2011年8月18日 (木)

【香川】懐かしくてカタ~イお菓子

初めまして、香川県アンバサダーのモリカワです。これから一年間、香川県を中心に四国の食や文化についてお伝えしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

僕が生まれた香川県善通寺市は、弘法大師空海の生まれた善通寺というお寺を中心に栄えた町で、いまから40年ほど前の僕が小学生の頃、このお寺は僕にとっては最高の遊び場でした。そして、善通寺のすぐ脇にあったお菓子屋さんが今も当時のまま存在しています。

今回ご紹介する「熊岡菓子店」です。

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創業は明治29年。時代を感じさせる建物の店内に今では懐かしい陳列ケースにお菓子が並べられています。建物は、大正2年に建てられたものを当時のまま使っているとのこと。

この店で、看板商品として売られているのが「カタパン」。
文字通りとっても堅いお菓子です。

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四角いのが「角パン」、小さくて丸いのは「石パン」。紙袋もステキです。

「角パン」「石パン」など数種類のカタパンがありますが、パンというよりビスケットやクッキーのイメージでしょうか。口の中で噛んで溶かすとほんのり甘く、なにより初めて食べた人には「こんなに固いお菓子が世の中に存在するのか!」という驚きがあります。

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店内のお菓子の陳列ケース。お昼過ぎ、カタパンは売り切れ状態でした。

実はこの「カタパン」、善通寺市 には陸軍の駐屯地があったため、兵隊さんの保存食として考案されたということです。今ではすっかり善通寺市の名物菓子になり、地元の人だけでなく善通寺参拝のお土産として買われる方も多いようです。そして、僕も香川を訪れてくれた友人知人を案内しています。

なお、「カタパン」は午前中に売り切れてしまうこともあるのでお気をつけ下さいね。
(『料理通信』読者アンバサダー・森川ヒデキ)

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写真は善通寺の境内。このすぐ近くにお店がありますよ。

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【熊岡菓子店×編集長】

森川さんから「熊岡菓子店」の写真が届いてすぐ、編集長を呼びました。
「編集長~、ステキなお菓子屋さんですよー!」
あら~! わたし行ったことあるわ
紙袋はコレクションにも入ってる
お遍路さんをしたときに、札所と菓子屋をセットで巡拝したの
だそうです。へ、編集長……。やけに
斬新な四国遍路ですね。(管理人)
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2011年5月18日 (水)

【香川】伝統野菜「炭谷ごぼう」

こんにちは。高松のアンバサダー、小池です。第3期アンバサダーの任期が今回で終了となります。(小池さん、1年間、香川から届く未知の情報が楽しみでした。大変お世話になりました!:管理人。最後は、私が今、もっとも注目している香川の伝統野菜「炭谷(すみや)ごぼう」について書きたいと思います。

炭谷ごぼうは、香川県高松市塩江町(しおのえちょう)の炭谷地区に伝わる伝統野菜です。ずっしり太くて香り高く、噛み締めたときの甘みが秀逸。あくまで個人的主観ですが、ごぼうを食べてこれほどまでに印象に残る味はほかに経験がないほどのおいしさです。

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↑炭谷ごぼう。京野菜の堀川ごぼうを思わせる“迫力”と“おいしさ”

そんな素晴らしいごぼうなのに……、
現在、生産者が最後の一農家となり、存続の危機を迎えています。

炭谷ごぼうは、昭和初期頃から地域自慢の特産品として地元、塩江温泉(しおのえおんせん)の旅館や料亭などでもてはやされ、当時は役場のお歳暮としても利用されていたほど。

ところが、高度成長期頃を堺に温泉街の賑わいは静まり、集落に5~6軒あったといわれる炭谷ごぼうの栽培農家は、後を継ぐ者もなく、高齢化により次々と栽培を辞めてしまいました。そして、現在はただ一軒、高齢のご夫婦が細々と栽培を続けているだけになっています。

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↑最後の生産者ご夫妻。炭谷ごぼう栽培は、機械も入らない傾斜のきつい畑で、すべて手作業で行われます。

