカ」の鎧塚シェフをはじめとする複数名のシェフが、被災地を訪れ、避難所であたたかいお料理をふるまっています。

震災の二次被害で厳しい経営環境下にあるレストランが多い中、このような前向きな支援活動にふれる度、「食」を通じてできること、その影響力は大きいものだと感じています。

私自身も、こうしたチャリティー企画に参加させていただく他、主宰するワインコミュニティ「OWL(ONE WINE LIFE)」で、チャリティーワイン会を開催しました。海外ワイン生産者6社様にご協力いただき、スペシャルグラスワインとお料理をご提供する他、友人のトミタ・ジュンさんによる被災地復興支援活動「東北ハコバン募金」の映像の上映、チャリティーワインオークション、プロのオペラ歌手や、チェロ・バイオリン奏者によるチャリティーパフォーマンスも実施しました。

02_2
↑チャリティーワイン会で参加者の皆さんと。自分一人の力は微力ながら、ご賛同・ご支援いただける沢山の方々の存在を感じ、とても勇気づけられました。

90名程の参加者の皆様からいただいた義援金は、“東北の皆様にとって必要なものを確実に目に見える形でお届けしたい”という思いから、(「東北ハコバン募金」の活動趣旨に賛同し)被災地支援車の購入資金にあて、直接、石巻の被災地へ車を届け、避難所で支援活動を実施させていただく予定です。

人を良くすると書いて、「食」。

被災地の一日も早い復興を祈りつつ…… 今、「食」を通じてできることを真剣に考え、微力ながら私自身も復興支援活動に継続的に取り組んでいきたいと思います。

今回がアンバサダーとして最後の記事になります。これまでお読みいただき、ありがとうございました! 今後も日本食文化の発展に貢献できるような活動を展開していきたいと思っています。メディアでの「食」に関する発信も積極的に続けてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。主催する「ワイン会」や「食とアートの会」などで、お会いできる機会を楽しみにしています!(神森 真理子)

●Twitterアカウント: @_Mariko_
●+ART CLUB(食とアートの会):  http://plusartclub.com/

=============================================================
神森さん、1年間アンバサダーを務めてくださり、ありがとうございました。芸術×食のご報告や、イベント主催&参加の記事など、刺激たっぷりでした。今後、益々ご活躍されることを楽しみにしております! (管理人)
=============================================================

| | トラックバック (0)

2011年5月24日 (火)

【東京】身近で体験「お料理留学」

東京の読者アンバサダー、今井晴子です。外国人のみを講師とした料理教室「Niki's Kitchen」をご存知ですか? 先生のお宅におじゃまして、ホームステイのような気分を味わいながら学べるユニークな教室です。

01_2今回、私はローマ生まれの英国人女性、ディキーさんのクラスに参加。バチカン市国滞在時に修道女に習ったというタリアテッレを、総勢12名の参加者で作り上げました。

授業は英語で。先生のデモの後、実習に入ります。みなさん真剣。

バチカンといえばカトリックの総本山にして、世界最小の独立国。カトリックの世界がぎゅっと凝縮したこの国には、約1000人の聖職者が住んでいると言われています。聖職者たちの食生活というと質素なイメージがありますが、金曜日に肉を食べないこと以外は一般の人々とあまり違いはないようです。

この日のメニューは「タリアテッレ・アル・ラグー」。

挽き肉のラグーはイタリアの定番家庭料理ですね。修道女たちもバチカンの中で、ラグーのパスタを食べているそうです。賑やかな雰囲気の中、レッスンは進行。生地を捏ねたらいったん寝かせ、パスタマシンで帯状の薄くなが~いカタチに伸ばします。その後少々乾燥させ、再びマシンで裁断へ。

さて、パスタ作業の前に仕込んだラグーは、弱火で煮込んですでに約2時間が経過。パスタができあがる頃、ちょうど食べ頃となりました。パスタ・フレスカ(手打ちの生パスタ)は2分程度で茹で上がるため、ここまで来たらあとはテーブルに並べるだけ。時間をかけてゆっくりとバチカンのパスタが再現されました。

02_3
カラフルな洋風コーディネートは、お手本にしたいポイントがたくさん!

「Niki's Kitchen」は東京を含む5都市に在住の30名の講師が、アジア、欧米諸国はもちろん、中近東、アフリカを含む世界中の料理レッスンを開催しています。日本にいながら気軽にお料理留学を体験できますよ。

Niki'sKitchen英語料理教室
http://www.nikikitchen.com/

さて、イタリアの話題を中心にお届けしてまいりましたがこれにて時期アンバサダーさん達にバトンタッチし、今後は自身のブログで食文化の情報をご紹介したいと思います。よかったら遊びに来てくださいね。1年間ありがとうございました。
 
ブログ「alla cucina
http://delfiore.exblog.jp/

==============================================================
今井さん、1年間、アンバサダーブログにご協力くださりありがとうございました。今年は、以前今井さんがご紹介くださった、マウロさんの「さくらんぼジャム」にチャレンジしてみます。 イタリアの風をありがとうございました!(管理人)
==============================================================

| | トラックバック (0)

2011年5月14日 (土)

【東京】乾杯で被災地にカンパと愛を

東京のアンバサダー、神森です。先日、日本酒チャリティー・イベント「KANPA+i 0311」に参加しました。この企画は、東日本大震災被災地復興支援のため、「日本のお酒を通じて被災地に少しでも元気を届けたい」という思いから、はせがわ酒店が発起人となり、全国有志蔵元の協力を得て発足したもの。

Kanpai_1KANPA(カンパ)は「大衆に運動を促すこと、そのための寄付を募ること」、i(愛・私)は「被災地の人々を想う心、今私たちにできること」を指し、日本のお酒を通じて「カンパ」と「愛」を募る企画という意味で名付けられました(KANPA+i=乾杯)。

会場となったホテルグランドパレスには、全国の有志蔵元が多数集まり、100種類以上の日本酒、焼酎、日本ワインが並びました。

Kanpai_2_3
↑参加された蔵元は、北は北海道から、南は九州まで!(被災された東北の蔵元の方々も)。 まさに日本全国のお酒が一堂に会する「日本のお酒の祭典」。

第一部は「きき酒会」。第二部は、蔵元さんとお話をしながら日本酒とお料理を味わう「蔵元を囲む会」。蔵の秘蔵古酒や著名人サイン入りの日本酒、非売品のグラスなど、魅力的なアイテムが多数出品される「蔵元チャリティー・オークション」も開催され、会場内は前向きな思い・活気にあふれていました。

Kanpai_3_1写真は、蔵元さんから寄せられた被災地復興支援に対するメッセージがラベルに記載された、「KANPA+i 0311 PROJECT」限定ボトルの日本酒。

この日の会費収益は全額、被災地復興支援の義援金として寄付され、蔵元オークションの売上金は被災された蔵元へのお見舞品の購入資金に充てられるとのこと。

被災地で甚大な被害にあわれた蔵元さんも多く、浦霞、日高味、南部美人など被災地の名酒を飲み、地元の人々を応援するチャリティー企画が各地で開催されています。また、東北の蔵元を応援するためのサイトも多数公開されています。「自粛」の風潮もありますが、こんな時だからこそ、被災地復興支援につながる日本酒を味わい、被災地を想う時間を大切にしたいと思います。

被災地の皆様に笑顔が戻り、日本酒でともに「カンパイ」できる日が訪れますように。一日も早い復興をお祈り申し上げます。(神森真理子)

| | トラックバック (0)

2011年4月23日 (土)

【東京】食べられるダイヤモンド

東京のアンバサダー、神森です。ベルギーに住んでいた頃、チョコレートはお土産の定番で、いきつけのショコラティエでチョコレートを選ぶのが日課でした。 今回は、東京で手に入る、ベルギー・アントワープ発のチョコレートをご紹介します。

アントワープといえば、ダイヤモンド取引の中心地であり、ファッションの最先端をいく都市、バロック絵画の巨匠ルーベンス、「フランダースの犬」の舞台として有名ですが、チョコレートについては意外と知られていないのではないでしょうか?

ベルギーでは、中にナッツクリームなどの詰め物を入れたチョコレートのことを「プラリネ」と呼びますが、アントワープのチョコレートは、型抜きで詰め物がしてあるもの、一粒が大ぶりなものが特徴的です。「GUYLIAN」「BURIE」など…アントワープに本店があるショコラティエは数あれど、とっておきの2店といえば?

011店目は、1949年創業の高級ショコラティエ「DEL REY (デル・レイ)」。デル・レイの一粒一粒手作業で作られるチョコレートは、なめらかな食感とカカオの純粋な風味、そしてデザイン性の高さ、形の豊富さも魅力です。

デル・レイで人気のチョコレートといえば、アントワープの街を象徴するダイヤモンド型のプラリネシリーズ。

この他、手の形をしたチョコレート「アントワープ・ハンズ」シリーズも目を引きます。

02アントワープのお土産には、手の形のチョコレートやクッキーをよく見かけます。「手」は、英雄が悪い巨人を倒し、その手を切り落とし川へ投げ捨てたというアントワープの地名の起源伝説に由来しているのだそうです。

手の形のチョコレート。アントは「手」、ワープは「投げる」が語源で、アントワープは「手を投げる」を意味するのです。

2店目は、ベルギー王室ご用達の老舗ショコラティエ「Goossens (ゴーセンス)」 。ゴーセンスは「チョコレートの彫刻家」とよばれており、繊細で美しい形が印象的。特に美しいのは、ダイヤモンド型のチョコレートで、砂糖を使った特殊加工でコーティングしているので、表面が砂糖の結晶でキラキラと光っています。

ベルギー・アントワープ発のダイヤモンドのチョコレート、その輝きは宝石のダイヤモンドをイメージさせ、男性が女性に贈るのにふさわしい一品です。(神森真理子)

| | トラックバック (0)

2011年4月15日 (金)

【東京】日本酒をもっと知りたい

第1期アンバサダーの松山です。こんにちは。 今は遠い昔のような2月の話です。赤坂の広東名菜「赤坂璃宮」本店で、『日本酒と広東料理の夕べ』という催しがありました。宮城県を代表する酒蔵の一つ「一ノ蔵」さんとの賞味会です。

01_2甘く爽やかな発泡酒、品評会クラスの大吟醸、とろっとした舌触りの平成23年度新酒のしぼりたて「金龍」、辛口の特別純米酒「松籟(しょうらい)」と順に飲み比べ、それぞれの特徴に添わせるような料理、ミル貝の湯引き、赤崎牡蠣のスパイス揚げ、牛テールのスープや皮つき豚バラ等と食べ進みます。

黄色いハッピを着ているのが一ノ蔵さん。

一ノ蔵の鈴木社長さんの、「醤(じゃん)文化圏の広東料理と、醤と同じ発酵食品であり、麹や酵母と使って醸造された日本酒は好相性」、「日本酒は刺身などのさっぱりとした料理に合うと思われがちですが、燗することで動物系の脂や植物系の油を切ってくれる力も持っているので中華でもフレンチでもイタリアンでも合わせられるんです!」との言葉に、なるほどと膝を打ち、グラスに伸びる手には弾みがついてしまいます。

02そうして、あらためて口にする日本酒は、すっとした切れを感じる飲み口で料理に添わせる懐の深さ。

写真は、目にも鼻にも綾なる香り高い金柑のデザート。食後酒のようにいただいた7年熟成酒「招膳」と好相性でした。

さらに水や米の地域特性を持ちつつもワインのヴィンテージのように年度によって出来に差異が少ないのは作り手である杜氏の高い技術のなせる技、という話なども伺って、遡っては神事につながる日本酒文化を理解して、日本酒の愉しみ方をもっと広くしていこうと思った楽しい一夜でした。

今回の大震災にあたり、多くの蔵元さんが大打撃を受けられたことに心が痛みます。日本酒を店頭で見かけたらまず一本手に取ってみる、そこから始めようと思います。(松山記子)

●一ノ蔵 ホームページ
URL: http://www.ichinokura.co.jp/
現在ホームページでは、震災後の復旧状況が報告されています。また、『 蔵だより 』では、麹やもろみなどの様子や、被災の状況と復興に向けてのプロセスが丁寧にレポートされています。

----------------------------------------------------------------

「緊急速報が鳴る度に人も酒もご無事で! と念じてしまいます」という想いととともに、この原稿をいただきました。一ノ蔵さんの本社蔵2階事務所には、お客様から送られた寄せ書きが飾られているようです。“ファイト!”とか、“大好き、一ノ蔵”など、温かいメッセージがぎっしり(詳細は『 蔵だより 』に)。続く余震に耐えながら、酒造りに備える蔵の皆さんの姿を拝見し、一日も早く、安心できる日が訪れますようにと願わずにいられません。
----------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2011年4月13日 (水)

【東京】イタリア食材との出会い

東京のアンバサダー、今井晴子です。3月2日、ジャパンソルト社主催のイタリア食材を中心とした試食・試飲展示会がホテルニューオータニ幕張で行われ、欧米、日本を含め33社の商品が出展されました。

P01_3私の注目は、GALLO社のパスタ「PRIMELUCI(プリメルーチ)」。イタリア滞在時に女主人のマリーザから紹介されたこのパスタと、社長のピエトロさんは、今では私の特別な存在。だって……このパスタ、本当においしいんです!

写真は、プリメルーチのピエトロさん。毎日大忙し。

硬質小麦の栽培に最も適した南部、シチリアにあるGALLO社では、良質のシチリア産小麦だけを使い、73℃以下の低温・長時間でパスタを製造。この製法により、小麦の香りと独特のもちもち感が楽しめるんです。さらに、テフロンの鋳型(ダイス)で成型されたパスタはつるっとした舌触りに。他社にはないつるつる&もちもち感。ぜひ皆さんもオススメしたい一品です。

この他、展示会で発表された新商品をご紹介しましょう。

ミシュランガイドにも掲載されたトリュフ料理が自慢のリストランテが出発点となったTartuflanghe社のトリュフ入りタリアテッレ「Tartufissima(タルトゥフィッシマ)」。1992年、NASFT(National Association for the Specialty Food trade)主催の「Summer Funcy Food Show」で「新商品賞」を受賞しているお墨付き商品です。

P02_2 Bioagricola Bosco社からは、ドライフラワーのような珍しい枝付きオレガノ。葉はもちろん、花やつぼみも加えれば一段と香り高い一品に仕上がります。

また、5月に発売を予定しているのがMorello austera社のジャムとコンフェットゥーラ。有機栽培の果実を使用し、保存料不使用。自然のおいしさがぎゅっと詰まっています。

Morello austera社のイヴァンさんと来場者。おいしさに思わず笑顔…。

日本でお披露目された数々のイタリア食材。皆さんにも、食材の新しいおいしさと、よい出会いがありますように。(今井晴子)

【商品の問い合わせ先】
ジャパンソルト株式会社
URL: http://www.japan-salt.com/

| | トラックバック (0)

2010年11月27日 (土)

【東京】ごはん映画祭を味わう!

Gohaneiga0_4東京のアンバサダー、神森です。映画に登場するおいしそうなごはん、忘れられない食事のシーンはありますか? 私は映画に登場する食事のシーンを忘れぬよう、日々記録しています。皆様にも心に残る1皿、1シーンがあるのではないでしょうか。

そんな、食事シーンが印象的な「おいしい映画」を集めた『 第1回東京ごはん映画祭 』が、先日、恵比寿ガーデンシネマにて開催され、初日のトークセッションと上映会に行ってまいりました。

本映画祭のきっかけとなった、「食べるということこそ、生きること 人生とは食べる旅」をテーマに、「人」と「食」のつながりを描いたドキュメンタリー映画『eatrip』のオープニング上映で幕開け。上映前には監督の野村友里氏、本作出演の武者小路千家・15代家元後嗣の千宗屋氏が登壇し、トークセッションが開催されました。

Gohaneiga1人と食の原点、人間関係を深める場、日常を顧みる場としての「お茶」の話や、共演者である浅野忠信氏との撮影秘話などで、会場は初日から大盛況でした。

写真は、映画祭来場者コラボ特典が楽しめるレストランを紹介する「ごはんMAP」

上映されたのは『eatrip』他、『ショコラ』『南極料理人』『青いパパイヤの香り』『マーサの幸せレシピ』『かもめ食堂』『タンポポ』『アメリ』など、人と食のつながりを描いた「おいしい映画」8作品。どれも食事シーンやごはんが主役級の存在感をもつ名作です。

映画祭期間中はトークやライブイベント、料理教室やワークショップなどの体験型イベントも楽しむことができました。

Gohaneiga4また、恵比寿ガーデンプレイス時計広場にはマルシェが開かれ、上映作品のオリジナルメニューや、『eatrip』に出演している森岡さんの作る無農薬野菜などが販売され、朝から家族連れなどで賑わっていました。

賑わいをみせたマルシェ・ジャポン

スクリーンで映画と食を味わい、映画の後は、「おいしい映画」の余韻にひたりながら、「おいしい食材」にふれ、「おいしいごはんの時間」を堪能する、そんな素敵なイベントでした。(神森真理子)

----------------------------------------------------------------
あ、『料理通信』でもおいしい“映画”の俳優さんのインタビュー記事があったハズ!と思ったら、おいしい“TV番組”でした。2010年4月号のクリエイター・インタビューにて、『深夜食堂』のマスター役・小林薫さんにご登場いただいています。なぜか手に鰹節削り器を握りしめていらっしゃる…。いつかこの謎を解き明かします。料理通信の制作裏話をお楽しみに(管理人)
----------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2010年10月29日 (金)

【東京】オペラと食のマリアージュ

東京のアンバサダー、神森です。季節はすっかり秋。芸術の秋、食欲の秋…皆様はどんな秋をお過ごしでしょう? 今回は総合芸術であるオペラ鑑賞後に楽しみたい「食」についてご紹介します。

1_2芸術鑑賞の楽しみは、余韻に浸りながら食事を味わう「鑑賞後の時間」もセットです。オペラハウスでも、ミュージアムでも、館内にレストラン・カフェを併設しているところが多くみられます。国立新美術館内の「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」や、原美術館内の「カフェ ダール」などは、鑑賞後に立ち寄りたいお薦めのスポットです。

都内のオペラハウス、新国立劇場内3階のイタリアンレストラン「マエストロ」には、開演前後のプレ・アフターシアターメニューがあり、当日劇場内での予約も可能。2階客席から直接レストランに向かうことができ、鑑賞後の感動が冷めやらぬうちに食事を楽しむことができます。

新国立劇場内「マエストロ」で、オペラ「カルメン」鑑賞後にカルメン特別メニューをいただきました。

オペラ鑑賞後の定番メニューといえば?

私は無性に「オニオングラタンスープ」を味わいたくなる瞬間があります。アツアツトロトロのチーズ、アメ色になった玉ねぎの甘み、スープの酸味が絶妙なバランス。口にふくんだ瞬間、一気に体が温まり、気持ちがほっこりします。

2発祥はフランスのリヨンですが、19世紀のパリでは、オペラ鑑賞後にこのスープを飲みながらオペラの話題で盛り上がるのがトレンドとされていたそうです。このマリアージュは今も親しまれており、先日パリでオペラを鑑賞した後もオニオングラタンスープを味わいました。

写真は「カフェ・ド・ラ・ペ 」のオニオングラタンスープ。オペラ・ガルニエの真横とロケーションも抜群。

「芸術」も「食」も、無条件に人の心に感動を与える力をもっていますよね。秋の夜長にオペラと食のマリアージュ。おススメです。(神森真理子)

| | トラックバック (0)

2010年10月27日 (水)

【東京】豆電球型は格別。バルサミコ

料理通信』アンバサダーの今井晴子です。前回に引き続き、バルサミコ酢のお話をご紹介致します。

バルサミコ酢といっても値段や年代まで様々な種類があります。イタリア人がどのように使い分けているか気になるところですが、その前にお味の違いをご紹介したいと思います。

マルピーギ社を訪れた際、デグスタツィオーネ(試食)をさせてもらいました。熟成6年、12年、25年、50年では、6年ものはさらりとしていて酸味が強いものの、12年になると甘みが増して香りが深くなり、25年になると酸味と甘みが半々に感じられ、質感がとろりと変化しているのがわかります。50年ものはまるでフルーツソースのよう。もったりと濃厚で、お酢とは思えないほどです。

01バルサミコ酢は年代が古くなるほど高価になり、その格付けは協会で規定が設けられています。特に熟成12年以上でバルサミコ生産者協会の審査に合格したものは「Aceto Balsamico Tradizionale」(伝統的なバルサミコ酢)と表記され、豆電球を逆さまにしたようなボトルに入れられます。

箱入りの左2つが「Aceto Balsamico Tradizionale」、右はマルピーギ製6年もの。

25年以上のものには「非常に古いもの」を意味する「ストラヴェッキオ(stravecchio)」という別称も。「Aceto Balsamico Tradizionale」は同時にDOP製品でもあるので、こう記せるのはモデナかレッジョ・エミリアのものだけです。

02これ以外のバルサミコ酢はたいてい「Aceto Balsamico」(バルサミコ酢)のように表記され、熟成年数が少なかったり、ワインビネガーやカラメルなどが添加されています。イタリアでもこのようなバルサミコ酢も売られており、スーパーなどで見かけます。Tradizionaleのような甘みと深みはないものの、気軽にフルーティなお酢を楽しむことができますよ。(今井晴子)

写真は日本でよく売られているGrosoli(グロソリ)。カラメル入りで、1000円前後(500ml)

※DOP:特定の伝統的な食材に対し産地の保護と品質の保護を目的に設けられた制度。基準を満たしたものだけが原産地の名称をラベリングして販売することが許可されている。

| | トラックバック (0)

2010年10月 4日 (月)

【東京】バルサミコの香り漂う醸造所

東京のアンバサダー、今井晴子です。今回はイタリアのバルサミコの醸造所についてご紹介します。

1_2イタリア料理に欠かせない代表的な調味料、バルサミコ酢。特産地として知られるモデナは駅周辺の住宅街を抜けると、醸造所が点在しています。そのうちの一つ、1850年から5代続く「ピエール・マルピーギ」社を訪ねました。

写真はマルピーギ社の外観。絵本に出てきそうな可愛らしさです。

樽熟成庫に入ると、とたんにバルサミコ酢の香りに包まれます。ツンと鋭い香りではなく、まろやかでフルーティな香り。

マルピーギではカラメルなどの添加物は加えず、モデナ産の有機栽培で作られたランブルスコ種とトレッビアーノ種の葡萄のみを使用。葡萄果汁を30~48時間掛けて煮込み、樽に移して発酵、熟成させます。自然の気温に任せて蒸発、凝縮させ、徐々に小さい樽に移します。樽が小さいものほど、熟成期間が長いものです。

樽は材質がそれぞれ異なり、桜、栗、桑、ねず、オークの5種類。熟成に12年以上かける場合は、移し替える度に樽の種類も変更します。

2_2 しかし、その順番はトップシークレット!

