2012年5月 2日 (水)

【東京】目黒で“イタリア”を堪能!

ゲスト・アンバサダーの金井麻紀子です。目黒にいながら、トスカーナやピエモンテの田舎へとおいしい旅ができてしまうお店をご紹介します。

東京・目黒4丁目(場所でいうと、元競馬場)に、去年10月、ひっそりと佇む隠れた名店が生まれました。初めて食べたとき、目を瞑ってみると、トスカーナの田舎を車で20分飛ばして辿り着く丘の上のレストランにいるような錯覚(!)に陥りました。

イタリアでしか食べられないと思っていた大胆な煮込みのパスタ料理が味わえるお店です。ワインは、サンジョベーゼやプリミティーヴォ、時にはサグランティーノが料理にビシッと合う!

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私の生活はフランスが主流のため、本当の意味でパスタ料理にワインが合うと実感したのは、イタリア・ピエモンテの生産者との食事と、トスカーナのレストランでだけでしたが、この店に出会ってから、イタリアワインをイタリアの食事でいただく楽しみが新たにできました。店で揃えるイタリアワインたちは、料理との相性もぴったり。

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フランスでは、どのイタリアンレストランに入っても「オッソ・ブッコ」がメニューにあります。仔牛の骨付きすね肉をトマトなどと一緒に髄まで煮込む料理で、フランス人の舌に合わせて柔らかく仕上げられ、リゾットと共にいただきます。ブランケットやブッフ・ブルギニオンに飽きたフランス人に気に入られ、プロヴァンサル風にアレンジされて定着。いまや、日本のカレーのように自国の味にされてしまった料理です。

そんなフランス風オッソ・ブッコが大好きだった私は、遂にここ日本で本物のイタリアのオッソ・ブッコを味わうことができたのでした。

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やや弾力が残る噛み応えのある仔牛ですが、きっちりと煮込まれ味が染みていて、野菜と肉のシンプルな煮込み料理が作り出す独特の奥深いブイヨンが飽きのこない味に! ワインは自然な造りのエルバルーナのランゲ・ネッビオーロがよく合います。

オープンしてまだ半年。秘密の隠れ家なので本当は教えたくのですが……。シェフを応援したい気持ちが勝り、ご紹介します! ひとりで切り盛りしているシェフの作業を間近で見ることができるのも魅力です。

「LA PRIMA PAGINA(ラ・プリマ・パージナ)」
目黒区目黒4-11-1 1F
TEL:03-3715-3880

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●金井麻紀子:輸入ワインコーディネーター
1993年渡仏。ワインに魅せられ醸造責任者の資格を取得。現在も、フランスと日本を行き来しながら、全国でセミナーや試飲会を開催、フランスでは若手生産者の鑑評会の審査員など、良質ワインを広めるため活躍中です。著書に『すばらしきヴィニュロンたち』(モデラート刊)など。
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Fin

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2011年11月19日 (土)

【ゲスト】山形県・大井沢で山の幸

皆さん、こんにちは。ゲストアンバサダーのサカイ優佳子です。

山形県西村山郡西川町で、「 てヲとる月山 」というプロジェクトを進めています。2011年9月末から半年間、映像作家の勝河泰知氏(23)が、西川町の大井沢地区に住み、400年の歴史を持つ「月山和紙」と「映像」とのコラボレーション作品を作ります。

「てヲとる月山」は、勝河氏の現地での滞在費や作品制作にかかる費用を、多くの人たちの「共感」=少額寄付でサポートしようというプロジェクト。現地の人たちも、若いクリエイターを応援しようとしてくれています。

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(プロジェクトの詳細についてはコチラ→ http://ow.ly/7tAtX )

西川町は総面積の95%が山地で、県内でも有数の豪雪地帯。中でも勝河氏が滞在する大井沢地区は5mを超える積雪で知られています。そんな厳しい自然環境から、豊富に採れるきのこや山菜などの山の幸を、塩漬けや乾物にして冬に備える習慣が生まれました。

とはいえやはり、季節の味覚はその時期に味わうのがまずは一番。10月16日、23日に行われた「大井沢きのこ祭り」では、数トンものきのこが飛ぶように売れたとのこと。売り場の奥では、必死のきのこ袋詰め作業が続きます。

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地元で評判の食堂『蛙の子』の「山そば」は、鴨のダシがきいて、きのこがたっぷり。それぞれのきのこの歯ごたえや香りの違いを楽しめる贅沢な一品です。

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道の駅の売店は、乾物料理に力を入れている私にとっては宝箱。片栗の葉や紅花の若芽、こごみも青と赤の二種類。あざみの茎の塩漬けは未知の食材。「ひょう」(すべりひゆ)の乾物も発見! 買い物をしている地元の人に尋ねれば気軽に料理の仕方を教えてくれるほど、どれも地元では普通の素材のようです。

