2011年5月31日 (火)

【宮城】自分は、百姓だ。

宮城県のアンバサダー二瓶です。任期最後の原稿は、「田植え通信」です。去る5月14日、田植えをしました! 宮城県中央部に位置する我が家は兼業農家で、減反を除いた2haに「ひとめぼれ」を作付けしています。

今年は震災の影響で、地割れや津波による塩害、放射能被害などにより、東日本ではざっと5,700haもの水田が作付け不可能となったそうですが、幸い私の住む辺りは、例年通り田植えをすることができました。下の写真は、田植えを待つ稲の苗です。

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「天地(自然)は、情けはないが、慈悲はある」

そう、聞きました。確かにこの度の震災は情け容赦ない仕打ちでした。しかし、慈悲にすがって土を耕し、4月17日に種蒔き。一ヶ月後の田植えまで苗箱で苗を育て、代掻き(しろかき:田んぼの表面を平らにする作業)をしました。水田は耕してみるとひどい高低差ができていて、妙に低い所があったり、水を張っても張ってもどこかから抜けていたり……。

それもそのはず、農道のいたる所でマンホールが飛び出した状態。つまり、液状化を起こして、地盤沈下や地割れが発生したのです。
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  ↑田植え前の苗。ビニールハウスの全貌です。

震災当時気を揉んだのは、種籾を水に漬けて管理している時期なのに、断水で一週間水の取り替えができなかったこと。一方、助かったのは、ビニールハウスの資材が既に届いていたことと、農業機械に使うガソリンの買い置きがあったことです。

田植え当日は朝から風が強かったものの、予定通り決行。後日手作業で苗を直し、除草剤散布を行って、シートや苗箱をきれいに洗って片付けたら、田植えの一切が終了します。

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  ↑田植えが終った水田。今年もおいしいお米が収穫できますように。

同じ時期、地震で崩れた建物の撤去作業が重なりましたが、姉達の手伝いもあり、無事に終わらせることができました。何やかやとごたごたはしましたが、今や合言葉のようになっていることがあります。それは、「自分のできることをやる」ということ。その精神で、頑張ることができるのです。

「自分は、百姓だなぁ」とつくづく思います。

とにかく、私は今年も米を作り、豆や野菜を育てます。
それは何より、自分が食べたい(!?)からなのでした!

さて、最後に。
たった一年でしたが、料理通信のアンバサダーになり、自分の感動や思いを文章にして人に伝える難しさを実感しました。感動が大きければ大きいほど伝えきれず歯痒い思いをしましたが、基本、宮城県民は自慢好きなので ^_^ 、終ってみれば、あれもこれも、まだまだ紹介したいことがたくさんあり、なんて幸せなことだろうと感じています。

任期中に東日本大震災に見舞われたのも印象的でした。皆さんにご心配、ご支援いただいたことは一生忘れません。人と人のつながり、「絆」とはなんとありがたいことか、と感じました。一年間ありがとうございました。(二瓶香美)

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原稿が届くたび、明るさが滲み出てくるようなメールでした。震災のご苦労もたくさんお聞きしました。それでも、二瓶さんから届くお便りは、いつも明るいパワーを秘めていると感じました。実りの秋のお便りを、楽しみにしています!1年間、ありがとうございました。(管理人)

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2011年4月11日 (月)

【宮城】東日本大震災にて

こんにちは、宮城県のアンバサダー二瓶です。この度の震災で被災された皆さまに心からお見舞い申し上げます。また、被災地側として、皆さんからたくさんの援助とあたたかいメッセージをいただき、本当にありがとうございます。一日も早い復興に向け頑張ります。

01私の住む内陸部は徐々に復旧の兆しが見えてきました。宮城は地震が多く、三陸も幾度となく津波の被害に泣いた地域です。備えは万全のようでしたが、全てが想定外。3日間しのげる備蓄を心がけていた私たちも、ガソリン不足、品不足がこんなに続くとはまさに想定外でした。

この袋に「発熱剤」と缶詰またはレトルトを入れ「発熱溶液」を流し込むと約30分かけて食品を温めてくれる。

震災直後は物々交換です。農村部は地域のつながりも濃く、子供達からお年寄りまで声をかけあい、物不足の中でも和気あいあいとしていました。

幸いわが家では震災当日から暖かい食事をとりました。台所は足の踏み場もありませんでしたが、ストーブやカセットコンロのおかげです。翌日は黙々と台所を片付け、プロパンガスも復旧。夕方からは台所での調理が可能になり、冷凍庫のものからどんどん食べていきました。

4日目夜に電気が復旧。しかし食糧難は続き、今度はレトルト食品と缶詰が重宝しました。定番のさんま蒲焼、ツナ缶、カニ缶、スープ缶、鯨にホタテにトマト缶、缶つまシリーズなど……サバの水煮はお気に入りで、三陸産や金華さばなど気付けば4種類! 大根おろしとねぎを載せ、醤油をかけて食べたり、豚肉や野菜と味噌汁にしてもおいしいです。

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缶詰は「パッ缶」タイプ(缶切り不要のタイプ)が便利。でなければ缶切りも忘れずに! 電池の切れた懐中電灯みたいになりますよ。

土産物のドイツのソーセージ缶、栃木の味付ゆば缶、北海道の宝ウニやエゾシカ缶、静岡おでん缶などもありましたが、毎年欠かさず取り寄せている缶詰めは秋田のネマガリタケです。みそ汁や牛肉との味噌煮込みにすると絶品です。

グルマンであろう『料理通信』読者の皆さんには、日頃からある程度の食料の買い置きをお勧めします。かばんにはタオルを1本と、メゾン・ド・コンフィズリー。自宅または職場にはレトルト、缶詰、少しのアルコール。工夫して自分なりに保管してみて下さい。いざという時役に立ちますよ。お腹さえいっぱいなら、どんな状況でも希望が持てるものなのです。(二瓶香美)

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「近所の方と物々交換してるわよ~」と二瓶さんからお便りをもらったのは、震災の数日後。津波は大丈夫だったものの、お台所のある建物が全損するなど、被害は大きいものでした。それでも、くださるお便りはこちらが元気になるものばかり。まだまだ大変な状況のなか、ブログ記事をありがとうございました。心から御礼申し上げます。

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2011年1月 8日 (土)

【宮城】市場へ行こう!