使い分ける順番で味が変わるため、それぞれの醸造所に秘伝の順番があるそうです。案内員さんに「どの樽がどの木材かわかりますか?」と聞くと「わからない(笑)。だから、ああしてフタに情報を貼って管理しているんです」とのこと。

100年以上使われている樽には、白い×印が付きます(一番手前)

管理シートには樽の材質、製造年、タガの材質、内容量などが記載されていました。ちなみに、オーナーは樽の匂いを嗅ぐだけでどの木材がわかるそうです。

さて、イタリア人は生活の中で、どのようにバルサミコ酢を使っているのでしょうか。そちらは次回、ご紹介したいと思います。(今井晴子)

------------------------------------------------------------------
『料理通信』2010年11月号(10/6発売)の特集は、「ワインがすすむイタリア惣菜」。卵さえあれば贅沢な気分でワインを飲めてしまう、バルサミコを使ったシンプルレシピなどもご紹介しています。ぜひご覧ください。(管理人)
------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2010年8月23日 (月)

【東京】美食の都、マカオ厳選グルメ

アジアとヨーロッパの文化が融合したマカオは、今注目の美食の都。今回は、そんなマカオの人気スポット「ヴェネチアン・マカオ・リゾート・ホテル」内の厳選レストランをご紹介します!

広大な敷地に3000室のスイートルーム、世界最大級のカジノ、劇場、巨大なショッピングモールなどがそろうこの巨大リゾートホテルには、35以上の世界の各国料理を提供するレストラン、バー、1000席超のフードコートが点在しています。レストランには各国の一流料理人が集められ、中華、フレンチ、イタリアンをはじめとするさまざまな料理を楽しむことができます。

その中から、お薦めレストラン2店をご紹介します。

011店目は、カジノに隣接する広東料理レストラン「喜粤(カントン)」。赤を基調とした空間はどことなく妖艶で幻想的。最高級の広東料理を中心に、中国全土の多様な料理、個性的なヘルシー料理がそろっています。

写真はお薦めの一皿「クリスピーチキン」。パリッと揚がった皮の食感と、ジューシーな身の味わいが絶妙。シェフオリジナルの「特製フカヒレスープ」は、これを食べるためにマカオを訪れる食通もいるほどの逸品。

2店目は、シルク・ド・ソレイユ「ZAIA」シアター近くに位置するイタリアンレストラン、「Portofino(ポルトフィーノ)」。本場イタリアの伝統的な家庭料理、地中海の美しい情景が目に浮かぶようなシーフード料理が豊富です。

02_2コストパフォーマンスが高く、地元でも評判のお店で、天井が高く広々とした店内は高級感があり、床から天井までズラリと並ぶワインのタワーに圧倒されます。ワインリストには、ポルトガル、イタリア、フランスを中心に種類豊富なワインが並んでいます。

肉厚なホタテがふんだんに使われた「アスパラガスのリゾット」。アスパラガスのエキスがしっかりとしみ込んだお米、風味豊かなロブスターソースのバランスが絶妙。贅沢な一皿です。

次のお休みは、マカオの「ヴェネチアン・マカオ・リゾート・ホテル」へ! カジノやエンタテインメントショー、ショッピングを楽しんだ後、世界各国の美食を堪能してみてはいかがでしょう?(神森真理子)

| | トラックバック (1)

2010年8月 9日 (月)

【東京】イタリアのさくらんぼジャム

8月、青果売り場ではスイカがすっかり主役となっていますが、スイカに目を奪われてばかりいてはもったいありません。そろそろ、濃く、甘いおいしさを届けてくれたアメリカンチェリーが「引退」を迎えます。

初夏から出回るアメリカンチェリー。もう飽きてしまった、という人もいることでしょう。そんなときは、ちょっとアレンジをしてみませんか? イタリア滞在中にマウロさんに教わった、自家製ジャムのレシピをご紹介します。

Photo「食の都」と呼ばれる街、ボローニャの郊外に住むマウロ・オッジョーニさんは、日本が大好きなフォトグラファー。家には富士山の写真を飾り、来日すること数回、お気に入りの街は原宿だとか。
写真:一番左がマウロさん。ジャムは毎年作ります。

そんなマウロさんのおうちは広いお庭と、大きなさくらんぼの木が4本。中央駅付近には有名ブランドのお店が並ぶボローニャも、郊外に出れば糸杉が生える丘陵地帯が続きます。

イタリアのさくらんぼは、ふっくらした赤紫色の実で味も濃く、アメリカンチェリーのような感じです。山ほど摘んだ後、お茶の時間だよ、とマウロさんが持ってきたのが自家製さくらんぼジャムでした。

Photo_2カリッと焼いたトーストに塗り、紅茶(イタリア人なのに珍しく紅茶!)を合わせると、一同あっという間に完食。パンがなくなるとみんなでジャムだけ食べ、結局瓶も空っぽになってしまいました。パンが切れちゃってごめんね、と言うマウロさんに「いいのよ、このジャムが食べたいから」と返事をしていた女性陣。皆さんご満悦の様子でした。
写真:鮮やかな赤紫色は、もちろん天然色!

さて、好評だったこのさくらんぼジャム。マウロさんは気前よくレシピを教えてくれました。

 <マウロさんのさくらんぼジャム>
◆材料
  ・アメリカンチェリー 200g
  ・グラニュー糖 67g、ペクチン10g

◆作り方
(1)チェリーはよく洗って乾かし、種を取る。
(3) 鍋にチェリーを入れ、ペクチンとグラニュー糖を加え、強火にかける。
(3)水分が出てくるので、同じ方向に3分ほど混ぜ火を止め、もう1分ほど混ぜる(実はつぶしすぎないように!)。出てきたアクは取り除く。
(4)そのまま15分ほど置いて、ゆっくり冷ます。

瓶に詰めて冷蔵庫で保管すれば5日間程度日持ちします。ほどよい甘さがおいしいマウロさんのジャム。生食とは違った美味しさを楽しめます。(今井晴子)

| | トラックバック (0)

2010年7月28日 (水)

【ゲスト/東京】ひよこ豆のススメ

-------------------------------------------------------------------
●近藤恭子:1985年、香辛料メーカーヤスマ株式会社に入社。カレーパウダーやスパイスを使用した食品の開発を担当する。世界の食文化の中でスパイスの楽しさが伝わるような商品開発を目指す。マスコットブランドのカレーペースト「印度の味」、レトルト「炒めたまねぎ」などロングセラーのヒット商品を生み出す。スパイスの講習会なども開催している。
-------------------------------------------------------------------

Mengen トルコのメンゲンは、アジアとヨーロッパの境、イスタンブールより300kmほど東にある森林と高原の町です。オスマン帝国のスルタンの台所を任せられた料理人達の出身地として知られるこの町で、6/26~27に開かれた料理フェスティバルに参加してきました(料理番組でもおなじみの、荻野恭子先生のトルコ料理ツアーの一環です)。
メンゲンの町並

「トルコへ多くの観光客を呼び寄せるには、人々の胃袋をわしづかみにするシェフの手腕にかかっている。大いに頑張ってほしい」と観光大臣が熱弁をふるった開会式典。来場者に振る舞われた「ひよこ豆のピラウ」は、ふんわりと柔らかく、それでいてパラリと炊かれた塩味のライスに、ひよこ豆と爽やかなディルウィードの風味がマッチして、いくら食べても飽きのこない優しい味でした。

そして、露店では根をつけたままのひよこ豆を見つけました。鞘を割って生のまま食べるのですが、この時期だけの旬の味で、トルコ人のガイドさんなどは次から次へと勢いよく鞘を歯でしごき、豆を口へ放り込んでいました(でも、ちょっと青臭くて、初体験の私には珍しいばかり…)。ちなみに、ひよこ豆は、一鞘に一粒の豆ができる効率の悪い豆なのです。

Hiyokomameところで、トルコではひよこ豆を粉にして使う習慣はあまりないようですが、豆の消費大国インドでは、チャナベサンと呼ばれるひよこ豆の粉をカレーや蒸しパン、揚げ衣やスナック菓子などに幅広く使用しています。特に、ひよこ豆の粉をベースにスパイスで調味した野菜の衣揚げは、味も栄養も嬉しい料理で、おススメしたい一品です。たんぱく質と野菜が一緒にとれるだけでなく、小麦粉と比べ油の吸油率が低く、冷めても油っぽくならないからです。揚げた衣は豆の香ばしさとコク、野菜の甘みが重なってそれだけでもおいしいですが、塩やスパイスを振ったり、チャツネ、ケチャップ、レモン汁等を好みで合わせると味も引き締まり、ビールによく合います。
一さやに一粒だけのひよこ豆

日本でもひよこ豆の粉が市販されていますので、皆さんもヘルシーな新しい味、そしてビールがおいしいこの季節にピッタリの味をご家庭でお試しになってみてはいかがでしょうか。(近藤恭子)

| | トラックバック (0)

2010年7月21日 (水)

【東京】食とアートを味わう

13原宿の東郷神社に隣接するフレンチレストラン「Restaurant-I (レストラン アイ) 」で毎月開催されている「食とアート」イベントに行って参りました。同店は、フランス・ニースの1ツ星レストラン「KEISUKE MATSUSHIMA」のオーナーシェフ松嶋氏がプロデュースするレストラン。スタイリッシュな空間で、斬新なスタイルのフレンチを堪能することができる名店です。
レストラン アイのスタイリッシュな空間にミレイヒロキ氏のアートを展示

ニースで生活するシェフにとって、アートは生活に自然に溶け込んでいるもの。松嶋氏のお店には日々、沢山のアーティストが訪れ食事を楽しみ、料理からインスピレーションを受け、シェフ自身もアーティストから沢山の刺激を得ているのだといいます。レストラン アイをプロデュースする際、松嶋氏がイメージしていたのは、新進気鋭のアーティストを紹介する場、食やアートを通じての出会いを生む社交場としての機能をもつ空間。

6月の「食とアート」の会は、NYなどでも活躍中のアーティストMireyHIROKI(ミレイヒロキ)氏をゲストに迎え、松嶋氏とのトークイベントが開催されました。二人のコラボレーションは「食とアートを通じて社会に貢献したい」という想いから誕生。フィールドは違えど、既成概念にとらわれず、最新の料理と美術、日本文化の魅力を世界へ発信する二人が根底にもつ想いは共通。日本文化を愛し、日本の食とアートの未来を創造する二人の熱い想い、重みのある言葉に、参加者一同すっかり惹きこまれていました。

2 対談の後、ワインやお料理とともに、立食形式のパーティーがスタート。ミレイヒロキ氏のお花をモチーフとした色鮮やかなアートやキャンドルが展示された空間に、同店スペシャリテの「テリーヌ」をはじめとする花のように鮮やかで美しいお料理が次から次へとサーブされました。ちなみに参加者のドレスコードのテーマは花。たくさんの花であふれる店の窓から外を眺めると、豊かな緑が広がっている…。食とアート、花と緑の素晴らしさを全身で感じる、豊かなひと時。アーティストと料理人とお客様の距離がぐっと縮まる希少な機会でした。
レストラン アイ、スペシャリテの「テリーヌ」がズラリ

今後もレストラン アイは食とアートの関係を大切にしながら、毎月新たなアーティストの紹介をしていくとのこと。皆様も食とアートを堪能しに、レストラン アイを訪れてみては、いかがでしょう?(神森真理子)

| | トラックバック (0)

2010年7月12日 (月)

【東京】フィレンツェの八百屋さん

はじめまして、今井晴子です。ライター、フードコーディネーターとして活動する傍ら、お料理や食材の勉強のためにイタリアで修行(冒険?)してきました。イタリアで出会ったお店や食材はもちろん、日本の見逃せない食事情をレポートしていきます!

Photo フィレンツェで一番有名な市場といえば、「メルカート・チェントラーレ」。体育館のような大きな建物の中には、野菜、肉類、魚介類を扱う小規模店舗が軒を連ねています。その一角にある「CONTI」は、親子3代、100年以上に渡り続く老舗八百屋。現在は3代目、ステファノさんを中心に将来の4代目、息子のマヌエルさんもお手伝い。今もご家族で経営を続けています。CONTIの自慢は、代々引き継がれてきた「目利き」。地元トスカーナの特産物ゾルフィーニ豆や、シチリアのトマトの名産地、パキーノ産のセミドライトマトなど、おいしい野菜を常に吟味し、一番おいしい土地から仕入れています。クライアントにはフォーシーズンズホテル、ヴィッラ・サン・ミケーレなど、有名ホテルも名を連ねるほど。その質の高さはお墨付きです。
ひょうきんでフレンドリーなステファノさん。

私の一番のおすすめは乾燥ポルチーニ茸。高級食材であると同時に、イタリア料理に欠かせないポルチーニは、やっぱり香りが命!イタリアでも各地で売られているのを見かけますが、値段や質はさまざま。店舗の引き出しにどっさりとポルチーニを詰め込んでいるCONTIでは、常時3~4種類のポルチーニを用意。種類や値段は季節によって変動がありますが、それはもちろん、その時に一番、と選んだものを仕入れているため。北イタリアに近づくほど値段の上がるポルチーニですが、CONTIでは薫り高く、良心的な価格のポルチーニが手に入ります。私自身も購入しましたが、満足の一品です!

Photo_3 また、店内ではオリーブオイル、ワイン、バルサミコ酢など、商品のテイスティングが可能。店員さんはみなフレンドリーで、英語が堪能です。唯一の日本人店員、めぐみさんもいらっしゃいます。イタリアグルメをぎゅっと集めた素敵なお店です。大聖堂や教会巡りのついでに、歩いて行けます。(今井晴子)
山積みのポルチーニ。持ち帰りは真空パックで!



●CONTI  Via Signa,300-50129 Firenze
Interno Mercato Centrale di San Lorenzo
-------------------------------------------------------------------
今井晴子:料理は食べるよりも作る方が好き、という「おうち料理人」。イタリアのフィレンツェ、ボローニャを中心に、料理の修行兼食材を研究する行脚(冒険?)中。
-------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2010年6月18日 (金)

【東京】「ルナ・レガーロ」に潜入!

1_3 はじめまして、新メンバーの神森真理子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。先日、日比谷に出現した新名所「ルナ・レガーロ」のプレビュー公演に行ってまいりました。「月からの贈り物」を意味する「ルナ・レガーロ」。ロシアが世界に誇る「グレート・モスクワ・サーカス」のパフォーマンスと、日本を代表するスターシェフたちがプロデュースする豪華料理の融合を楽しめる期間限定のエンタテインメント&レストランです。
「1番目の月」。中華ともフレンチともイタリアンとも思えるような、神秘的な料理。満月をイメージしてつくられたと聞き、納得。

会場は、幻想的な空間で、頭上に浮かぶ月、足下にきらめく星、赤いシャンデリア、青く浮かび上がる中央のステージ、複数のスクリーンを眺めていると、高揚感が湧き上がってきます。

空中アクロバット、空中ブランコ、ロシアン・バー、アイカリアン・ゲーム、エアリアル・ストラップ…と手の届きそうな距離で展開される、超人的なパフォーマンスに惹き込まれるうち、無重力の月面におりたったかのような錯覚に陥りそうに。サーカスの感動が冷めぬうちに料理が1皿運ばれ、料理の感動が冷めぬうちにまた新たなサーカスのパフォーマンスがスタート。5種のパフォーマンスと4皿の料理を交互に楽しめる構成。パフォーマンスが終わるたび、数百名のお客様に一斉にお料理がサーブされる様子は圧巻です。

2_3 「4番目の月」。色鮮やかなアイスは全てオーガニック野菜のアイス。心にも身体にも優しいデザート。
食事とアートを同時に楽しむのは、五感全てが刺激される豊かなひと時。フランスで生活していた頃、食事をしながらアートを楽しむ文化は生活に溶け込んでいました。日本人にはなじみがないようにも思われがちですが、お弁当を食べながら歌舞伎を鑑賞するなど、実は日本人が元来、親しんできた文化なのです。「ルナ・レガーロ」を機に、このような食×アートの融合を楽しめる文化が、再び日本に浸透することを強く願っています。料理もアートも百聞は一見にしかず。「月からの素晴らしい贈り物」を楽しみに、「ルナ・レガーロ」へ足を運んでみてはいかがでしょう? (神森真理子)


【第1ステージ(4月29日~6月30日):4人の名シェフ&4種の料理】
※お料理は「1皿」ではなく「1番目の月」と数えられます!

■1番目の月:菰田欣也シェフ「蒸し鶏包みのフルムーン~赤と黒の魅惑のソース添え~」
■2番目の月:ヒロ山田シェフ「ローマで見た月 2色のリゾットとトリュフの香り」
■3番目の月:坂井宏行シェフ「風味豊かな赤ワインと牛肉・野菜 ムーンマリアージュ」
■4番目の月(デザート):柿沢安耶シェフ「いろどり野菜アイスとジンジャームーン」

中華、イタリアン、フレンチと異ジャンルの料理が見事に調和し、4番目の月まで食べ終えた時、統一されたテーマが浮かび上がります。

-------------------------------------------------------------------
神森真理子:ベルギー・フランス生活を通じ、世界の食文化に魅了される。パリ大学で映画の研究をし、映画会社に入社。フードアナリストとして執筆・講演、食×映画の伝道師として食と映画の情報発信・イベント企画なども手掛ける。ウェブマーケター、歌手としての顔も持つ。
-------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2010年5月10日 (月)

【東京】新しいけど老舗です

Echigoya1_3 1954年、世田谷区上馬にこのモノクロ写真に写っている食料品店「越後屋」がありました。この店は後年「越後屋精肉店」と名称を変え、写真の右端に写っている先代のご主人が長年に亘り地元に密着した商いをされていました。
個人商店に歴史あり。時代は変われど、お客さんへの愛情は変わりません。

私はこの界隈に住んで約30年になりますが、肉は「越後屋精肉店」と決めていました。白い仕事着に下駄を履き、いつも柔らかな物腰でにこにこと相手をしてくれる先代のご主人と、延々四方山話をしながら買い物をするのは良い気持ちでした。ここで商っている肉が実に美味しく、肉好きには重宝なお店でしたが、脂身が滑らかで、醤油味の煮汁が染みこんだ手作りの焼き豚が絶品で、これでご飯を食べるのが長年の密かな楽しみでした。先代が亡くなった後「越後屋精肉店」は暖簾を下ろし、暫くの間ひっそりとしていましたが、2007年に当代のご主人が「café Fun Run」(カフェ ファンラン)として再び暖簾を上げました。このカフェのご主人が、モノクロ写真の先代ご主人に抱っこされた赤ちゃんです。

Echigoya2_2カフェには懐かしい焼き豚と1954年当時「越後屋」にあった揚げ物も復活!メンチカツ、コロッケ、フライ、ひじきの煮物、シュウマイなどの定番のお総菜の他に、季節によって、日によって、多種多様なお総菜がカフェの店頭に並ぶようになりました。「近所で夕飯のおかずが手軽に買えて、しかもとても美味しい!」のが嬉しいところ。メンチカツとコロッケは家族も、家に来る友人達も大好きで「遊びに行くから買っておいて!」と言われるほど。また、お土産に揚げたてを持参すると、とても喜ばれる上に、他にない味、しかも地元のお店の物なので「うん、うちの近所のお店なんだけどね…。」等と言いつつ、誇らしい気分に浸れます。時折カフェで食事をすると、ご主人が気さくに話しかけてくれるのですが、これはきっと先代譲りの細やかな心遣いの表れでしょう。
気取りなく、厭きないお惣菜こそ地元密着商店の醍醐味。

先日お店に入ったら、先代の頃のお客様が「やっぱり越後屋さんだったのね。」と懐かしそうにご主人に話しかけているところでした。店構えが変わったので、恐る恐る入ってみた、とのこと。「ひとり暮らしに丁度良いわね。」と言いながらカフェの席に着き、ご飯と店先のお総菜を注文していました。

店は新しくなったけれど、先代から受け継がれてきた親しみやすさ一杯の雰囲気を受け継いで、地元の人たちに喜ばれている、そんな「新しい老舗」がこれからも更に愛されて地元を幸せにして欲しい、とメンチカツを食べながらしみじみ思うのでした。(海月)

●café Fun Run(カフェ ファンラン)
東京都世田谷区上馬 4-29-7 
TEL:03-3419-1192

| | トラックバック (0)

2010年5月 7日 (金)

【東京】カラフルベジタブル

Yakiyasai ここのところ、こってり目の料理とワインという日が続いていたので、春野菜をたっぷり食べて体をリフレッシュさせることにしました。アスパラガス、新タマネギ、ソラマメ、キャベツ、タケノコ、たらの芽、椎茸などを準備。まずはグリルで食べることに。塩こしょうとバルサミコ、オリーブオイルでシンプルに味付けしました。2日目は蒸し野菜に。野菜って本当に甘いんだなあと毎回感動します。この野菜のグリルと蒸し野菜が最近のマイブーム。調理が簡単で、いろいろな種類の野菜を同時に食べられ、野菜が持つそのままの味を楽しめるというのも大きな魅力ですが、それより何より野菜の彩りの美しさを楽しめるというのが最大の魅力なのではないかと思っています。野菜のグリル。たいていの野菜を美味しく食べられます。

というのも、普段仕事で色を決めるのは本当に辛い作業なんです。色を扱うこと自体は楽しいのですが、建物をつくる場合には、様々なしがらみがつきまといます。三次元空間でボリュームの捉え方、面の見せ方、光の具合などを考えて、比較的、戦略的に色使いを考えなければいけません。 うまくいけば、カタチの力を強め空間体験をより豊かなものにしてくれますが、下手をすると、それまでこつこつと築き上げてきたカタチの力をいっぺんに壊してしまいかねないのです。現場に立って小さなサンプルや模型、図面とにらめっこしながら想像力を駆使して色決めをしていく。これはかなりストレスの大きな作業なんです。また、その土地で入手できる素材が限られていた時代と違い、現在では基本的にはどこにいてもどのような素材でも使うことができます。さらには塗料の進歩でどんな色でも再現できるようになりました。そのこと自体は素晴らしいのですが、同時にそのことが僕たちの苦悩を大きくしているともいえます(少し大げさな表現ですが)。

Mushiyasai蒸し野菜。友人に教えてもらったオリーブオイルと醤油とゆずこしょうのディップで食べてみました。相性バッチリです!

