« 【福井】黄金の梅「新平太夫」 | トップページ | 【香川】懐かしくてカタ~イお菓子 »

2011年8月14日 (日)

【ゲスト/東京】粋な“手拭い”文化

----------------------------------------------------------------
荒井康成 : 洋菓子店長、和陶器店主を経て、1997年より仏陶器エミール・アンリ社の日本代理店立ち上げから11年間営業リーダーとして勤務。2009年よりフリーで執筆、料理道具コンサルタント、講師に。著書に「ずっと使いたい世界の料理道具」(産業編集センター)。

www.araiyasunari.com
----------------------------------------------------------------

      
江戸の染文化の代表でもあり、日本の織物の文化でもある「手拭い」。今では夏の風物詩とも取れるが、かつて江戸時代では手を拭いたり、汗をぬぐうだけでなく、生活必需品として日々使われてきた道具だった。

01_7   
現在の日本といえば、世界中の「食」と「料理道具」で溢れている。職業柄なのか、海外の食文化や料理道具に触れれば触れるほど、日本の食文化や道具の素晴らしさを改めて感じさせられる。

現在私が拠点を置いている蔵前は、東東京に位置し、玩具問屋街として栄えた。国技館があった地としても有名だが、ここ5年の間に若いクリエイターの店や飲食店も増え、新しい息吹が感じられる場所となった。この場を選んだ理由のひとつに、江戸の文化を感じたてみたい、というのがあった。

02_5 
水滴を落としたくない調理の時には、蓋に手ぬぐいを巻く、という使い方も。

隅田川沿いを蔵前から浅草橋へ歩くと、柳橋という橋がかかっている。そこはかつて江戸前料亭、船宿としても栄え、神田川との合流地点である。神田川の現在といえば、川とは言い難い光景の場所もあるが、神田川こそ江戸文化に大きく貢献した、といえよう。神田川は水量が多く、新宿の落合は「染の里」として、今でもその文化を継承している。

川と共に発展してきた、江戸東京。粋な江戸っ子たちがこぞってお洒落に演出していた「手拭い」こそが、東京で生まれ育った私自身の必須アイテムとして、ここ十年どこに行くにも身につける道具となった。

03_4
いつものビールも、手ぬぐいでこんなに風情が。

夏といえば、ビールにワインとお酒がおいしい時期でもあり、友人宅へ招かれたり、お世話になっている方や実家を訪ねたりする機会も多い。手持ち酒も増える時期こそ、この「手拭い」で粋な計らいをしてみてはいかがだろう。毎年絵柄が変わり、相手の個性を表す絵柄も見つかるかもしれない。

絵柄を選ぶ、という楽しみもひとつあるが、ワインのボトルや缶ビールなどもひょいと捻って「手拭い」で巻けば、粋な演出は勿論、相手の喜ぶ顔でわくわくもしてくる。

04_3
丈夫で給水性の高い「手拭い」。保冷剤を入れた氷枕として、日よけ帽子として、ケガをした時の包帯として、和菓子のお皿として、ナプキンとして…。理にかなった素材と絵柄の工夫に驚かされる。

だからそこ、東京っ子として、かつて粋でお洒落な江戸っ子たちが必須道具として使ってきた「粋な手拭い文化」を継承していきたい、夏になると、そう勝手に感じるのであった。
(『料理通信』ゲスト・アンバサダー 荒井康成)
※ 2010年11月号にインタビュー記事掲載

----------------------------------------------------------------
『料理通信』の連載「食の世界の美しき仕事人たち」にご登場いただいた荒井さんに、第4期ゲスト・アンバサダーをお願いすることになりました(ゲスト・アンバサダーの皆さんのご紹介はまた改めていたします!)。道具×食のお話を寄せていただく予定ですので皆さんお楽しみに!

【お知らせ】
2011年8月16日~ TUTAYA TOKYO ROPPONGI にて、荒井さんの著書「ずっと使いたい世界の料理道具」で紹介されている調理道具を集めたフェアが開催されます。長年、道具を見続けてきた荒井さんがセレクトした品々をぜひお手にとってご覧ください。(管理人)
----------------------------------------------------------------

|

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【ゲスト/東京】粋な“手拭い”文化: