2010年9月24日 (金)

【ゲスト/フランス】ボルドーで夏休み

01そろそろ9月も終わりに近づきましたね。フランスの9月は、学校が新学期を迎え、真黒に日焼けした子ども達(親たちも!)が久しぶりに会い、あちらこちらで夏休みの報告が聞こえました。

今年の夏休み、私たちはボルドー中心街の友人のアパートで過ごしました。ボルドーといえば、ブルゴーニュと並ぶ世界的に有名なワイン産地の一つです。ワイン留学のために最初に住んだのもこの町でした。

以来2年に一度ボルドーで行われるワインの世界最大のイベント、ヴィネクスポ(国際ワイン・スピリッツ見本市)には、夫のパブロと来訪していますが、この9月に小学校へ入学した息子アンジェロを連れてくるのは今回が初めてでした。

田舎に住む私たちにとって、都会でのヴァカンスはとても新鮮で魅力的です。留学時とはすっかり生まれ変わったボルドー。町から車が排除され、脇道の至るところで道幅を狭くしていた駐車車両がなくなってすっきり! 代わりに走っているのは、路面電車と町が経営する貸自転車。

街並みの美しさを損なうことなく、生活が便利なように省エネのシステムが上手く取り入れられています。

1996年より始まった市街の大工事を経て、ボルドーは2007年にユネスコの世界遺産に登録されたとのこと。息子も退屈することなく、市内の史跡を訪ねたり、ガロンヌ川岸にある、水の鏡(miroir d'eau)や、公園で遊んだりして毎日楽しく過ごしました。

さて、今回はそんなボルドーに新しくできた人気のワインショップとレストランを皆さんにご紹介します。

02ワインショップの名前は、“l'oenolimit(ルノリミット)”。

ワインショップで一緒に働いていたオリビエとマチューが開いたお店です(オリビエは、夫・パブロの親友で私たちの結婚式に彼の付き人をしてくれました)。

手造りのモダンなインテリアのお店には世界中のワインが揃い、店内でワインをグラスで頂くこともできます。



03_2 レストランは“Brasserie Bordelaise(ブラッスリー ボルドレーズ)”。

こちらはワイン関係者が集まるレストランで、お肉料理がお勧めです。ボルドーのワインの品揃えも豊富なので、ワイン好きの方はぜひどうぞ。(シュヴロかおり)

l'oenolimit(ルノリミット)
2 Rue des Ayres
33000 Bordeaux FRANCE
Tel:+33(0)6 31 05 91 40
WEB:
http://www.loenolimit.com/site/index.php

La Brasserie Bordelaise(ブラッスリー ボルドレーズ)
50 rue Saint Remi
33000 Bordeaux FRANCE
Tel:+33(0)5 57 87 11 91
WEB:
http://www.brasseriebordelaise.fr/

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2010年8月 2日 (月)

【ゲスト/フランス】日仏夫婦の菓子

01aubry_3ブルゴーニュのシャニイはガストロノミーとして名高い街。 その街で最もおいしいといわれる パティスリー“オブリィ”が売りに出されたという噂を耳にしました。お店を買ったのが、アメリカからやってきた日本人とフランス人の夫婦と聞き、人々は好奇心でいっぱいに。

【写真】黄色い日よけが目を引くオブリィの外観

新しいオーナーは、ピエリック・シャロワンさんと吉田桂子さんご夫婦。ピエリックさんはフランスのイゼール出身で、お菓子の世界を志し、若い力を試すべく19歳で渡米。ホテル・ソフィテル(シカゴ)、プラザ・ホテル(ニューヨーク)を経て、フェアマウント・ソノマ・ミッション・イン&スパ(カリフォルニア、ミシェラン1ツ星)のパティシエとして、ホテル・レストランの立ち上げにかかわったという実力派です。

02一方、桂子さんは、お父様の後を継いで医学を志していたものの、同じサイエンスでもお菓子の世界に惹きこまれて大きく転身。シカゴのパティスリー“スウィート・タング”で研修していたとき、以前働いていたピエリックさんが立ち寄ったのが2人の出会いでした。