宮城県のアンバサダー、二瓶です。明けましておめでとうございます。本年も心身共に健康でよい年となりますようお祈り申し上げます。

さて、全国各地それぞれお正月の風習に違いはあれど、年末年始はゆっくり休んでたらふく食べる、というのは全国共通だったのでは?

01_2 お正月は、いかに賄いをうまくするか、主婦の腕の見せどころですよね。暮れの買い出しといえば、市場! 我が家は農家で、米、豆、野菜、餅など大概のものはあるし、正月は四足のもの(牛、豚、羊など)は食べない習わしなので、買出しといえば魚です。そして、一番利用しているのが「塩釜仲卸市場」です。

写真は、仙台の正月に欠かせない「なめたガレイ」発砲スチロールいっぱいの大きいサイズ♪ バブルの頃は倍の値段でした。

観光客向けではないため駅から離れていますが、期待通りの「安いよ! 旨いよ! 新鮮だよ!」の三拍子。12月だけは15時まで開いていますが、いつもは3時~13時まで。

一般の人は仲買人が引けた後、9時か10時くらいを目指して行くのがよいと思います。水曜定休なので前日火曜の昼頃に行くとお得です。日曜祝日は朝市といって6時~14時まで。

近くには東北有数のパワースポット「塩釜神社」や、酒蔵「浦霞」もあるので、お参りをし、市場で買い物を楽しみ、酒も買い、周辺の定食屋や寿司屋で食事をして帰る…というのがおススメです。

02店舗は一ヶ月ごとに場所が変わるので、贔屓の店を目指し探し歩くのも楽しいものです。注意してほしいのは、“あまり値切らないこと”。中卸市場は適正な値付けをしています。売る側が先に値下げの意思を示せば別ですが、値切るのは無粋というものです。

昔からお雑煮のだしに使う「焼きハゼ」。松島湾でたくさん採れるハゼを焼き、干して藁で編んで吊り下げておく。写真のように大きなものは珍しい。一綴り3500円。

塩釜はめばちまぐろが有名で、水揚げされたばかりの生のものが食べられるので必ず購入しますが、一番脂がのっておいしいのは秋です。塩釜港だけではなく、八戸や秋田、岩手など北海道や東北中の魚介類が揃い、いつ行っても楽しいのです。

皆さんも是非、地元の市場へ出かけてみて下さいね。(二瓶香美)
 
塩釜仲卸市場
〒985-0001 宮城県塩釜市新浜町一丁目20-74 
TEL:022-362-5518 URL:
www.nakaoroshi.or.jp

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2010年11月16日 (火)

【宮城】秋はやっぱり芋煮会!

宮城のアンバサダー、二瓶です。宮城の秋といえば「芋煮会」! 職場、友人同士、家族や親戚、PTAや地域サークル、はたまた行きつけの飲み屋さん主催のものまで、とにかくみんな芋煮会をします。

01_2東北のキャンプ場には大体かまどが設置されています。秋は取り合いになるため、幹事の腕の見せ所。スーパーでは材料を購入すると鍋の無料貸し出しサービスがあり、コンビニでも薪や着火剤を買うことができます。

写真は火に勢いがついてきた鍋。川原に行くと、誰かが石を組んで作ったかまどが残っていて、よさそうな場所に陣取り、火を起こし、芋煮汁を作るのです。ついでにバーベキューもします。(バーベキューがついでとは! 管理人)

発祥は山形だそうで、最上川を上り下りする船頭さん達が待ち時間に川原で焚き火をし、暖をとりながら鍋を囲んだのが始まりといわれています。それが次第に各地に広がったのでしょうね。春の花見のように、秋になれば全国の人たちが川原で芋煮会をするのだと信じていた私は、大人になり芋煮会をするのは東北・・・それも山形、宮城、福島の一部だけと知り大変ショックを受けました。
 
02」とは里芋のこと。芋煮会が盛んに行われる地域は、まさに秋、おいしい里芋がとれる地域でもあります。茎(特に赤いもの)も無駄にはしません。皮をむいた芋の茎を干して作る「ずいき」は冬の保存食で、お正月の雑煮には欠かせないものです。
 
どこの芋煮汁も里芋をたっぷり使うことに変りありませんが、山形は牛肉+しょうゆ味。宮城は豚肉+みそ味。福島はみそとしょうゆを合わせるなど、それぞれ地域性が出ています。山形にはおいしい牛肉とマルジョウ醤油があり、宮城には自慢の豚肉とササジュウ仙台みそがあるからです。

何はともあれ青空の下、紅葉が始まった川原で仲間と食べる芋煮汁は旨いのです!(二瓶香美)

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こぼれ話:県境の芋煮スポットで開催すると、こっちは宮城風、隣は山形風などバラエティに富むそうです。仲良くなって味見をし合ったりもするんですって。鍋を介したコミュニケ―ション! これぞ鍋の醍醐味ですね。(管理人)
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2010年10月 8日 (金)

[宮城]宮城は大豆王国!

宮城のアンバサダー、二瓶です。「ビールと枝豆」といえば夏の定番! ですが、本来東北の枝豆の旬は実は秋。

我が家の畑でも5月中旬に撒いた大豆の鞘がぷっくりと膨らみ、彼岸前から毎日のように「抜いて、もいで、洗って、茹でて、食べる」を繰り返しています。枝豆は中秋の名月「お名月様」へのお供え物にも欠かせず、郷土食「ずんだ」にもなります。
 
02_2宮城県は大豆の栽培面積が北海道に次いで2番目に多い大豆の産地です。国の減反政策・土地改良政策で、暗渠排水と水路整備が行われ、水田の畑化が楽になりました。加えて補助金対象である大豆は盛んに栽培されるようになったのです。

主な栽培品種は「ミヤギシロメ」。古くから宮城県で栽培されてきた在来種で、現在も県内でしか栽培されていません。宮城に来たら是非ミヤギシロメの豆腐をお召し上がり下さい。

