【ゲスト/トスカーナ】縁起を担ぐウナギ料理
どの国でも、新しく迎える年が幸せであるようにと願い、縁起を担いだお料理があるのだと思います。ここイタリアで、真っ先に思いつくのは、やはりレンズ豆でしょう。金貨に例えられていて、炊くと二倍になることから、お金が貯まると言われています。日本のおせちにある黒豆の、「まめに働く」という謂れとは、微妙にニュアンスが違うのが面白いところです。そして予期せぬ幸運を呼ぶドライフルーツ、スパイス、太陽の再生としての象徴ハチミツがぎっしり詰まった、フィレンツェやシエナ地方の伝統お菓子、「パンフォルテ」もこの季節には欠かせないもの。手作りのパンフォルテをあちらから、こちらから、いくつも頂きました。
レンズ豆は皮付きのにんにくと一緒に茹でて香りを楽しみます。
そして、イタリアのお正月で登場する意外な縁起ものといえば、やっぱりウナギ。細長い形で、頭と尻尾が丸く円を描くので、終わりがなく縁起が良いといわれ、特に南イタリアのほうでは欠かせない食材のようです。
ここトスカーナでも古いレシピ本に幾つかウナギ料理があります。普段はトマト煮にしてしまうことが多かった我が家ですが、今年は「anguilla alla fiorentina(ウナギのフィレンツェ風)」を作ってみました。まず、ウナギはぶつ切り。ウナギといえば蒲焼、の日本人にとってウナギのぶつ切りは衝撃的ですが、簡単で気軽。オリーブオイルと塩コショウで2時間ほどマリネをした後、セージとニンニクと一緒にフライパンで焼き色をつます。パン粉をまぶしたウナギをオーブン皿に移し、再びパン粉、そしてオーブン。しばらくしてワインをかけ、再びオーブンへ。アルコールが飛び、水分がなくなったら出来上がりです。魚だから白ワインをかけるのだろうと思っていると、トスカーナらしく土地の「赤」ワイン。もちろん白ワインでも美味しいですが、脂とゼラチン質がのったイタリアのウナギには、赤ワインがとてもよく合います。(古澤千恵)
写真は「うなぎのフィレンツェ風赤ワインロースト」。
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