2006年、長女の清美ちゃんの誕生をきっかけに、フランスに戻ることを決意。誰ひとり知る人のいないシャニイに辿り着いたのは、本当にご縁だったと語るお二人。売りに出されていたお店を訪れたとき、ひと目で気に入ったのだそうです。

【写真】ピエリック・シャロワンさんと吉田桂子さんご夫婦

03_2 得意なお菓子は、「クレムー・ショコラ(チョコレート・クリーム)」と「ソレ イユ・ルヴァン(日の出、フランスでは日本のことを日の昇る国と呼び ます)」とのこと。クレムー・ショコラは、口の中でとろけていくようなやわらかなチョコレートケーキに、カリカリ感のあるカラメルが挟んであるもの。ソレイユ・ルヴァンは、ホワイトチョコレートのムースに、木苺で色と味わい、食感のアクセントが付けられたお菓子です。どちらも口の中で音楽を奏でてくれるのは、ワインと一緒ですね!
【写真】クレムー・ショコラ。オブリィのお菓子には日・仏・米の3つの文化が息づいている。

私は早速、夫パブロの誕生日にクレムー・ショコラをオーダー。生まれたときからオブリィのケーキを食べ続けているパブロのコメントは「以前のオーナーを超える!!」。グルメな地元民の厳しい試験の一つを見事にパスしました。ブルゴーニュにお越しの際は、ワインだけでなくおいしいパティスリーもぜひご賞味あれ!(シュヴロ・かおり)

●Patisserie“Aubry”
8 Rue du Bourg 
71150 Chagny FRANCE
Tel. +33(0)3 85 87 16 16 

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2010年6月28日 (月)

【ゲスト/フランス】兄弟で醸します

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●シュヴロかおり:客室乗務員としてJALに就職。休職制度を利用し渡仏、仏語とワインを学ぶ。ボルドー大学醸造学部の勉強会でパヴロ・シュヴロと知り合い結婚、フランスに移住。ブルゴーニュ大学付属の商業学校でマーケティングを学び、ドメーヌ・シュヴロの輸出・PRを担当している。
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Plaquette_4はじめまして。シュヴロかおりと申します。ブルゴーニュのマランジュ村で家族とワイン造りを営んでいます。“もの造りは人から”をモットーにフランスの職人達をご紹介していきます。

ご存知のようにブルゴーニュ地方は、世界的に有名なワイン産地です。その中でも、まだあまり日本に知られていないアペラシオン(原産地統制名称)で、おいしいワインを造っている生産者の蔵開放に行ってきました。

ボーヌを南に下って、メルキュレイ村から北に数キロ、樹木に囲まれたシャミイ村。ここに慎ましやかにワインを造っている兄弟がいます。アルノー&グザビエ・デフォンテーヌです。彼らは、春の畑仕事のシーズン真只中、休日返上で蔵を数日解放し、訪問者にワインを紹介するイベントを開催してくれました。

Photo兄弟が一緒に働くということは思うほど簡単なことではなく、それぞれが別にドメーヌを運営するという例が多い中、2人は手を取り合ってワイン造りを続けています。「アルノーと一緒に働くのは最高だよ!」と言うグザビエ。1999年、突然の父親の死後、13歳と14歳だったアルノーとグザビエは、自然に囲まれた生活をこのまま続けたいという思いからこの道を選んだそうです。「勉強を続けなければいけないし、他の世界も見なければいけない」と二人に言い聞かせた母親のベロニクは、「兄弟が学校を卒業するまでは、私ひとりでワイン造りを頑張って、卒業後は一人がシャトーに残り、もう一人は外国やフランス各地で武者修行をしてきたのよ」と言います。
左から、グザビエ、ベロニク、アルノー・デフォンテーヌ