写真は我が家の常備品。小粒納豆は「コスズ」を使用しています。

「タンレイ」は作付面積約4割で、特に豆腐加工に適し、「コスズ」は小粒の納豆用大豆で、主に県南で栽培されています。「アヤコガネ」は7年前デビューした、病気に強くタンパク質も収量も多い期待の新人。大粒で主に豆腐、味噌用ですが、この大豆で作った大粒納豆が生協から出ていて、私のお気に入りです。


01_2 我が家も大豆生産組合に属し、1haは大豆を作っていますが、別に自宅用として「クロマメ」「ハトゴロシ」「アオバタ」の3種類を栽培しています。

79歳の母が実家から持ってきた「クロマメ」は葉が5枚(普通は3枚)。種を絶やす事なく作り続けています。

種まきは一日で一斉に行いますが、順々に実るので、はじめに味の濃い黒豆の枝豆を食べていると、中手、大粒、その名も鳩殺しが実り、最後に色の美しい青ばた豆を食べるのです。

青ばたを食べる頃には先の黒豆はほとんど大豆になりつつあり、葉が落ち、色褪せた茎とは対照的に鞘の中の豆は真っ黒になります。

クロマメは煮豆やサラダなどに、ハトゴロシは味噌用、アオバタは料理全般(ずんだ、きなこ、煮物、呉汁、ゆで豆、節分の豆まき等)に使います。小豆も作っているて、11月いっぱいは収穫に追われる里の秋です。(二瓶香美)

 

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2010年9月 2日 (木)

【宮城】農家の手作り精進料理

昨日から9月、早いですね。もう終わってしまいましたが、田舎の8月は夏祭りに始まり、旧盆に向けて忙しくなります。

自宅や屋敷内の清掃、墓掃除をし、墓参りや都会からの帰省客をもてなします。そして12日になったら仏壇に盆棚をつり、地獄の釜の蓋も開く、といわれるお盆に遥々あの世から来てくださるご先祖さまをお迎えします。お盆はたったの3日。13日の夕方にお迎えし、15日はみやげ餅(しろ餅)をつき、16日の朝にはお見送りしなければなりません。

そういった仏事に欠かせないのが精進料理です。

001_3 私は小さい頃から精進料理が大好きでした(もっとも普段食べていたのも精進料理のようなものですが)。今はお葬式や法事は会館で済ませ、自宅で行ったとしても仕出し料理を頼むのが一般的になりましたが、ちょっと前まではすべて自宅で拵えていました。

先日作った夏の精進料理膳。二の膳も付けました。母屋の二階からお膳や椀を出してくる作業が大変だったこと。。。

そんなときは隣組の奥さんたちが手伝いに来てくれて賑やかでした。棚が組み立てられ、お膳や椀・角などの器が蔵から出されます。今では懐かしい思い出です。

002 東北には昔ながらの精進料理と餅料理を食べさせてくれる農家レストランやお寺さんが何軒かあります。精進料理は手間がかかりますが、手間をかけることが愛情であり、こちらもその手間をいただくのです。

先日、久々に精進料理膳を作ってみました。定番の「おくずかけ(県北では“すっぽこ”という)」は5種か7種の具材に白石温麺を入れ、葛でとろみをつけたしょうゆ汁ですが、材料に決まりはなく、自由です。

写真は「まんじゅう麩」。ポコンッとかわいらしい形のお麩で、水でふやかしてから壊さないように絞り、お吸い物に入れます。お出汁は干椎茸で醤油味に。

春なら筍や山菜、お盆なら夏野菜やじゃが芋、秋なら秋野菜やきのこ、里芋など、とにかく季節の野菜を使えばよいのです。煮物や炊き込みご飯も然り。身近に今ある食材を使うことで、旬のものをおいしくいただく――これこそが農家の手作り精進料理なんです(二瓶香美)

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2010年8月 4日 (水)

【宮城】真夏の太陽の恵み

P01東北も例年通り梅雨が明け、ぎらぎらとした真夏の太陽が照りつけています。昨年は土用に入ってもどんよりとした梅雨空で、「梅が干せるだろうか?」と心配しましたが、今年は連日の青空のおかげで梅もきれいに干せました。

写真の梅は6月末に塩漬けしたものです。途中、塩もみして灰汁を出した赤しそを加えますが、本格的に加えるのはこの後。土用に入ってから摘む赤しそは、色がきれいに出るからです。

今年は塩にこだわり、贅沢に「ぬちまーす」を2kg使用。7月23日(大暑)から三日間干し、26日(丑の日)に本漬けをしました。
【写真】天日干し中の梅。ゴロゴロたくさん並べます。

梅酒も仕込んでいます。実は今年、私たち夫婦は結婚15周年を迎えます。新婚当初(平成7年!)に漬けた梅酒を開けてみたら、びっくり。なんとまろやかで美味しいこと! 目をつぶって飲むとハンガリーの銘酒トカイのような、よい祝い酒になりました。

夏の強い日差しはおいしい野菜も育ててくれます。雨の代わりは水やりでできますが、照りつける太陽に代わるものはありません。夏野菜で一番好きなトマトの、お気に入りの食べ方をご紹介します。

P02皮つきのままスライスして塩で食べるのが我が家の定番ですが、たまに気取ってアボカドやチーズ、キュウリ、オクラ、ヤングコーンなどの畑の野菜と盛り付けてみます。

ドレッシングは、白ワインビネガーとオリーブオイル、レモン汁(プルコレモン)、みじん切りにしたバジルに塩・こしょうで完成です。料理にはまろやかな塩「塩釜の藻塩」を使います。
【写真】我が家の夏の定番トマトサラダ

トマトの種のトロトロ感も好きなので、ソースやケチャップ作りには種も入れてしまいますが、料理によってはどうしても種を取らなければいけない時もあります。

そんな時のお楽しみが「トマトアイス」。市販のバニラアイスにトマトの種を混ぜるだけで簡単に作れます。ポイントは、“高級すぎない”バニラアイスを使うこと! ぜひお試しを。 (二瓶香美)

<トマトアイス>

◆材料
  ・トマトの種
  ・市販のバニラアイス
  ・ドライバジル(お好みで)
  ・エクストラ・バージン・オリーブオイル(お好みで)