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『江戸屋旅館』の夕飯はきのこと山菜三昧。

下の写真は、鱒の色に似ている「マスタケ」。山菜「みず」はたまに食べますが、その実を食べたのは初めてでした。丸い部分の食感も楽しく、鮮やかな緑色が目を楽しませてくれます。さくらんぼで有名な寒河江から嫁いできたという女将さんが、「大井沢の山の幸との付き合いの深さは、他とは比べものにならないほどすごいよ」と語ってくれました。

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大井沢の区長さんのお宅では、手づくりの「うむす」というお菓子を頂戴しました。玄米を発芽させてから蒸かし、黒砂糖味をつけて乾燥させるのだとか。「むか?しから発芽玄米を食べてたってことだな」と笑う区長さん。ポリポリと後をひくおいしさです。このあたりでは家庭で作るおやつなのだとか。

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駅からも遠く、厳しい自然と向き合わなければならない。決して住みやすい土地とはいえないにも関わらず、大井沢の100戸のうち10戸がIターン。西川町、とくに大井沢地区の魅力は、自然の厳しさからくる美しさや、そこに住む人々、そしてまた、食も重要な要素に違いありません。

日本の山の幸を堪能できる大井沢。私の大井沢通いは、これからも続きそうです。
(『料理通信』ゲストアンバサダー  サカイ優佳子)

てヲとる月山 」の詳細は、コチラ からどうぞ。

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サカイ優佳子: 東京大学法学部卒業。外資系金融機関、アートプロデュース会社勤務の後、自宅での料理教室から食のキャリアをスタートさせる。五感を重視した食育ワークショップ「食の探偵団」主宰。乾物プロジェクト「DRY and PEACE」進行中。著書に、『米粉食堂へようこそ』(コモンズ)、『米粉ランチ』(農山漁村文化協会)、「感じる食育 楽しい食育」(コモンズ)など。

http://www.yukakosakai.net/

『料理通信』2011年1月号の連載「食の世界の美しき仕事人たち」にご登場いただいています。
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Fin

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2011年1月18日 (火)

【ゲスト】ワインと合わせるジビエ

皆さん、こんにちは、ゲストアンバサダーとして投稿いたします、金井麻紀子と申します。昨年暮れのこと、祐天寺の隠れた名店ラ・クレモンティーヌで、ちょっとした贅沢会を開催しました! 山岸シェフの作る繊細かつジューシーなジビエ料理に合わせたのは、エレガントなローヌワイン

01ジビエというと、真っ先に挙がるのが北ローヌのシラー。ジェルヴァン村で夫婦で徹底した畑仕事でワイン造りをする、知る人ぞ知る生産者ドメーヌ・ミュッサンの珠玉のワインを合わせてみました。

写真はフランスから届いた雉。フランスの寒波の雪の影響で、最近は野生の雉が中々手に入らないそう。

フランスでは、撃ったジビエを軒下につるし、臭みを出してから食べる習慣があります(フェゾンデする)。熟成したチーズのような香りを出した雉や、野ウサギの血のソース、野生の鹿肉など、香り(クセ)の強い肉料理には、力強い北ローヌのシラーを合わせます。特に、若くてタンニンもガチガチ、やや還元しているものに感じるワインの獣臭と、肉の獣臭とをバッティングさせて楽しみます。

02_2 一方日本では、ジビエもとても繊細な料理。特に、日本のジビエ代表選手・蝦夷鹿は、刺身で食べることができるほどクセがなく、細かいタンニンのエレガントなワインがピッタリです。

ガチョウの油でゆっくりと火を入れたガランティーヌと「クローズ・エルミタージュ・ブラン 2008」。雉のやさしい味に爽やかな酸と広がる果実味がアクセントになり、繊細なマリアージュでした。

03 厳選された3歳の雌鹿を赤ワインでじっくり煮込み、フォアグラと共にパイに包んで焼いた山岸シェフの絶品料理には、「サン・ジョセフ・ルージュ 2006」の花崗岩系の透明感のあるミネラル感と、果実味のバランスが良くとても芳醇なシラーを。ちょっと顔を出したスパイシーさが、パイから香り立つ黒胡椒と絶妙なマリアージュでした。

04_2料理とワインの相乗効果で、ボリュームのあるコースでも食べた後はスッキリとしていました。皆さん! 日本のジビエ料理には、エレガントなワインを合わせてみてください!(金井麻紀子)

洋ナシとキャラメルプリンのパフェ、食べながら時々遭遇するメレンゲのおいしいこと!合わせたのは「サン・ジヨセフ・ブラン 2006」。ピッタリ!

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●金井麻紀子:輸入ワインコーディネーター
1993年渡仏。ワインに魅せられ醸造責任者の資格を取得。現在も、フランスと日本を行き来しながら、全国でセミナーや試飲会を開催、フランスでは若手生産者の鑑評会の審査員など、良質ワインを広めるため活躍中です。著書に『すばらしきヴィニュロンたち』(モデラート刊)など。
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