Porte_ouverte_2まだ若い2人ですが、今はグザビエのパートナーのマリーヌが加わっての家族経営が続いています。ワインは、ただの液体物ではありません。瓶の中には、ブドウの作付け年の天候や、造り手の魂が深く溶け込んでいるのです。自然を活かしたワイン造りをする、このデフォンテーヌ兄弟のワインを、日本の皆さまにも是非楽しんでいただく機会があればいいなぁと願っています。
シャトーに隣接の本格的なパン焼きの石窯では、蔵開放日にピザが焼かれました。

観光シーズンと重なって、イベント訪問者も毎日100人を超えたそうで、地元の生産者や職人(エスカルゴ、牛・豚肉製品、フロマージュ、蜂蜜、パン…)を招いて、大盛会の蔵開放となったようです。これらの催しの情報は、ブルゴーニュワイン委員会で得ることができます。(シュヴロかおり)


●CHATEAU DE CHAMILLY
Le Chateau  71510 CHAMILLY - France
web : www.chateaudechamilly.com

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2010年4月30日 (金)

【ゲスト/フランス】結人・むすびと

Musubito_2 若き酒造家の兄弟が力を合わせ群馬一の銘酒をめざし醸した日本酒。群馬県前橋市にある小さな酒蔵で、酒造りの最盛期にあたる12月~3月位までの時期にしか造られません。特にこの地は赤城おろしが有名な乾燥地帯、昔から酒処と言われているところは雪国で、新潟、秋田、北陸とまさにその名の通りの環境ですが、それと比べて群馬は決して酒造りに適したところではなく酒も取り立てて注目されるような銘酒が殆んどありません。そこで、どうしても全国レベルの酒をと決心し、挑戦したのがこの結人なのです。

元々この柳沢酒造はもち米を原料にした甘い酒しか造っておらず、本物の純米吟醸酒をどのように造るかも分らず試行錯誤の繰り返しで3年を費やしたといいます。目標とする酒はほのかな含み香とボリューム感のある味わい、そして、切れの良い酒。それに少しでも近づけるように酒造りをする毎日でした。そんな中で小さなタンクで仕込む方法や無ろ過の酒を造るのに愛知県の九平治の蔵(萬乗醸造)に技術的な指導を受け、徐々に目標とする酒に近いものが出来ました!

↓中央の酒屋店主を挟んで、右が兄・左が弟です。

Musubito2_2 しかし、一番苦労したのはせっかく出来た良い酒が売れなかった事。最初は別の名で売り出した時、県内でも100件以上の酒屋が手を挙げてはくれたが、実際には置いて貰っただけで殆んど売れずじまいだったとのこと。3年ほどして、全て一からやり直そうと酒の銘柄も“結人”に変え、取扱いの酒屋を各都市一軒に絞り、やる気のある酒屋さんだけの組織を立ち上げると徐々に売れ出し、酒質の向上と相まって結人を手にした方の評判も良く、リーピーターも増え、県内でも注目される酒になりました。

どこかで目にしたら、是非とも飲んでいただきたい群馬の誇る貴重な酒です。(金井麻紀子)

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2010年1月22日 (金)

【ゲスト/トスカーナ】縁起を担ぐウナギ料理

Lenticche どの国でも、新しく迎える年が幸せであるようにと願い、縁起を担いだお料理があるのだと思います。ここイタリアで、真っ先に思いつくのは、やはりレンズ豆でしょう。金貨に例えられていて、炊くと二倍になることから、お金が貯まると言われています。日本のおせちにある黒豆の、「まめに働く」という謂れとは、微妙にニュアンスが違うのが面白いところです。そして予期せぬ幸運を呼ぶドライフルーツ、スパイス、太陽の再生としての象徴ハチミツがぎっしり詰まった、フィレンツェやシエナ地方の伝統お菓子、「パンフォルテ」もこの季節には欠かせないもの。手作りのパンフォルテをあちらから、こちらから、いくつも頂きました。
レンズ豆は皮付きのにんにくと一緒に茹でて香りを楽しみます。