◆作り方
バニラアイスにトマトの種をたっぷり加えてよく混ぜる。混ぜていると溶けてくるので、冷凍庫に10分ほど入れる。冷凍庫から出し、お好みでドライバジル、オリーブオイルをかけて食べる。

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2010年7月 2日 (金)

【宮城】さあ作ろう!自家製ピクルス

Dvc00049_2 先日、苺摘みをしました。姉が苺の専業農家に嫁いでいて、出荷シーズンを終えたこの時期、苗を刈り取る前に欲しいだけ摘ませて貰えるのです。車のトランクいっぱいの苺はご近所に配ったり、ジャムやゼリーにしたり、ミキサーにかけたものを小分けして冷凍し、夏中シェイクやジュースにして楽しむのです。自家製ヨーグルトには、初夏に作る苺ジャム、夏のブルーベリージャム、秋のキウイジャムが大活躍です。
苺に初めに砂糖をまぶすと水分が出やすい

らっきょうも掘りました。作業は面倒ですが、食べておいしいのは小粒なもの。一年ものは大粒なので二年ものがお薦めですが、うちの場合、追肥もせず草だらけにしているせいか、一年ものでも小粒で、かといって辛くもなく、そのまま味噌などを付けて食べるとおいしいです。待ちきれず、5月末頃からさぐり掘りをします。土用前までに頃合いをみて一気に掘りますが、来年用の植え付けが済んだら、残りは全て酢漬け(ピクルス)にします。今回は、らっきょうピクルス作りをご紹介します。

きれいに洗ったらっきょうをボウルに入れ、浸かるくらい水を入れます。その水を別の容器に移し量を測り、水1リットルに対し塩75gの割合で塩水を作り、先程のらっきょうに注ぎ、重しをして一日置きます。この塩漬けらっきょうがまたおいしいの。

Dvc00034_4 さぁ一日たちました。塩水は捨てます。らっきょうをすすぎ洗いし、殺菌消毒したジャーに入れます。この時一緒にマスタードの種を小さじで何杯か(なければ粒胡椒を2,3粒)、月桂樹の葉・唐辛子を適量入れます。そこに白ワインビネガーを、らっきょうの2~3cm上まで注いだら、いったんビネガーだけ琺瑯鍋に移し2分沸騰させ、またジャーに戻します。重しをして密閉すると3、4週間で食べられますが、私は重しをせずそのまま密閉し2、3ヵ月後くらいから食べ始めます。
左から甘酢→ピクルス→黒酢ピクルス

実はこれ、たまねぎのピクルスのレシピなんです。らっきょうでもうまくいき毎年定番になりました。これからの季節、たまねぎなら作りやすいかもしれませんね。輪切りにした紫たまねぎは瓶詰めした時きれいだし、小たまねぎ、赤ワインビネガーを使うなどアレンジもできます。まずは少しの量で試してみてはいかがでしょうか。(二瓶香美)

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2010年6月 9日 (水)

【宮城】アミガサ茸も自生してます

Morille_3 はじめまして、二瓶と申します。これから一年間よろしくお願いします。
我が家は宮城県のほぼ中央、大和町で兼業農家をしています。メインは米。野菜は自家消費分しか作らないので、冬野菜のストックが切れる春は敷地内に自生する自然の恵みを堪能します。
口にするには勇気が必要…。そんな見た目のアミガサ茸

2月頃からフキノトウが出始め、天ぷらにしたりバッケ味噌をこしらえます。彼岸を過ぎると三つ葉、4月にはアミガサ茸が顔を出します。アミガサ茸は、フランスではモリーユと呼ばれ珍重されていますが、日本で口にする人はあまりいない模様。我が家も同様で、その見た目と組織のもろさがいかにも毒キノコらしく、初めて食べる時は勇気がいりました。しかも家族は誰一人付き合ってくれず…。火を通すとシコシコとした食感になるのが意外ですが、味は無く、わざわざ食べなくてもいいか、と思いました。

そのほか、山葡萄の新芽を花のつぼみごと天ぷらにしたものもいけます。ほのかな酸味がして「栴檀は双葉より芳し」という言葉を思い出します。発芽したばかりのバジルがビニールハウス中に香って驚くのですが、山葡萄もまた、まだ花もつけない新芽が甘酸っぱいのです。
 
Bagnacauda_2ところで『料理通信』2010年4月号のイタリアン特集に刺激され、山菜をバーニャカウダで楽しんでみました。ソースの作り方は、弱火で温めた生クリーム(オリーブオイルでもよい)60gにバーニャカウダペースト20gを入れて混ぜるだけ。今回は「地中海フーズ」から出ている瓶入りのペーストを使いました。タケノコとフキは茹でて、ウド、たらの芽、拍子切りにした山芋は素揚げに。思いのほかマッチして自分でも驚いてしまいました。「山菜バーニャ」、是非皆さんもお試しあれ。(二瓶香美)

山の恵みのほろ苦さとアンチョビ&にんにくが効いたソースがベストマッチ!




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二瓶香美:宮城のおいしいお米と、自家消費分の野菜や果樹を育てています。美味しいものを食べるのが大好きで、食べ歩きや旅行を趣味にしていましたが、現在は自宅でプロの味を真似る事に奮闘中。『料理通信』の「挑戦レシピ」はバイブル。だけど得意は田舎料理!?