県も認める伝統野菜でありながら、そもそも生産量が少なく、香川、いや高松の人でも、知る人ぞ知る幻の野菜でもあるのです。今年になって、野菜小売店の社長や野菜ソムリエ、料理人、食品関係者ら数人が、炭谷ごぼうをなんとか後世に残そうと、動き出しました。私も応援したいと思っています。

先日、生産者ご夫婦をお訪ねすると、「体が元気なうちは、自分らでできることをやるだけや」と、淡々と畑仕事をしていました。どうやって後継者を見つけるか。生産者よりも、ファンのほうが熱くなっているかもしれません。炭谷ごぼうの出荷は12月中旬~翌2月中旬。来年の栽培には新たな生産者、いや協力者でもいいのでブレーンが登場することを願ってやみません。

          *      *     *     *

一年間、香川の食の話題をお届けできたことをとても嬉しく思います。うどんだけじゃない香川の魅力を、またいろいろなところでお伝えしていきたいと思います。ありがとうございました。(小池よう子)

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2011年3月30日 (水)

【香川】直売所から農家のファンを!

料理通信アンバサダーの小池よう子です。香川県高松市からお届けいたします。

Photo_2今回ご紹介するのは、2010年12月にオープンした、香川県高松市飯田町の小さな農産物直売所「ファームマート」。運営するのは同所でイチゴ栽培とその加工品直売所を手がけている「スカイファーム」です。

近隣農家から届く野菜や果物のほか、パン、豆腐、ハチミツやジャムなどの加工品もいろいろ。

イチゴ屋さんが、なぜ、近隣生産者の農産物と加工品を売ることに?

「地元のお客様に、仲間の生産者も知ってほしいから」と、代表の川西裕幸さん。背景には農産物の「旬」という問題もあるようです。イチゴ農家がもっとも活気づく冬から春の半年間は、この地を訪れる人も多いけれど、それ以外の時期は集客しにくい。モモやブドウ農家など、直売所経営に同様の悩みを抱えていた仲間がいたそうです。

そこを互いに補い合う。さらに、地元の農産物や加工品を一カ所に集めることで、消費者のニーズも興味も高まります。それ以上に「周囲には素晴らしい生産者がたくさんいることを、地元の人にこそ知ってほしい、喜んでほしい」という思いから生まれた直売所なんですね。

Photo_3現在、「ファームマート」に参加している生産者は約30軒。「理想をいえば、農家一人ひとりが個人ブランドを確立して直売所を運営し、その農家から『直接買いたい』というファンができたらいいですよね」(川西さん)。

「ファームマート」を運営するいちご屋「スカイファーム」の代表・川西さん(左)とスタッフのみなさん。

とはいえ、みんなが自分で直販するのは現実的には難しい。だから、仲間同士でカバーし合って、みんなで地元のお客様とのコミュニケーションをはかる、というわけです。

地域に農家のファンを作る

川西さんの話には度々このフレーズが登場します。作る側と買う側、双方の顔が見える関係が築けると、無意識のうちに生産者の意識も、食べるモノを選ぶ消費者意識も向上していくはず。こんな素敵な関係性がもっともっと広がることを期待し、応援したいと思います。(小池よう子)

ファームマート
香川県高松市飯田町656?1
TEL:087-881-5256(スカイファーム)
10時~16時 水曜定休
※3月~5月は「スカイファーム」のイチゴ狩り体験(有料/予約制)も行っています。

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2011年1月21日 (金)

【香川】魚の行商“いただきさん”

こんにちは。高松より、小池よう子です。今回は高松名物“いただきさん”をご紹介します。

001_3 高松の街中や近郊でときおり見かける、大きな箱状のサイドカー付き自転車。初めて見る人は「何あれ?」と思うことでしょう。“横付け”と呼ばれるこのサイドカーの中には新鮮な魚介がびっしり。このお魚屋さんの行商が“いただきさん”です。

車もなんのその! ときに立漕ぎで横付けを走らせる、この道40年の“いただきさん”中津さん(75歳)