そして、イタリアのお正月で登場する意外な縁起ものといえば、やっぱりウナギ。細長い形で、頭と尻尾が丸く円を描くので、終わりがなく縁起が良いといわれ、特に南イタリアのほうでは欠かせない食材のようです。

Anguilla ここトスカーナでも古いレシピ本に幾つかウナギ料理があります。普段はトマト煮にしてしまうことが多かった我が家ですが、今年は「anguilla alla fiorentina(ウナギのフィレンツェ風)」を作ってみました。まず、ウナギはぶつ切り。ウナギといえば蒲焼、の日本人にとってウナギのぶつ切りは衝撃的ですが、簡単で気軽。オリーブオイルと塩コショウで2時間ほどマリネをした後、セージとニンニクと一緒にフライパンで焼き色をつます。パン粉をまぶしたウナギをオーブン皿に移し、再びパン粉、そしてオーブン。しばらくしてワインをかけ、再びオーブンへ。アルコールが飛び、水分がなくなったら出来上がりです。魚だから白ワインをかけるのだろうと思っていると、トスカーナらしく土地の「赤」ワイン。もちろん白ワインでも美味しいですが、脂とゼラチン質がのったイタリアのウナギには、赤ワインがとてもよく合います。(古澤千恵)
写真は「うなぎのフィレンツェ風赤ワインロースト」。

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2009年12月25日 (金)

【ゲスト/フランス】我が家のブイヤベース風鍋!

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●金井麻紀子:輸入ワインコーディネーター
1993年渡仏。ワインに魅せられ醸造責任者の資格を取得。現在も、フランスと日本を行き来しながら、全国でセミナーや試飲会を開催、フランスでは若手生産者の鑑評会の審査員など、良質ワインを広めるため活躍中です。著書に『すばらしきヴィニュロンたち』(モデラート刊)など。
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Pinotnoir我が家は、鍋でもワインを楽しみます。味のしっかりしたピュアなワインなら大抵の鍋に良く合いますが、今回は普通の海鮮鍋が、ワインとの相性抜群(赤ワインにも!)の鍋に変身するレシピを紹介します。
魚介と楽しむ赤ワインなら、北の地方で造られるピノ・ノワール。特にアルザスのピノ・ノワールは火打石系のミネラル感が強く魚介の味に上手くマッチし、特に古樽内熟成されたこの2003年は、滑らかなタンニンの熟成感が不思議と魚介の繊細な味わいを壊しません。

Nabeまずは、昆布出汁仕立ての鍋(具材は白菜、ネギ、海老、イカ、渡り蟹、ハマグリ、鱈など。カサゴやホウボウなどもよく合います)を普通にポン酢で楽しみます。食べ進み、スタンダードな味に飽きてきたら……、新たなマリアージュに向けて作業開始! 白菜、葱、豆腐などの和&野菜系具材を取り出して、ニンニクひと片、サフラン、ムール貝を投入。野菜も赤&黄ピーマンや細切りセロリなど洋モノに替えて、一緒にグツグツと煮込みます。
和風から洋風へ好きなタイミングで変えられるので、かなり楽しめます!

サフランのいい香りが出てきたら、ロゼワインを抜栓! プロヴァンス地方のカシー・ロゼは白ワインよりもドライな口当たりで、シャープな味わいは、香りの強いサフランやニンニクにも負けず、パンに塗ったアイオリともぴったりの相性です。サフランの味がしみ込んだ頃、白身の魚や貝をつまみに、飲む! 飲む!