それに比べて、料理の場合はかなり感覚的に色そのものを楽しむことができるように思います。基本的には色のバランスを考え、旬の野菜の素材の色をそのまま活かしてあげれば良いわけで、そう考える限りにおいて、彩りそのものが独立した目的になり得ます。平たく言うと塗り絵を楽しんでいる感覚でしょうか。料理していても食べていても素直に楽しいなあと感じることができます。プロの料理人さんの前でこんなことを言うと、そんなに単純な話ではないよと怒られるかもしれませんね。まあ、仕事ではないから楽しいんだ、というだけのことなのかもしれません(笑)。いずれにしても色の楽しい季節になりました。この先、夏野菜も彩り鮮やかでとっても楽しみです。(金子広明)

| | トラックバック (0)

2010年4月 5日 (月)

【東京】日本酒を飲みたくなる場所

Sakura_2仕事で行った福岡で、夜桜を楽しんできました。公園での花見で、ついつい手に取ってしまうのは、やっぱり日本酒。今回のお供はお隣山口県のお酒「獺祭」。岩国に住む友人から贈られて以来、僕の中ですっかり定番化してしまった日本酒です。 辛口ながらも、やさしく自然な甘さと、とってもフルーティーな香りをもつ「獺祭」は、まだ少し肌寒い春の夜桜にはぴったりのお酒だと思います。

美しく咲く桜の木の下に座って旧友とのんびりお酒を飲む。本当に自由だなぁと感じます。普段僕たちはきちんとテーブルに着いて、食器を使って食事をとっていますが、こうして地べたに座って、自由な気持ちでお酒を飲んでいると、何かを食べたり飲んだりするという行為は、本来とっても自由なものなんだなというとこに改めて気づかされます。最近街中で飲み食いすると、いろいろな素材を上手に組み合わせた内装で、綺麗に照明して、小洒落た輸入食器を使ってと、どこに行っても、ある意味で質の高い空間に遭遇します。そういったあり方もある程度までは心地よいのですが、ここまでスタイルとして定着してくると、なんだか過剰で窮屈になってきます。そもそも、そんなレストランは平らなフロアに整然とテーブルが並んで、良く空調されて外部空間との関わりもなく、運営する側に都合が良いように計画されているんですね。段差があって、ちょっとくらいオペレーションが難しくたって、例えば大きな階段のようなフロアに腰掛けて、いっぱいに開かれた大窓の先の庭を楽しみながら、ビールを飲めるようなレストランがあっても良いと思うんですけどね。

家を建てる時にも、そんな遊び心を忘れないことが大切だなと思います。多くの人は、面積はこれくらいで、こんなテーブルが置けて、良いスピーカーで音楽を楽しみながら、おいしくご飯を食べるのに最適なダイニングが欲しいと考えているようです。食べ物が一番おいしく見えるのってどんな照明なんですか??といった具合に。でも、そんな○○する為の専用の場所って、実はちょっと窮屈なのではないでしょうか?そもそも僕たちは、歩きながらだって、地べたに座りながらだって、太陽の下でだって、月明かりの下でだって、おいしく飲み食いできるんですよね。

例えばダイニングの窓を開け放つと、壁で囲われたテラスとひとつながりの部屋になるようになっていて、今朝は天気が良いから、テーブルをテラスに出して朝食を食べようとか、今日はリビングの天窓から月が綺麗に見えるから、そこに布団を敷いて寝ようとか。あるいは玄関だか部屋だか分からないような、庭の見える少し広めの土間があって、お隣の桜が咲いてきたから、そこに座って日本酒を飲もうとか…。

Dassai

磨き三割九分と夜桜。味わいと香りとビジュアルの至福のマリアージュでした。

何かをするための専用の場所を集めて作った家ではなくて、特徴的な性格を持った場所がいくつもあって、そんな場所が季節や天候によって様々に表情を変える家。ついつい○○をしたくなるようなきっかけが、いろいろな所にちりばめられた家。いつか、そんな家でおいしい日本酒を飲みながら生活したいものです。(金子広明)

| | トラックバック (0)

2010年3月29日 (月)

【東京】ファミレス!in BALI !!

Tempebakar_3 2010年3月4日、BALIの滞在先の長女から「今日の夕飯はお父さんを連れてD'COSTに行きたいんだけど」というリクエスト。私にとっては未知のファミリーレストラン「D'COST」へ家族と一緒にでかけました。デンパサール市内の家から車で10分程で到着。「行けば分かるから」と詳細を知らされていなかった私は、電飾一杯の看板や、家の近所の美味しくて薄暗い食堂とは違う、妙に明るい店内に「ホントにここで食べるの?」と言いたいのを「ぐっ!」と堪えて店内へ。席に座って、あたりを見渡すと、冷房がない場所も選べるし、誕生会やちょっとした会合も出来る様だし、なかなか便利に使えそうな設えにちょっと感心。お客さん達が寛いでわいわい食べている様子にも乗せられて、「ここで食べてもいいかな」という気分に変わってきました。
中央が「テンペバカール」。これだけでご飯が何杯も食べられるおいしさ。

「ほら、これがここの料理だよ」と家族が見せてくれたのは座席番号と料理の写真が載ったメニュー。エビの串焼き、焼き魚、炒め野菜のおいしそうな写真満載で、店に入る前の不安はどこへやら、俄然「食べるぞ!」というモードに変わってきました。「なにがおいしいの?」と尋ねると「Tempe Bakar(テンペバカール、テンペ菌で発酵させた大豆食品を焼いたもの)」という返事。エビ、蟹、魚の写真を見た後で「お奨めはテンペ??」といぶかしく思いましたが、テンペバカールを2皿、インゲンの炒め物、焼き魚、豆腐の炒め物を注文しました。

↓メニューにはおいしそうな料理がずらり。目移りするのも仕方ない(?)
Menu_4 料理が来るのを待つ間、家族が指さす飲み物メニューには「Teh tawar(お茶)100」の文字が。「え~っ!これ日本円で書いてあるの?!」と驚く私に「いやいや、これはインドネシアルピアだよ。」と言われて更にびっくり!100ルピアと言えば日本円にして約1円、インドネシア国内でも価値としては日本円とほぼ同程度で、今や100ルピアで買えるものは殆ど見あたらないと言っても過言ではありません。「この店はね、お茶が100ルピア、白いご飯は食べ放題なんだよね~」とのこと。「庶民にとっては有り難い店かも知れない」等と思いつつ、白いご飯を大皿に盛りつけて待っていると、一番のお目当て「テンペバカール」が運ばれてきました。いつも家で食べているテンペよりかなり肉厚で、甘辛い味のソースに浸けた後焼いてあり見た目も食欲をそそります。早速食べてみると、表面は焼けてカリッとしているけれど、中は火が通ってふわりホクホクッという食感。焼けた甘辛いソースと大豆の香ばしさに、どんどんご飯が進みます。「白いご飯に合うね~!」「テンペバカールでご飯山盛り食べられそうだね!」「はぁ~、おいしいね~、テンペバカール!」と言いつつ堪能。後で運ばれた野菜、魚を皆で取り分けながら全員100ルピアのお茶を飲み、家で待っている家族のためにテンペバカールを持ち帰り用に注文しました。

帰りしな、メニューをもう一度見ると「Mutu Bintang5-Harga Kaki5(五つ星の品質で、手押し屋台の値段)」の文字が。その手頃な値段とおいしさに、みんなが納得のファミレスin BALIでした。(海月)

| | トラックバック (0)

2010年3月 1日 (月)

【東京】挑戦するガレット屋さん

Galette_2 旧フランス大使館で行われていた「ノーマンズランド」に行った時のこと。館内中に漂っていたバターの焼けるおいしそうな香りに誘われて、たどり着いたのは、「ル・モンサンミシェル」というガレット屋さんのブースでした。偶然にもフランスに長年暮らしていた知人に、つい最近教えてもらったばかりお店。これも何かのご縁と、閉館5分前に駆け込みましたが、警備員さんのプレッシャーに負け、せっかくのガレットをかき込むはめに…。

ガレット・コンプレットのエシャロット添え。シードルはロワイヤル・ギュイユヴィックを選択。爽やかな甘さのあとに独特の香りが残ります。

あまりに悔しかったので先日、目白の本拠地までリベンジに行ってきました。お店の方にアドバイスをもらいながら、まずはシードルを注文。運ばれてきたボトルには日本語のラベルがない。日本語がとっても上手なフランス人マネージャーにいろいろと訊いてみると、オーナー自らフランスを巡ってシードルを買い付けてきているんだそうです。
それにしても、シードルってたくさん種類があるんですね。アルコール度数も低めで、価格面でもワインより気軽に楽しめそうです。このレストランで一番興味を惹かれたのが、フランス人シェフ、ダニーさんの経歴。もともとはパリのレストランで支配人をしていた彼が、ガレットを焼き始めたのは40代の頃。そこからブルターニュでクレープ・レストランを開き人気店にしたかと思えば、今度は50代になって、未知の国、日本にやってきたらしいのです。今、厨房で鼻歌まじりにクレープを焼いている気の良さそうなおじさんが、そんな挑戦に満ちた人生を歩んできているとは。

気がつけば設計の仕事をはじめて10年経ち、何となく業界の仕組みに馴染みつつある自分。期限や予算、日々の現場対応などの雑事に追われて、ついついチャレンジ精神を忘れそうになるんですよね。今思うとそんなの本当に建つの?と思うような模型を楽しく作っていた学生時代(笑)。その時の気持ちはこれから先も忘れないでいたいものです。なんだか、明日からまたがんばれる元気をダニーさんからもらったような気がします。

Salad_2 そんなダニーさんの作ってくれる料理は、素材の味を楽しめるやさしめの味付けで、 バターのしつこさもなく、 素朴な味わい。お店も可愛らしい雰囲気で、ガレットもクレープも、そしてシードルやワインも気になるメニューがたくさんあるので、またふらりと立ち寄ってみたいと思いました。(金子広明)

スモークサーモンと小エビのサラダ。ガレットの器に入ってます。見た目も新鮮で可愛らしいですが、香ばしいガレットとサラダの相性もバッチリ。

| | トラックバック (0)

2010年2月 5日 (金)

【東京】東京で、ハレの台湾料理にお相伴

Mienxien 2010年1月27日は、私の友人陳さんの誕生日を祝う会が ありました。会場は、いつも陳さんがまるで自分の家のようにくつろいでいる、大久保の台湾家庭料理の店。そのお祝いの席に、陳さんの友人が集まりました。

先ずビールやジュースで陳さんの誕生日を祝って乾杯。「誕生日だから良いことがこれから沢山あるように新しい靴を履いてきたの」と陳さんは、友人達の顔を見て嬉しそうです。「今日は私の誕生日だから特別な料理を作ってくれるんだって」と言う陳さんの予告に胸が高鳴ります。「どんな料理なの?」と尋ねると「豚足と麺線(ミェンシェン)を使ったお祝いの料理なの」という答え。シジミの醤油漬けや炒めた青菜、その強烈な匂いと旨味で有名な臭豆腐など次々に運ばれる料理に舌鼓を打ったところで、メイン料理の登場です。「私のお兄さん」と陳さんが慕うこの店のご主人がにこにこしながら直径30センチはあろうかという深皿に盛りつけられた料理を運んできました。
写真上が、大きな深皿に盛られ、見るからに御馳走の雰囲気が漂うお祝い料理「猪脚麺線」。

「この料理は猪脚麺線(ヅウチャオミェンシェン)と言います。お祝いの料理ね。さ、みんなでどうぞ」と言われて器の中を覗き込むと、そこは「新世界」。直径2ミリ程度の細長い少し黄色味がかった長い麺に、とろみの付いた汁が張られ、筍、ネギ、サヤエンドウ、椎茸、ニンジンと大きくぶつ切りにされた豚足が豪快に入っています。「わ~~!凄いっ!!」一同大歓声。「これはね、お兄さん(店のご主人)が作ってくれたの。自分でだよ。」と陳さんは誇らし気です。早速器に取って「いただきま~す!」。

「陳さん、おめでとう!あ~、これ初めての味、いや~、ホントにおいしいねえ」という声があちこちから聞こえます。「台湾では猪(豚)は幸運を呼び、運気を上げる意味があります。

そして麺線を食べる意味は、細く長く、つまり長生きね。」という陳さんの説明に皆「うん、うん」と頷きながらぷるぷると口元で滑り踊る豚足を堪能。スープは、豚足、炒めた野菜、麺から出た旨味ととろみで、じわりとした濃厚な味です。シャクシャク(野菜)ぷりぷりとろり(豚足)つるっつる(麺)じわり(スープ)とバラエティーに富んだ佳味に一同「う~ん、旨いっ!」。すっかり満腹になった私たちのテーブルに「お兄さん」がイチゴのケーキを運んできました。「陳様 おたんじょうびおめでとう」と書かれたデコレーションケーキに、異国の地で堅く結ばれた台湾の人たちの心をしみじみ感じた夜でした。(海月)

Birthdaycake
お誕生日には何と言っても苺のショートケーキ。火の灯ったケーキに、誰もがさらなる笑顔になりました。

| | トラックバック (0)

2010年2月 3日 (水)

【東京】ワイン造りと建築デザイン

Arlousan僕自身ワインに詳しい訳では全くないのですが、ご縁があって、楽しく語らいながらワインを楽しむ会を友人数名と定期的に開いています。これまでに「ビオワインの会」「ブルゴーニュの会」「シャンパーニュの会」などを開いてきました。会の企画や当日のレクチャーをしていただいているのは、ワイン輸入会社ヴァンパッシオンさん。その代表・川上さんの言葉で印象に残るものがありました。それは、ビオワインの会での「どんな造り方をしているか常に見ているわけにはいかないので、造り手の人柄がとっても大事」という言葉です。

昨年11月、川上さんのそんな言葉を実感する機会に恵まれました。川上さんが輸入するワインの造り手、シプリアン・アルローさんを招いてのテイスティング会でのことです。
穏やかながら楽しそうにワインを語るアルローさん。直接お話するチャンスもあったのですが、何かを大げさに表現するでもなく、素朴でありながら、静かな情熱と知性を漂わせる佇まいに、不思議と「確かにこの方の造るワインなら安心して飲むことができるな」と感じることができたのでした。
アルローさんと記念撮影。ぜひドメーヌ・アルローを訪れてみたいと思いました。

建築もワインも機械で大量生産する訳にはいきません。華やかなワインが出来上がるまでには、日々の地味な作業の積み重ねがあるのです。 そこには造る人の人間性がにじみ出てくるのでしょう。 毎年出来の違うぶどうと対峙してワインを生みだしていく過程は、毎回違う敷地や要望と向き合い、そこにピッタリと収まる解を求める建築の設計に似ているような気がします。

自分で事務所を持ってから、より強く感じるようになったのが、建築の設計をしているとは言うものの、80%くらいは、人とのコミュニケーションに時間を使っているということです。
すばらしい建築が出来上がったと、自分がどれほど手応えを感じていたとしても、建て主さんとの間に信頼関係がないと、それを十分に感じてもらうことは難しい。完成した作品だけを見て、そこに注ぎ込まれた情熱や細部へのこだわりを感じ取ることができる人は、それほどたくさんはいないのだろうと思います。この人ならきちんとやってくれるだろうという安心感をもってもらうこと。これが何より大切だなと感じています。

Pigeon日本にいると造り手の話を聴きながらワインを楽しむなんて、なかなかできることではないのですが、アルローさんを招いてのテイスティング会は、いろいろな意味で味わい深いとっても贅沢な楽しみ方を体験することができた会になりました。(金子広明)

会場となったJ.H.V.の料理、小鳩のロティとジロールのフリキャッセ。旬のジビエとの相性もバッチリでした。

| | トラックバック (0)

2010年1月20日 (水)

【ゲスト/東京】各地のお正月を縁起菓子で楽しむ

Kashi_2凍てつくような寒さを体験することもない街中で暮らしていても、甘みがたっぷり増した大根や蕪、白菜、ほうれん草などを味わうと冬一番の寒さの訪れを感じ、同時に春の訪れも恋しくなります。今回は、我が家に春の訪れを届けてくれたお正月のお菓子をご紹介します。

私の実家・愛知県西部の津島では、普段の10時や3時のおやつにお抹茶を楽しみます。来客があれば、気軽に「一服どうぞ」とお抹茶でおもてなしをし、冠婚葬祭でお出しするのもお抹茶だったりします。お正月に親戚が集まれば、もちろん「お茶(抹茶)を一服いただくこと」からお正月の行事が始まります。

普段のお正月なら、地元の和菓子屋でお正月菓子を用意するのですが、今年は、全国のお正月の縁起菓子をあれこれ揃えて目で楽しみ、おいしく味わいながら、初春のお茶を楽しんでみました。初めて見る珍しいしいお菓子に親戚中が盛り上がりました。

写真上の手前下から、縁起の良い初夢「一富士、ニ鷹、三茄子」にあやかった山形・民田ナスの砂糖漬け「初なすび」(山形・大松屋本家)、その上が静岡の「富士のこけもも」(静岡・藤太郎本店)と地域ならではのお菓子。その隣が本年の歌会始の御題目「光」にちなんだ羊羹3種で、左からピンクと水色が鮮やかな「光の都」(京都・亀屋良長)、日の出ようなオレンジの求肥で巻いた「聖光」(京都・亀屋清永)、朝焼けの神々しい輝きを三色であらわした「朝光」(島根・岡三英堂)です。中央の羊羹2種は、今年の干支にちなんだもので、春の景色を葛羊羹であらわし、虎が野をかけている様子を表現した「初寅」(京都・亀屋良長)、その下が力強い虎模様を表現した「寅の春」(京都・亀屋清長)。そして、今年の運勢を占うおみくじせんべい「辻占い 福寿草」(石川・諸江屋)にもひとしきり盛り上がりました。

いずれのお菓子も見た目も味わいもとてもよく、好評でした。中でも人気だったのは「初なすび」。シソで巻いた梅漬けのような爽やかな甘酸っぱさと、ナスの食感が絶妙な組み合わせのお菓子でした。島根の「朝光」はお抹茶にもとてもよく合い、それぞれの層の味わいが楽しめる羊羹で、色合いも含めて女性陣に人気でした。

Tujiuranai家にいながらにして、日本のあちこちのお菓子を楽しみ、各地の話をしながら穏やかなお正月を皆で迎えられたことに感謝しながら、今年一年の無事を祈った幸せなひとときでした。

皆様にとりましても今年一年が良い年になりますように。(堀田正子)

こちらは「辻占い 福寿草」。おせんべいの中には格言やことわざなどが書かれた紙が入っています。

| | トラックバック (0)

2010年1月13日 (水)

【東京】e 年でありますように!

Osechi 2010年元旦、友人2人と一緒に年明けの食事をしました。新たな年が「明けたなら開けなくちゃ!」ということで、先ずはシャンパーニュを開栓。2010年の幕開けに感謝して「乾杯!」しました。故郷を出てから35年経ち、既に勝手気ままな年末年始の過ごし方が身についてしまいましたが、今年は、24時間営業のコンビエンスストアも携帯電話もなかった時代の年の瀬の風景を懐かしく思い出しました。
時代は変わったとはいえ、やはりお正月にそれぞれの食材に意味が込められたおせち料理を食べると、新年を正しく迎えられた気持ちになります。

師走の29日には、年越し、そして正月三が日の為の家族全員の食料を整えるべく、祖母と母がおせち料理をせっせと作り、父は伸し餅を切り、鏡餅を神棚や玄関に供えていました。商店が戸を立て、雪の中静まりかえった年末年始は、子供心に神聖な空気が感じられたものです。そしてひとつ歳を取り、少しだけ大人になって頂くおせち料理には格別のおいしさがありました。

何故突然昔の事を思い出したかと言うと、それは友人の堀さんお手製のおせち料理を戴いたからです。なます、数の子、黒豆、紅白のかまぼこ、田作り、そして、じっくり味を染みこませたニンジン、 こんにゃく、筍、椎茸、レンコン、里芋、ゴボウ、鶏肉の「いり鶏」。特に「いり鶏」は子供の頃、家のおせち料理にあった、ほんのり甘くてしょっぱい煮しめに味がとても良く似ていました。箸をのばして「いり鶏」の筍を口に運んだ瞬間、そのシュンという歯触りと醤油とみりん、砂糖が混じり合った懐かしさ一杯の味に、故郷で過ごしたお正月の風景が、スライドショーの様に次々と脳裏によみがえりました。食べ物と記憶とが固く結びついていることを改めて強く感じた瞬間でした。

Datemakiそして圧巻は、やはり堀さん手作りの伊達巻きです。柔らかくてずしりと重く、他の料理を邪魔しない甘さで、あっという間に14切れを4人で食べてしまいました。しかもこの伊達巻き、切り口がアルファベットの「e」にそっくり!「今年は『e』年になるよ!」と、伊達巻きに励まされたような気がした元旦の昼下がりでした。(海月)

じっと見ていると笑顔のようにも見えてくる“「e」伊達巻き”。今年1年が皆さんにとって良い年となりますように!

| | トラックバック (0)

2010年1月 8日 (金)

【東京】七草がゆで、和食の優しさ再発見

Nanakusa 昨年末は仕事の締切が重なったり、海外に行って時差ぼけに悩まされたり、お酒を飲む日が続いたりと、まあ毎年のことではあるんですが、比較的疲れが溜まっていたんだと思います。そこに最後の最後に、とっても辛い追い打ちが……。30日の夜に食べた生ガキにあたってしまい、まる1日ダウンしてしまいました。噂には聞いていましたが、ホントに辛かった……。

そんなこともあって、今年のお正月は魚や野菜中心の和食を量も少なめに食べ、とてもヘルシーに過ごしました。焼魚、煮魚、野菜のお浸しや和え物、納豆、豆腐、お味噌汁に漬物などなど。
そんな中、スーパーでたまたま七草セットなるものを発見し、七草がゆに挑戦してみました。ぼくの実家では、お正月は刺身を食べるくらいで、もうずいぶん前からお節料理をあまり食べていません。そして、たいていの日本の伝統的な食イベント(?)にも、これまであまり熱心に取り組んでこなかったため、七草がゆも実は初体験です、恥ずかしながら。

まずは土鍋にお米1合と水5合を入れ、強火で沸騰させたら、あとは弱火で30分。最後にきざんだ七草を加えてひと煮立ちさせれば完成です。
味の方は…、こんなに簡単にできて、お米の歯ごたえと香りがしっかりと感じられる素晴らしい出来映え!適度に水分があるので冷めにくく、体の芯から温まってくる感じがします。おかゆってこんなにおいしかったんだと感動してしまいました。そう考えてみるとおかゆ自体何年ぶりに食べただろう?
普段、慌ただしく働いていると、ついつい手軽にパスタで昼食を済ませたり、外食が多くなったりしがちなのですが、今年のお正月は、和食の優しさとお米のおいしさを再発見することができました。
海外旅行で洋食が続いても、特に苦痛を感じない質ではあるのですが、やっぱり和食はホッとするようです。

そういえば、小さい頃はしっかりご飯を食べて間食はしない子だったなぁ。今年は普段の食事に和食を増やしていこうかな。年末の食あたりで新年の良い抱負を見つけることができました。
(金子広明)

Kayu写真上が春の七草。「せり なずな、 ごぎょう はこべら ほとけのざ、 すずな  すずしろ、 これぞ春の七草」と覚えるそうです。

まずはお塩をひとつまみかけていただきました。もちろん梅干・子持昆布との相性もバッチリです。

| | トラックバック (0)