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2009年5月27日 (水)

【宮城】料理人とともに年を重ねるということ

Manmitakahashi仙台からのお便りの最後に、私が最も愛する仙台のお店を紹介しましょう。和食の「萬み 髙橋」です。親方の、髙橋正博さんは、京都の老舗「萬亀楼」で修業しながらも、サントリーに入社し、イギリスなど数カ国の和食店で料理長を務めた、一風変わった料理人。20年ほど前に出身地である仙台に戻ってきて店を開きました。私はその頃から通い始めたのですが、当時は、専門誌でしか見ることのないような、伝統的で技巧的な京料理を出していました。当時の親方の技はギラギラと冴えわたり、また、食べ手である私もまた、ギラギラとそういう「技」を味わうことを求めていました。

しかし、親方も50代半ばとなり、今では、手間はかけても技に走らず、余分なものを究極まで削ぎ落とした、しかし凛とした料理を出すようになりました。私としては、めったに出さなくなった以前の料理を食べたい思いも強いのですが、食べ手である私も同じく年を重ね、結局は、親方の今のスタイルの料理を食べるために通っています。これは、食べ手として、単に生物学的に年を取って好みが変わったということだけでなく、それなりに食の経験を深めた結果なのではないかと勝手に納得しています。

Shintamanegi「料理には再現性がない(から尊い)」とよく言われますが、食材や社会環境の変化、料理人の変化だけが理由ではなく、食べ手が変化するということも大きな理由だと思います。美食の受容理論という訳ではないですが、美食学においても、もう少し「食べ手」とは何かに目を向けてみてはどうでしょうか。料理は食べられて、初めて料理になるのですから。(天野 元)
削ぎ落として、ここまで来ました。ダシで煮ただけの新玉ねぎ丸ごと1個。

●萬み 高橋
宮城県仙台市青葉区国分町2丁目12-5 TEL:022-225-6646
カウンターの他に、座敷、テーブル席もあります

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2009年4月27日 (月)

【宮城】味覚の弁証法

ソースとワイン、素材とハーブなど味覚や香りの組み合わせは本当に楽しいものです。ただ、おいしい組み合わせでも、無難な組み合わせや、全く違った地平に連れて行ってくれる組み合わせなど、それぞれ程度があるのも事実です。私は、それをヘーゲルのひそみに倣って、味覚の弁証法と呼んでいます。

味覚の弁証法は、料理や飲み物の組み合わせだけでなく、料理とサービス、料理と雰囲気の組み合わせも大きな要素だと思います。そう考えると、例の命題が頭をよぎります。「人は何故、わざわざその土地へ行って、その土地の料理を食べるのか?」これほど、食材のグローバリゼーションが進み、革新的だけれど無国籍な料理が幅を利かせても、依然として、「土地の料理をその土地で食べる」という楽しみは大きいと思います。

では、移動不可能な土地の特徴とは何か。やはり、料理人、サービス、周りの客など土地の人が醸し出す雰囲気が大事なのかもしれません。日本の郷土料理で味覚の弁証法を考えた場合、土地の人や土地の人が話す言葉が、料理の相方として大事なのではと思います。

Robata遠方よりお越し頂き、「仙台で食べる」ことを最も感じられるのは、このお店に止めを刺します。昭和20年代から仙台の文学者たちに愛された、「元祖 炉ばた」です。仙台の地の物が食べられるだけでなく、仙台で最も美しい仙台弁を聞くことができます。お店に入ると、おかみさんが「おばんでござりす」(こんばんは)と迎えてくれます。そして、仙台の銘酒「天賞」をいい加減飲んで店を出るとき、その背中には「おみょうぬず おしづかに」(明日も平安な日でありますように)と声がかかります。(天野 元)

●元祖 炉ばた
宮城県仙台市青葉区国分町2-10-28 TEL 022-266-0897

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2009年3月16日 (月)

【宮城】仙台の赤貝の食べ方(止め編)

2_2 赤貝と言えば、高級寿司ネタですが、そのなかでも第一級とされるのが、宮城県名取市閖上の赤貝です。色、香そして味の濃さが素晴らしいのがその理由です。閖上は仙台市と南隣の名取市の境にある港町。その昔、十一面観音像が浜に揺り上げられたため、「ゆりあげ浜」と呼ばれていました。時代は下って、仙台藩の四代藩主伊達綱村が、仙台の由緒ある寺、大年寺の山門を通して「ゆりあげ浜」を見下ろせたことから、門構えに「水」という字を造り、閖上としました。このため、これは中国由来の「漢字」ではなく、日本で造られた「国字」ですので辞書に載っていないこともあり、読めなくて当然ですが、『料理通信』読者の皆様には是非憶えて欲しい地名です。

最近は、赤貝の漁獲量が落ちており、益々希少価値が上がっていますが、地元では稚貝を放流するなどの努力をしています。漁場も北に拡大していて、5キロほど北の仙台市荒浜沖や更に北の仙台市蒲生沖からもいい赤貝が取れるようになりました。

1_2今晩は、仙台でも、つまみを造らせたら一番との声が高い「すし蓑(みの)」にお邪魔して赤貝を食べました。本日の赤貝は仙台市荒浜沖で獲れたもの。このお店には、ルイ・ロデレールのドゥミ・ブテイユがありますので、それを飲みながら、アテとして赤貝の造りから始めましょう。本当はヒモの造りも食べたいところですが、個人的にはヒモは香りが強いので、後に取っておくのが好きです。次は、赤貝の肝の串焼きです。新鮮な赤貝だからこそできるつまみです。これぞ地元の利。次ぎは握りを食べて、そしてシメは赤貝20枚分のヒモとキュウリを巻いた、ヒモキュウといきましょう。(天野 元)
写真上は、仙台市・荒浜沖で獲れた赤貝。瑞々しすぎてハレーション気味。下は噂の赤貝の肝の串焼き。意外にも脂がのっていて、こってり。「やっぱり赤貝は海藻を食べている」といった香り。後ろに映っているのは「すし蓑」の親方、庄子守さん。一人で握っているので、ブレがなく通い甲斐があります。

●すし蓑 仙台市青葉区国分町2-12-19 TEL022-714-7147

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2009年2月20日 (金)

【宮城】小泉武夫先生、お待ちしています!

