2010年4月21日 (水)

【ゲスト/長野】北アルプス麓の三蔵

Sankuranosake_4 天然水に恵まれて各地に日本酒の酒蔵が点在する長野県。北アルプスの麓・大町市には、酒米(美山錦)産地が近いという立地と北アルプスからの清水を生かした酒造りをしている三蔵があります。また、三蔵が協力し日本酒を楽しんでいただけるような取り組みもなされています。

三蔵は、訪問した順に「白馬錦」の薄井商店、「金蘭黒部」の市野屋商店、「北安大国」の北安醸造。古くから地元の人々に愛飲されてきた蔵元です。訪問した3月下旬には、すでに仕込みは終わり、お酒はタンクに貯蔵されていました。醸造は、酒米が収穫される10月頃から始まり翌年の2月頃までの冬季の作業となります。昔から酒造りは、農閑期の農家の出稼ぎ仕事だったようです。この地域では、小谷(おたり)杜氏による酒造りが伝統的に続いていましたが、最近は地元農家の高齢化などにより、他地域から修行に来て、小谷杜氏の伝統を受け継ぎながらも現代にあった独自の酒造りに取り組む若手の杜氏が活躍しています。

■創業103年を迎える薄井商店は、数年前から地元農家と契約し酒米を栽培しています。北安曇野産美山錦を使用し、繊細でありながらしっかりした味の、飽きのこない「美しい酒」をテーマに酒造りに取り組んでいます。

■市野屋商店の村山杜氏は千葉県市川市出身、Iターンで大町に来て自身も稲作や花の栽培に取り組み、酒米栽培では「合鴨農法」で有機JASの認定を取得しています。自身が栽培したこだわりの酒米を使用した「愛醸純醸(あいかもじゅんじょう)」は杜氏の思いがこもった逸品でしょう。大町市には通称「男水」「女水」と呼ばれている水源があり、それぞれの水を使用した商品もあります。

■北安醸造の「北安大国」は、元々は「大黒正宗」という銘柄。善光寺に通じる街道と、塩の道と呼ばれる生活道の糸魚川街道との分岐点にある大黒石造にちなんだ命名でした。北安醸造は6名で会社を設立し、その家族が代々跡を継いでいます。現在の伊藤社長は30代。杜氏も40代と若いメンバーで「小さい蔵だからできること~生産者の顔が見える」地元を大切にした酒造りに取り組んでいます。

他の地域では珍しいかもしれませんが、三蔵が協力し「三蔵の飲み比べのお酒セット」(※地元の酒問屋と協力して冬季限定)の販売を試み、好評を博しています。また、毎年9月には、隣接した三蔵をそぞろ歩きしながらの飲み比べのイベント「北アルプス三蔵呑み歩き」も開催されます。毎年嗜好を凝らした内容になっており、お酒に合う地域色を生かしたおつまみも用意されています。今年の秋はどんなお酒がたのしめるのか待ち遠しくなってきました。(三水亜矢)

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(写真左から)
「薄井商店」  醸造手順を丁寧に教えてくださった専務取締役の薄井様
「市野屋商店」  地道に酒造りに取り組む杜氏の村山様と常務取締役の福島様
「北安醸造」  精米歩合80%の酒造りにも挑戦している代表取締役の伊藤様

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2010年1月25日 (月)

【ゲスト/長野】正月は異文化交流しています

Mochi 新年を向かえ心新たに今年も始まりました。ふと気がつくと1月も大半が過ぎ、正月気分は既になく日々の生活に追われています。過日正月の名残の行事「鏡開き」をしました。家の各所に飾った重ね餅をぜんざいなどにして頂きながら、正月に普段遠方にいる家族との一時を思い出したりしました。
角餅・丸餅両方で正月を祝います

毎年正月を迎える度に、雑煮に用いる「御餅」が、西日本は「丸」東日本は「角」なのか考えてしまいます。この「丸」「角」の分かれ目が岐阜県の関ヶ原辺りで、その街道沿いは隣合わせた家どうしでも餅の形が違うと以前読んだ本に書いてありました。長野の我が家では「角餅」が定番ですが、毎年山口の実家から暮れについた「丸餅」を送ってくれますので、お正月には両方を頂き、食文化が交流しています。また、新年の朝は「太く長く」ということで「うどん」を頂きます。以前は、新年早朝から自宅でうどんを打ったそうですが、最近は市販のうどんを購入しています。雑煮は、お昼以降に鶏肉か魚と大根や人参などの自宅で採れた野菜を入れたすまし汁で頂きます。