2009年12月28日 (月)

【東京】新富町で、ちゃぶ台で、

Yudoufu_2小鍋にしっかり厚い昆布を座布団にして大ぶりの豆腐がぷっくりほとほと湯気を立てています。水菜を添えただけのシンプルの極み。「この豆腐には醤油がいいので」と醤油と薬味が添えられて。新富町の裏路地の小料理「まめや」の鍋は湯豆腐です。

そっと一口すくい上げ、醤油を一たらし。ふわりとした熱い玉が喉を滑り落ちるのが楽しい。もう一口もう一口と箸が止まらないのは、豆腐のつるんとした食感と淡い滋味のなせる技でしょう。湯豆腐の湯気の向こうには、まな板に向かい手を休めないおかみさんがいます。

「今日はどんな食材で驚かせてもらえるんですか? と、期待満々のお客さんもたくさんいらっしゃるのですが、残念ながら私には、奇をてらう気持ちはないんです。真っ当な食材で作った、自分が毎日食べても飽きないものをお出ししたい。この季節のあれが食べたいと寄ってくださるお客さんに食べていただく、それが私なりのおもてなし」と、淡々と話すおかみの聡子さんは、元グラフィックデザイナー。好きが高じて修業を重ね、この地で古民家を改装し店を開いて5年目を迎えようとしています。

Mameya_2小鍋の出汁の中で豆腐が気持ちよさそうにゆらゆら泳いでいます。思えば、この店の居心地の良さはまさにこの鍋のよう。等身大の真正直で温かいおもてなし。あれもこれもと欲張って足そうと思えば足すことが可能なご時世に、あえて足さずに豆腐そのものの素材の良さと余韻や余白を楽しみます。今にも路地の奥から三味線をつま弾く音が聞こえてきそうな、昔ながらの風情が残る新富町には気楽に寄れる昔の日本間のちゃぶ台然とした落ち着けるカウンターがありました。

さあ、仕事の後にほっと一息つきに行こう。(松山聖子)

寒い夜に点る灯りが見えると嬉しい。まめやブログは新酒やメニュー情報に加え、おかみさんの猫への目線もやさしい。

●まめや
東京都中央区新富1-7-12
TEL:03-3206-3155
 
店内禁煙。日曜・月曜・祝祭日定休 
12月は不定休、ブログ要チェックです。
http://mameya502.exblog.jp/

| | トラックバック (0)

2009年12月24日 (木)

【ゲスト/東京】色気&肌ツヤアップ!吉原で桜なべ

------------------------------------------------------------------
●青木絵麻 「金田油店」店長

数社での新規事業関連の仕事を経て、創業100余年の油専門店金田商事(株)に入社、金田油店ネットショップ店長に。ブログ「油売りエマの油屋ごはん」を開設、自社製品の様々な油を活用したレシピを公開し始める。油主軸のユニークなレシピは『油屋ごはん』として書籍化された。
------------------------------------------------------------------


Sashimi吉原大門すぐそばにある「桜なべ中江」さんが、吉原最後の料亭金村を引継ぎ、別館にしたというので行って来ました。桜なべは別名「蹴飛ばし」、馬肉の鍋のことです。明治38年の創業時は遊郭の客の飯処として20軒以上も軒を連ねたという桜なべ屋も今は吉原に1軒、しかも馬の脂が肌にいいと来店客の女性率がかなり上がっている傾向がおもしろいのです。
玉葱を巻いて生姜醤油で食べる刺身とユッケ風タルタル。

本店の賑わいを感じる雰囲気もなかなかですが別館金村はさすが料亭、茶室様式の個室でゆっくりとコースを楽しめるよう会員予約制をとっています。

こだわりは料理1品ごとにマリアージュを考えた日本酒コース。まずは先付けから。今月はクリスマスにちなんだ和洋折衷コースということで、スタッフドミニトマトと柊があしらわれ、鱈もカナッペとピクルスといった洋風のスタート。桜肉筋煮こごり、中江定番の玉子焼き、桜肉佃煮、おしのぎには馬刺し握りが続きます。お酒は「諏訪泉 純米大吟醸 鵬(おおとり)」。季節の野菜と桜すね肉のシチューは豆乳仕立てでちょっとほっこり、あっさりと柔らかい赤身の馬刺しと胡麻油が香るタルタルステーキには「ひこ孫の純米吟醸」が。おいしくてついつい飲み過ぎて……配分や量に注意が必要です。

Sakuranabe焼き物に続きいよいよメインの桜鍋です。お酒は「神亀 辛口純米」。桜鍋は鉄の小鍋に江戸甘味噌と割下を入れ、濃い目の味がベースです。
ヒレとロースはさっと、たっぷりの白いバラ肉はとろっとなるまで煮込んで。バラはほぼ脂身なのですがこれが旨みとお肌ぷるぷるの秘密、牛脂より融点が低くしつこく感じないのと脂肪の質が人と似ているという特徴があるのです。
濃厚な桜鍋にお酒がすすみます。

昔から馬の脂は火傷や切り傷などスキンケアにも使われてきましたよね。あと特筆すべきは初めていただいた桜肉のつくね、滋味に溢れていて美味でした。野菜や生麩、豆腐白滝などもたっぷり。鍋のあとの濃い汁をさっと玉子とじにしてかけるご飯も名物なので、お忘れなく。デザートに至るまで、相性のよいお酒が楽しめますよ。まずは気さくに楽しめる本店から、いかがでしょうか。(青木絵麻)

| | トラックバック (0)

2009年12月11日 (金)

【ゲスト/東京】見目麗しく鍋を味わう

------------------------------------------------------------------
●梅田知行:世田谷「
升本屋」三代目
2001年、「旨・健・珍(うま・けん・ちん)」をコンセプトに実家の酒屋を「酒と食のセレクトショップ」へ転換。PB商品「旨健珍 こだわりのかりんとう」を開発し【酒のつまみにかりんとう】運動を展開。ライフワークの手書き新聞「升本屋之素」発行のほか泡盛を語らう「泡盛部」も開催中。
------------------------------------------------------------------


Nabe_2 以前はなぜ皆が冬になると「とりあえず鍋でしょ!」となるかわかりませんでした。一般的に鍋というと「寄せ鍋」で、初めからもりもりと、色々仕込まれています。最初は見目もきれいですが、食べ始めるとぐちゃぐちゃになり美しくありません。中盤を過ぎると、煮えすぎたものがへたばってたり、色が変わってしまったり…。というわけで、実は「鍋」があまり好きではありませんでした。

しかし、ある時学んだ、これならいい! という鍋のあり方。それは「一品食べきり方式」、またの名を「しゃぶしゃぶ方式」といいます。その極意とは、「寄せない、盛らない、残さない」。そうです、一品ずつ入れて、食べさらっていくのです。お肉ならお肉、野菜なら野菜と、一つの具材をその都度食べきります。食べ進めていくと、だしにはそれぞれのエキスが折り重なるように増し、最後には旨みたっぷりの汁が誕生します。一回ずつちゃんとさらっていけば、かわいそうな残骸が残らぬ綺麗な汁でいられます。もちろん最後には、ご飯もしくは麺を投入。溶き卵をまわして、あさつきを散らせば素敵なエンディングを迎えられます。
写真上:一つの具材を食べ切っていく「一品食べきり方式」。画像の段階ではごぼうです。ピーラーで裂いて、地鶏と醤油ベースの鍋に投入しました。

Yamakawaさて、鍋に合うお酒と言えば、やはり日本酒は外せないとは思いますが、地鶏や鱈など脂分の甘みを楽しめるものには焼酎もよく合います。飲み方は、水割りかお湯割りで。焼酎の中でも泡盛は、原料が米(タイ米)ということもあり、食との相性が抜群によく、特におススメです。水割りは、常温もしくは冷やした水で割ったものを氷なしで、そしてお湯割りは、出来れば水割りをお燗にしたものを。蒸留酒特有のキリッとした後口が口中をさっぱりとさせ、次のひと口を新鮮な味わいにしてくれます。酒:水を5:5で割れば、アルコール度数も日本酒やワインと変わりません。
お料理との相性がよい泡盛「やまかわ」。

「一品食べきり方式」×泡盛のマリアージュ、この冬、是非お試しを。(梅田知行)

| | トラックバック (0)

2009年12月 7日 (月)

【東京】最強火力に舌鼓、これぞ韓国鍋の味「ナクチチョンゴル」

Nabe 先週訪れたソウル市中区明洞(チュング ミョンドン)。夕刻を迎えると小山のような荷物を積んだリヤカーと自転車、自分より大きな荷物を担いだ人たちが、大急ぎで夜の屋台を出し始めます。ぶつかったら大怪我でもしそうなスピードは、まるでお祭りの山車を繰り出すかの様。明洞の商人達はやる気満々の大忙しです。

その明洞を歩き回るうちに、お腹は空くし、足下から冷えてくるしで「こりゃチゲ(鍋料理)でも食べて体温上げないとね」ということになりました。旅行会社のガイドさんに貰った割引券を握りしめ、チゲの店に挑戦 (朝鮮?!)しました。
気合いの入った沸騰ぶり。香り立つ熱々うま辛スープに食欲倍増!。

ガイドブックにも出ているこの店では、既に沢山の日本人旅行者が店自慢のチゲに舌鼓を打っています。席に着いて、穴があくほどメニューを見た結果「今まで一度も食べ たことがないものを食べよう!」と「ナクチチョンゴル(テナガダコの鍋)」を注文しました。「これだけで足りるかな?」と相方と相談していたら、隣の席の日本人旅行者から「大丈夫、きっとお腹いっぱいになりますよ」というアドバイス。日本で外食をする時、隣の人と話すことなんか滅多にないけれど、こうして同国人に助けてもらえるのも旅先ならではのこととちょっと嬉しくなりました。

Nakuchi運ばれてきた鍋には澄んだスープが張られ、ネギ、キャベツ、春菊、エノキダケ、エビ、韓国のうるち米で作った餅トック、そしてざく切りにされた主役の「ナクチ(テナガダコ)」がばらばらと無造作に盛りつけられています。「うわ~、これがナクチ?!!」としげしげ眺めていると、店の人が日本語で「ハイ、火ヲツケマスゥ!」と言うが早いか、慣れた手つきでガスのスイッチをカチッと回しました。なんと火力は最強! 鍋から火がはみ出ています。スープはあっという間に沸騰し、鍋の底に隠れていた唐辛子粉がぼこぼこっ!と沸き上がって、みるみる内に鍋全体がオレンジ色に変わりました。唐辛子と海鮮の混じり合った強烈な匂いが立ちこめ、辛い物好きのハートをくすぐります。

早速スープを一口。「おおお!これぞ韓国の味!」大量の唐辛子が喉を通過して「ひりっ!」と一瞬焼ける様な熱さを覚えるほど。そして初めてのナクチです。「コリッ」とした歯ごたえの後「ニキッ」と歯がタコの肉に入って行く感じが野性的です。トックとの相性も良く、鍋の中身はあっという間に残り少なくなりました。「そんなに食べてないのに、随分量が減った気がするね。」と箸で鍋の「水深」を計測したところ、日本の鍋に比べてかなり浅いことが判明。「それならば…」と、更に「チヂミ」を平らげ、一息ついてふと店先の水槽を見ると、中には「ナクチ」がゆらゆらっと寝そべって次のお客さんを待っているところでした。(海月)
本場では踊り食いもする「ナクチ(テナガダコ)」。ゆる~く出番を待っています。

| | トラックバック (0)

2009年12月 4日 (金)

【ゲスト/東京】我が家風、あっさりおでん

-------------------------------------------------------------------
●池田牧僖子:「マルイ漬物」三代目
ぬか漬け専門店の長女として生まれ、27歳の時に美術商勤めを辞し、家業を継ぐ。特別栽培米の糠、有機栽培・特別栽培の野菜を使い家族で丁寧な漬物作りを続ける。ぬか床の販売にも力を入れ「我が家のぬか床」育成を勧めるほか、カルチャーセンターなどでぬか漬け講座も受け持つ。
-------------------------------------------------------------------

Oden 「うちは、おでんは生姜醤油で」と言うと、皆ふしぎそうな顔をします。

社会人になりたての頃、初めて外で御馳走になった「おでん」は、しっかりと味付けされ黒々とした汁、そして鼻孔の奥まで届くほどツーンと効いた練辛子。「我が家風」との違いに驚かされました。両親は兵庫県生まれで、姫路に依拠するところが多い我が家の食卓。おでんといえば、酒・塩・淡口醤油・味醂で味をととのえた出汁で具をあっさりと炊き、生姜醤油につけながら頂くのが定番です。
丁寧に下拵えをし、あっさりと生姜醤油でいただく我が家のおでん。翡翠色の銀杏は見目もよく、季節の恵みを感じさせます。

漬物屋のせいか、大根と米糠はふんだんにあります。木枯らしが舞えば大根は糖度が増しておいしい季節。新鮮な里芋と銀杏をいただいたので、今年もおでんを拵えました。
 
昆布と鰹節で出汁をひくと同時に、大根を米糠でゆがく。じゃが芋・里芋・蒟蒻は下茹でする。殻を割り熱湯で転がして薄皮をむいた銀杏は細串にまとめ、霜降りしたぶつ切り蛸は串刺しに。油揚げには玄米餅を入れ干瓢で縛って巾着包み。さつま揚げは熱湯でさっと油を切る。卵を茹でる鍋の上段ではキャベツを蒸してロールキャベツも拵えよう(とはいえ冷蔵庫にはお肉がない…、今回はしらたきを詰めて手軽でヘルシーなキャベツ巻になりました)。そして、出汁を調味しととのえる…。このあたりで、台所にたちこめる匂いにつられて覗く家族の顔が見えたら、お願いをひとつ託します。「今夜はおでんだから、たくさん生姜をすっておいてね」。

「菜蔬(さいそ)は最も大根を好んだ。生で食うときは大根おろしにし、烹(に)て食うときはふろふきにした」(森鴎外『渋江抽斎』より)。摂生に心を用いた抽斎らしい簡素な食べかたです。抽斎の妻、五百(いお)に会いたくて、時々想い出したように開く本。食いしん坊の血が騒ぎ、食べ物に対する記述に今夜も目が留ります。明日は大根に柚子味噌をつけてみよう。師走に入り、新酒も届くこの時季、旬の恵みを存分に戴きたいと思います。(池田牧僖子)

| | トラックバック (0)

2009年12月 2日 (水)

【東京】イタリア風トマト鍋

Nabeちょっと変わった鍋をやりたいなあと思っていた去年の冬、スパゲッティを作りながら思いついた「イタリア風トマト鍋」。今回のブログでご紹介しようと思っていたら、なんとテレビで今年はトマト鍋が流行っているとやっているではないですか。う~ん、なんだか流行りモノに飛びついたようで悔しいなぁ、とは思いつつ、やっぱり、おかまいなしに自分流のイタリア風トマト鍋を紹介したいと思います。
IHクッキングヒーターと対応土鍋。限られたテーブルスペースで飲み物や他の食材を温めることなく快適に鍋料理を楽しめます。

まず、つぶしたニンニクをオリーブオイルで軽く揚げ、セロリ、ニンジン、タマネギとともにうっすら焦げ目がつくまで炒めます(野菜は結構煮込むので大きめに切っておきます)。

次に、白ワインを入れて鍋をよく揺すりながらアルコールを飛ばした後、つぶしたホールトマトを投入。塩で軽く味をつけて、30分くらい弱火でコトコト煮込みます。

最後にバジルで香りをつけたら下準備完了です。

ここまでで、野菜の香りと甘みのしみ込んだ、おいしいトマトソースが完成しました。 お腹が空いていると、ちょっと長い下準備ですが、我慢してじっくり野菜を煮込むことが重要です。この後は、何をやってもまずおいしくならない訳がありません(笑)。お湯で水分を調節しながら、気楽に食べたい具材を入れていきます。今回はカニ、ホタテ、アサリ、キャベツ、ホウレンソウ、エリンギを選んでみました。
イタリアンパセリを散らし、お好みで粉チーズやオリーブオイルをかけながらどうぞ。
トマトやモッツァレラチーズなんかを入れてみてもおいしいかもしれませんね。

Lunchと、普通の料理だとここで終わってしまうのですが、まだまだお楽しみが残っているのが、鍋料理の良いところ。むしろこの後が楽しみでトマト鍋をやっているといっても良いくらい。鍋に残ったトマトソースを一晩寝かせて、しんなり炒めたタマネギ、余った具材、そして生クリームを加えて、翌日のランチにスパゲッティを作ってみました。
野菜や魚介類のダシがたっぷりとしみ込んだトマトソースは、濃厚でとっても奥行きのある味わい。普段なかなか家では作れないような、本格的なスパゲッティまで楽しむことができてしまいました。(金子広明)
翌日のパスタランチ。クレソン入りのサラダと一緒に。 リゾットにしても絶対おいしいでしょうね。

| | トラックバック (0)

2009年11月 4日 (水)

【東京】この子の三月(みつき)のお祝いに…。

Babiguling写真の豚の丸焼きは「Babi Guling バビグリン」と呼ばれるBALI料理です。冠婚葬祭に供えられるのですが、とてもおいしいのでバリの人は日常的にも頻繁にバビグリンを食べます。バリにはバビグリン専門店が沢山あって、おいしい店はとても繁盛しています。撮影したこの日は、子供が生まれて3カ月目の儀式(バリヒンドゥーの210日暦で計算して105日目。産まれた子供は、地面から悪霊 が入ると言われる3カ月間、地面に体を着ける事を避けて生活する。この日は晴れて足を地に着けて、人間としての生活を始める大切な日)のために、中ぐらいの大きさのバビグリンを購入。これをさばいて、儀式に集まった30人程の親族全員で食べました。
写真上:お祝いの儀式に欠かせないご馳走、「Babi Guling バビグリン」。毎日でも食べたいほどのおいしさです。

バビグリンは、豚の腹を割き、内臓を取り出してその空洞に一杯の香草とスパイスを詰め、じっくりと回転させながら炙り焼きにした料理です。さばいたばかりの肉は、ほんのり温かく、肉の水分と脂分がまわり「ほわっ」とした食感です。ハーブとスパイスが渾然一体となって肉の味を引き立て、じんわりと体全体に染み渡るような柔らかい味が特徴です。皮は特に人気があり「皮がまだあるぞ!」とか「わしはまだ皮を食べておらんぞ!」という声が必ずと言ってよいほど聞かれます。良く焼けた皮は飴色に輝き、歯で割る時の「クリオッ!」という音と、その直後に皮の裂け目からにじみ出てくる濃厚な旨味!豚肉好きには至福です。バビグリンと白いご飯の組み合わせは、最強のバリ料理と言っても過言ではありません。

Osonaeこの日は、色とりどりの愛らしいお供えにも目を惹かれました。「海のおばけ」「頭無しおばけ」(?!)「鳥」「うみへび」「大きな花」「公園」「丸」「三角」とひとつひとつに名前がある、ユーモラスな形のお供えです。ひとつひとつのサイズは2~8センチ程で、その数およそ70種類。米粉と水を混ぜて粘土状にし、色粉を混ぜ、一番搾りの椰子油を手に付けながら女性のお坊さんが全てをひとりで作ったとのこと。その約70種類の小さなお供えが直径20センチ深さ7センチほどの植物の葉で作られた器に入っています。これが3組供えてありました。このお供えは「小宇宙」を表し、人間が一生に経験することをイメージ上でリハーサルする、という意味があるのだそうです。膨大な時間をかけて作られたこのお供えを「今は家畜に餌として与えるけれど、昔は大きな鍋で茹でて全部きれいに家族で食べたものだよ」とお坊さんが話してくれました。(海月)
↑「小宇宙」を表すお供え。赤ちゃんが今後経験する、人生の様々な事柄が詰まっていると思うと、感慨深いです。

| | トラックバック (0)

2009年11月 2日 (月)

【東京】フレンドリーなデザイン

Hotate最近はいわゆるおしゃれな建築やデザインされたモノが、一般の雑誌でも頻繁に採り上げられるようになって、洗練されたデザインを目にする機会が増えていますよね。
そういったことの影響なのか、一般にデザインというと不純物を寄せ付けないようなイメージが広がっているのではないかと思います。
クライアントと打合せをしていても、なんだか申し訳なさそうに、「ここにこういうものを付けたいんだけど、デザインを壊してしまいますかね?」なんていうことを訊かれたりします。

確かに、説明しにくい要素はなるべく削っていって、すべての要素が同じ方向を向いているようにしていく方が(つまり物事を洗練させていく方が)、デザインする側にとっては決断が簡単になるし、そのようにして完成したデザインは誰にでもわかりやすくて、力強く見えやすいのだと思います。
でも、あれもダメ、これもダメのデザインでは、なんだか窮屈な感じがしないでしょうか?建築は飾る物ではなく、毎日使う物です。いろいろな不純物を取り込んでもなお魅力を失わない、あるいは、味わいが増しているようにさえ感じられる。そんなフレンドリーなデザインにいつか辿り着きたいものです。

Mannaoshi山口県は下関市の「まんなおし」に連れていってもらった帰り道、電車に揺られながら、そんなことを考えました。
まんなおしはとってもリーズナブルに新鮮な魚介類を食べさせてくれる炉ばた焼きのお店。置いてある物もインテリアも洗練されたデザインとは無縁の素朴なお店なんだけれど、とてもゆったりと幸せな気分で、おいしい料理を食べ、お酒を楽しむことができました。 古くても気遣いの行き届いた、非常に懐の深い空間なのでした。(金子広明)

常に笑顔で魚介類を焼いている「まんなおし」のご主人。お店の雰囲気も味も最高。その上とっても安いんです。最初の写真は、ホタテとのどぐろの塩焼き! のどぐろは初めて食べましたが、脂がのって、身が厚く、驚きのおいしさでした。

| | トラックバック (0)

2009年10月16日 (金)

【東京】菓子屋のバールの愉しみ方

Tennai_2幼い頃の、汗ばむほど硬貨を握りしめ駄菓子屋に駆け込む時を思い出すと今でもじんわり幸福感に包まれます。

今や表参道のランドマーク、AOビルの真裏に佇むイタリア菓子専門店「ソル・レヴァンテ」の門をくぐる時はそんな気分です。懐しの駄菓子屋と違い、並ぶのは見目麗しい大小のドルチェや焼き菓子、迎えてくれるのはきびきびと動く溌剌とした表情のホールスタッフやバリスタですが、ケースを前に心躍らせながらどれにしようか迷う感覚は子供の頃も今も変わりません。
バンコの奥にはゆったりしたイートインのコーナー。着席してのんびりと空間に浸るのも楽しい。ランチメニューやキッシュもお勧め。水曜定休。