東京農大の小泉先生に負けず劣らず、私も臭くて旨いものにトライしてきました。クサヤは言うに及ばずドリアンやスウェーデンのシュールストレミングなど。どれもおいしいと感じている私でも初めて歯が立たないと思ったのが、「あざら」です。胃液のような酸味を感じさせる強烈な臭いだけでなく、見た目も、酷い二日酔いのときの見てはならないモノにソックリです。

仙台から車で3時間、フカヒレやカツオとサンマの水揚げで有名な気仙沼の郷土料理が「あざら」です。その昔、阿闍梨(あじゃり)という高位にある僧が作り方を伝えたことから訛って「あざら」となったもの。白菜の古漬け、メヌケ、酒粕を煮た料理で、熱いままだけでなく、冷めたものも食します。煮込んでから3日ぐらいしたものがおいしいとか。ポイントは古漬けの加減。白菜の漬物がどうしようもなく臭くなったもので作ると白菜も原型をとどめず、強烈な臭いを発し、まさしくアレに近いものになります。(決してケナしているのではなく、褒めているのですが……)

Azaranabe「 あざら」は家庭料理なので、地元気仙沼でもお店で出しているところは、殆どありません。先日、仙台で初めて「あざら」を出す店を見つけ狂喜乱舞しました。聞いてみると、親方の亀卦川(きけがわ)さんは気仙沼出身。恐る恐る味わってみると、これが抜群にうまく、同行した「あざら初心者」にも大好評で、ホッとしたような、がっかりしたような。親方曰く「熟成の浅い白菜漬を使った入門編です」。親方、3年に1回ぐらいでいいから、上級編を作ってもらえませんか? そして、小泉先生を唸らせてみたいですね。(天野 元)
「あざら」の鍋仕立て。メヌケが丸ごと入っています。仙台湾や三陸の魚など地物にこだわる、とってもリーズナブルなお店「炉だん」。

●炉だん
http://www.syokuyuraku.com/omise/rodan/

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2009年1月21日 (水)

【宮城】夏の香りのするお雑煮

Sendaizouni焼きハゼでダシを取り、具にもするのが仙台雑煮。仙台湾で獲れたハゼを焼いて干物にしたものが、年末の仙台の食料品店の店頭を飾ります。また、具では芋茎(ずいき)が定番というのも仙台雑煮の特色です。

一方、仙台藩祖の伊達政宗がどんなお雑煮を食べていたかと言えば、干し鮑、干し海鼠にみがき鰊を具とダシに使った、高級かつ独特のものと、史料からはっきりと分かっています。政宗は仙台雑煮とは違ったものを食べていたということになります。ちなみにこの他に政宗は、元日料理として白鳥(!)を椀物と「つくね(白鳥の御板)」にして食べていました。どんな味がしたのか食べてみたいと思いませんか?

ところで、仙台地方で焼きハゼの次に多いのが、焼きアユの雑煮です。我が家でも私を含め代々アユ獲りをするので、ここでは焼きアユの雑煮の作り方をお伝えします。夏に仙台市内を流れる広瀬川や名取川でアユを獲り、焼いてから干して保存しておきます。大晦日までに、大根やニンジンなどを千切りにした「引き菜」をさっと茹でて、一度凍らせます。そうすると甘味がでるので、仙台ではこの手間をかけることが多いようです。次に、焼きアユでダシを取りますが、アユは尾頭付きを椀に盛りますので、形が崩れないように気をつけます。ダシを取ったアユは更に別の鍋で、芋茎などとともに醤油味で煮含めます。その他の具をダシのなかで煮て、焼餅を入れ、最後にアユを飾ります。ダシの味はどこまでも上品で、川魚なのに臭みがなく、そこはかとなく胡瓜にも似たアユの香りがして、前年夏の広瀬川の強い日差しを想い出させてくれます。(天野 元)

我が父(74歳)が投網・調理した焼きアユの雑煮。アゴがしっかりしているのが天然ものの証。まず、ダシを静かに味わったら、頭からまるごと食べます。

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2008年12月17日 (水)

【宮城】横丁で味わうシャモの焼き鳥

Bunyoko_2 仙台でも再開発が進み、千鳥足で歩ける横丁がなくなりつつあり、逆に人気が高まっています。単に老舗の店があるだけでなく、様々な理由で廃業した店の跡に、若い人が出店するケースも多く、あらゆる年齢層のニーズを満たす、懐の深さが横丁の魅力になっています。仙台の横丁のなかでも、私が大好きなのが、「文化横丁」。この写真を撮った日も、東京から来た若い女性3人組が、地図を片手に写真を撮りながら横丁探索をしていました。

仙台の中心街にあるその名もレトロな「文化横丁」。80年の歴史があり、横丁にあった活動写真館「文化キネマ」が名前の謂れ。仙台の人たちは「ブンヨコ」と呼んでいます。

その文化横丁で、行く度に感動するのが、焼き鳥の「鳥安」。店主の大沼さんは、料理の修業をしたことがない異色の方。焼き鳥が好きだった大沼さんが、転職を考えていたときに出会ったのが川俣シャモ。川俣シャモは福島県伊達郡川俣町で生産されている、その道では有名なシャモです。元々、江戸時代から養蚕が盛んだった川俣町では、旦那衆が闘鶏を楽しむ文化があり、純系の軍鶏とレッドコーニッシュやロードアイランドとの交配により、20年ほど前に川俣シャモが誕生。「柔らかくて美味しい」を連発する顎の細い方には評価されないかも知れませんが、平飼いされたシャYakitoriモは、しっかり噛めば噛むほど肉汁が溢れてきます。「鳥安」ではこの川俣シャモの焼き鳥だけを提供していますが、モモだけでなく、ツル、ソリ、ペタ、ボン尻などの各部位のほか、レバーなどの内臓もあり、一串一串全く違った感動を与えてくれます。
東北各地の味が楽しめるのが仙台の魅力ですが、ディープな横丁を「奥の細道」になぞらえて、食紀行をするのは、知る人ぞ知る密かな楽しみでもあります。(天野 元)

串の打ち方もすばらしい、モモ。皮の表面はパリッと、皮の裏はねちっこく、その下の身のなかでは熱々の肉汁が踊っています。

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2008年11月26日 (水)

【宮城】釣人に告ぐ! 根魚(アイナメ)引き取ります

Kanban 地域振興の手法として注目を浴びているのが、ご当地B級グルメですが、その陰にはなるべくその土地に足を運んでもらいたいという切実な願いがあります。観光誘客の業界では、観光客が住んでいる場所で行う「発地」プロモーションと、目的地で行う「着地」プロモーションと分けていますが、今のところご当地グルメは着地プロモーションが多いようです。