Zouni 正月の祝い方には地域や家のしきたりが色濃く今でも残っていますが、最近はおせちも自宅で作らずセットになった物を購入したり、祝い方も簡略化し、用意する主婦の立場からすれば随分楽になりましたが、新年は普段とは違った「かしこまった凛とした」緊張感に心も改まるようにも感じます。

今年も「丸餅」「角餅」についての結論は得ることが出来ないままですが、人間が自由に移動できる時代、異文化が交流しいつの間にか新しい習慣が風習となっていることも多いのではないでしょうか?(三水亜矢)

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2009年12月18日 (金)

【ゲスト/長野】冬野菜たっぷり、温か鍋に心も体も温まる

Kimuchinabe_3今年の冬は例年より暖冬かと予測されていましたが、12月になるとさすがに寒くなり鍋の恋しい季節となりました。我が家で、この時期楽しみにしている鍋は「キムチ鍋」。毎年自宅の畑で収穫した白菜・大根・人参を使用しキムチを作ります。その他アミの塩辛やイカの塩辛(塩辛に最適なヤリイカを見つけると自宅で塩辛も作ります)・りんご・なし・粉トウガラシ・ニンニクなどたくさんの具材を使用し漬け込み、1週間位で乳酸発酵が進み味がなじんで旨みが出てきたら食べ頃になります。
栄養バランス抜群のキムチ鍋。アサリからもよいダシがでます。
 
この自家製白菜キムチを使用する我が家のキムチ鍋。豚肉・豆腐・きのこ類や野菜(特に野菜は沢山用意し普段の野菜不足を補います)など、鍋の具材をある程度いただいた後に、韓国の餅「トック」を入れて最後まで楽しみます。日本の餅は「もち米」が原料ですが、トックは「うるち米」が主原料で、煮込んでもあまり煮崩れしないのが特徴です。

Kimuchizairyou_2カレーライスが家々で具材や味付けが異なるのと同様に、鍋料理も地域・家庭により様々な具材と味付けがあります。また、タンパク源の肉や魚、野菜を沢山食べられますので、健康にもよく体も温まります、特にキムチ鍋は唐辛子が沢山入っておりカプサイシンが豊富。血行が良くなり、食べている最中から体がポカポカとしてきます。

家族や友人と一緒に鍋を囲む一時は、何よりの楽しみです。最近は、家族の生活時間帯が異なるため全員で食事をとらなかったり、好みが異なる為、別々のおかずを食べたりと個食化が進んでいるようですが、鍋を囲んでの一家団欒は心も芯から温まります。寒い季節の間、鍋をメイン料理にすれば用意も楽、種類も豊富、そして家族の会話も弾み、一石二鳥いやそれ以上効果があるのではないでしょうか。(三水亜矢)
自宅の畑で収穫した野菜がおいしいキムチになります。

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2009年7月13日 (月)

【ゲスト/長野】善光寺門前の宿坊で精進料理をいただく

2_2 長野市の観光名所として有名な「善光寺」。その御本尊の分身「前立本尊」が公開される「御開帳」が、今年4月5日から5月31日まで開催されました。数えで7年に1度行われる行事ですが、今年は例年にない参拝者の多さで、期間中市内も観光客で賑わっていました。

善光寺の門前には、全国からの参拝者を迎えてきた宿坊・宿院があります。利用する方は、精進料理をいただき宿泊し、翌朝の朝事に参加することが多い様子。団体などの予約が無ければ、日中詣りの際にもお昼や夜に精進料理をいただくことが出来ます。
 
今回は、宿坊のなかの「徳行坊(とくぎょうぼう)」さんへ訪問し、精進料理をいただきました。打ち水がされた門をくぐり、中に入ると趣きある佇まいの玄関から座敷に案内されました。お食事は1人ずつお膳が用意され、既にお膳に盛り付けられた料理と追加される料理とがありました。