そして、この鍋のお楽しみは、なんといっても残りのスープで炊くリゾット。オリーブ・オイルを加え、生米からじっくりと時間をかけて作るリゾットは火加減が命、沸騰したら中火で10分、ふたを開けて一度かき混ぜ、弱火で5~10分調理します(硬さはアルデンテからおじやタイプまでお好みで)。温かな湯気と魚介エキスたっぷりのおいしい香りに包まれて、待ち時間には、会話もグラスもすすみます。(金井麻紀子)
Languedoc_2

ヴェルモンティーノ種のほど良い味の主張がかにや海老の出汁に寄り添います! 2007年のラングドック(画像右側のボトル)は若いピュリニー・モンラッシェを生産者の蔵で樽から飲む時のような綺麗な酸が、口に広がる鍋の旨みを洗い流してくれました。

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2009年12月21日 (月)

【ゲスト/トスカーナ】イタリアの冬の鍋「ボッリート」

Bollito冬のトスカーナで楽しむ鍋料理といえば「ボッリート(bollito)」。その場で素材に火を入れて食す鍋料理ではなく、様々な部位や種類の塊肉と、甘みの強い冬野菜を、大きな鍋で柔らかくなるまでじっくり煮込む、おでんのような茹で肉の鍋。お肉のおいしいイタリアならではの冬料理です。
⇒じっくり煮込んだボッリート

ボッリートを食べようと決まったなら、まずは、お肉屋さんへ向かいます。肉職人に「ボッリート用のお肉をください」と告げて、あとは待つだけ。その日ショーケースに並ぶ、赤く輝く大きな塊の中から、様々な部位を絶妙なバランスでボッリート用に見立ててくれます。厚い木のまな板の上で、肉包丁で叩くように、勢いよく、そしてリズミカルに塊肉を捌いていきます。牛の肩、バラ、前スネ、尻尾やタン、そして大きな骨の半割まで。そして忘れてならないのは、ガッリーナと呼ばれる雌鶏。おいしいブロードを取るにはガッリーナ(雌鳥)、オーブンでローストするにはポッロ(鶏)。イタリア人なら誰もが知っている、鶏肉のおいしい使い分けの法則です。

野菜は、玉葱、人参、セロリの香味野菜の他、我が家ではポロ葱、芽キャベツなども加えます。さらりと炊いて鮮やかな色と歯ざわりを残すというよりは、スープの旨みを滲みこませ、野菜の甘みを存分に引き出す田舎仕立てが我が家風。挽き立ての黒胡椒や、イタリアンパセリで作ったサルサヴェルデ(グリーンソース)、乾燥したトスカーナパンで作ったピクルス風ソースをお好みで添えて楽しみします。

Risoniそして、鍋料理の最後の楽しみはここから。雑炊的締めのおいしさを楽しむ、お米パスタが登場します。隣村、キャンティの小さな村で作られるお米の形をした小さなパスタを、旨みのぎゅっと詰まったスープで炊き、そしてパルミジャーノとオリーブオイルをたっぷりかけていただきます。

スープ、お肉、パスタと一度で三度もおいしいこのボッリートには、ややライトな赤ワインでも間違いないのですが、よく冷えた熟成タイプのスパークリングワインと、バラ肉の旨みやコラーゲンが染み出た肉鍋の相性は、至福の相性です。(古澤千恵)

お米の形をしたパスタ、リゾーニ。つるりとした食感で美味しい。

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2009年10月19日 (月)

【ゲスト/トスカーナ】ワイン名醸地のブドウの楽しみ方

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●古澤千恵:アンティークコーディネーター
2000年、イタリア料理人でソムリエの夫と共に渡伊。骨董市を廻り、古物の展示即売会やアンティークショップへの卸しを経て、2008年「OVUNQUE」をオープン。料理、ワイン、古物をトータルで楽しむライフスタイルを提案している。撮影用レンタルおよびコーディネートも手掛ける。

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Vendemmia_2トスカーナは、今まさにおいしさが深まる秋。イタリア各地のワイナリーでは、ブドウの収穫が佳境を迎えています。今回は、今が旬のワイン用ブドウの、トスカーナならではのおいしい食べ方をご紹介したいと思います。
→収穫の佳境を迎えたブドウ畑。


Schiacciata_2まずひとつ目は、お菓子。この時期のトスカーナ伝統のお菓子といえば、やはり「schiacciata con l'uva(スキアッチャータ・コン・ルーヴァ)」、ブドウケーキです。