最近、仙台圏ではラーメン店を展開する「網地島屋」が人気急上昇中です。網地島(あじしま)は仙台から車で1時間、そして連絡船で更に40分ほどかかる人口500人の島です。金華山に程近い網地島はとにかく海がキレイで、特に浜の砂が白いので、海の青さが熱帯の珊瑚礁の島のようです。仙台の人の間では、ウニやアワビが豊富なことで知られていますが、実際に訪れる人はそう多くはありません。

Ramen網地島の名前を貰った「網地島屋」では、網地島でよく獲れるアイナメ(仙台では根魚=ネウ)の焼きアラでとった出汁の「焼き根魚ラーメン」が人気です。いきなり全国区を目指すのではなく、日帰りもでき、島に来てくれそうな潜在的な顧客のいる仙台圏で店舗展開をするという、ご当地グルメでも新しい「発地」プロモーションと言えます。「網地島屋」に3回通うと「島民証」が貰え、次回から食事代が割引になるだけでなく、網地島への連絡船が半額になります。お店を出るときに、「また来てけさいんねぇ」と声をかけられますが、仙台でも既に懐かしくなってしまった方言を聞いて、次の週末こそ網地島に行こうと思う仙台人がきっと多勢いると思います。(天野 元)

●らーめん工房 網地島屋
http://www.ajishimaya.com/

写真上:こんなラーメン屋さん見たことありますか? 
写真下:もうひとつの人気メニューは網地島の郷土料理「雲丹みそ」をつかったラーメン。アワビの殻に入ったみそを溶かしながら食べます。これで800円。

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2008年10月17日 (金)

【宮城】食物連鎖の逆襲

Awabikimo 仙台に来られた食通の方々にお土産としてお奨めしているのは、仙台駅でも買える、山内鮮魚店の「アワビの肝の塩辛」です。一瓶に肝が10個ほども入っていて840円(税込)なので、呑兵衛はおとなしく言われたとおり買って帰ります。山内鮮魚店は、お店のある宮城県の南三陸(志津川)でとれる魚介にこだわり、ほとんどの商品は化学調味料を全く使わない味付けをしています。「化学調味料を使わなかったのは、志津川が遠くて調味料屋さんが売りに来なかったからなのね」と謙遜するのは山内正文社長。「旬の味の乗ったものを加工するから余計な味を加えなくともいい」のだとか。
アワビの肝の塩辛。箸先を思わず舐めてしまう美味しさ。

重宝するのは、金華山沖で取れたサバ(金華サバ)を、宮城の地酒と天然塩だけで仕上げた朝食サイズの焼き魚真空パック。無駄になりません。ほかの焼き魚も全て漁場が明記されているので、テイスティングする楽しみも。他にも仙台名物の牡蠣やホヤの瓶詰めなど美味しいものが沢山ありますが、そのなかでもアワビの肝の塩辛は、化学調味料を使っていないだけあって、瓶ごとに、肝ごとに、味わいが違います。肝一つ一つの表情を楽しみながら、ぬる燗を呑むのは正に秋の夜長の至福です。

Hipparidako ちなみに南三陸では、アワビの天敵はタコ。食物連鎖の下剋上だ!と憤る酔っ払いが私のまわりには多いですが、「値段の安いものが、値段の高いものを喰っちゃならん」というのは人間の尺度であって、現実にはタコは、アワビもカニも食べてしまいます。まぁ、そんな恐ろしいことを聞いても、アワビの肝と、なんならアワビを食べた美味しいタコまでも、今宵の食卓で楽しめるから、心穏やかに杯を進めることができるんですなぁ。(天野 元)
せっかくなので、アワビの肝に、タコもつけちゃいました。アワビを食べた志津川産の真ダコを炙ったもの。山内鮮魚店の「ひっぱりだこ」。

株式会社ヤマウチ 山内鮮魚店
http://www.yamauchi-f.com
※ネットでお取り寄せもできます。

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2008年9月19日 (金)

【宮城】寿司屋でマンボは踊れない

Kanpyou_mini 仙台の寿司屋に行ったら、シメに「マンボください」と言ってみてください。職人が若ければ「ウチにマンボウはありません」と断られるか、「すみません、海が時化てるんでマンボウ切らしちゃって・・・」と、苦しい言い訳をされることでしょう。しかし。年季の入った職人ならば「アイヨッ」との二つ返事です。なんてことはない、筋子とキュウリの海苔巻きが出されます。
⇒残念! これはマンボ巻きではありません。ただの干瓢巻きです。

「マンボ」または「マンボ巻き」と呼ばれるこの巻き鮨、その語源には2説あります。よく言われているのは、「あまりに旨いので、思わず『ウ~ マンボ!』と叫んだ」というもの。実際に食べてみると、高級食材ではないにもかかわらず、びっくりするほど美味しいので、これはこれで信用したくなります。もう一つは、最近ある寿司屋の親方から聞いた説で「筋子と キュウリの取り合わせが、マンボを踊る際の正装、赤い衣装(女性用)と緑の衣装(男性用)に似ていた」というもの。なんとなくこちらの方が、信憑性がありそうです。どちらの説も昭和30年代初め、マンボが流行していた頃に「マンボ巻き」が登場したとしています。
何故か仙台でしか通用しないと言われてきたこの「マンボ巻き」ですが、残念ながら現地でも死語になりつつあります。しかし、嬉しいことについ最近、北海道の一部でも使われているという情報を入手しました。「マンボ巻き」の謎がますます深まります。あなたの街では「マンボ巻き」、通じますか?(天野 元)

Mambo_mini_2注意:筋子を仕入れている「気軽な」お寿司屋さんでないとマンボ巻きは食べられません。間違っても超高級寿司店では頼まないでください。

←これがマンボ巻きの正体。飲んだ後に食べると病みつきになる旨さ。だまされたと思って食べてみてください。

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2008年8月20日 (水)

【宮城】パテとワインを楽しむ普通の生活

Steak フランスでフランス料理に食べ疲れたら、皆さんはどうしますか? 魚料理は意外にソースが重いもの。フランス人の国民食とも言えるバヴェット(Bavette)のステク・フリット(Steak Frites)をシンプルに塩とマスタードで食べると、不思議と食欲が湧いてきます。仙台でバヴェットを食べるなら、「クレープリー・ノート」がお薦めです。