1今回の献立は、右の写真奥左より時計回りに、
・季節の天ぷら~根曲がりだけ
・甘酢しょうが
・長いも柳皮(りゅうひ)こぶ巻き
・法飯(ほうはん)の具~三つ葉
・榧(かや)の実
・くるみ ・ごま ・たくあん
・晒しこんにゃくの薄作り、おごのり
・ごま豆腐汁仕立て
・生湯葉の梅びしお
・黒皮たけの酢味噌和え はり生姜添え
・箸あらい~揚げた生麩が入ったお吸い物
・食前酒(梅・カシス・木いちごなど季節により異なる)
・蓮の生麩しんじょう
以上の他、湯葉包み、さつまいもと季節の果物のきんとん、ご飯、汁物、水菓子でした。

3野菜中心の料理ですが充実した内容で、充分満足できました。出汁は、野菜ときのこの旨み成分を生かした本当に上品な味わいです。献立の中の「法飯」は、行事食の最後にいただくもので、ご飯に出汁を注ぎ、刻まれたクルミなどの具材をのせいただきます。具材を器に盛る時と食べ終える時にたくあんで器をきれいにし、野菜も含め素材全て命あるものをいただいたことへの感謝と、料理を出していただいた主人への感謝を込めるそうです。ここでの精進料理は、単に「肉や魚を使わない」と言うだけではなく「物を粗末にしない」思いを第一に考えられているそうです。↑出汁をかけ、ごま・くるみなどをご飯に盛った法飯

最後に、お膳に用意下さった箸袋に書かれていた「食作法(じき作法)」を紹介します。

食前「この食(じき)の来るところを思ひ おのが業(わざ)の多きと少きとを量(はか)り 仏道を成(じょう)ぜんがために 今この食をうけむ」
食後「衆生(しゅじょう)馳走(ちそう)のたまものを 今すでに受く 願はくは この動力(どうりき)を徒らに消すことなからむ」(三水亜矢)

●徳行坊 
TEL:026-232-0264
宿泊の場合は、2名より お食事の場合は、5~6名からいただけるそうです。

   

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2009年2月18日 (水)

【ゲスト/長野】安曇野の清流を生かした新酒作り

Image3寒さが厳しくなると、その年に収穫した「酒米」を使用した「新酒造り」が始まります。長野県は 、豊富な水量と水質の良さを生かした日本酒の造り酒屋が多い地域です。訪問した北アルプスの麓にある創業250年の福源酒造では、年間を通した酒造りではなく、冬季限定で醸造をしています。蔵人は、春・夏・秋は白馬の奥の小谷(おたり)村で農業を営み、冬には酒造りと、年間を通して「食」に携わる仕事をされているそうです。
笑顔の素敵な杜氏の小林さん。

Image1 今回、私が大変興味を持った作業は「板粕作り」です。板粕は、十分発酵した醪(もろみ)を搾る際にできる副産物です。蛇腹状の機械で醪を搾り一昼夜置いた後、間に残った板状の粕を手で1枚ずつ取る作業に感動しました。この粕は、季節限定で3月下旬まで販売されるとのこと。私は早速、正月の祝い魚の鮭アラを使い「粕汁」を作りました。酒米の粒々が残る優しい味で、寒さ厳しい季節に、体中がぽかぽかと温かくなりました。板粕は、常温で保存しておくと自然に発酵し、夏頃には「粕漬け用」の粘り気のある粕になるそうです。
蛇腹の絞機を一枚づつ移動させながら板粕を手作業で取っていく。

福源酒造のお酒は、アイガモ農法で育てたお米で醸造され雑味の無い味わいです。中でも特にお勧めしたいのが「蔵出し無濾過(むろか)原酒」のシリーズ。淡麗辛口が全盛の頃から「本当の日本酒の旨さ」を追求したというこのシリーズは、濃厚且つ深みのある味わいで、日本料理のみならずスパイスが効いた料理との相性もよさそうです。

Image2醸造作業中の蔵には、日本酒の何ともいえぬ良い香りが漂っています。香りをお届け出来ないのが残念です。(三水亜矢)

●福源酒造
http://www.sake-fukugen.com/
無濾過原酒を始めとする、お勧めの商品各種。

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2009年1月16日 (金)