その名はかつて、桶を頭に載せて魚を運搬していたことに由来します。桶と頭の間に「いただき」と呼ばれるものを載せていたことから「いただきさん」と呼ばれるようになったのだとか。

002_5もともとは漁師の奥さんが市場に卸せない雑魚や半端な魚を売り歩いていたのが始まりだそうですが、今は早朝に高松市中央卸売市場で仕入れています。1月のある日、”いただきさん”に同行させていただきました。

朝6時半。市場で魚を仕入れ、“横付け”の冷蔵庫に氷を敷いて魚をきれいに並べます。


この朝、中津さんが買い込んだのはタイ、カマス、タチウオ、カニ、イカ、サバ、カキなど20箱近い量。「えっ、コレ全部ほんとに入るの?」と見ていたら、手品のごとくピッチリ収納。そのほか、包丁、まな板、はかり、魚を包む新聞紙やナイロン袋などなど、商売道具も一式積んだ“横付け”は、どう見ても100キロは軽く超えている模様。

003_4これを75歳の小さな身体で引いて走る?アラフォーの私ですら「絶対無理!」と即座に思いました。ところが中津さん、全身の体重を左右交互にペダルにかけ、ゆっくりゆっくり走り出します。

見て下さいこの量! 満杯の荷物を積んだ出発時のスピードは早足程度=時速5キロくらい? 行き交う車もバイクもみんなよけて待っててくれます。

中津さんの仕事時間は「だいたい7時過ぎに市場を出発して夕方5時頃まで」。決まったルートを走り、決まった場所と時間に顔なじみの客が待っています。びっくりしたのは売りさばく手際のよさ。注文を受けた魚は、煮魚用、焼き魚用など用途に合わせて内臓を出したり、切ったり。作業しながらも次の注文を受け、合間の会計も実にスピーディー。そのパワーには驚きました。

004_3そんないただきさん。かつては何十人もいて組織化されていたそうですが、今は組織もなくなり高齢者ばかり十数名が細々と続けているのが現状です。

颯爽と走る中津さん。いつもの場所にいつものファンが待っています。なかにはすれ違いざまに車をUターンさせて来る人も。

「もう私らの世代で終りや」と中津さん。若い後継人がいないことに加え、“横付け”を製造していた自転車屋さんがなくなってしまったのが最大の理由だそうです。今は、行商といっても車に切り替わり、男の人の仕事になってきているのだとか。庶民の台所を支えた高松の風景が消えかかっているのは、本当に残念です。(小池よう子)

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2010年12月14日 (火)

【香川】養蜂家が醸すこだわりの柿酢

香川県のアンバサダー、小池よう子です。今回は井上養蜂園(高松市)代表、井上勲さんの「柿酢」をご紹介いたします。

「春は養蜂の仕事で忙しいんですけどね、冬の養蜂業は時間があるので、柿酢を作っています」と、井上さん。取材に伺った今年6月、柿酢の話を初めて聞きました。ほのかに甘い香りとやさしい酸味が、酢の物、酢飯を料亭クラスの上品な味に仕上げてくれる井上さんの柿酢。今では我が家の常備調味料のひとつになっています。

それにしても「なぜ養蜂と柿酢?」なのか。

01_2 「親戚から譲り受けた柿畑があってね、柿は鈴なりなのにそのまま放置じゃもったいない」。そこで、以前から興味のあった、発酵、醸造分野を柿酢で実践してみたのがそもそもの始まり。

香川県綾川町にある、井上さんの柿畑。周囲の柿農家からもたくさんの柿が届きます。

「柿畑に菜の花を植えて花が蜂の餌になり、枯れたらそのまま柿の肥やしになるんです。おまけに、柿の花は蜂が受粉してくれる」。まさに一石二鳥の循環型が実現したわけです。