ケーキとは言っても、使うのはパン生地で、フォカッチャ用の生地にブドウをサンドして、オリーブオイル、グラニュー糖をまぶしてしっかり焼き上げます。ブドウの果汁が滲み出てしっとりとした、とてもシンプルで素朴なケーキ。このケーキはワイン用の黒ブドウを、皮ごと丸のままたっぷりと使い、もちろん種もそのままです。ですから、ボリボリっとした食感なのですが、この種無くして、このケーキには成り得ません。バターではなくオリーブオイルを使うのもトスカーナならではだと思います。

Mosto_2そしてふたつ目は、ワイナリーの保存食「モスト・コット」です。モスト=ブドウ果汁、コット=煮る、という言葉通り、ブドウ果汁をとにかく煮詰めただけという、とてもシンプルなもの。ブドウ果汁を煮詰める、と聞くと、樽で寝かすバルサミコ酢を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、これはとにかく煮詰め続けて、甘い蜜状にしたものです。ほどよい酸味と心地良い甘さがあり、ブドウならではの香りが口いっぱいに広がります。

このモスト・コットはヨーグルトやパン、チーズにはもちろんのこと、ドレッシング、煮物や炒め物などの隠し味としても使えます。まさに自然が生んだ天然調味料。少しのブドウからでも作れますので、もしよろしければお試しになってみてください。(古澤千恵)

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2008年11月10日 (月)

【ゲスト/シチリア】最新鋭のマシーンで作るトラーパニのオリーブオイル Torre di Mezzo D.O.P

Albert_2トラーパニから10kmほどの小さな町、Marausa(マラウサ)。そこには、イタリアでも希少な最新鋭の機器を備えたフラントイオ(オリーブ製油所)、Torre di Mezzo社があります。このフラントイオのオーナーでオリーブオイルの生産者であるアルベルトと知り合ったのは3年前。アルベルトの第一印象は「オリーブオイルについて熱く語る男」でした。

Kojyo今年もオリーブ収穫期(10月中旬~11月中旬)に、アルベルトのフラントイオを見学してきました。まず目に飛び込んで来たのは農園から運ばれてきたばかりの大量のオリーブ。「摘んだらすぐにオイルにするのが、おいしいオリーブオイルを作る第一歩なんだよ」と、アルベルト。工場に入ってみると・・・。そこにはトラーパニの片田舎とは思えない最新機器の数々が!
完全にコンピューター制御された工場です。

OlivebatakeTorre di Mezzo社のオリーブオイルの製造工程は、収穫→実と葉の選別→洗浄→粉砕→攪拌→遠心分離機でオイルを抽出→タンク貯蔵です。昔は石臼で行なわれていた粉砕作業ですが、Torre di Mezzo社ではオリーブの種類の特性により、刃(ディスク)、又はハンマーを使います。そして、風味を損なわないよう低温で、酸化しないよう真空で、コンピューター制御のもと攪拌作業を行い、その後、遠心分離機にかけて水分とオイルに分離します。最終的に、タンクで45日間寝かし、自然濾過した上澄みだけを瓶詰めして出荷しています。
最新鋭の技術を用いて作ったオリーブオイルのお味は・・・、フルーティでとてもデリケート。一口食べておいしい!というより、余韻を楽しめるおいしさのオリーブオイルです。魚介類やサラダにとっても良く合います。

Torre_di_mezzoオリーブオイルは、ベリッシモのホームページから購入が可能です。是非シチリアの味を試してみてください!(佐藤礼子)

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2008年9月12日 (金)