「小さいドルチェはお酒との組合せも楽しめるよう作っています。だからバンコ(カウンター)にはお酒も並びます」シェフの藤田さんは、イタリア菓子に魅せられ、イタリア菓子を極めるには背景の伝統と文化の体得が必要、とイタリア料理の修業から始めたそうです。そのシェフが作る旬の果実のケーキとスプマンテ、濃厚なクリームタルトとシングルモルトなど、味のマリアージュを想像するだけでも楽しい。

Limonchero_2 そんな嬉しいことを気楽に試せるこの立飲みバールは、バリスタの流れるような手つきも味のうち、搾りたてのエキスのようなエスプレッソやマッキャートとしっかりと手をかけたドルチェの組み合わせを500円玉一枚で楽しむことすら可能にしてくれる宝箱。

季節や天気、はたまた懐具合によってくるくる変わる乙女(!?)心を満たしてくれる本日の一杯と一品二品をチョイスする、ソル・レヴァンテはドルチェ・ヴィータ(甘い生活)を愉しめる場所です。(松山聖子)

本日の組み合わせは、特製のリモンチェッロ(レモンリキュール)にホワイト・チョコレートのタルト。締めには、もちろんエスプレッソ。

●ソル・レヴァンテ
東京都港区北青山3-10-14
TEL:03-5464-1155

| | トラックバック (0)

2009年10月 5日 (月)

【東京】「いろは」に、ふるさとの味

Cyuukasoba_4 先月、生まれ故郷の山形県鶴岡市に帰りました。帰省すると必ず訪ねるのが、鶴岡市大山にある「いろは食堂」です。父が好きだった食堂なので、私も愛着があります。チャレンジャーだった父は、40品を越えるメニューの中から毎回違う物を選んで食べていました。私も父に倣い、チャレンジャーを気取ろうとするのですが、いつも挫折。それはこの店の「中華そば」のせいです。
澄み切ったつゆと定番の具。「これぞ、中華そば」です。

「毎日通えるんだったら他の物を食べても良いけどね~…」などと言いながら、いつも「中華そば」を選んでしまいます。鶴岡の人は「中華そば」が好きで、ご飯物、麺物を商う食堂には必ずこのメニューがあります。私も御多分に漏れず、自分の意志とは関係なく子供の頃から「中華そば」を食べていたのですが、いつの間にか「ふるさとの味」として 懐かしく思い出すようになりました。

今回は「人面魚」で全国にその名を馳せた善宝寺の帰り道、昼の混雑を避けてこの店に入りました。店の奥で注文、支払いを済ませ、セルフサービスのお茶を淹れて、真ん中にある堂々とした一枚板のテーブルに着き「中華そば」を待ちます。しばらくすると「ぷぅ~ん」と良い香りがして「中華そば」が運ばれてきました。箸を「ぱしっ!」と割って、胡椒を「ぱっぱっぱっ」と振り入れると、立ち上るつゆの香りが胃袋を刺激します。醤油味のつゆを一口含んで「うん、この味、この味」と頷いてから、小さく波打つ麺をするするっと箸で送ると、馴染み深い「ふるさとの味」が帰省の気分を盛り上げます。具は、チャーシュー、シナチク、海苔、薬味のネギ。このチャーシューが魚の味のつゆを吸収して「海でとれた豚肉」のような深い味になっています。昔に比べると量が少なめになったとはいえ、チャーシューは2枚も入っているし、麺の量が東京の1.5倍はありますから食べ応えは十分。

Iroha満腹を抱えて店を出て、ふと振り返ると、出入り口には「いろは」と書かれた看板が「どん!」と置かれ、そしてその文字の上には「有難度様」の文字が深々と彫り込まれています。その看板の文字から「ありがどさま~」という庄内の言葉が聞こえてくるような、昼下がりの「いろは食堂」なのでした。(海月)

●いろは食堂
山形県鶴岡市友江町20-25

どん!と置かれた「いろは」の看板。ふるさとの訛りなつかし、「ありがどさま~」。

| | トラックバック (0)

2009年10月 2日 (金)

【東京】「充分おいしい」食事の作り方

Dishes しっかりとしたコンセプトに支えられた全体性があり、その上で細部にまでこだわり尽くしたデザインをすることができれば、もちろんそれに勝ることはありません。
美しく、高機能な材料で、実現したい空間にぴったりの形を積み上げていきたいというのは、僕たちデザイナーの誰もが理想とすることだと思います。
ところが、現実の世界でデザインを進めていくときには、コストという制約によって、いつでもそのような恵まれた環境で仕事ができるとは限りません。
建築のデザインを始めたばかりの頃には、そのような状況によく不満を感じていたものでした。もっと徹底的にこだわって作りたいのに、なぜクライアントはそれを理解してくれないのか。

ところが、いろいろな建物をデザインしていくにつれて、その制約の中での格闘こそが、僕たちデザイナーの力の見せ所なのだなと思うようになりました。
実は徹底的にこだわったベストなディテールを作ることは、それほど難しいことではないんです。目指すところに、ただ一直線に進んでいけば良い。
むしろ、限られた予算の中で、どうやって全体性を高めてくれる細部をつくり出していくのか、「これでも充分美しい」と言えるデザインをいかに生み出していくのかという点にデザイナーの真価が問われているのだと思います。これと同じようなことを食事の準備をしているときに感じることがあります。
例えば友人を招いて、ちょっとリッチにホームパーティーをしたい。そんな時でも揃えられる食材には限界があるし、掛けられる手間にも限りがあります。高級レストランではないので、すべてがベストというわけにはいかない。そんな時、僕はいろいろな工夫をして「これでも充分おいしい」食事を準備するよう心がけています。

ひとつは、料理を作る時にどこかに必ずこだわりを残すこと。あるところは缶詰で済ますけれども、このひと手間は絶対に惜しまないとか、食材はベストではないけれど、調味料だけはあらかじめ良いものを入手しておくなど。

そして、何よりも大切にしているのが、「雰囲気づくりに気を配る」ということです。ちょっと照明にこだわってみる。かわいいテーブルクロスを掛けてみる。美しい花瓶に花を飾ってみる。優れたデザインの食器を使ってみるなどなど、
小物ひとつ、照明ひとつの作用で、料理はびっくりするほどに魅力的なものに変身してくれます。こんなに楽なことはありませんが、とても効果的なんです。

Sglassまた、それらは、たとえちょっぴり高価だったとしても、ホームパーティーに限らず何度でも登場して、食事を楽しいものしてくれます。様々な工夫と価値ある投資。建築同様に、この2つが、限られた予算の中でも「充分おいしい」食事を作り出すキーポイントなのかもしれません。(金子広明)

1枚目の写真は、我家の食器や小物たち。料理の味と雰囲気を高めてくれるとっても頼もしい助っ人です。左はいちばんのお気に入り、スガハラのシャンパングラス。手作りのうねった形状が柔らかく特徴的です。スガハラのグラスは国産でデザインもよく、比較的安価。とっても優秀です。

| | トラックバック (0)

2009年9月 7日 (月)

【東京】口福のタルト・オランジュ

Passagejouffroy 2009年1月のParis。9区はグラン・ブールバール(Grands Boulevards) 駅の近くにあるアーケード街、パサージュ・ジュフロワ (Passage Jouffroy)を散策しました。この通りには、有名なグレヴァン蝋人形館、プチホテル、洋品店、 天然石の店、ドールハウスの店、おもちゃ屋など興味を引く店が並んでいます。その一角に、洋菓子好きなら絶対にぐぐ~っと体ごと引き寄せられるお菓子屋を発見!
→パリを「巴里」と記したくなる? 空想と妄想広がる「パサージュ・ジュフロワ」。

ウインドー越しに「あれは何? 食べたい…。そっちは何? それも食べたい…」と目をらんらんと光らせて、獲物を狙う獣の様に中を 覗き込む私を見て、お客さん達は、ちょっと恐かったに違いない。同行の友人達と勇んで店の中へ。「あ~、どうしようっ!」パンデピス、ガレット、チョコレート、ジャム、パン、ケーキと食べたいものが目白押し。「並んでいるお菓子、全部下さいっ!」と言いたいところを「ぐっ!」と我慢して、私はタルト・オランジュを注文しました。お茶とお菓子を待つ間も360度お菓子に囲まれてそわそわ。 「あのチョコ、お土産に出来そう?!」「空港か飛行機の中で食べようか?」「何故胃袋って、ひとりに一つなの?!」などと言いつつ、しばらく待つとお茶とお菓子が運ばれてきました。目の前に置かれたタルト・オランジュの堂々とした「お菓子振り」 に「おおお!」と感嘆。しかも小さくないのが心底嬉しいです。しばし眺めた後、そっとフォークを入れると、その先端には濃厚な クリームと、どっしりしていながらもさくさくとした台座の確かな 手応えが。「えいっ!」と口に運ぶと、オレンジクリームの深くて強い甘さと 濃い香りとで、私の顔はとろけるよう。その後爽やかにして強烈な 酸味が喉を通りすぎて顔が一気に引き締まります。この世の憂さなど全てどこかへ飛んで行く、まさに魔法の瞬間です。「おいしいっ! これぞ求めていた味!」。この強い酸味と容赦ない甘味のコンビネーションこそ柑橘系お菓子の醍醐味です。

Tarteorange「いや~、恐れ入ったねえ」などと言いつつ店を後にし、すぐ目 の前のおもちゃ屋をぶらぶらしていると、さっきのお菓子屋のお姉さんが「忘れ物よ!」と言いながら友人のバッグを持って中へ入ってきました。お菓子を食べ終わって店を出た私たちがどこへ行ったのか見ていてくれたのです。さっきのタルト・オランジュが忘れがたい思い出に変わります。ご馳走様! 口福と親切をありがとう!〈海月〉
↑口福な思い出、忘れられないフランス菓子「タルト・オランジュ」。

| | トラックバック (0)

2009年9月 4日 (金)

【東京】マカロンが教えてくれたもの

Macaron 「昔栄えた工業都市」。これは僕の故郷・北九州市に対する定番のイメージです。食べ物に関しては、おいしい魚をとても安く食べられる町で、東京に出てきてからもそれなりに自信を持っているのですが、工業都市のイメージからか、「ちょっと手の込んだ料理やスイーツなんかは東京にかなわないよな」というのが僕の長年の思い込みでした。

でもある時、そんな思い込みをがらりと変えた一つのお菓子に出会いました。それは、北九州市のパティスリー「ドゥルセアルテ」のマカロンです。
写真上:「ドゥルセアルテ」のマカロン。もともとはマカロンを好きでなかった僕の心を鷲づかみに。北九州市のお土産としてマイ・ブームです。

「なにこれ?! すごく美味しい! マカロン? マカロンてこんなに美味しかった? マカロンの概念が変わったかも。こんなに美味しいお菓子があったりすると北九州も捨てたもんじゃないなって思います(笑)」

↑これは、友人から贈られたこのマカロンを食べて送ったメールの文面です。

「その町にどんなおいしい食べ物があるのか?」、このことは、町への愛着や印象を決めるのに大切な要素だと僕は思っています(ちょっと遠い町でも、雰囲気が良くて安くおいしいレストランがあれば、出かける回数が増えたり、住んでいる町においしいランチを食べられるお店があるとなれば、なかなか離れられなかったりするように)。また、「海の幸、山の幸に恵まれた町に住んでいる人たちには、おおらかで親切な人が多い」、これは旅の経験から得た密かな持論なのですが、すばらしい食文化がある町や、ものの価値をきちんと評価できる人たちが暮らす町には、心豊かな人やおいしいものを作る人が育ち、さらに集まりもするのではないかと思っています。

Dulcearte工業都市というイメージの影響から、「ハイソな食べ物はちょっとね……」と思い込み、決して前向きでなかった故郷に対する僕のイメージ。でも「ドゥルセアルテ」のマカロンとの出会いによって、それががらりと変わりました。そして、そんなちょっとしたことがきっかけとなって、北九州市の歴史を勉強してみたりもしています。少しずつ故郷への想いが塗替えられ、愛情もさらに深まっている最近。お菓子の力、侮れません。(金子広明)

北九州市は戸畑区にある「ドゥルセアルテ」。2階が雀荘というのが北九州市らしいです(笑)。

| | トラックバック (0)

2009年8月21日 (金)

【東京】出前?!のおやつ、ルンピア

Lumpia1バリでは麺類、つみれスープ、アイスなどを引き売りしています。右の写真の人は、ルンピアという揚げ春巻きのような軽食を売って歩くおじさんです。私が最初に目撃してから10年以上になりますが、売っている物は脂っこいのに、毎日せっせと歩いているせいか、おじさんはスリムなままです。おじさんはこの大きな箱を頭に乗せて「タビオ~、タビオ~~」(「タビオ」は唐辛子の意。何故この呼び声なのかは不明)と言いながら通りをゆっくり歩きます。お客から声がかかると家の中まで入ってきて、その場で注文に応じます。 ↑スリムなルンピア売りのおじさん

私はタフ(揚げ豆腐)とルンピアのミックスタイプを注文しました。ルンピアの中身は、ウテウテ(モヤシ)とニンジンです。他にも何か入っているのかも知れないのですが、見た目にはよく分かりません。小さな子供のお小遣いでも買える程度の値段なので、春巻きの 中身は「スカッ」。空気が一杯。外側の衣は厚めで、少々堅めに揚がっています。タフは日本の油揚げを薄くして正方形にしたような形です。

注文を訊くとおじさんはルンピアを入れる器を作ります。茶色の紙 (水分が通らないようにコーティングされています。)をくるっと 円錐形に巻き、竹ひごでつなぎ目をピチッと留めて、その中にルンピア、タフを右手に持ったハサミでちょきちょきとソースが絡みやすい大きさに切り刻みます。そして緑色の容器に入った甘辛いピーナッツソースをその上にたっぷりとかけます。「タビオ(トウガラシ)入れて!」と言うと、こくりと頷き、青唐辛子を、ソースがかかったルンピア+タフの上に、またしてもハサ ミでちょきちょき。完成するとさっきの器のつなぎ目を留めたのと同じ竹ひごを、ルンLumpia2 ピアに刺して渡してくれます。その竹ひごで食べるのですが、ソースで柔らかく、重くなったルンピアを上手に口まで運ぶのがこれまた一苦労。中身の少ないルンピアですが、手の平に山盛り一杯のこのおやつを食べた後は、満腹状態に…。
「あ~結構お腹いっぱいになったね~。」などと言いつつ、これがバリの「安らぎのひととき」なのです。(海月)
↑タフ(揚げ豆腐)も入ったミックスタイプのルンピア

| | トラックバック (0)

2009年8月19日 (水)

【ゲスト/東京】あなたは、そうめん派? ひやむぎ派?

Ooyachihiyamugi 夏の麺の代表選手といえば、そうめんとひやむぎ。みなさんはどちらをよく召し上がりますか? 私の故郷(尾張)ではひやむぎでした。お隣三重県・大矢知(おおやち)の手延べひやむぎが、夏の昼食の定番アイテムだったのです。最近この自慢のひやむぎを知人に紹介したところ、「ひやむぎなのに原材料に油が入っているの?」と質問されました。確かに、二つの違いについて子供の頃教わったのは、「そうめんは麺の断面が丸く、延ばしやすくするため油が入っている。ひやむぎは断面が四角く、小麦と塩と水だけで作る」…。

気になりだすと止まらない性格、早速JAS(日本農林規格)を確認してみたところ、思いがけない基準にびっくりしました。JASでは乾麺を「機械麺」と「手延べ干し麺」に分類しますが、機械麺の場合、そうめん:直径1.3mm未満、ひやむぎ:直径1.3mm以上~1.7mm未満、1.7mm以上はうどんとするそうです。つまり、太さによる区別しかありません。そして、手延べ干し麺の場合、1.7mm以上を「手延べうどん」とし、1.7mm以下のものは「手延べひやむぎ」「手延べそうめん」どちらでも記載できるとのこと。つまり、手延べ干し麺に関しては、そうめんとひやむぎに法律上の違いはないのでした。

さて、乾麺の規格を改めて勉強した後、仕事のついでに足をのばして大矢知を訪れました(何かを調べ始めると、その土地を訪ね、風土や人に触れたくなってしまいたくなるんです)。あいにく製造は冬が中心なので現場の見学はできませんでしたが、「三重の糸大矢知手延素麺協同組合」の組合長さんからいろいろお話を伺うことができました。

現在は三重県の四日市となった大矢知。全国に先駆け「手延べひやむぎ」を考案し、製造・販売を始めたのが、他でもないこの大矢知だそうです。この地方では、江戸時代末期から「手延べそうめん」作りが始まり、農閑期の副業として生産が活発に行われてきたとのこと。明治時代に近代的な灘式手延べ製法が伝わると、製造者も飛躍的に増えました。そして昭和30年頃、手延べひやむぎの製造を開始すると、そうめん産地でありながら、ひやむぎの製造比率が高くなっていったそうです。大矢知の手延べ麺は、ちょっと太めで、独特の風味と抜群のコシが特徴。最良の材料を用いた生地を一度に伸ばすのではなく、少しずつ延ばしながら細くして熟成させる、昔ながらの伝統的製法を守っています。

しかし、残念なことに現在では後継者不足が悩みの種となっているそうです。もともと農閑期の副業として始まった産業なので、農業の後継者がいなくなれば、当然製麺の後継者もいなくなります。昭和初期には約300軒あった製麺業者は、14軒に減りました(それらは「三重の糸」「金魚印」「扇印」の3ブランドいずれかに属しているそうです)。

農業にも後継者問題はありますが、農閑期の産業や産物は、農業そのものより早い速度で消滅してしまいます。現代生活に応じた産業や仕組みが確立し、便利で機能的になったので仕方がないことではありますが、季節ごとの仕事や、その季節を生かした経済活動が残らないことを残念に思います。冬の寒風に晒されることでおいしくなる手延べ麺。農閑期に家族で作り、夏になったら出荷し、買った人が涼を楽しみながら食卓を囲み喜んで食べる、という当たり前だったサイクルをどこかに残しておきたいですね。季節のつながり、人のつながり、暮らしのつながりを感じられような仕組みを大切にしたい思います。(堀田正子)

■三重の糸大矢知手延素麺協同組合
三重県四日市市大矢知町1207-6
TEL:059-365-0621
代表理事 渡邉文夫

http://www.nihontenobe.com/kumiai/mienoito.html

| | トラックバック (0)

2009年8月 3日 (月)

【東京】料理と記憶

Kawarasoba 食べ物をおいしく食べることは、生活の中で大切な位置を占めています。しかしながら、味そのものを記憶したり、どんな味だったかを思い出してイメージとして再体験したりすることは、とても難しいことのように思えます。皆さんはいかがでしょうか。僕は建築物ならば、そこを訪れ体験したことや感動したことを映像として心の中にしまい、時折そっくりそのままに引き出すことも難しくはないのですが…。

下関川棚温泉名物「瓦そば」。「なんちゃって瓦そば」は家庭でも簡単に作るとこができます。茹でた茶そばを炒め、お好みの具材をのせ、麺つゆで食べます。本物の瓦に載せるのはなかなか大変だと思いますが。

僕の食べ物に関わる記憶は、「誰と一緒に何を話しながら食べた」とか「どこを旅行しどんな雰囲気のレストランで食べた」など、他の情報とセットになって思い起こされることがほとんどです。味そのものを記憶することは難しいのですが、その場の雰囲気やシチュエーションが強力な手助けとなって、料理が記憶に焼き付いているのだと思います。さらに、記憶の中に「おいしかった!」という思いがあると、豊かな情景がぱっと心に蘇ります。

Tsuhoshimaoohashiそんなおいしい記憶の一つに「瓦そば」があります。僕の故郷・北九州市の隣、下関市川棚温泉の名物で、角島の風景とセットになって思い出される料理です。海面を疾走するかのような角島大橋を駆け抜けて、サンセットを眺める。帰り道に瓦そば発祥の店「たかせ」本店に立ち寄ったあと、川棚温泉に浸かって海沿いの道を走り家路につく。暑い夏の日にはこれ以上ないドライブコース、東京にいながらにして、下関の美しい夏の景色とともに瓦そばの味わいが、いつでも心に広がります。(金子広明)

本州から角島にのびる角島大橋。意図されたことなのかは分からないけれど、あえてデザインしていないように見せることで(あるいはそう見えることで)、海面を疾走する感覚が際立ちます。

| | トラックバック (0)

2009年7月10日 (金)

【東京】「シルトッ、マシッスムニダ!(おいしゅうございました!)」

2 韓国の冠婚葬祭に欠かせない伝統菓子「シルトッ」。一昨年初めて食べました。「トッ」は朝鮮語で「餅」という意味ですが、日本のそれとはかなり違います(よく漫画に出てくるように、ぷーっとふくれてぺたっとしたりはしないんですね)。数ある「トッ」の中でも蒸し餅であるシルトッの見た目は「かるかん」で、食べるとモチッ、キシッ、ズンッ、パサッとした食感(文字で上手に表すのは難しい…)、粉から作られているのが分かる、ほんのりとした甘味を感じるお菓子です。
こちらが、ズシッ、モチッ、ふかっとした「シルトッ」。

そんなシルトッの全容を探るべく、韓国料理研究家で料理人の、な すんじゃさんに「シルトッ研修」をお願いし、作り方を目の前で教えていただきつつ、自分もシルトッ作りに挑戦しました。材料は米粉(もち米、うるち米)、砂糖少々、塩、水、そして甘納豆(たったそれだけ!)。作業の要所要所ですんじゃさんから「あ~っ! そないしたらアカン!」「水はもう少し入れんとな!」(すんじゃさんは在日韓国人2世で京都出身)という指示を飛ばされつつ、具材を遂に蒸し器へ投入しました(ちなみに、「シルトッ」の「シル」は蒸し器の意)。

1ここで驚いたのは、材料がさらさらの状態で蒸すということ。生地のようにこねあげられてはいないのです。これで大丈夫なのか?と不安になりましたが、すんじゃさんは腰に手を当てて不敵な笑いを浮かべています…。きっちり35分間蒸して蓋を取ると、ふわ~っと熱々の湯気と共に蒸し上がったシルトッ出現!早速切って試食です。「うま~い!」。できたてのシルトッは少し重みのあるモチッ!という食感です。
餅粉+米粉+甘納豆を混ぜてさらさらのまま蒸し器へ

すんじゃさんが作ったシルトッも試食すると、私が作ったものとは段違いの旨さ……。その差は明らかに何百台も作った経験と、おいしい物を次から次へと生み出す「手」の違いです。シルトッ作りで肝心なのは、水加減とのことですが、手が水の加減を知っているんですね(韓国では「ソンマッ」(手の味)という言葉があるそう)。

「100台ちゃんと作ることが出来たら一人前」ということで、「シルトッへの道」に気が遠くなっていくのでした。(海月)

   

| | トラックバック (0)

2009年7月 3日 (金)