柿酢に使うのは「富有柿」。堆肥にはおから、米糠、柿の絞りかすを入れ、こちらも循環型を実践。こうして実った完熟の富有柿を皮ごと使い、柿酢を仕込みます。

「柿の皮に付いている白い粉。これが発酵を助けてくれる大事な酵母菌なんです」。だから、洗わず手早く作業するのもポイント。

今や、井上さんの畑の柿だけでなく、自宅の軒先にコンテナを置いておくと、近隣柿農家の皆さんが、熟しすぎて出荷できない柿(=柿酢には最適な柿)をどっさり置いていってくれるそうです。

02 「ほんとうにありがたい」と井上さん。もともと大量生産は考えていないので、ご夫婦で手がけられるだけの量を丁寧に、そして日々愛情たっぷりに管理、熟成させています。

知り合いの画家が描いてくれたという美しい柿のラベルが目印。300ml 580円、720ml 1300円(地元価格。県外価格は異なります)

だから、生産量はわずかですが、地元高松や四国では井上さんの柿酢ファンが急増中。最近では東京からもお声がかかり、「銀座めざマルシェ」や、恵比寿の「和酒バルKIRAZ」の店頭でも販売
を始めました。機会があればぜひ、井上さんの芳醇な柿酢を味わってみてください。(小池よう子)

井上養蜂園
香川県高松市香川町浅野1333-9

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柿酢は「第2回お宝食材コンテスト」選定品にもありましたね( 『料理通信』2010年10月号 )。『料理通信』読者の皆さんはお使いになられている方が多いかも?(おすすめの使い方ツイートお待ちしています!  @team_trippa)。また、「井上養蜂園」さんの養蜂取材もされてきた小池さん、養蜂については「
香川げんきネットSEED 」でご紹介しています。(管理人)
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2010年10月25日 (月)

【香川】小豆島産オリーブの新漬け

香川県高松より、小池よう子です。こちらに移住して初めての秋。またひとつ、郷土の味を覚えました。香川県小豆島の秋の味覚、〝オリーブの新漬け〟です。

01 オリーブの新漬けは、イタリアやスペインのオリーブの“オイル漬け”とは全く違うものです。小豆島の特産品、オリーブを渋抜きし、塩水に漬けたシンプルな加工品で、グリーンオリーブのフレッシュ感溢れるおいしさは、ビールに、ワインにぴったり! ああ、どうしよう止まらない・・・。

写真は、右が「アグリオリーブ小豆島」の新漬オリーブ(525円/100g)。塩分は「石垣の塩」。左は100%小豆島産オリーブのエキストラバージン・オリーブオイル(3675円/200ml)。

「小豆島には約300軒ものオリーブ農家があるんですよ」と教えてくれたのは、オリーブ農園「アグリオリーブ小豆島」の代表、秋長正幸さん。無化学肥料減農薬の自然栽培で、島内15ヶ所にオリーブ畑を営んでいらっしゃいます。

02「今年は雨が少なく、実が小ぶりで太りが足りない」とのこと。小豆島全体では10月10日を新漬けの解禁日としているそうですが、秋長さんをはじめ、多くの生産者さんはオリーブが少しでも大きく育った頃合を見て、徐々に収穫、加工している最中です。

「アグリオリーブ小豆島」代表、秋長さん。オリーブを無駄なく加工、商品化できるよう奔走中です。

ちなみに、小豆島のオリーブは、グリーンの実がしっかり育った9月下旬~10月上旬に、まず新漬け用の実が収穫されます。収穫せずに木に残った実はやがて赤くなり、その後、黒く完熟します。そう、ブラックオリーブはコレですね。

12月にその完熟オリーブを収穫して圧搾機で絞るとオリーブオイルに。オイルの新物は12月下旬~1月に出回ります。つまり、小豆島産オリーブの旬は10月の新漬けから始まってオイルが出回る年末年始というわけです。

オリーブの新漬けは生産量が少ないため香川県民でも簡単には手に入りません。召し上がってみたい方はぜひネット購入でどうぞ! (小池よう子)

株式会社アグリオリーブ小豆島
香川県小豆郡小豆島町馬木甲856
TEL:0879-82-5662
URL:
http://agri-olive.com/

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2010年9月22日 (水)