【ゲスト/長野】長野県の「お年取り」

お正月は、旧年に感謝し新たな年を迎え、心を新たにできる節目の行事。と、一言で表現できても、実際に行われる風習は各地・各家で違いますね。

私はここ数年、年末を長野、年始を実家のある山口で過ごしています。年末を長野で過ごすようになって、一番驚いたのは大晦日を「お年取り」と呼び、家族皆でご馳走を食べることです。山口では、大晦日にはおせち料理を準備し、簡単なおかずと年越し蕎麦を頂く程度でした(調べてみると、他県にも「お年取り」の風習があるようです)。

長野県下でも地域により「お年取り」の祝い方は異なります。それは特に「年取り魚」に顕著で、「サケ」か「ブリ」に分かれます。大別すると、富山から「ブリ街道」を経由して入ってきた地域は「ブリ圏」、新潟から信濃川経由で入ってきた地域は「サケ圏」です。地名で説明すれば、松本市以南は「ブリ圏」、長野市を中心とした地域は「サケ圏」となります(ただし、境界の地域では、同じ村内でも各家により異なるとのこと)。ちなみに、我が家の年取り魚はサケです。焼き物にしていただきますが、流通が発達する以前、各家庭では塩漬けの「塩サケ」(または「塩ブリ」)を用い、塩を抜くために煮物にするのが一般的だったそうです。時代の変化・人の交流などにより「昔ながら」は「今風」に変化しています。

Osonae_2ところで、今年の我が家の正月準備は、去年の晩夏から始まりました。神棚にお供えする器を新調しようと、知人の曲げ物職人に「そろいの器」を依頼したのです。これを使用して、大晦日から三が日、そして七草粥の日には、家族が食べるものと同じ肴を盛り付けてお供えしました。器が新調され、神様も少しは喜んでくれたでしょうか?(三水亜矢)

新しい器で神様への感謝の気持ちも新たに。

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2008年12月 8日 (月)

【ゲスト/長野】原料栽培から製造まで!自社でまかなう老舗ポン酢屋さん

Syuukaku 11月下旬に、実家のある山口県で訪問したポン酢屋を紹介します。名前は、岸田商会。かつては、夏みかんや甘夏の栽培が盛んだった萩市で、製造・販売をされています。

地元では夏みかんを「だいだい」と呼びます。萩のだいだい栽培は江戸時代に始まりました。最近では嗜好の変化や生産者の高齢化などにより、以前のような活気は薄れましたが、今日でも人々の生活に、だいだいは欠かすことができません。「ゆず」「かぼす」「すだち」など、地域ごとに栽培されている柑橘が、その土地の生活に根ざしているのと同様です。果汁・皮と余すところ無く使用するのですが、お薦めは魚介類と合わせること。日本海に面し、海の幸に恵まれる山口県では、刺身・焼き魚などにも完熟前の「酢だいだい」の果汁を使用します。さっぱりいただけ、とても美味しいのです。

岸田商会では、萩のだいだいを使用した「ポン酢」を大正12年より製造しています。かつては栽培農家からだいだいを仕入れていましたが、現在は自社で野放しの畑を借り、原料の栽培から加工までを一環して行っています。「だいだい」市況の下落による需要減少や、農家の高齢化により、原料の確保が難しくなったためです。

Giftset岸田商会のだいだい栽培は、安心・安全を大切にするため、有機肥料を使用し無農薬にこだわっています。栽培作業は大変ですが、自社栽培により、生産性を高めると同時に、品質管理が出来るメリットも生まれたとのこと。お話を伺った大中専務は、「今はまだ、自社栽培のだいだいが製造原料に占める割合は多くないが、今後は徐々に増やすとともに、有機果汁を使用した商品開発にも力を入れたい。また、「萩の白壁」と「だいだい」の美しい景観イメージも大切にし、自然に配慮した農業で地域貢献したい」と抱負を述べられています。(三水亜矢)

●株式会社 岸田商会
http://www.ponzuya.co.jp/

写真上:「だいだい」の畑での作業風景。畑が不便な場所にある場合も多く、機械を使っての作業が難しく手作業に頼っています。
写真下:鍋物にぴったりな「ポン酢」、「味付けポン酢」、「ゆずこしょう」のギフトセット。

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2008年9月22日 (月)

