【宮城】農家の手作り精進料理
昨日から9月、早いですね。もう終わってしまいましたが、田舎の8月は夏祭りに始まり、旧盆に向けて忙しくなります。
自宅や屋敷内の清掃、墓掃除をし、墓参りや都会からの帰省客をもてなします。そして12日になったら仏壇に盆棚をつり、地獄の釜の蓋も開く、といわれるお盆に遥々あの世から来てくださるご先祖さまをお迎えします。お盆はたったの3日。13日の夕方にお迎えし、15日はみやげ餅(しろ餅)をつき、16日の朝にはお見送りしなければなりません。
そういった仏事に欠かせないのが精進料理です。
私は小さい頃から精進料理が大好きでした(もっとも普段食べていたのも精進料理のようなものですが)。今はお葬式や法事は会館で済ませ、自宅で行ったとしても仕出し料理を頼むのが一般的になりましたが、ちょっと前まではすべて自宅で拵えていました。
先日作った夏の精進料理膳。二の膳も付けました。母屋の二階からお膳や椀を出してくる作業が大変だったこと。。。
そんなときは隣組の奥さんたちが手伝いに来てくれて賑やかでした。棚が組み立てられ、お膳や椀・角などの器が蔵から出されます。今では懐かしい思い出です。
東北には昔ながらの精進料理と餅料理を食べさせてくれる農家レストランやお寺さんが何軒かあります。精進料理は手間がかかりますが、手間をかけることが愛情であり、こちらもその手間をいただくのです。
先日、久々に精進料理膳を作ってみました。定番の「おくずかけ(県北では“すっぽこ”という)」は5種か7種の具材に白石温麺を入れ、葛でとろみをつけたしょうゆ汁ですが、材料に決まりはなく、自由です。
写真は「まんじゅう麩」。ポコンッとかわいらしい形のお麩で、水でふやかしてから壊さないように絞り、お吸い物に入れます。お出汁は干椎茸で醤油味に。
春なら筍や山菜、お盆なら夏野菜やじゃが芋、秋なら秋野菜やきのこ、里芋など、とにかく季節の野菜を使えばよいのです。煮物や炊き込みご飯も然り。身近に今ある食材を使うことで、旬のものをおいしくいただく――これこそが農家の手作り精進料理なんです(二瓶香美)
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