【香川】目指せ! 讃岐のお宝食材

香川県のアンバサダー小池です。今回は、香川県は綾川町陶(あやがわちょうすえ)にある「まつもと農園」が商品開発中の、おいし~い“セミドライトマトのオリーブオイル漬け”をご紹介したいと思います。

01松本稔さん・小百合さん夫妻が営むまつもと農園 は、ミディトマトとキュウリを中心とした野菜農家です。

松本稔さん・小百合さん夫妻。手にしているのが開発中の「セミドライトマトのオリーブオイル漬け」

2年ほど前、東京で食のプロの方々と交流する機会があり、「味は一緒なのにトマトはヘタがないだけでB級品扱いされてしまう」、そんな悩みを話したところ、プロからさまざまなアドバイスを受けたそうです。それがきっかけで、この“セミドライトマトのオリーブオイル漬け”プロジェクトは始まりました。

甘さだけでなく酸味も兼ね備えたまつもと農園のミディトマトを、かつて生産量日本一ともいわれた宇田津(うたづ)の塩「入浜の塩」を使った塩水に漬けた後、天日干しで5分の1に乾燥させてセミドライトマトに。

それを小豆島のオリーブメーカー「アグリオリーブ小豆島」のエキストラヴァージン・オリーブオイルにつけ込んだ、讃岐の超厳選素材結集の一品。トマトの凝縮感がたまらなくおいしいです! 

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松本夫妻が試行錯誤しながらこの商品開発のために費やした時間は1年以上。

四国を愛する「HIP (Home Island Project=通称 HIP:ヒップ)」という団体からもいろいろな情報を提供してもらい、商品開発に携わった人は地元関係者をはじめ、東京や大阪の飲食、流通、デザインなど各分野の専門家ら「ざっと200人はいます」。そのハンパじゃない数にもびっくりです。

写真は商品のデザイン案。いろいろな人の声を聞きながら、ただいまデザインを検討中。

販売開始予定は来年の春、まずは東京からとのこと。香川の恵100%の味をお楽しみに!(小池よう子)


●まつもと農園
まつもと農園へのご連絡は メール にて。

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2010年8月11日 (水)

【香川】田んぼに佇むカフェ

こんにちは。連日猛暑の香川県高松から、小池よう子です。今回は、私が香川へ移住する前から大好きなスイーツ・カフェをご 紹介します。店の名前は「ハナあかり」。

香川県の西部、のんびりと田園風景が広がる“まんのう町”にあり、築80 年の納屋を改装した魅力的なカフェです。店主の岡田訓 江(おかださとえ)さん(33歳)がまた、実に魅力的な方。 笑顔がチャーミングな素晴らしいパティシエ-ルで、毎日、作り立てのおいしいケーキを次から次へと仕上げています。

私が「ハナあかり」を大好きな理由はふたつ。

01 ひとつは、温かな昔の時間が漂う素敵な空間です。田んぼや畑に囲まれたロケーションに、かつては岡田家の納屋だったという建物がとにかく、いい味を出しているんです。

納屋の面影が漂うごつごつとしたむき出しの梁や、懐かしい雰囲気を再現した土壁。天井裏のような2階には板張りの床にちゃぶ台と座布団。小さな窓から見える田んぼの風景は、まるで癒しの絵画のよう。21世紀の生活空間から消え去っているものをあえて集めたような、ふ~っと心が落ち着く場所なんです。

素敵な店内に立つ、店主の岡田さん。お店を手伝うお母さんもここで生まれ育った。

「なかには4時間、5時間と居てくれるお客さんもいます」と岡田さん。うん、わかる気がします。

もうひとつの魅力は、何より、岡田さんが作り出すケーキのおいしさ。大阪の辻製菓専門学校で学び、高松の有名パティスリー「ルーヴ」で7年間働いた本格的なプロのスイーツです。おいしさのこだわりを尋ねると、「単純明快な“おいしいケーキ”が好きなんです。こだわりは、その日に作ったものをその日のうちに食べてもらうこと」とのこと。