【ゲスト/長野】農業を通して自己を見つめる

Shiozawasan長野駅から車で急な坂道を登ること約30分の飯綱高原に、今回紹介する農業生産法人「株式会社 水輪ナチュラルファーム」があります。ここは単に農産物を生産し販売する農業生産法人とは異なる活動を行っています。母体は「財団法人 いのちの森文化財団」。普段は自己を高め、広め、深めるための講座開催や、青少年の育成を主たる活動内容とする団体です。運営者の塩沢研一さん、みどりさん夫妻には早穂理さんという、出生時の頭蓋内出血の影響で重度の障害をもつお嬢さんがいらっしゃいます。東京で生活していたご夫妻は「衣食住の見直し」と「早穂理さんと一緒に毎日をしっかりと生きる」、これらを実現するために、ふるさと近くの飯綱に移り住むことを決意しました。
写真上:ナチュラルファームを運営されている心温かい塩沢ご夫妻

ご夫妻は「自分の生活を見つめ、安全なものを食べたい」との思いから、自然農法を実践されている方に学び、数年前に現在の農地を取得し本格的に就農。現在、10名弱のスタッフと研修生が在籍し、スタッフの指導のもと、研修生が主として農業に従事しています。訪問時は、ちょうど野沢菜の播種作業中でした。水輪ナチュラルファームの栽培の特徴は「不耕起農法」、「無農薬栽培」です。耕作を最小限にすることで地力を落とさないようにし、肥料使用量を抑えます。この野沢菜は、11月下旬に仕込む野沢菜漬けの原料となります。

研修生の多くは、色々な悩みを持つ若者です。彼らはここでの作業を通して「命の大切さ」や「人間が生きている意味」を知り、「トータルな人間力」を学んでいます。栽培された野菜類は、食事の材料となり宿泊などのお客様にも供されます。私が当日いただいたメニューは、どれも華やかな料理ではなく素朴でしたが、その野菜の味わいの優しいこと。現在では農産物のオーナーを一般に募集し、愛情たっぷりの野菜をお手元に届けるシステムもあります。(三水亜矢)

農業生産法人 株式会社水輪ナチュラルファーム
長野市飯綱高原2471-2198

http://www.suirin.com/farm/fr-farm.html

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写真左から:ファームで作業中の研修生/農園から財団の建物を眺める/採れたての野菜を使った料理(ズッキーニ、トマト、バジルなどを使用)
   

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2008年7月30日 (水)

【ゲスト/長野】 本物を追い求めて

548080728「食の安心・安全」が叫ばれる中、私は最近、「おいしく安全」だけでなく多くの人が忘れてしまった「昔懐かしい本物の味」に興味を持ち始めました。

それはこんな出会いから始まりました。「そば粉を自家挽きしていておいしい」と評判の大町市美麻(みあさ)の「三郷(みさと)そば店」に訪問した際、近くで栽培した菜の花から搾油した「なたね油」に出会ったことがきっかけです。初めて訪問した私にも「なたね油」のこだわり・安全性などを親切に説明頂きました。最近はカロリー控え目に加工された商品が多いので、本物に 出会えた感動はひとしおでした。最初は、山間地の標高800メートル程の地で栽培可能な「蕎麦」の産地化・新そばの季節の「そば祭り」の定着後、次の作物として「菜の花」を楽しんでもらうための活動から、「せっかくだったら搾油しよう」という展開になり、試行錯誤しながら現在の商品が出来上がったそうです。私が一番感動したことは、この製品が「脱臭剤」「漂白剤」などで処理していない「エキストラバージンオイル」であ080728_4ることです。色も自然そのまま。香りが高く炒め物に使うと特に香りが引き立ちます。他に「ひまわり油」「えごま油」も地元の原料で搾油して販売されています。

写真上:6月中旬頃、一面に菜の花を敷き詰めた美しい光景。7月初旬には刈取り、現在はそばの種をまき晩秋の収穫となります。/写真右:なたね油(中央)の他、えごま油(左)・ひまわり油(右)も近くの畑で栽培した原料を使用して搾油したものです。栽培にも手間が掛かっており、特に草取りの作業は大変です。



