【三重】伊勢のアサリは手堀りです
5月は、潮干狩りのベストシーズン。日照時間が長くなって海水温が上がり、それに伴ってプランクトンも増え、海の中が賑やかになってくる時期です。伊勢湾では、アサリが身を太らせおいしさを増しています。
潮干狩りでは熊手を使ったりしますが、アサリ漁をするプロの漁師さんはどうやってアサリを獲っているのかご存知でしょうか?伊勢湾では、鉄製のクワのような「ジョレン(鋤簾。マグワ、シャックンともいう)」を用います。水深の浅いところでは、腰まで浸かって短いジョレンで、深いところでは、船の上から柄の長いジョレンを使い「手堀り」でアサリ漁を行います。専用のポンプで海底を吹き上げて船で引き廻して獲る「ポンプこぎ網」漁法などの動力機械を用いた漁法もあり、そういった漁法ではたくさんのアサリを獲ることが出来ますが、三重県では原則禁止。昔ながらのジョレンでの「手掘り」漁法を大切に守り続けています。
なぜ手間のかかる手掘り漁法を守り続けるのか!?それには理由が。船などの動力を使って獲ると、勢い余って貝殻を割ってしまったり、また、アサリがビックリして貝殻を急に閉じてしまうので、海水を吸ったり吐いたりする「水管」という器官を傷つけてしまい、出荷前の砂抜きがうまく出来なくなるそうです。手掘り漁ではそういったリスクが少なく、高品質のアサリとなります。手掘りは人力なので生産性は高くありませんが、その分、漁師さんの愛情はたっぷりです。
さて、伊勢のアサリの特徴は、手掘り漁で丁寧に獲るため、貝の傷みや砂噛みが少なく高品質というだけではありません。櫛田川や宮川など、いくつもの河川が里山の栄養分を運び込む伊勢湾岸の豊かな自然環境は、甘みに富んだ味の濃いアサリを育てます。特に旬のこの時期の伊勢のアサリは、エサをたくさん食べて、ぐんぐん身を太らせ、殻が薄くても身はぎっしり。ぷりぷりで旨味たっぷりのアサリなので、驚くことに、お酒もお塩も何にも入れずに少量の水で茹でるだけでほんとに美味しいんです。
そんなアサリですが、日本のアサリの資源量は、昭和60年を境に激減し、最盛期の4分の1程になっているそうです。伊勢湾でも然り。回復の兆しはみえてはいません。そんな中、伊勢市でアサリの仲買業を営む株式会社荒木海産では、伊勢湾漁協と協力しながら「手掘り」に着目し、漁期、漁場、漁法を限定した伊勢産アサリのブランド化に向け取り組んでいます。「資源が少なくなる中、本当に美味しいアサリを味わってもらいたい」と話す社長・荒木さん。間もなく荒木海産から、「伊勢手掘りあさり」と名付けられた商品が売り出されます。是非一度、少量の水でだけで茹でて、プリップリの伊勢手掘りあさりの濃-い味を堪能あれ。(宮崎達哉)
写真は、「ジョレン」を使った伝統的な「手掘り」漁です。(長いジョレンを使用)
●株式会社荒木海産
〒515-0502 三重県伊勢市東豊浜町2973-412
TEL:0596-37-3511 FAX:0596-37-3522
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