奇をてらった食材や斬新さではなく、シンプルなレシピでしっかり作った、作り立てのおいしさこそ、味わってもらいたいそうです。ああ、ホントにそうです、岡田さんの作るケーキの味って。

02イチオシは「ミルクレープ」。卵をたっぷり使ったクレープ生地と、バニラビーンズのやさしい甘さと香りのカスタードクリームが、美しい層を作っています。やさしく、そしてとっても幸せな味がします。

イートイン用に美しく仕上げた「ミルクレープ」(380円)

「夏休みは近所の子どもが宿題をしに来たりすることもあるんですよ」。自分が育った土地だから、ご近所はみんな知り合いばかり。農作業を終えたおじいちゃんがひとりでケーキを食べに来る姿も珍しくありません。評判を聞きつけた遠方からのお客さんも多いようです。

この界隈はおいしい讃岐うどんの名店が点在する、通称“まんのうトライアングル”エリア。うどん巡りの途中で、こんな素敵なカフェの魅力にもぜひ触れてみてください。(小池よう子)

●cafe ハナあかり
香川県仲多度郡まんのう町吉野306-1
TEL:090-5277-6760

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2010年7月14日 (水)

【香川】農家を応援したいから売る!

Dscf5462 こんにちは。香川のおいしいモノ応援団長の小池です(団員1名)。と、調子にのっていたら、失礼いたしました、私より大先輩の応援団長がたくさんいらっしゃいました(笑)。今回はそのお一人、香川をはじめ四国のこだわり野菜や加工食品などを扱う食材スーパー「春日水神市場(かすがすいじんいちば)」の社長、津國 浩さん(40歳)にお会いしました。社名はズバリ!「厳選」というだけあって、ここには津國さん厳選の野菜、果物、調味料など、『料理通信』読者の皆さんにも魅力的な食材がズラリと並んでいます。
春日水神市場。テラス付きレストラン「温故知新」も併設

現在の店舗に至るまでには「もう苦労ばかりでしたよ(笑)と津國さん。きっかけは休耕田や跡継ぎのいない農家など、地元農業の現状を目の当たりにしたこと。「何とか農業を応援したい」と試行錯誤の模索を繰り返し、「いろいろな方からたくさんのお話を聞くうちに、“人のため、環境のため、未来の子供達のため……”そういう考え方が出来る生き方に出会えたのが、今の原点」という津國さん。食の安全性にも考慮して、辿り着いた答えは「作物が売れてこそ農業は成立する。ならば、無農薬野菜や減農薬野菜などを適正価格で買ってくれる消費者に届けよう」。つまり「私が売りましょう」と、今から6年前、奥様と共にナント!露天商で野菜販売を始めたのが出発点、というから頭が下がります。高松市の中心部、丸亀町商店街の一角に段ボールを広げてプチ青空市で2年。津國さん夫妻の地道な活動に賛同する農家は次第に増え、やがて商店街にも認められ、4年前に前身にあたる「亀井戸水神市場(かめいどすいじんいちば)」が開業しました。昨年、商店街の再開発事業に伴い、現在の場所に移転。地名にあやかって「春日水神市場」となり、安全性など質の高い食材を求める高松市民のパントリーとして賑わっています。

Dscf5484 津國さんを私が勝手に“香川のおいしいモノ応援団長”とお呼びしたくなってしまう由縁は、扱う商品に対するポジティブな行動力にあります。取引先には必ず足を運んで生産の現場を確認し、安全性はもちろんのこと、どんな人がどんな思いで作っているのかを自ら確かめています。“すべて見学している”ことはHPなどで知っていましたが、てっきり、社内に視察チームがあるのかと思い込んでいた私。「いえいえ、全部自分で回っています」と津國さん。恐れ入りました。
津國浩さん。わかりやすい独自の安全表示も津國さんが考案。