【ゲスト/シチリア】イギリス人が作ったシチリアの伝統、マルサラワイン

Vinomarsala 「マルサラワイン」、皆さん耳にされたことはありますか? 「あ~、料理酒ね。お菓子にも使うわね」という声が聞こえてきそうですが、いやいや、マルサラワインはここトラーパニ地方では、れっきとした「飲むためのワイン」なのです。
 このマルサラワイン、実は偶然の賜物として作られました。1700年代後半、イギリス商人ジョン・ウッドハウスはシチリア西岸部を航海中、アフリカ大陸からの風、シロッコの影響を受けた悪天候に見舞われ、急遽マルサラという付近の港町に避難することに。上陸したその土地のレストランで偶然飲んだ地ワインが、当時イギリスで流行していたポートワインやマディラワインに似ていたため、ウッドハウスはイギリスで売れるのでは? と考えました。しかし、当時の航海は数カ月と長期に渡り、そのまま持って帰ってはワインが腐ってしまう……。それではアルコールを添加してはどうだろうか? そう、ワインにアルコールを添加したもの、これがマルサラワインの原型なのです(日本ではアルコールを添加することを「酒精強化」と呼びます)。

写真上は、甘口の「タルガ・スペリオーレ・リゼルヴァ」(左)と辛口の「トッレアルサ・ヴェルジネ」。並べてみると、甘口の方が色が濃いのは、モスト・コットが入っているから。/ブドウの木は、地面近くに実が成るように剪定されます(写真下)

Uva_2 マルサラワインの基本原料は、①ベースワイン、②ワインから蒸留した添加用アルコール、③ブドウジュースを1/3になるまで煮詰めたモスト・コット(甘味および色と風味の添加)、④ブドウジュースに蒸留したアルコールを加えたミステッラ(甘みの調整)です。これらをブレンドし樽で熟成させるのですが、色、甘さ、熟成年数の3つの観点から様々なタイプに分類されます。また、マルサラ酒はD.O.C.(原産地統制呼称)として、原産ブドウの種類や栽培エリア、醸造方法など全て伝統的な手法を用いるよう定められています。
 辛口タイプの「ヴェルジネ」は、マグロの燻製など魚介類のアンティパストと一緒に食前酒として、甘口タイプの「スペリオーレ」はカンノーリやカッサータなど、強烈な甘さのシチリア菓子と共に食後に楽しむ……。これがシチリアでの粋な楽しみ方です。

Cantina  マルサラワインの老舗、「カンティーネ・フローリオ」の酒蔵(写真左)に一歩入ると、ズラリと並ぶ木の樽が目に飛び込みます。カンティーナの内部に漂う甘~いマルサラワインの香りは、それだけで夢を見させてくれそう。(佐藤礼子)



■私の主宰するラ ターボラ シチリアーナでは、マルサラワインの通訳付き見学ツアーも行なっています。ご興味のある方はホームページ(
http://www.tavola-siciliana.com)をご覧下さい。

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2008年7月14日 (月)

【ゲスト/シチリア】 古代フェニキア人から伝わるトラーパニの手作りの塩

1 トラーパニからマルサラに向けて走る海沿いの道に、7月~8月にかけて塩の白い小山を見ることができます。そう、ここ一帯は大塩田地帯。ここでは、古代から伝わる製法で、今もなお“手作りの塩”が作られています。
塩の歴史は古く、古代地中海の民、フェニキア人から伝わると言われます。紀元前の話です。ここ一帯は、“風”、“気温”、“湿度”という塩作りには欠かせない3大要素が揃い、その上、地中海はマグネシウムやヨードなどの天然成分が豊富に含まれる、この事実に目を付けたフェニキア人は、理想の地での塩作りを始めました。

塩作りが始められるのは3月20日前後。海にもっとも近く海面と同じ高さの一番目の塩田に、海水を地中海の風を利用した風車を回して引き込みます(現在は電動のポンプを使用)。一番目の塩田で蒸発して塩分を増した海水は、「Acqua Madre(アックア マードレ=母なる水)」呼ばれ、5月中旬頃、2番目の塩田に引き込まれます。ここでさらに水分を蒸発させて塩分が高まった海水は、6月下旬頃、収穫用の3番目の塩田に移されます。そして、7月、最終的に結晶化した塩が6~10センチ程度になったら収穫がはじまります。塩水を移動させるのは、次々と海水を引き込んで沢山の塩を作るため。
Salinaio(サリナイオ)と呼ばれる塩職人の手によって塩は収穫され、まず小山が作り上げられ、さらに、機械を使って大きな山となります。塩の収穫は9月下旬まで続き、その後、雨・風・埃を防ぐためのテラコッタをかぶせられ(10月から)、一冬を越し、えぐみやアクが取り除かれます。