バヴェットのステク・フリット。マスタードをたっぷり塗って、樹齢100年の自然派ワインとともに。

オーナー・シェフの板垣さんは「パテとワインがごく普通に楽しめる生活」を仙台に広めた33歳の若手シェフで、ブラッスリー料理を出す「ブラッスリー・ノート」とガレットとともにカフェ料理を出す「クレープリー・ノート」の2店を経営。日本人向けに味を調えたカフェ料理が多いなか、板垣さんは、普通のフランスの味とヴォリュームをそのまま出すことにこだわっています。輸入マスタードに和芥子をほんの少し混ぜてフランスの味に近づけたり、フリット用の芋をフランスから輸入したりと細かい工夫をしています。

Itagakisan 仙台にカフェ料理文化が根付いたのも、板垣さんが市内の若手料理人を巻き込み、毎年のようにフランスに研修旅行に出かけ、フランスの食材を共同で仕入れたおかげです。仲間のお店と共同でフランス地方料理のフェアをしたり、お客さんも交えた勉強会、そしてフランス語教室も開いたりと、普通のフランス人が食べる普通のフランス料理を仙台の日常生活に溶け込ませようと努力しています。その影響で、毎晩「クレープリー」ではお客さんが普通に、クペット(Coupette)でかけつけシャンパーニュを楽しみ、ガレットを食べながらボル(Bol)でシードルを啜っています。(天野 元)

写真はシェフの板垣卓也さん(1975年生まれ)。
Cafe et Creperie NOTE  TEL022-796-0477/Brasserie NOTE  TEL022-714-1550

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2008年7月16日 (水)

【宮城】 世界を挑発するテーブル・ウェア

Photo_2 「質の高いアヴァンギャルド」を掲げて、次々にオブジェをうみだす仙台のデザイナー 木村浩一郎さんの実家は、意外にも伝統的な漆器製造業を営んでいました。家業を嫌い、ファッションデザイナーを目指しましたが、尊敬するデザイナーから「漆器の伝統のなかで新しいことに取り組んでみては」のアドバイスに衝撃を受け、東京での修業後、仙台に戻り家業を継ぐことに。
漆を使ったテーブル・ウェアやインテリアのほかに、マグネシウムで作られたハイバック・チェアなど、「商品」と呼ぶのが憚られる「作品」のようなものばかりです。国内よりはむしろ海外での評価の方が高く、イギリスのコンラン・グループやニューヨーク近代美術館などからも注文を受けています。
木村浩一郎さん(1963年生まれ)。木村さんが手を置いているのが、「スケッチ」で使われているDJブース。

グルマンディーズの世界では、ピエール・ガニェールがロンドンで手がけるレストラン「スケッチ」のインテリアにも木村さんのオブジェが使われています。ラスベガスの「ラトリエ・ドゥ・ジョエル・ロブション」でも使われている木村さんのテーブル・ウェアは、実は、かなりリーズナブルに手に入れることができ、家庭でも普段使いが可能。杜の都仙台を象徴するケヤキ並木「定禅寺通り」にある木村さんのショップ 「international」では、実際に手にとってみることができます。ショップはまるで現代アートの美術館のようで、アート・フリークの巡礼地になっています。

さて、どうして仙台なのか。ショップで木村さんに会ったら、こう教えてくれるでしょう。「東京だったら小さくまとまってしまう。仙台だから突き抜けられる。仙台から世界を挑発したい」。

Photo_3ロビュションで使われているランチョン・プレートとカップ。これも漆器。カップの値段は『料理通信』2冊分ほど。

「international」
仙台市青葉区立町26-13
TEL022-2230-3267
http://www.love-international.jp/

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2008年6月20日 (金)

【宮城】 仙台の“三ツ星パティシエ”

080617_3 「あっさりして美味しい」「甘くなくて美味しい」という言葉が理解できないメタボまっしぐらの私が、とても興味があるのがフランスのケーキと日本の洋菓子の違いです。

「フランスと違って酸味と甘味を抑えないと日本の方には評価されません」と語るのは、仙台のフランス菓子店「ジャマン」のシェフ・パティシエを務める大村公広さん。パリ16区ロンシャン通りの「ジャマン」はその昔、ジョエル・ロビュションが初めて三ツ星を取ったお店です。数年の閉店後、ブノワ・ギシャール氏が買い取って独立し、二ツ星を維持してきました(2005年閉店)。大村さんは、その「ジャマン」で1999年から2005年までシェフ・パティシエを務め、帰国後、「東京といい距離」の仙台に、同じ名前のフランス菓子店を開いたのです。
大村公広さんは、1990年に渡仏後2005年に帰国するまで、「アルページュ」(三ツ星)でもシェフ・パティシエ(1997年~1998年)を務めました。

「初めはフランスの感覚で洋酒を使っていましたが、受け入れられませんでした」
現在では洋酒はかなり控え目に使っているとのこと。さらに極め付きの違いは
「フランスに較べ、日本人は繊細なものを好みます」
これは、特に生地のテクスチャーに現れるようで、例えばマドレーヌがその典型と言えるとのこと。そういえば、フランスで食べるマドレーヌの生地は随分と粗く、ややパサつくような気がしていました。
「日本ではマドレーヌをそのまま口に入れますが、フランスの場合は紅茶やコーヒーに浸して食べることが多いのです」
マルセル・プルーストの長編小説「失われた時を求めて」の冒頭では、主人公の口のなかで紅茶に浸したマドレーヌが崩れる、その感覚をきっかけとして、この長い小説が始まります。

080617_4それから、アシエット・デセールと店売りのデザートの違いは…… これは是非、仙台で大村さんとお話をしてみてください。(天野 元)

一番奥のパリ・ブレストは、アーモンドペーストにパティシエールを混ぜた絶品。コクと余韻が素晴らしく葉巻に合います。


ジャマン 
宮城県仙台市泉区市名坂字町39 
TEL 022-218-7622

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天野 元:まだまだ知られていない東北・仙台の旨い魚や野菜などの食材,そして料理法を紹介していきます。和食に限らずフランス料理やイタリア料理などの,この地で頑張っている熱き料理人たちの動きも伝えていきたいと思います。仙台市役所で地域産業の振興を担当。
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