【東京】挑戦するガレット屋さん
旧フランス大使館で行われていた「ノーマンズランド」に行った時のこと。館内中に漂っていたバターの焼けるおいしそうな香りに誘われて、たどり着いたのは、「ル・モンサンミシェル」というガレット屋さんのブースでした。偶然にもフランスに長年暮らしていた知人に、つい最近教えてもらったばかりお店。これも何かのご縁と、閉館5分前に駆け込みましたが、警備員さんのプレッシャーに負け、せっかくのガレットをかき込むはめに…。
ガレット・コンプレットのエシャロット添え。シードルはロワイヤル・ギュイユヴィックを選択。爽やかな甘さのあとに独特の香りが残ります。
あまりに悔しかったので先日、目白の本拠地までリベンジに行ってきました。お店の方にアドバイスをもらいながら、まずはシードルを注文。運ばれてきたボトルには日本語のラベルがない。日本語がとっても上手なフランス人マネージャーにいろいろと訊いてみると、オーナー自らフランスを巡ってシードルを買い付けてきているんだそうです。
それにしても、シードルってたくさん種類があるんですね。アルコール度数も低めで、価格面でもワインより気軽に楽しめそうです。このレストランで一番興味を惹かれたのが、フランス人シェフ、ダニーさんの経歴。もともとはパリのレストランで支配人をしていた彼が、ガレットを焼き始めたのは40代の頃。そこからブルターニュでクレープ・レストランを開き人気店にしたかと思えば、今度は50代になって、未知の国、日本にやってきたらしいのです。今、厨房で鼻歌まじりにクレープを焼いている気の良さそうなおじさんが、そんな挑戦に満ちた人生を歩んできているとは。
気がつけば設計の仕事をはじめて10年経ち、何となく業界の仕組みに馴染みつつある自分。期限や予算、日々の現場対応などの雑事に追われて、ついついチャレンジ精神を忘れそうになるんですよね。今思うとそんなの本当に建つの?と思うような模型を楽しく作っていた学生時代(笑)。その時の気持ちはこれから先も忘れないでいたいものです。なんだか、明日からまたがんばれる元気をダニーさんからもらったような気がします。
そんなダニーさんの作ってくれる料理は、素材の味を楽しめるやさしめの味付けで、 バターのしつこさもなく、 素朴な味わい。お店も可愛らしい雰囲気で、ガレットもクレープも、そしてシードルやワインも気になるメニューがたくさんあるので、またふらりと立ち寄ってみたいと思いました。(金子広明)
スモークサーモンと小エビのサラダ。ガレットの器に入ってます。見た目も新鮮で可愛らしいですが、香ばしいガレットとサラダの相性もバッチリ。
| 固定リンク