【宮城】自分は、百姓だ。
■宮城県のアンバサダー二瓶です。任期最後の原稿は、「田植え通信」です。去る5月14日、田植えをしました! 宮城県中央部に位置する我が家は兼業農家で、減反を除いた2haに「ひとめぼれ」を作付けしています。
今年は震災の影響で、地割れや津波による塩害、放射能被害などにより、東日本ではざっと5,700haもの水田が作付け不可能となったそうですが、幸い私の住む辺りは、例年通り田植えをすることができました。下の写真は、田植えを待つ稲の苗です。
「天地(自然)は、情けはないが、慈悲はある」
そう、聞きました。確かにこの度の震災は情け容赦ない仕打ちでした。しかし、慈悲にすがって土を耕し、4月17日に種蒔き。一ヶ月後の田植えまで苗箱で苗を育て、代掻き(しろかき:田んぼの表面を平らにする作業)をしました。水田は耕してみるとひどい高低差ができていて、妙に低い所があったり、水を張っても張ってもどこかから抜けていたり……。
それもそのはず、農道のいたる所でマンホールが飛び出した状態。つまり、液状化を起こして、地盤沈下や地割れが発生したのです。
↑田植え前の苗。ビニールハウスの全貌です。
震災当時気を揉んだのは、種籾を水に漬けて管理している時期なのに、断水で一週間水の取り替えができなかったこと。一方、助かったのは、ビニールハウスの資材が既に届いていたことと、農業機械に使うガソリンの買い置きがあったことです。
田植え当日は朝から風が強かったものの、予定通り決行。後日手作業で苗を直し、除草剤散布を行って、シートや苗箱をきれいに洗って片付けたら、田植えの一切が終了します。
↑田植えが終った水田。今年もおいしいお米が収穫できますように。
同じ時期、地震で崩れた建物の撤去作業が重なりましたが、姉達の手伝いもあり、無事に終わらせることができました。何やかやとごたごたはしましたが、今や合言葉のようになっていることがあります。それは、「自分のできることをやる」ということ。その精神で、頑張ることができるのです。
「自分は、百姓だなぁ」とつくづく思います。
とにかく、私は今年も米を作り、豆や野菜を育てます。
それは何より、自分が食べたい(!?)からなのでした!
さて、最後に。
たった一年でしたが、料理通信のアンバサダーになり、自分の感動や思いを文章にして人に伝える難しさを実感しました。感動が大きければ大きいほど伝えきれず歯痒い思いをしましたが、基本、宮城県民は自慢好きなので ^_^ 、終ってみれば、あれもこれも、まだまだ紹介したいことがたくさんあり、なんて幸せなことだろうと感じています。
任期中に東日本大震災に見舞われたのも印象的でした。皆さんにご心配、ご支援いただいたことは一生忘れません。人と人のつながり、「絆」とはなんとありがたいことか、と感じました。一年間ありがとうございました。(二瓶香美)
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原稿が届くたび、明るさが滲み出てくるようなメールでした。震災のご苦労もたくさんお聞きしました。それでも、二瓶さんから届くお便りは、いつも明るいパワーを秘めていると感じました。実りの秋のお便りを、楽しみにしています!1年間、ありがとうございました。(管理人)
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