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写真左から/塩の収獲風景:炎天下で真っ黒に日焼けした男たちが塩を収獲する。 瓦を載せている最中:一つ一つ手で瓦を載せていく。塩の山が瓦で覆われると、冬がやってくる。塩の結晶:まるでクリスタルのように白く輝く塩の結晶。

こうして手間と時間をかけて作られた塩は、どことなく甘く最高の調味料となるのです。
塩田は残念ながら車がないといけない場所にありますが、私の主催するラ ターボラ シチリアーナでは、塩田の見学ツアーも行なっています(http://www.tavola-siciliana.com/koujou/index.html)。塩田ののどかな風景を見ながら、古代のロマンに浸ってみるのも面白いかも。(佐藤礼子)

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2008年6月30日 (月)

【ゲスト/シチリア】 地中海の古代マグロ漁 “マッタンツァ”

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●佐藤礼子:シチリア料理・菓子研究家
「食」の仕事歴15年。現在、食の宝庫シチリアにて、食文化を研究中。同時に、シチリア最西端の街、トラーパニでシチリア料理教室「ラ ターボラ シチリアーナ」を主宰。シチリアの食に携わる各種コーディネートも手掛ける。

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1私が住むイタリア・シチリア島の最西端の街、トラーパニでは今の季節、魚市場で日本ではまず見ることが出来ない「生マグロ」を眼にする事ができます。
ここトラーパニは「マグロ漁」で知られた街。かつては、トンナーラと呼ばれるマグロの加工場が近くの街を合わせ4つあり、カラスミ、オイル漬けなどのマグロ加工品が盛んに作られていました。
トラーパニの魚市場で売られるマグロ。大きなナタのような包丁でマグロをさばきます。

4 トラーパニでのマグロ漁“マッタンツァ”は古代から伝わると言われています。4隻の船で四角く陣取りマグロを追い込んでいき、仕掛けておいた網を引っ張り上げます。マグロが海面に浮いてきたところを銛で刺すのですが、船で囲まれた海(“死の部屋”と呼ばれます)はマグロの血で真っ赤に染まるそうです。2かつては、マグロ漁の為に命を落とす人もいたほど過酷な漁だったと言われてい ます。マグロの習性を功名に利用して追い込んでいくマッタンツァ漁が、古代から行なわれていたとは驚きでもあります。かつては1万匹以上も収獲していたと言われるマッタンツァ方式ですが、現在はマグロの数が減ったことと、漁業権などが絡み、1年に1~2回し か見ることが出来なくなってしまいました。3
写真上:近年のマッタンツァ漁の風景。大きなマグロを船にあげるのに男が3人がかり。壮絶な漁であることが想像できます。写真中:かつてマッタンツァ漁に実際に使われていた船。写真下:マグロを海面に引き上げるための網。とても太い縄が細かく編まれ、重量級のマグロが暴れても破けないくらい頑丈に出来ています。


地中海海域でとれるのは「黒マグロ」。5月中旬~7月上旬にかけてトラーパニ付近に回遊してきます。魚市場では、マグロは赤身・トロと部位ごとに分けて置かれ、好きな分だけ購入可能。(20ユーロ(約3300円)/キロ)内臓部分は余すところなく加工されて保存食となります。
私がトラーパニで主宰するシチリア料理教室でも、この時期は生マグロを使った料理のレッスンが可能です。(http://www.tavola-siciliana.com/

これからも、シチリアの食を皆さんにお届け致します。どうぞ宜しくお願い致します!(佐藤礼子)

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