080728三郷そば店から一山超えたカラマツ林の中に、自家焙煎の珈琲店「美麻珈琲」があります。三人のお子さんの山村留学でこの地の自然に惹かれ、兵庫県三田の洋菓子店「サントアン」の塚口社長が一年以上の歳月で手作りした「地球にダメージの少ない建物「藁の家(ストローベイルハウス)」で営業し080728_2ています。生豆を低温貯蔵できる環境を生かし、良質な豆を「煎りたて」「挽きたて」「淹れたて」の三拍子揃ったフレッシュ感のある珈琲の味が特徴です。

「美麻珈琲」は、自然に馴染むようなデザインと自然素材を使用した温かみのある建物で、来る人を癒してくれる空間となっています。ストローベイルハウス作りの作業風景。藁をブロック状にしたものを「断熱材」として壁にはめ込み、その上から漆喰を手作業で塗っていきます。

カラマツ林の小道を通り抜け自然の中に佇む店の前の丘陵地には、初夏には「菜の花」秋には「そばの花」が一面に咲き自然と共存しながらおいしく安全な食べ物をいただける環境が身近にある事に感謝しています。信州にお出掛けの際はぜひお立ち寄りください。(三水亜矢)
 
「美麻珈琲」
長野県大町市美麻14902-1
TEL/FAX 0261-23-1102
http://www.miasacoffee.com/

「地粉、石うすびき、手打ちそば三郷」
長野県大町市美麻新行14891-1
TEL 0261-23-1334 

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2008年6月16日 (月)

【ゲスト/長野】 長野の山村で「食」に思うこと

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●三水亜矢:産直コーディネーター
「旬の安全でおいしい食材」を製菓専門店・レストランへ紹介する仕事を11年前から始め、法人化し(有限会社グランジャ)現在8期目。食を通し「環境問題」、食卓を囲む「家族問題」など見つめ直し、より良い社会作りに貢献できる活動を目指している。

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Photo 私が、農産物を扱う仕事を始め早や11年となりました。幼少の頃より山口県で両親が携わってきた農業への考えが、今の私の仕事に対する思いにも繋がっています。11年前には、今ほど地産地消・トレーサビリティーも盛んではありませんでした。現在は「食品の偽造」「中国食品の問題」など、食に関する話題が消費者の間で興味を持たれるようPhoto_2になり、「良かった」と思う反面、情報の氾濫で正確な内容が伝わっていないと感じることも増えてきました。

私自身も、長年都市部に住み「農作物を扱う仕事」をしながら「机上論」で考え、行動をしていました。現在は長野県の北部、山に囲まれた「小川村」で生活・仕事Photo_3をしています。昨年より仕事の合間を見て季節の野菜・稲を栽培、時期に採れた作物で日々を過しています。初めて自身で栽培し多くの事を学んでいます。「それぞれの作物が持ち得る能力を自然の中でしっかり発揮しておいしい物を私達に提供してくれる」ことを実感しました。

写真(上から)■在住している小川村から北アルプスの山々を眺める。村内の標高500m~1,000m、標高差で出来る作物も異なります。■山口県山口市の実家「グランジャ・ヤマネ農園」。春には、桜と同時に梨・桃などの花が咲き、忙しい季節の到来です。■6月から11月頃まで、ご希望のお客様に産地を見学して体感していただく活動をしています。

今、「地産地消」が叫ばれ「フードマイレージ」などにも関心が深まっています。地域には「気候」「地形」「歴史的背景」などによってもたらされた「食べ物」があります。例えば小川村では、山間地で平地・耕地面積が少ない為稲作には向かず、急斜面を利用した麦・豆・雑穀などの栽培が主体で、これらの素材を利用した料理が郷土食として昔から受け継がれてきました。今しきりに「食の安心安全」が叫ばれる中で「地産の物なら何でも売れる」と思い、店頭に並べる生産者も中にはいます。今だからこそ「きちんとした農産物」を生産者と共に皆様に紹介する必要性を感じています。

Photo_4今後とも、自給率が40%(カロリーベース)を切るわが国の農業をもっと見直し、地域資源を大切にしながら、生産者が丹精こめて栽培した作物を少しでも多く「愛情を感じながら使用いただける方に届けたい」と思っています。(三水亜矢)
塩尻の塩原農園で栽培している洋梨。赤いスタークリムソン、お馴染みのバートレット・ラ・フランス、特においしいグランドチャンピョン。

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