【東京】魅力的なレストラン空間

1「建築家ってオシャレなレストランをたくさん知ってるんでしょうね」というようなことを聞かれることがよくあります。
確かにインテリアの専門誌で紹介されたようなお店にはそれなりに興味があって、デザインを見るために食べにいくことも実際にあるし、そういうのも嫌いではありません。でも、おいしい物を食べたい時や、大切な人を誘って食事をしたい時なんかに、そういった面白いデザインの、いわゆるオシャレなお店を良く利用するのかと言えば、そんなことは全然ないんですね。
では、果たして自分はどんな基準でレストランを選んでいるのか?
去年行ったイタリア旅行でなんとなくそれが分かったような気がしました。
⇒眼下にベルガモの街を見渡すことのできるレストラン。

それはミラノ郊外のベルガモ・アルタという、中世の城壁に囲まれた街のレストランでランチを摂った時のこと。
そのレストランで感じたのは、建物と使う人達がすごくしっくり馴染んでいるなということでした。洗練されたインテリアの中、フロアで働く人たちの無駄のない動きや接客態度、行き届いた掃除はもちろんのこと、食器のしまわれ方や、花や小物の飾り方。食事を楽しむ人たちの雰囲気。背伸びした感じも窮屈な感じもなく、いろいろな瞬間に建物と使う人の関係がぴったり重なり合う幸せな関係を感じ取ることができました。
ああ、魅力的なレストラン空間に大切なのはデザインと使う人達の気持ちの通じ合いなんだなと思いました。
そんなことを考えながら自分が好きで良く行くレストランを思い起こしてみると、それらはデザイン自体は全く普通なんだけれども、確かにそんな幸せな関係が絶妙なバランスの中に成り立っている気がしました。僕は料理の専門家ではないので、提供される料理にどのような思いが込められているのか、本当に深い部分までは理解できていないと思うんですが、デザイン自体に斬新で面白いことがなくても、親密でズレのない空気感の漂う空間を保って仕事をする人たちの料理は、信頼できるなという感じがします。

2これってよく考えてみればレストランだけに言えることではなくて、住宅をはじめ、建築全般に当てはまることなんですね。どんなにすばらしいデザインの住宅でも住み手との間にズレがあると、そこに幸せな空間は生まれないんです。
僕たち建築家は、建築そのものというよりは、建築と使い手との幸せな関係をデザインしていくべきなんだな。おいしいピザをほお張り、ベルガモの街を眺めながらそんなことを考えたのでした。(金子広明)

| | トラックバック (0)

2009年6月12日 (金)

【東京】辛いのがお好き? インドネシアの楽屋弁当と差し入れ

Kamaboko今春、インドネシア・バリ島で制作された新作の音楽劇が、首都ジャカルタで上演されました。スポンサーが沢山付いたこの作品は、舞台裏への差し入れも充実。連日楽屋には豪華なお菓子や珍しいスナック、果物の数々が届きました。中でもバリ人に大好評だった差し入れをまずはご紹介しましょう。

写真1枚目の笹団子のような形状の食べ物、これがバリ人好みの一品です。その正体はインドネシアの「かまぼこ」。魚のすり身を棒状に成形し、バナナの葉に包んで炙り焼きした食べもので、食感は日本の板かまぼこのよう。噛むと「ぶりん」としたかまぼこの弾力に、歯が押し戻されるような感覚があります。大きさがまちまちだったり中身もちょっと焦げていたりしますが、それは計量、成形、炙り焼き、と一連の作業のほとんどが手作業で行われるため。そして、写真に写っているオレンジ色の物体が、かまぼこのソースです。日本ならわさび醤油といきたいところですが、バリやジャワでは大抵ピーナッツと唐辛子を和えたもの。これが辛かった! 辛さに強いバリ人さえも思わず「Pedas !!」(プダス=辛っ!)。魚のうま味が詰まったかまぼこはバリ人に大好評、あっという間に箱は空になったのでした。

Gakuyabentouさて、続いては2枚目の写真。こちらはかまぼことはうって変わり、バリ人に不評だった楽屋弁当です。インドネシアのお惣菜の味付けは、ココナッツ、唐辛子、塩、ターメリックによるものがほとんど。ですが、このお弁当の惣菜はインドネシアでもジャワ島に見られる味付けで、辛さより甘さが引きたっていました。日本人の私には「インドネシアの味!」でおいしかったのですが、辛い味付けを好むバリ人からは「これをおいしいと思うのか?!」とちょっと軽蔑されました。

そんなバリ人たちはまた、「白いご飯が無ければ食事じゃない!」ときっぱり言い、「腹が減っては戦はできぬ!」と舞台の「出」の直前にも、白いご飯とおかずでしっかりと食事をとるのでした。(海月)

-------------------------------------------------------------------
海月:山と海と川と水田に恵まれた山形県鶴岡市の生まれです。おいしい物集積地の東京に住んで35年、おいしい物好きのホストファミリーがいるバリ島へ通い続けて26年。ダイエット出来ないのは宿命か!? 自分の心身に心地よいおいしさを与えてくれる物を求めて彷徨中!
-------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2009年6月 8日 (月)

【東京】美術館レストランの幸せ

Yokosukabijyutukan1小旅行の目的地として、あるいは旅先でランチをとる場所に困った時の切り札として、美術館のレストランをよく利用します。ほぼ間違いなく、恵まれたロケーションと魅力的な空間で食事をすることができるからです。それはどうしてでしょうか? 建築的な視点から理由を探ってみると……。
山本理顕さん設計による「横須賀美術館」。丘の上に建つこの美術館のレストランでは、テラスで食事をすることができ、東京湾を見渡せます。

まずは立地自体の良さ。美術館は人々がリフレッシュするための場所でもあります。そのため、都会にあっても公園に面していたり、緑に囲まれていたりと比較的環境の良い場所に建てられるのです。次には、館内各部門の特性が考えられます。館内は大まかに展示部門・サービス部門・収蔵部門・管理部門に分かれますが、設計者はこのうちどの部門を敷地の一番良い場所に持っていきたくなるでしょうか? 美術品は直射日光や気温・湿度の変化を嫌うものが多いため、展示部門・収蔵部門は閉鎖的な部屋にならざるを得ません。とすると、職員さんが働く管理部門よりは、多くのお客さんが憩う場所、つまりサービス部門のエントランス、あるいはレストラン・カフェを一番良い場所に配置しようということになります。

Yokosukabijyutukan2また、美術館ならではのインテリアや食器類へのこだわりも、魅力ある食空間の理由に挙げられると思います。かわいいデザインの食器に盛りつけられた食事が運ばれてくると、それだけで楽しい気分になってきますよね。
このような訳で美術館のレストランは、自然と眺めの良い魅力的な場所を与えられ、心躍る空間と心地よいひとときを提供してくれるのだと思います。小旅行に美術館レストラン。皆さんもいかがでしょうか?(金子広明)

スパークリングワインでも飲みながらランチを食べると、その日の目標は80%くらい達成できてしまいます。展覧会を観るのを忘れてしまいそうになるくらい(笑)

-------------------------------------------------------------------
金子広明:驚きがあって躍動的、それでいてきちんとおいしく心地よい。そんな素敵な料理のような建築をつくりたいという思いで、日々設計に取り組んでいます。趣味は 料理・ジョギング・ゴルフ・舞台鑑賞。美味しいものと魅力的な空間、 楽しい会話のある所には敏感に反応し姿を現します。
------------------------------------------------------------------- 

| | トラックバック (0)

2009年5月18日 (月)

【ゲスト/東京】東京で秋田を味わう-2「伝統食材」

納豆には「とんぶり」を普通に混ぜ、きりたんぽ鍋には「三関せり」の根を入れる生粋の秋田育ちですが、案外、地元のことって知らないものですね。
秋田県の食料自給率(カロリーベース)は、なんと174%だそうです(平成18年度/農林水産省)。教えてくれたのは「料理通信」でお馴染み、柴田香織さん主宰のフードリテラシー研究会が行った、伝統食材のリテラシー〈秋田編〉です。

伝統食材について識り、そのものの味をテイスティングし、さらにはシェリーヴィネガーやオリーブオイル、酢味噌、卵黄などさまざまな調味料と組み合わせて“味覚の探検”を行うこの研究会。後半は、広尾「プティポワン」の北岡尚信シェフが伝統食材をフレンチで表現するというユニークな構成。ナビゲーターは秋田県東京事務所の加藤はなゑさん。おっとりとした秋田弁に会も和みます。

秋田では伝統野菜に定義があり、
1.昭和30年代以前から県内で栽培さていた
2.地名、人名がつくなど秋田県に由来している
3.現在でも種や苗があり生産物が手に入る、という3つの事項を満たすもの。その中から、今回取り上げられた4つの伝統野菜は以下の通り。

「とんぶり」…畑のキャビアと呼ばれる、ほうき草の実。プチプチと弾ける食感。
「秋田さしびろ」…九条葱系の葉葱。やわらかくて甘みが強く、噛むとシャキシャキ、しかし葉の内側がつるっとしている。
「山内にんじん」…水分値が低く、肉質のしっかりしたにんじん。生より加熱することで濃厚な甘味になる。
「三関せり」…清流水に恵まれた湯沢市三関地区のせりは、長くてしっかりとした“根”においしさがある。

また、秋田県の限られた地域で特産品となっている3つの食材は次の通り。
「ヤマノイモ」…里芋に対する、山の芋。県北の大館で生産され、非常に粘度が高い。
「山ウド(白神山うど)」…世界遺産・白神山地の麓で生産される、半緑化うど。アクが少なく、生で食べられる。
「ギバサ」…茶色の海藻が、熱湯をかけると鮮やかな緑に変わる。これを包丁でたたいて、たたいて粘りを出し、酢醤油や生姜醤油でいただく。

Photo_5 日本海に面し、南に鳥海山、北に白神山地、東に奥羽山脈を持つ秋田は、地域によって気候の特色も違い、食も違います。が、柴田さん曰く「多くの食材が、プチプチねばねばの“食感”に特色あり」とのこと。たしかに上記でもとんぶりはプチプチ系、さしびろ、ギバサ、ヤマノイモはねばねば系。名物ハタハタのぶり子に至ってはプチプチもねばねばも両方ある! そんな風に他県の人からの評価は、新たな価値を食材に与えることができる。それも伝統食材のリテラシーの目的だそう。日本の地方の伝統食材への再評価、期待しています。(ライター 井川直子)

Photo_6この日のお料理4皿から2皿をご紹介。写真右上:「畑のキャビアとキャビア茄子 ガーリッククルトンを添えて」。茄子のねっとりととんぶりのプチプチが楽しい一皿。

写真左:雌は150日以上、雄は100日以上の飼育期間、28日齢以降は平飼いまたは放し飼いで育つ比内地鶏。肉の豊かなコクと脂のうま味が違います。その皮目をパリッと焼き、カリカリの三関せりの根を添えた「比内地鶏のポワレ じゃが芋のピュレと三関せり根のフリチュール」。

| | トラックバック (0)

2009年5月15日 (金)

【東京】そこにあること、あり続けること

Unohana 「一番人気は卯の花。毎日、直径50cmの大釜で約7キロを三回は煮るのよ。それで間に合わない日もあるくらい」

恵比寿駅駒沢通り沿い、人通りの絶えない代官山との中間地点に位置する、煮豆と惣菜の店、「恵比寿中島」のおかみ、せつさんはいつもにっこり出迎えてくれます。今秋、創業49年を迎える店の佇まいはこじんまりとしていながらも街の顔。老若男女問わず客足は閉店まで途絶えません。先代の、ご主人が49歳で早世され、三人の息子さんがレシピや調理法を受継ぎ、せつさんが「お父さん」の味のチェックを行っていらっしゃる。

煮豆・煮物の店で始め、弁当専門店やコンビニもない頃、先代は近くの会社の依頼を機に弁当屋の走りともなりました。お惣菜の数々は、天候や素材の状態により微調整されつつ「基本の味に忠実」に作られます。新商品開発はあえて積極的に手掛けていないそうです。

Setsusanそのスタンスは、私が昨今世の中の動きに感じていた違和感を解消させてくれる安心感を与えてくれます。食物は人の体を作るもの、売上重視のビジネス展開が先に来るものではありません。日常の食卓には、きちんと作られ、安心して口にでき、作る人の気配を感じられるものがご飯と一緒にあればいい。そういうものを繰り返し食べ、その中での微妙な味わいの変化を楽しみたい。

私はそんな気持ちを再確認したくて、せつさんの顔が見たくて、せっせと会社帰りに覗きます。いつもそこにあり続けてくれることのありがたさ。「今日は何がありますか?」

一年間、どうもありがとうございました。(松山聖子)

「恵比寿中島」の、せつさん。「いつもは写真を撮らせてくれないよ」と息子さん。仲のよいご家族です。今回は例外的に写真に収まっていただきました。
冒頭の写真は、人気商品「卯の花」。
昨年11月のブログで紹介した国産食器に盛られた卯の花とカボチャの煮物も「恵比寿中島」製でした。

| | トラックバック (0)

2009年5月11日 (月)

【東京】レストランでの「残心」

ざん‐しん【残心】(1)心のこり。みれん。(2)剣道で、撃突した後、敵の反撃に備える心の構え。弓道で矢を射放した後の反応にこたえる構え(広辞苑第五版)。

レストランにおいても(1)の意味での残心を意識する瞬間があります。大好きなレストランで、いつもに増してすばらしい時間を過ごして帰る時は、ああ終わってしまった、というやや未練がましい気持ちになります。「ル・マンジュ・トゥー」では、見送られ、振り返り、頭を下げる、を繰り返してようやく帰宅モードになりますし、「サリュー」ではソムリエの鳥山さんに思いっきり大きく手を振ることが、サラマンジェでは階段を半ば駆け上がって外に出ることが、楽しかった時間に区切りをつける私の儀式です。ただし「ル・マンジュ・トゥー」では、(2)もあります。お店を出たあと、谷シェフとマダムの楠本さんの姿が見えなくなるまでかなりの距離があります。逆に言えばその間自分たちの後ろ姿が見られているわけで、いくら酩酊していても、決して足をもつれさせたりしないよう気合いを入れて歩くのです。やせ我慢ではありますが、今考えると、この時間も楽しく、貴重なものでした。

1私事で恐縮ですが、私たち夫婦に新しいメンバーがまもなく加わります。今までのように頻繁に外食に行けた気ままな日常は過去のものになり(ラストリカートは別です。毎週日曜日お昼は子連れ客限定なのです)、このブログに書くのもこれが最後で、まさに未練ばかりですが、新たな日々がとても楽しみです。1年間ありがとうございました。(金 信秀)

ル・マンジュ・トゥーを出てから、お店の方が見えなくなるまで、優に50メートルはあります。

| | トラックバック (0)

2009年4月15日 (水)

【東京】コアがあります―渋谷「食幹」

1_3 渋谷駅から国道246号沿いに六本木ヒルズを真正面に見て一つ目の坂を登りきると「食幹(しょっかん)」という店があります。最初に店名を見て「食の幹(コア)、いい名前だな」と思ったら、オーナー料理人の名前が幹(かん)さんでした。

職場から小走りで5分、お昼もかなりの頻度でお世話になっています。日替りのおかずも楽しみですが、何よりお味噌汁とご飯がきちんと作られおいしいので飽きません。他の店を物色するより、いつものあれをあそこに食べに行こうと足が向かいます。

ゴルフなどスポーツをする時、動きのぶれを減らすために体幹を鍛える重要性を実感していますが、こと食べ物に関するコア=本質や基準は重要です。回数や量を繰り返しこなすことで見えてくる微妙な変化や差異。その繊細なデータの分析と積み重ねでできる作り手の料理に対する思いと技術のコアも、それを受けて食べる側の味覚の積み重ねによる基準も大切です。手間暇を惜しまない思いの詰まった料理には、まず体幹(胃袋 !?)が反応して喜び、そして自然に笑顔がわいてきます。料理を介した作り手と食べ手の共有感覚こそ食のコア、まさに「食幹」です。

料理人が作りたかったのは、それを可能にする大きなカウンターで客と対面できる店。「料理は面白い」そのシンプルな思いの先の夢は走り出してこの春三年目を迎えようとしています。オープンの厨房を32名ものお客さんがぐるり取り囲むカウンターでの食事の光景は壮観です。(松山聖子)

●ご自身のブログも内容充実。
写真から料理人の目線が見えてきます。いたって素直、そして細やか。
『料理通信』2008年11月号でも取り上げられた定番料理、「ぱえりあ」の原型も登場するお料理相談所も必見です。

| | トラックバック (0)

2009年4月10日 (金)

【ゲスト/東京】東京で秋田を味わう-1 「春だから日本酒」

-------------------------------------------------------------------
●井川直子 フリーライター
食・飲、それを取り巻く人をテーマに雑誌等に寄稿。数年前より日本全国の地方イタリアンを巡り、その旅の記録を『料理通信』本誌にて連載中。著書に『イタリアに行ってコックになる』(柴田書店)、共著に『麗しの郷ピエモンテ』(昭文社刊)。
-------------------------------------------------------------------

Azakura タイトルの言葉、『料理通信』の編集者さんより頂戴したのですが、たしかに冷たい空気が緩んだところでふわふわと日本酒、最高ですな。ということで、3月、東京・赤坂で開催された「秋田の酒きき酒会」(主催:秋田県酒造組合)へ行ってきました。28蔵がずらり並んだブースで、それぞれ自慢の酒を5~8種類。グラス片手に心は「片っ端から」と叫びます。

今回は、秋田県が開発した新酵母「秋田酵母No.12」、「秋田酵母No.15」を使った日本酒も15種類ほどお披露目。香りに大きく関わる酵母ですが、No.12はバナナタイプ、No.15はメロンタイプだそう。言われてみると……あ、バナナかも! 日本酒は香りに限らず難しい表現が多いのですが、共通言語があれば初心者にはわかりやすいですね。

ところで秋田の日本酒はよく「甘い」と言われますが、秋田出身の私に言わせれば「丸い」。キレやコクの中にも綺麗な酸があり、やわらかな水そのままのイメージです。普段は「雪の芽舎」「刈穂」「天の戸」「春霞」「やまとしずく」などを好んで呑み、このきき酒会でも相変わらずの実力に唸りましたが、あえて今回、ご紹介したいのは「一白水成」「白瀑」「阿櫻」の3銘柄。

Ippakusuisei「一白水成」(写真左)の「特別純米」「純米吟醸 無濾過生原酒 袋しぼりたて」はフレッシュな酸味が心地よく、爽やか。「白瀑」の「山本 生原酒」は力強さと新酵母のNo.12の香りが膨らみ、同「ど ピンク」はピンクのど○ろく!? な超個性派(でも面白いくらい美味しい)。いい意味での若さを感じるそれらに対し、「阿櫻」(写真上)の「特別純米生原酒 中取り」は米のうま味をがっしり味わえるいぶし銀の仕事。
実は、3つとも1000石以下の小さな蔵元で造られています。秋田にはこういった小さな蔵が多く、しかしそういう蔵に珠玉の酒がある。応援したいですね。ただし小さいゆえに県内消費がほとんどだそうなので、売り切れ御免です。日本酒の仕込みはたいてい3月に終わるので、今がビチビチの新酒を堪能できるチャンス。ぜひ。(井川直子)

------------------------------------------------------------------
●第2期読者アンバサダーを募集中です。締め切りは4月末日!
 応募の詳細はこちらからどうぞ
------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2009年4月 8日 (水)

【東京】江戸っ子の心根にふれられる天ぷら店

都内のある路地に、ひっそりと一軒の天ぷら店があります。ご主人は私と同じ40歳。17年間の修業の後、自分のお店を開きました。かなり多くの支店を持つ天ぷら系列店のご出身ですが、同期で独立までこぎつけたのは他に1人しかいないほど厳しい世界だそうです。下町育ち、筋金入りのマスコミ・インターネット嫌い(無断で掲載した雑誌社と大げんかしたこともあります)、客が店内で写真を撮るなどもってのほかの、いかにも古風な江戸っ子のご主人の店には、昔ながらの意味での口コミで来るお客さんがほとんどのようです。

『料理通信』創刊号で、「寿司屋のソワニエは文字通りおいしい」というくだりがありましたが、このお店にも同じことが言えます。最初に出てくるお刺身はご主人の気っ風のよさの象徴です。そして、時々、天ぷら以外になにか手のかかった一品を(これが肝腎なのですが)、とてもさりげなく用意してくれているのです。かといって常連だけにいい思いをさせるわけでは全くなく、初めてのお客さんに大変丁寧に接し、決して居心地が悪くならないよう配慮していることがわかります。ご主人が、忙しく手を動かしながらも演出する温かい雰囲気がお店全体に流れ、自然にまたここで食事をしたいと思います。江戸っ子気質の奥には、極めて深遠な気遣いがあるのだ、と気づかされます。

すばらしいお店ですが、残念ながら店名・場所などは明かせません。前述のような人ですので、私がよりによって「ブログなんてもの」で公開したことがわかったら、たちまち絶交されてしまうでしょうから。(金 信秀)

------------------------------------------------------------------
●第2期読者アンバサダーを募集中です。締め切りは4月末日!
 応募の詳細はこちらからどうぞ
------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2009年3月23日 (月)

【ゲスト/東京】春ショコラのススメ

2 北風の季節はことのほか「モルト×ショコラ」の組み合わせが良く似合うと思います。異なるアロマとテイストの広がる足し算を、ゆっくりと夜長に愉しむのは大人ならではの贅沢。いつの間にかシングルモルトのアルコールで頬が赤く火照っても、冬空の帰り道には冷たい空気がひんやりと包み込んでくれます。そんな冬が終わりを告げるとともに、今度は南風が桜の季節を運んできました。ウールから春色のコートに衣替えするように、ショコラも爽やかなマリアージュをお試しになってみてはいかがでしょうか?

