【大阪】幻の玉ねぎ「吉見早生」
■大阪の読者アンバサダー、崎田昌弘です。これから1年間、大阪の食情報をお届けいたします。さて、突然ですが……。
幻が、現れました。
大阪の南部泉州、関西空港対岸に位置する、関西玉ねぎの祖が育んだ吉見地区。篤農家の縁の下から発見された缶入りの種子。その名も、『吉見早生』。姿を消していた伝統野菜で、数年前、その一部が20年ぶりに芽を覚ましました。
↑なにわの伝統野菜にも認証されている『吉見早生』
吉見早生を増やそうと努力されたのは、田尻町役場・地域振興担当の加藤さんたち。途中、また一度栽培が途切れてしまったものの、去る5月22日(日)、今年も直売会が開かれました。場所は、関空橋の袂の田尻漁港。売りに出されたのは、僅か400Kg! 瞬く間に売り切れたのはいうまでもありません。
↑「泉州黄たまねぎ祭」にて。吉見早生を求める方の列ができています。
私がこの直売会に気づいたのは、開催から一週間後……トホホ。探しましたよぉ……もちろん。そして、見つけました。「田尻歴史館」黒川さんのご好意で、レストラン営業用に取り置かれた中から、残り僅かの10個を頂戴しました。
吉見早生が姿を消した理由は、味に問題があったからではありません。むしろ柔らかく、甘みが強い品種。しかし、独特な扁平形状は水分を多く含み、保管や扱いに注意が必要でした。それゆえ、幻の運命に。
味は、ピカイチ! 生はもちろん、加熱すれば更に旨みが花開く素養があるのです。
早速、いただいた吉見早生を使ってピサラディエールを作りました。題して、「南フランスの名物が、吉見地区の幻と出会った~」です。(ん? 崎田さん……。もしや世界ウルルン滞在記?:管理人)。
↑玉ねぎを縦にスライスしてじっくりソテー。パン生地全体に広げ、アンチョビとオリーブを散らせて焼いた、南仏料理。思えば、温暖な吉見地区は南仏に似ているような気が……しないでもないし。
ピサラディエールは素材が決め手。ソテーして甘くなった玉ねぎに、塩味のアンチョビとオリーブの旨みは、あぁ……出来立て極楽、ちゅうヤツです。作って、食べて思うのは、“吉見早生は、再び幻にしてはならない地域の宝物 ”だということ。
次の販売会は、来年のゴールデンウィークの時期に決定します。今年のたまねぎ祭りは終わってしまいましたが、田尻漁港は日曜朝市も見逃せませんよ。新鮮な魚がズラリ!
(『料理通信』読者アンバサダー 崎田昌弘)
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【管理人コーナー】
崎田さんから「こんなのも作ったよ!」と連絡が。充分に水分を含んだ食感を楽しむ「玉ねぎのステーキ」だそうです。 「グリルした玉ねぎに、キャラメル状に焦がしたハチミツと、ワインビネガーを詰めたソースをかけて。仕上げに黒胡椒と、香ばしいパリアーニ社のローストアーモンドオイルをかけました」
幻の吉見早生で…というのはむずかしいかもしれませんが、皆さんぜひお試しを! (実は子供のころ、玉ねぎを食べられませんでした:管理人)
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