先日、新たに売り込みに来たという農家さんの圃場視察に同行させてもらいました。多くの畑を厳しく見てきた津國さんだけあって、生産者にさりげなく栽培アドバイスする一場面も。逆に教えられることもたくさんあるといいます。そんなやりとりの積み重ねが生産者との信頼関係を築いているのでしょう。春日水神市場には『料理通信』おなじみの“お宝食材”候補もたくさんありますよ! 高松にお越しの際には、わざわざでもぜひ足を運んでみていただきたいお店です。(小池よう子)

●春日水神市場
香川県高松市木太町2836−1
TEL:087−813−1730

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2010年6月14日 (月)

【香川】熱いです! さぬきビオ

今年3月に東京から香川に移住して来ました。東京ではライターという仕事の恩恵にあずかり、数々のレストランでおいしいものをいただきましたが、料理人のこだわりを聞けば聞くほど、辿り着く話題は「食材」なんですよね。香川は海の幸、山の幸、新鮮野菜と、まさに食材の宝庫! そんな香川の食を支えリードする方々にお会いし、香川の“おいしいツボ”をお伝えしていきたいと思います。

Yoshimurasan今回お訪ねしたのは、丸亀市で有機農業に取り組む「よしむら農園」です。直営する「よしむらカフェ」を訪ねたのがきっかけで、後日、畑にもお邪魔させていただきました。代表の吉村一成さん(高知出身)は、6年前に有機農業で「よしむら農園」を開園。テレビ番組『人生の楽園』などに出演したこともあって、県内の有機農家さんとしてはかなり知られた存在です。何処の馬の骨とも知らない私 なんぞが突然「お会いしたい」とお電話したにもかかわらず、二つ返事で「はいどうぞ」と招いてくださいました。お会いしてわかりました。この“万人ウェルカム”の姿勢こそ、有機農産物の普及に欠かせないのだと。
よしむら農園ご主人の吉村一成さん。近くを流れる土器川の伏流水や自然環境、スタッフの愛情がおいしい野菜を育てます

よしむら農園で栽培している有機野菜は年間約60品目。「そのままでとにかくおいしいですよ」と、我が子のように手塩にかけて育てた野菜を語る吉村さん。そんな野菜をもっと普及させるためにも販路を開拓し、消費者の声を聞いてネットワークを広げたいとのこと。その想いから2008年にオープンした「よしむらカフェ」は、よしむら農園の野菜がたっぷりいただける“サラダバー”や野菜のスイーツなど、食べ方も提案するアンテナショップ的カフェです。入口には吉村さんの野菜をはじめ、香川で有機農産物や有機加工物に取り組む仲間が作った、お米や卵、果物などのショップコーナーも併設。もちろん買い物だけでもOKです。

Biomarche また、吉村さんは香川の有機農産物、加工品の生産者グループ「さぬき有機の里」の事務局も運営し、毎週土曜日に「さぬきビオ・マーケット」を開催しています。同じ志を持つ生産者たちが直接販売をし、さながらプチ・マルシェ・ジャポンといった趣き。栽培方法や味の特徴を尋ねる方や「有機でこんなに安いの?」と驚く方など、お客様とのコミュニケーションから有機のPRや販路開拓のヒントが得られているようです。
高松市成合町の西村ジョイ成合店で毎週土曜日10~14時に開催される「さぬきビオ・マーケット」

讃岐うどんばかりが注目される香川ですが、有機の生産者さんたちの活動も面白くなってきています。吉村さんの有機普及活動にもまだまだたくさんの構想がありそう。まずは「よしむらカフェ」に行かれると、そんな“さぬきビオパワー”の一端が感じられると思います。(小池よう子)

●よしむら農園
香川県丸亀市飯山町東小川725
TEL:0877-98-0186

●よしむらカフェ
香川県綾歌郡宇多津町浜三番丁23-5
TEL:0877-55-6822

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小池よう子:2010年3月に東京から香川県高松市に移住してきました。食の地域コーディネーターを目指して、郷土の味や未知の味、地元のさまざまなおいしいものを探求しています。自給自足のまねごとで小さな畑を始めました。毎日お天道様を気にする生活、ちょっとイイです。
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