2月18日のブログで、三水亜矢さんがご紹介されていた「福源酒造」さん。「蔵出し無濾過原酒」の日本酒が気になりWEBを訪れたところ、サイト内で素敵なシードルを発見。その美しい姿に一目惚れして、直ぐにお取り寄せしてみました。信州産りんご100%で作られた、蜜のような黄金色のシードル。“シードル”と聞くとフランス産を思い浮かべる方が多いと思いますが、福源さんのものは国産ならではのコシのある美味しさ。グラスにそっと注ぐとシュワッと音が響き、唇の上で小さな泡たちが優しく弾けだします。その華やかな香りとドライな味わいを、早速手持ちのショコラとお見合いさせてみました。

1まずはシードルで喉を潤し、ショコラを一口。再びシードル、新たなショコラ……。結果、辿り着いたマリアージュポイントは、カカオの焙煎香が強すぎず、苦過ぎず、甘さがのび過ぎないものを選ぶこと。タブレット(板チョコ)であれば、ヴァローナ社の「タイノリ64%」のように、ショコラノワールなのに品の良い甘さがあり、“フルーティ”や“スパイシー”と言った「軽」の香味要素を持ち合わせるものが良く似合います。ボンボンショコラやトリュフなら、やわらかな口融けで、まろやかな味わいのものがオススメです。定番のナチュールもいいですが、ハチミツ、ハーブなどの淡い香りも素敵でしょう。

りんごならではの「合わせ技」の難しさはあれども、アルコール分が低く、シードルの泡が喉を駆け抜ける爽快感は春ならではの軽やかさ。心浮き立つ季節だから、茶色のショコラにも味わい華やかな彩を。(カカオ&チョコレートプランナー 小方真弓)

| | トラックバック (0)

2009年3月11日 (水)

【東京】とらやの宇宙

Photo 先日、友人に「来日経験のある(都内の代表的な観光地はすでに巡っている)、海外からのお客様を案内するとしたらどこがいいか?」と問われ、まず頭に浮かんだのが東京ミッドタウンの「とらや」でした。

ここ数年都内に増えた新しい複合商業施設の中で、東京ミッドタウンは、ぶらぶらしやすいゆったりした造りの空間であること、中に「サントリー美術館」や「21_21 DESIGN SIGHT」、近くに「国立新美術館」や「森美術館」もあるので、美術展にあわせて行きやすいこと、などから気に入っている場所ですが、「とらや東京ミッドタウン店」を覗くのが楽しいから、というのも好きな理由の一つです。

真白い空間の広い間口の入口にかかる長い暖簾(これがまた素敵です)をくぐると、和菓子販売と喫茶の隣にギャラリーが併設され、オープン当初より3カ月毎に和菓子にまつわる企画展を行っています。これが楽しい。テーマは「夜の梅」、ふろしき、漆、唐長の唐紙、瀬戸物、など様々です。毎回、展示の脇には製作に必要な技術の解説や製作過程の見本も添えられていて、丁寧で贅沢な企画です。
写真上)3月11日までのせともの展の展示。まさにまめざらの宇宙です。3月19日から日本の染め色展が始まります。この企画も楽しみです。

2この空間に身を置くと、日本人が積み重ねていくべきもの、忘れてはならないものと、その先に飛び出てくる新しいものの両方の感覚が味わえて嬉しくなります。これこそ、伝統と革新の融合した、とらやの宇宙観というと言い過ぎでしょうか? そのバランス感覚こそ、現代「日本」のサンプルとして海外からの客人に見てもらうのにもちょうどよいのではないでしょうか。(松山聖子)
とらやに伝わるお菓子の絵図をもとに作られた『豆皿 御菓子見本帖写<吉祥>』のまめざら。「夜の梅」の小型羊羹を盛ってみました。

| | トラックバック (1)

2009年3月10日 (火)

【東京】「レストラン悩み相談室」 番外編

かつて『料理通信』には表題のコーナーがあり、レストランに関する相談とそれに対する回答がのっていました。今はなくなってしまって残念なのですが、もしあれば絶対にぴったりの話だ、と思った出来事が最近ありました。

私がよく行く、あるレストランでのことです。前回妻と2人で行ったとき、デザートを1つしか注文しなかったのに伝票には2つついており、そのことに家に帰ってから気づきました。お店にメールを送ると、「次回なんらかの形でお詫びをしたい」というお返事をいただきましたが、「ただお知らせしたかっただけですのでお気遣いなく」とお返ししました。2週間後にたまたま機会があり再訪すると、オーナーシェフが前回のことには触れず、「今日はワインをモニターしてもらいたいのです」という言葉とともに、10年以上前のブルゴーニュワインをテーブルにおいてくれたのです。「モニター? もしや、いやおそらく無料なのでは。それはいかん」と気にはなりましたが、結果的にはそのワインも含めて存分に楽しく飲食しました。さて会計伝票を見ると、やはりワイン代がついていません。どうすべきか。悩みました。

私たちだけではただただ途方に暮れていたでしょうが、ものすごく幸いなことに、このときは別のレストランのマネージャーの方と一緒でした。その方が即座に出した解決策は、伝票どおりに支払いをし、それとは別にお金をおいて帰るというものでした。さすが、とてもスマートです。また、シェフのご厚意を無にしない適切な金額はいかほどなのか、そしてさりげない様子で、かつお店の方に気づいてもらうにはお金をどこに置くのが一番よいのか、という細かいことにも至極納得のアドバイスを得て、さすがプロと心から感心し、大変勉強させられた一夜となったのでした。(金 信秀)

| | トラックバック (0)

2009年2月13日 (金)

【東京】野菜と対話ができる場所-潤菜どうしんさん

1 “潤う菜”と書いて「るさい」と読みます。銀座に程近い、新富町の間口の狭い階段を上った2階に、今月の本誌特集のような「小さなお店」が、悠々として在ります。
2月の盛り合わせは、さごしの酢〆、みつば入りのだし巻き卵、京人参の梅和え、たらの芽、赤カブの甘酢漬け、芹のおひたし、数の子の粕漬け、鴨ロースなど11種類ほど。器類も素敵です。

メニューは昼も夜も月替わりのコース料理1種類のみ。その折々の野菜のべっぴんさん達が、朝露が丁寧に磨きをかけられて並ぶかのごとく、先付から最後の菓子まで彩っています。すっきりした空間に身を委ね、旬の野菜と対話するようにいただきます。料理人の矢長さんも野菜と向き合い、食感や旨味を加減してその野菜の一番良い状態を提供してくれます。切り方や量もその野菜を味わうのに見合ったものになっているのでしょう。体の中の収まるべきところにすとんすとんと気持ちよく入っていく感じがします。精進料理やベジタリアンを謳っているわけではなく、「野菜をおいしく食べる」自然な流れの中に適量の肉や魚も登場します。例えば、「蟹とレタスのサラダ」は、強い蟹の旨味に負けない 力を持った食感のレタスだから合わせられるとのこと。野菜の性質、気候、生産者の技術、鮮度、輸送などの野菜を形成する要素のバランスを大事にし、一人で切盛りする厨房では盛付けより何より火の通し加減に一番気を配りたいという若き料理人のその視線の先に何があるのか気になります。

2どうしんさんに通う楽しみは、この季節になったらあれを食べに行こう、と年間行事を心待ちにするような楽しみです。3月の声を聞いたらふきのとう、4月になったら京都の筍を食べに伺います。(松山聖子)


お休みは不定期です。お店のブログ(
http://dousin.jugem.jp/)か電話(03-5542-8851)での確認をおすすめします。

| | トラックバック (0)

2009年2月 9日 (月)

【東京】「フランスの食文化を体現する」サラマンジェ

1表題の言葉は、虎ノ門「サラマンジェ」脇坂尚シェフのブログにあったものです。サラマンジェに関しては、以前このブログで書かせていただきましたが、最近義憤(!)を感じることがあり、再び書きます。「料理通信」2008年12月号「ビストロ革命進行中」のある記事を読むと、フランスでクネルの原材料となるカワカマスは、日本では冷凍でしか手に入らないと理解してしまいます。しかし、サラマンジェのクネルは、正真正銘フランスから飛行機で届く生のカワカマスを使って作られているそうです。「フードマイレージを短縮するという考え方とは全く逆なのですが・・・」とシェフはおっしゃいますが、そうまでしてフランス式を貫くやり方は、表題にあるシェフの強い思い入れからくるものだと想像します。そのクネルは、食感こそふわふわと柔らかいですが、その中にはシェフの意気込みが固くつまっていて、フランスに行ったことのない私も、しばしかの地での体験を共有したような気になります。
お店付近の道路から東京タワーがきれいに見えます。

2クネル同様、意気に感じるのはオニオングラタンスープです。骨付きのスネまるまる1本からスープをつくっていくそうです。気が遠くなるほどの手間と時間がかかっているはずですし、その味わいはまさに筆舌に尽くしがたいのですが、お値段は、本当にこれでいいのだろうかと心配になるほどです。

ところで、シェフのお弟子さんで独特の素晴らしい情緒をかもし出しているタケさんが、春からフランスに行かれる予定だそうです。今のサラマンジェの雰囲気をお知りになりたい方はどうぞお早めに。(金 信秀)
階段を下りるとサラマンジェワールドです。

| | トラックバック (0)

2009年2月 6日 (金)

【ゲスト/東京】魅惑のポルセラーナ

-------------------------------------------------------------------
小方真弓 カカオ&チョコレートプランナー   
チョコレート原料メーカー勤務後、独立。企業のチョコレート事業企画、商品開発、スタッフ育成など、テクニカルサポートを行なう。カカオ生産国、チョコレート消費国におもむき、現地調査、情報配信も手がける。(株)富澤商店WEBサイトにてコラム連載中。 

-------------------------------------------------------------------

Porcelana 2月に入り本格的に街がハート色に染まり始めました。最近は世界中から数多くのブランドショコラが輸入されるので、どのショコラを買おうかと悩まれている方は多いのではないでしょうか? そんな皆様の中でカカオに興味を持たれている方がいらっしゃったら、この機会に一度「クリオロ・ポルセラーナ」のカカオを試されてはいかがでしょうか?

甘いカカオの果肉に包まれた種の内部が、磁器(スペイン語でporcelana)のような白色を帯びていることから名づけられたと言われるこのカカオ。良質カカオの産出国であるベネズエラが原産で、その味わいと生産の希少性がここ数年カカオ業界で注目を集めています。世界の高級ショコラがそろう東京のマーケット、2009年は実に様々な「ポルセラーナ」のタブレット(板チョコ)が手に入るようになりました。イタリアからは「アメディ」「ドモーリ」、フランスからは「ボナ」「クリスチャン・コンスタン」、スイスからは「ベシュレ」など。製造量の少ないアメディ社のポルセラーナのパッケージには、限定生産の証であるシリアルNo.まで刻まれています。 写真上はポルセラーナのタブレット

ポルセラーナのタブレットは、一般的にほのかな華やかさとフルーティーなアロマ、爽やかな酸味にやさしく焼き上げたアーモンドやカラメルのようなまろやかさを持ち合わせています。ただし非常に繊細なカカオ豆だけに、ショコラトリーの焙煎テクニックや甘味とのバランス一つで個性の現れ方が変わってきます。2社~3社のタブレットを食べ比べると香味の引き出し方がどのように違うか、実際に舌で感じて頂けると思います。

さらに今年はこのポルセラーナを使用した特別なガナッシュが登場しました。代表例としては、ピエール・エルメの「マカロン・オリジーヌ」、ラ・メゾン・ドュ・ショコラの「コフレバレンタイン」。どちらも詰め合わせのマカロンやボンボンショコラの中に、ポルセラーナの他のカカオとは異なる、やわらかで心地よいガナッシュの美味しさが隠れています。口に含めばタブレットの世界とはまた異なる、ミルクとの甘くとろけるハーモニー。

PierrehermeMesonduchocolat 

写真右は、ラ・メゾン・ドュ・ショコラの「コフレバレンタイン」。左がピエール・エルメの「マカロン・オリジーヌ」

硬派だけれども限りなくやわらかな味わい。ショコラ熱をやさしく包み込む希少なカカオのお味、是非一度お試しあれ。(小方真弓)

| | トラックバック (0)

2009年1月19日 (月)

【東京】私のお正月

Kagamimochi 人生の半分以上が東京暮らしになり、帰る実家も鹿児島でなくなって久しいから、というわけでもないのですが、出身地鹿児島のお正月料理の思い出がおぼろげでしたので、今回あらためて母に聞いてみました。鹿児島では(我が家だけかもしれません)、かしわ(鶏)やブリの刺身、数の子、煮しめ、魚の切身の昆布巻き、蒲鉾、薩摩揚げ、酢の物、煮豆(黒豆でなく白い十六寸と呼ばれる花豆等)などを大皿に用意したようです。お雑煮は鶏の澄んだお出汁に丸餅、鶏、蒲鉾、海老、大根、人参、里芋、ねぎなどが入る、具だくさんなものでした。そういえば、つゆを濁らさないよう、お椀にきれいに並べた具材の上にそっと置くようにつゆをかけ、蓋をするのが私の役目でした。

Ozouniここ数年の年末年始は、小さな子供のいる弟夫婦が住む、長野県松本市に集合しています。松本駅から程近い浅間温泉「菊の湯」という旅館をいつも使わせてもらっています。本棟造りのたたずまいは落ち着きと風格があり、調度品や季節ごとに替えられる掛軸や絵、花など、建物の隅々までご主人のセンスが感じられ、訪問を心待ちにしている大好きな旅館です。この時期はお料理の楽しみも平時の2倍。年末のお造りや年越しそば、年始のおせち料理やお雑煮と、色とりどりに変化する食事を満喫し、さらには温泉三昧と、とても贅沢な骨休めとなりました。(松山聖子)

写真上)松本市浅間温泉「菊の湯」の鏡餅。
写真下)「菊の湯」のお雑煮。信州は味噌仕立てかと思いましたが、さにあらず。焼いたブリと焼き角餅の入った上品な澄まし汁でした。

| | トラックバック (3)

2009年1月 9日 (金)

【東京】昔韓国風、今日本風、そして初外食

------------------------------------------------------------------
お待たせいたしました。2009年のアンバサダーブログ、本日からいよいよスタートいたします。今月は、各地に散らばるアンバサダーが足並みを揃えて「我が家のお正月料理」を発信。 思い出や地元ネタありの、レアな食情報満載です。どうぞお楽しみください!(管理人)
------------------------------------------------------------------

子供の頃、年末年始は三重県にある両親それぞれの実家に行っていました。お正月準備の手伝いのまねごとをし、叔父たちに面倒を見てもらい、お年玉を集金し、と楽しいことが目白押しでしたが、唯一憂鬱だったのは韓国式法事(チェサ、本来は旧正月ですが、在日の人は新暦のお正月にしていることも多いようです)の料理でした。20種類くらい料理があるのですが、好き嫌いの多かった私は、皮つきの蒸し丸鶏を、神経質に皮をはずして肉だけ食べるぐらいしかできず、あとはみかんばかり食べて空腹をまぎらわせていた記憶があります。大人になってなんでも食べられるようになってからは、逆にお正月に両親の実家に行くこともなくなり、外食で韓国料理を食べるたびに、昔はもったいないことをしたなと思います。

Tai今はもっぱら日本風お正月料理です。うちのお雑煮は、昆布のみでだしをとり、白味噌を濃いめに入れ、具は削り鰹だけです。これに新潟県岩室村のコシヒカリ(最近友達に教えてもらいましたが、ここのお米は今まで食べたなかで一番おいしかったです)で作った餅を入れます。今年は初めて百貨店でおせち料理も頼み、鯛も取り寄せてみましたが、主役はやはり肉でした。神戸の老舗・大井肉店のローストビーフ1キロを、二人で切っては食べ、切っては食べし、二日で完食しました。

Osechi新年初外食をどこでするかというのもいつも悩むところですが、今年は、「料理通信」でも何度か取り上げられた新生ブノワが3日から営業しているということで、全く迷わずに済みました。1年の外食運を占う初外食、と勝手に位置づけていますが、これが今年はどのように出たか、また担当ブログで取り上げたいと思っています。(金 信秀)

紫野和久傳のおせち。大変きれいでした。

| | トラックバック (0)

2008年12月10日 (水)

【東京】冬野菜の顔といえば…やっぱり

Hakusai味で大きく主張はしませんが、鍋に、箸休めの浅漬けに、和洋問わず欠かせないのが白菜です。白菜の漬物は歯触りが好きです。瑞々しい白菜の軸をスティックにしてそのまま食べるのも最近のお気に入りです。

私が注目する料理人さんのご紹介で、この週末「よこはま青果塾」という野菜の勉強会に参加してきました。横浜の青果業界関係者を中心に、多くの人にもっと野菜や果物の正しい知識を学んでほしい、という趣旨で発足した会の今回のテーマが「白菜」。講師は、元卸(JA)、生産者、種屋、小売店、栄養士、料理人と勢揃い。日曜の早朝にもかかわらず60人も集まる盛況ぶりです。
会場に陳列された様々な品種の白菜。生の方がおいしいタイプ、火を通した方がよいタイプと個性豊か。

白菜は、東日本では茨城と長野が生産を二分する主産地で、季節ごとにリレー生産されているそうです。農家がいい野菜作りに従事できるのに必要な需要を作ること=消費者の理解と関心を高めることから、病気や連作障害に強くしかもおいしくするための品種改良の努力、豊作の悩みやお天気をにらみながらのぎりぎりの判断、手軽に自分で作れそうなよりおいしくなるレシピの開発、今まで見えていなかった関係者の努力に頭がさがります。

Shisyoku白菜漬け名人の八百屋店主は、白菜漬けのポイントを「まめ」にやること、そして繰り返すことと力強く話してくれました。手をかけた漬物は塩だけで十分力強い。そしてそのために何が自分にできるのか。そういうことを考えさせてくれた面々の顔ぶれは力強く、身近に感じられました。お土産に持たせてくれた丸々とした白菜を早速漬けてみようと思います。(松山聖子)

試食の光景。今日は白菜以外に果物の試食もあり。よこはま青果塾は年4回の開催。次回は2月末です。

| | トラックバック (0)

2008年12月 5日 (金)

【東京】通うほどにしみじみ。恵比寿のフレンチ

Gaikanレストランに関しては、1度ここと決めたらとことん派ですが、なかでも恵比寿のフレンチレストラン、「サリュー」には、かれこれ6年間、ほぼ月1回通っています。自宅から地下鉄を乗り継ぎ、恵比寿からもかなり歩いて合計約1時間。決して行きやすい場所ではないのですが、毎回、その時間さえも楽しく思えるから自分でも不思議です。

お店の入り口。左側にあるのが、鳥山さんが書いたメニューです。

サリューの魅力は、一言でいうと「ほっとする」ことでしょうか。お店の入り口に置いてある手書きのメニュー、ドアを開けると迎えてくれるフロア&調理場スタッフの笑顔…。椅子に座る前からなんとも言えずほのぼのとリラックスした気持ちになります。ソムリエの鳥山さん厳選の琥珀色のシェリーを飲みながら、じっくりメニューを眺め、結局大抵いつもと同じものを注文します。森本シェフの料理は、フランス料理版おふくろの味と呼びたいくらいに、和める味わい。キャベツに包まれたオックステールの赤ワイン煮は、何度も注文していますが、一口目を食べるときの、「ドキドキ、ホッ」という感覚は、最初から全く変わっていない気がします。

Beaune_2また、今年1月からは、鳥山さんによるブルゴーニュ塾が始まりました。毎回、ブルゴーニュ各地のワインを、北から南の順で選んでもらっています。塾生の僕たちは少し予習をし、ワインを味わうとともに鳥山塾長の授業を受けます。作り手に関する熱い話を聞くと、ワイン一口一口にかける気合いが倍増します。(金 信秀)

11月の鳥山塾はボーヌでした。来月はポマールです。

| | トラックバック (0)

2008年11月14日 (金)

【東京】学芸大学のナンセンス

Utuwa_2 私の家の程近くに、「ナンセンス」というお店があります。夜の帰り道、白熱灯が灯っていると、つい中に入らずにはいられません。インテリアと雑貨のお店で、国や時代(年代)、デザイナー(ブランド)などの要素にとらわれない(だから、ナンセンス?なんでしょう)品々が店主の目でセレクトされ並びます。

商品の買付けもその時々に気になる町や国へと行かれるようですが、全体のトーンが一貫しているせいか、季節の移り変わりのように、並ぶ品々も自然に移ろいます。北欧のヴィンテージプレートの隣に、日本人作家のガラスの片口や、国内メーカーのデッドストックがあっても整然としています。民家の解体時に足を運び、そこから見出した品々に手をかけて、店頭に再登場させることも多いとのこと。商品の背景にあるエピソードを聞けるのも、足を運ぶ楽しみの一つです。私はここで、1950~1960年代の国産食器が持つ魅力を再発見しました。戦後の、まださほど豊かでない時代の、色を使わず製作コストを抑えた食器群です。形が少しいびつだったりしますがそれもまた味。「これに五目豆を盛ったら」「そばつゆを入れてみよう」とシンプルな形や色を自由に遊ぶことができます。高価なものではありませんが、普段使いの食器の中で新鮮に映ります。

最近、既に在るものを使い継いでいくことや価値の再生に自分の興味が移っているせいか、こうした気づきや発見が楽しく、近所に趣味の合う目利きがいるありがたさを実感しています。(松山聖子)

写真はここで購入した、白い器。出会った時がうれしい悩みどきです。

●ナンセンス
http://www.non-sense.jp/
※下北沢にも店舗はありますが、それぞれの店のバイヤーの個性で品揃えが違うそう。

| | トラックバック (0)

2008年11月 7日 (金)

【東京】関内で気合いのピザ

Sisiliya1 先月のブログでは、山手線より西に出ることはほとんどないと書きましたが、実は、最も頻繁に行くお店は、横浜の関内にあります。「シシリヤ」というナポリピザのお店です。ここも『料理通信』の記事を見てから行き始めたのですが、かれこれ50回は通っています。

関内駅から歩いて5分。ベイスターズ通りから路地を入ったところにあります。

お店の雰囲気はまさに記事のとおりで、店主兼ピザ職人の小笠原さんが、黙々と薪窯(クヌギを使っているそうです)に向かってピザを1枚ずつ焼いており、その周辺だけ異様なぐらいの緊張感に満ちています。ピザの生地を成形する場所は外に面しているので、前の歩道を通る人が時々のぞきこんだりします。しかし、小笠原さんは気を散らされる様子など全くなく、丸い生地を平たくのばし、ぽんぽんとたたき、大切そうになで、端を切り取っています。その様子はまるで芸術品をつくっているよう。焼いている間は、窯の中を文字通りにらみつけ、焼き上がったら皿にのせて焼け具合を確認しますが、この1分ほどの間、小笠原さんは、他の店員さんが後ろを通るのも気を遣うようなオーラを漂わせています(ピザを窯に出し入れするための道具が長いので、不用意に後ろを歩けないというのもあるのですが)。

Sisiliya2 ここに来たら、2人で軽い前菜1品とピザ3枚で決まりです。水牛のモッツァレラが2倍量入ったDOC(ドックといっています)が最高。溶けたミルクが皿にこぼれるのももったいなく、全部ピザですくいとります。2年以上通い続けた結果、秋口の乾燥した日は、ピザがとりわけおいしいことに気づきました。単に涼しくなって食欲が増進しているだけかもしれませんが。(金 信秀)

お店から出ている長い煙突が目印です。

| | トラックバック (0)

2008年10月 8日 (水)

【東京】ああ、愛しのバナナブレッド

Shimabananaテレビ番組の影響でバナナ不足が起こっているようですね。私も元来バナナ好きで、先月訪れた沖縄で食べた特産品「島バナナ」が気に入り、バナナ熱が再燃、さらにこの頃はバナナそのものよりも手を加えたバナナブレッドに興味が移っています。
材料もシンプル、その配分の微妙な調整で作り手の個性が出やすいので、定番ものとしてお店でよく見かけます。インターネットで検索すると手作りのレシピもたくさん出ています。子供時分、お菓子作りに目覚めた頃に焼いた記憶がある方も多いのではないでしょうか。
写真右:これが沖縄特産「島バナナ」。普通のバナナと太さは同じくらいだが丈は短い。爽やかな風味がある。

ここ数年のお気に入りは、新宿西口のハイアット・リージェンシー・ホテルのバナナブレッドです。10年以上前からの定番レシピらしく、関係者によれば「たっぷりのバナナピューレにたっぷりの卵と発酵バター少しの砂糖で作られ」「バナナ自体が持つ甘みを生かすため、砂糖は少量しか使っていません」とのこと。しかし、見た目は一般的な焼き菓子のバナナブレッドと趣を異にし、切り口はうっすら若草色、生地はしっとり詰まっているのに重い食感でなく、香りがとてもよいのです。

Bananabread今回、ご近所のヒルトン東京、パークハイアット東京のものと並べてみましたが、違いが写真でわかりますか? 色味の違いは、ベーキングパウダーと重曹の違いにより、濃い色味の方が重曹を使っています。若草色のバナナブレッドの秘密はピューレにあり? シンプルなだけに奥が深い!とマイ・レシピの完成に余念のない秋の夜長です。(松山聖子)
左からパークハイアット東京、ハイアットリージェンシー、ヒルトン東京のバナナブレッド断面図。1本のお値段はそれぞれ、945円、1500円、840円

| | トラックバック (0)

2008年10月 6日 (月)

【東京】代々木上原の葛藤

Piaoxiang 東京の東側に住んでいるので山手線より西に出ることはほとんどないのですが、代々木上原にはわざわざ電車を乗り継いでもいそいそと行きます。主な目的は中華料理、「老四川 飄香(ピャオシャン)」」です。いかにもおいしいお料理を作ってくれそうな顔の井桁シェフによる、本当に味わい深い辛さの四川料理が食べられます。「よだれ鶏」、「悪大王のスペアリブ」など、名付けもユニークなアラカルト料理は定番としていつも注文するのですが、一度トライして大感動したのが「四川風鶏の丸揚げ」(要予約)です。丸々一羽の鶏に香草をつめて揚げたもののようですが、全く油っぽくなく、そのジューシーさとちょうどよい加減の香草の香りのおかげで、おいしさにうなりながらいくらでも食べられます。オープンキッチンから聞こえてくる、骨を切るドンドンという音が、まもなく丸揚げが出てくる合図です。
写真上:「飄香」入り口。地下1階にあります。

Inokasiradooriそして、代々木上原行きのもう一つの目的はベーグルです。「マルイチベーグル」というお店があり、出色のおいしさです。マルイチは18時閉店なので、飄香を18時に予約し、先にベーグルを買いに行きます。ベーグルが焼きたてのときは、飄香に着くまでに、歩きながらどうしてもちぎり食べをしてしまいます。普段は、気合いの入った外食予定があるときはお昼も食べないぐらいですが、この焼きたてベーグルから出る湯気で包み紙が湿っていくと、とんでもなくもったいないと感じ、食事前の空腹を犠牲にするのもやむを得ないと自分を納得させます。(金 信秀)

写真下は代々木上原の井ノ頭通り。左側に「飄香」があります。ここから歩いて5分ほどのところに「マルイチベーグル」があります。

| | トラックバック (0)

2008年9月10日 (水)

【東京】お月見しましょう

Mosukedango今年の十五夜は9月14日です。「中秋の名月」を愛でる日です。楽しみです。鍼の先生に伺ったところ、人にも月の満ち欠けのごとき周期があり、新月から満月は体に養分を蓄え「太る」期間、満月から新月は不要なものを出して「やせる」期間だそうです。ダイエットも満月過ぎに始めましょうか。月周期を意識してから空を見上げることも増えました。
お月見には築地場内の茂助だんごを用意します。短い竹串に三個連なった姿がよいですし、団子の食感と餡のバランスが絶妙です。こし餡とつぶ餡、どちらも捨てがたい魅力があります。先日も早朝に築地を訪れ、両方とも買いました。

写真上は茂助だんご(こし餡)、一本140円。銀座松屋や東急プレッセでも取り扱っています。串が細い竹串ではなく、昔ながらのだんご串なのもうれしい。


Geppeiお月見の起源の地、中国ではこの日を中秋節とよび、月を祀り秋の豊作を祝います。供えるお菓子は黄身の入った月餅。月餅は餡がみっしり詰まり濃厚なものですが、先年、友人にもらったザ・ペニンシュラ香港の月餅は全く異なる繊細な舌触りで心を奪われました。日本にも中秋節のひと月前より空輸され、三越等のザ・ペニンシュラ ブティックで14日まで販売されます。餡は卵の黄身の塩漬けでできたカスタードです。塩味のきいたほっくりした餡とほろほろした皮のコラボは本当においしく、まさに旬の味です。
有楽町のザ・ペニンシュラ東京では、9月1日~14日、こちらのお店での作りたてを供しているとのこと。早速いただきました。空輸ものより塩気を抑えた、まさにムーンケーキ。好みは分かれるところです。
味わいも楽しみ方もそれぞれに空を仰ぎましょう。晴れるといいですね。(松山聖子)

こちらはザ・ペニンシュラ東京の月餅。二段組の化粧箱に8個入り、2880円。三越等のザ・ペニンシュラ ブティックのものは個包装です。

| | トラックバック (0)

2008年9月 8日 (月)

【東京】シェフを独占できるレストラン

Grandbourg1 いまどきの東京にこんなお店が! という非常に貴重で不思議なフランス料理のレストランを紹介します。とにかくあまりお客さんがいません。今まで80%の確率で、ディナータイムにお店にいるのはシェフと自分たちだけでした(ランチはかなり混むようですが)。でも落ち着いたインテリアで、料理は毎回思い出に残るすごいものばかりです。なぜこうなのかというのは、シェフと話しているとだんだん理解できます。シェフの野部さんは、ホワイトアスパラ、ポルチーニなどの季節の輸入食材も、本当に満足のいく状態(ちょうどいい太さ、空輸時の保存の具合など)でないと仕入れず、返してばかりだそうです。また、例えばカキを仕入れたときは、まず自分で2人前を食べて大丈夫なことを確認してからお客さんに出すそうです。

陰影がある感じの路地を入っていきます。

Grandbourg2_2 坊主頭で修行僧のような雰囲気をかもし出す野部さんは、その外見通りいろいろな意味で非常に「堅い」です。雑誌の取材で、想定される読者層によっては、読者に受けいれられがたいようなディープな料理をわざと選ぶこともある、プロ向けのものも含めて料理関係の本や雑誌は一切読まない(読むと影響されてしまう)、など、理想を求めて他におもねることのない姿勢には、ほとほと感じ入ります。もちろん決して怖いかたではありませんのでご心配なく。レストランの名前は「Le Grandbourg(ル・グランプル)」。最近ある有名な雑誌に掲載されたそうですので、まるで別世界で食事をしているような今の情緒もなくなってしまうかも知れず、喜ばしいような残念なような気持ちです。(金 信秀)

アール・ヌーボー調というのでしょうか。別世界への入り口です。


*ちなみに『料理通信』では、2007年5月号でご紹介させていただきました。(管理人)

| | トラックバック (0)

2008年9月 1日 (月)

【ゲスト/東京】クリスティアーノがやってくる

-------------------------------------------------------------------
●柴田香織:フードコミュニケーター
広告会社を経て、国際スローフード協会が設立した食科学大学院(Universita di cienze Gastronomiche)第一期生。ガストロノミー.サイエンスと食品質修士。帰国後、フードコミュニケーション(食教育、執筆、プランニング)分野で活動。フードリテラシー研究会主催。
-------------------------------------------------------------------

Abb1 「パルミジャーノ・レッジャーノとグラナ・パダーノって、結局パルミジャーノの方が品質はいいんでしょ?」と聞いた私に、「その質問は、日本の米と韓国の米、どっちがいいかって言っているようなもんだ」と言ったのが、クリスティアーノ・デ・リッカルディス氏でした。
右:クリスティアーノ・デ・リッカルディス。味覚教育と食品コンサルタントの仕事に携わって10年。仕事中は別人の様に凛々しくなる。

Abb22005年の2月から1年間、私はイタリアのUniversita di Scienze Gastronomiche(ガストロノミー・サイエンス大学)のマスターコースに通っていました。この大学及び大学院は、イタリアのNPO団体「スローフード協会」が、自治体や企業の協賛を得て運営しています。コースの最後には個人研修期間があり、学生は協賛各社や関連団体に送り込まれます。私はスローフード協会本部の味覚教育部門に在籍していました。その時に出会ったのが、クリスティアーノ・デ・リッカルディス氏です。彼は食材のプロフェッショナル・テイスター、コンサルタントとして、食品の品質を見極めるための講義や研修を行い、スローフード協会をはじめ上記の大学院や食品企業、EU各国で活躍中です。研修中にいろいろな講師の講義を聴講させてもらいましたが、彼の講義はあまりに素晴らしく、今も親交が続いている一人です。

最近やたら自分の写真を送ってくる。写真を撮られるのが大好き。日本大好き。最近奥さんと日本料理の教室に通っている。

 

イタリア式味覚教育のメソッド

Abb3_2 イタリアで行われる食のワークショップは、1回約2時間。ワインだけではなく、オルーブオイル、チーズ、生ハム、チョコレート、ビール、トリュフなどもあります。毎回必ず比較テイスティングを行いますが、これは優劣を決めるためでも、単にたくさんの種類を試食するためでもなく、食材ひとつひとつが持つストーリーや製造上の特色、原材料の品質といった要素を丁寧に知ることを目的としています。一番刺激的だったのは、色・香り・味わいの要素から想像力を働かせて、どんな背景をもつ食材なのかを考えることでした。日本の場合、どうしても知識として覚えることに重点が置かれてしまいます。でも、イタリアのテイスティングは自分の感性を開かせるための行為。
写真は講義中のクリスティアーノ。会場はヴェネツィアのトラットリア。こんなロケーションで講義が受けられるとはうらやましい

そんな体験を日本でも!と思い、現在「フードリテラシー研究会」をつくり、毎月いろいろな基本食材(食品)のワークショップを行っています。そして、来たる9月21日。クリスティアーノを迎え、約1週間にわたり、オルーブオイルやチーズのワークショップや、オルーブオイルをテーマにした食事会(於:三笠会館)の他、ロマーニャ州モデナの伝統製法によるバルサミコ酢と日本の飯尾醸造「冨士酢」のセッション・イベント等を行います。
この機会にぜひ、イタリア式の食を知るためのアプローチに触れ、感性を目覚めさせるファンタジアな体験をしていただければと思います。(柴田香織)

●フードリテラシー研究会
http://www.food-co.info/foodli/index.html

●イタリア食材リテラシー ワークショップ&イベント
http://www.food-co.info/workshop6/index.html
http://www.mikasakaikan.co.jp/news29.html

●イタリアの味覚教育
http://www.e-soleil.biz/column/shibata/s18.html

| | トラックバック (0)

2008年8月 8日 (金)

【東京】 育ってます!

8 外苑前のワタリウム美術館でフランス人アーティスト、ファブリス・イベールの「たねを育てる展」が開かれています。初夏から始まった4カ月の会期も残り1カ月足らずですが、種がまかれ、発芽し、花が咲き、そして実がなり収穫期を迎えています。会場には作品と一緒にミツバチもいます。ミミズもいます。風もあります。「農業」をコンセプトに作家の思想やアイデアが人々に提示されています。

チラシにはハーブの種の小袋が手作業でつけられています。点線に従い折ると見事プランターになります。楽しんで種まきができました。芽吹きますように。

そしてよく見ると美術館周辺の青山界隈の店先などあちこちに小さなメッセージと共に小さな畑も出没しています。一度意識すると近くへ行くたびに気になって野菜達に目がいきます。ナスやカボチャの花が咲き、トマトは色づき始めました。「この暑さでしおれてないかしら?」。気になる存在がそこにある、ということは、すでにこのプロジェクトに関わっていることなのですね。
アートの役割が人々に「気づき」を与える小さな「ゆさぶり」であり、その「ゆさぶり」に同調し人々の行動に波及効果が及ぼされていくとしたら、このプロジェクトには大きな可能性が在ると思います。

作家は言います。「アートは思考のたねから生まれる、森も大地の素から創りだされる。どちらも頭をもっともっと柔らかくしてくれて、僕に新しい行動を起こさせる」。
温暖化も原材料不足も右肩上がりで声高に叫ばれている昨今、あまりにもささやかな行動かもしれません。それでも、都会生活者の私は、今日あたらしい種を植えようと思います。(松山聖子)

8_2Blogで野菜たちの様子を見ることができます。
http://artvege.exblog.jp/
「たねをそだてる展」は8月31日(日)まで。
チケットは期間中、何度も使えるパスポート制です。

| | トラックバック (0)

2008年8月 7日 (木)

【東京】 太っ腹なイタリアン

8_1080724 イタリア料理を食べたいときはほぼ100%、神楽坂の「ラスちゃん」、正式には「ラストリカート」に行きます。オーナーシェフの蓮見さんはパワーにあふれている方で、その上すごく太っ腹です。シェフの誕生日から1週間ほどは、サマートリュフを無料で料理にかけてもらえます(1皿のみ)し、今年はなんと夏の間8月末まで生ビール一人一杯無料! いえ、私が言いたいのはもちろん物質的なことだけではなく、お店の心意気です。例えば、メールマガジンで、おすすめ食材などの情報を必ずスタッフの一言とともに毎日のように送っています(これを見て衝動的に予約の電話をすることもたびたびです)。一度来店してパスワードを教えてもらえば閲覧できるシェフのブログには、生産者との交流の様子から、経営面での苦労、はてはプライベートのことまで、ここまで書いて大丈夫? と思うほどありとあらゆることが掲載されています。お店のスタッフの将来のことも真剣に考えていることがブログを読むとよくわかります。

お店に着いてこの赤い扉を見ると、その向こうで過ごす時間のことを思うためか、お店に入る前からほっとします。

8_2080724そして最近、HPおよび携帯HPから直接お店への苦情メールが送れるようになりました。生産者、スタッフ、そしてゲストと、全ての方向に向けて理想的な関係を作り、よりよいお店になるよう全力を傾けている様子は、本来の意味とはちょっと違いますが、太っ腹という言葉がぴったりきます。サービスの方々もシェフの気持ちが伝わっているためか、毎回決して表面的ではない「もてなされ感」満喫の時間を過ごさせてくれます。有機栽培、無農薬栽培ともまた違う、自然栽培の野菜をたくさん食べられるのも、このお店の大きな魅力の一つです。(金信秀)

マネージャー兼ソムリエの彼ノ矢さん(お店の中は撮影禁止ですので、写真は個人的にいただきました)。

| | トラックバック (0)

2008年7月 9日 (水)

【東京】 カウンターが好きです

仕事のくさくさした気分など自宅に持ち帰りたくありません。でも、残業後友達と誘い合わせる余裕もジムに行く気力もありません。そんな帰り道、私はカウンターの店に行きます。目をあわせてくれるけど適度な距離感もある、そんな店が好みです。カウンターの中の仕事ぶりなどをぼーっと見ていると、短時間でも気分や発想が切り替わるきっかけになります。

Photo_2 例えば、新宿三丁目のイル・バーカロは、地下通路から直結しており疲れモードでも立ち寄りやすいお店です。最初に訪れた2001年当時は「なかなか立ち飲みしてくれる人が少なくて」と店主も言っていたものですが、立ち飲みの店も楽しみ方のバリエーションも増えましたね。
野菜や魚介のチケッティ(つまみ)が並ぶケースをひと眺め、今日食べたいものは――チビ人参数本、芽キャベツ1個、アスパラ1本、桜海老一すくい。そうそう、豚の耳や軟骨の寄せ物コッパがありましたよ。立ち飲みだけの特別メニューです。後は自分のオーダーの番を気長に待ちます。テーブル席と立ち飲みでは受けるサービスも楽しみ方も変わります。

写真上は、「本日のチケッティ」。左上から時計回りにアスパラガス、貝、桜海老、カリフラワー、人参、芽キャベツ。奥の皿のコッパには白バルサミコを一たらし。

Photo_3甘いものが欲しい時はふわふわで空気感たっぷりのティラミスで立ちドルチェにします。
エスプレッソを飲んだらグラッパを注いでもらいきゅっと締めたいところですが、カップの底にたまった砂糖を舐め終えて、さくっとお店を後にします。滞在時間は1時間足らず。それでも帰る足取りはお店に向かう時と違って軽くなっています。(松山聖子)

写真はふわふわティラミス。カプチーノになぜかコアラの顔が。2日の【和歌山】の記事にも登場したベルケルのスライサーは、この店でも見られます。

| | トラックバック (0)

2008年7月 7日 (月)

【東京】 虎ノ門、「オヤジのフレンチ」

2080630地下鉄虎ノ門駅近くに、「サラマンジェ」という“オヤジのフレンチ”を標榜するレストランがあります。なぜ「オヤジ」なのか。オーナーシェフがおやじだから、ではなく、場所柄もあり、主な客層にいわゆるオヤジ世代を想定しているからだそうです。実際、平日夜のテーブルはほとんどスーツ姿の男性のみのグループで占められていたり、休日はしぶい紳士が一人でカウンターにいたりします。「日本風にアレンジされていない本物のフランス郷土料理を」というシェフの思いのもと、圧倒的な力を感じる料理が目白押しです。

入り口の柱にあるシェフのほぼ等身大の写真。書いてある言葉と合わせて、このお店を象徴しています。

メニューにも私が聞いたこともないようなフランス語が並んでいるのですが、初めて行ったとき、それについてカウンターの向こう側にいるシェフに質問すると、最初はまさにフランス語の直訳しか教えてくれませんでした。意地悪されているのかとも思いましたが、もちろんそうではありません。それがかえってシェフとの会話を考えながら進めていくことになり、結果として強い印象が残って質問の答えをよく覚えることができました。そういえば、自分もそんな感じで、研修医に一見意地悪そうな教え方をしていることに気づき、一方的に自分との共通点を見つけてうれしくなり、それ以来通っています。

1_080630_3営業時間は主にサービスを担当している弟子のような若い男性もとても感じがいいです。日曜日の夜、ゴーストタウンのようになっている虎の門近辺をうろうろしてから路地の建物地下にあるこのレストランに降りていくと、なんともいえない不思議な感覚があって盛り上がります。(金 信秀)


再開発から忘れられたような路地にあります。女性ならこの路地に入っていくことすらためらいそうです。

| | トラックバック (0)

2008年6月13日 (金)

【東京】 食で感じる街の魅力

鹿児島から進学で上京した私に、東京は駅ごとに違う表情がありとても新鮮でした。犬がお散歩マーキングをするように各駅停車して路地を歩き回り、自分の頭の中の白地図を埋め広げていきました。

私のマーキングは、その街での収穫物を体の中に取り込むことで、生き生きとします。あそこの駅の肉屋のコロッケ、あの街のパン屋のクロワッサン、あのおばあちゃんのつくる塩大福、といった具合です。都内の地図はだいぶカラフルに色づき、食べ物屋、酒屋、飲み屋、バー、拠点ポイントのバリエーションも増えました。

引越しを繰り返し、今は武蔵小山が私の街です。街には、わざわざ訪ねなくても帰り道にふらっと立ち寄れる気のおけない場所があるものですが、ここでは八百屋がそれにあたります。駅西口の小山台高校の脇にある小川さんの店。看板もない店先に並ぶのはラップされていないぴんぴんの野菜達。元米屋の小川さんが横浜の農家から直接仕入れた野菜を並べます。

「自慢できる、季節のいいものを置く」小川さんは野菜目利きで、会社帰りに明かりが見えると足も速まります。「おじさーん、今日は何?」「露地トマトが出始めたよ」。これからの時期、段々と店頭はトマトの赤で埋っていきます。折れ目のつかないくらい元気なニラに出会えるとラッキー。究極1080606のブロッコリー今年はいつ頃かな・・・。あれこれ欲張る私に「今日食べ切れる分だけ買えばいいよ。明日は明日のいいものがあるよ」。
端境期の残暑は休みも増えますが毎日15時くらいから22時くらいまでやっています。(松山聖子)

ピカピカのトマトが並ぶ光景はさながら武蔵小山のプチ・マルシェ。つきたての餅や自家製の金時豆や梅干もおすすめ。


-------------------------------------------------------------------
松山聖子:薬のお世話になったのは人生片手の指ほど丈夫な胃腸で親に感謝。名前の通り聖夜に生を受けた真性の食いしん坊。酒がドクターストップの今、酒類を茶、コーヒー、水にシフトして飲み比べ。循環と螺旋構造(宇宙、人体、ゴルフ)に今夢中。金融機関OL。
-------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)

2008年6月11日 (水)

【東京】 レストランでの「席」

神楽坂のフレンチレストラン、「ル・マンジュ・トゥー」には、1つだけ赤い椅子があります(他は全部黒です)。そしてその赤い椅子は、ほぼフロアの中央にあります。それを初めて見たとき、昔何年かいたニューヨークでのことを思い出しました。
 
無理と背伸びをして、ザガットなどで評価の高いレストランに手当たり次第に行っていましたが、大抵奥のほうの席に通されました。奥が上席と思いこんでいた私は、こんな若年(30代前半で、お客さんの中では断然若かったです)のアジア人カップルを上席に通してくれるとはさすがニューヨーク、懐が深い、と思っていましたが、実はそうではなく、大規模な高級レストランではみんなから見られる真ん中か入り口近くが上席で、誰にも見られない奥は多くの場合末席だということを、帰国後なにかで読んで衝撃を受けました。

これは全くおめでたい話でしたが、「ル・マンジュ・トゥー」でも、フロア中央の赤い椅子は、注目されるべき特別な席だと勝手に解釈しました。もちろん、「ル・マンジュ・トゥー」においてよくない席というのはありませんが。その後何度か訪問するたびに赤い椅子に座る人(場所的に大抵男性)をチェックし、自分の解釈は正しいとほぼ確信しましたが、逆に、まれに自分がそこに案内されると、ただの自意識過剰ですがいつも以上に緊張し、その結果早めにアルコールが回って大変です。ソワニエはいい席を独占しないという『料理通信』の記事もありましたが、レストラン(特に大好きな)における席の問題は、なかなかに深いです。(金 信秀)

-------------------------------------------------------------------
金 信秀:都内病院勤務の麻酔科医40歳です。おいしく食事をするためにも、ランニングをほぼ日課にしています。外食は週2回ほどですが、ここと決めたらとことん派。今のとこ
ろ食欲旺盛ですので、満腹になりやすい(と思い込んでいる)西洋料理系に選択が偏りがちです。
-------------------------------------------------------------------
読者アンバサダープロフィール公開しました。右のサイドバーからどうぞ!(管理人)
-------------------------------------------------------------------

| | トラックバック (0)