【東京】この子の三月(みつき)のお祝いに…。
写真の豚の丸焼きは「Babi Guling バビグリン」と呼ばれるBALI料理です。冠婚葬祭に供えられるのですが、とてもおいしいのでバリの人は日常的にも頻繁にバビグリンを食べます。バリにはバビグリン専門店が沢山あって、おいしい店はとても繁盛しています。撮影したこの日は、子供が生まれて3カ月目の儀式(バリヒンドゥーの210日暦で計算して105日目。産まれた子供は、地面から悪霊 が入ると言われる3カ月間、地面に体を着ける事を避けて生活する。この日は晴れて足を地に着けて、人間としての生活を始める大切な日)のために、中ぐらいの大きさのバビグリンを購入。これをさばいて、儀式に集まった30人程の親族全員で食べました。
写真上:お祝いの儀式に欠かせないご馳走、「Babi Guling バビグリン」。毎日でも食べたいほどのおいしさです。
バビグリンは、豚の腹を割き、内臓を取り出してその空洞に一杯の香草とスパイスを詰め、じっくりと回転させながら炙り焼きにした料理です。さばいたばかりの肉は、ほんのり温かく、肉の水分と脂分がまわり「ほわっ」とした食感です。ハーブとスパイスが渾然一体となって肉の味を引き立て、じんわりと体全体に染み渡るような柔らかい味が特徴です。皮は特に人気があり「皮がまだあるぞ!」とか「わしはまだ皮を食べておらんぞ!」という声が必ずと言ってよいほど聞かれます。良く焼けた皮は飴色に輝き、歯で割る時の「クリオッ!」という音と、その直後に皮の裂け目からにじみ出てくる濃厚な旨味!豚肉好きには至福です。バビグリンと白いご飯の組み合わせは、最強のバリ料理と言っても過言ではありません。
この日は、色とりどりの愛らしいお供えにも目を惹かれました。「海のおばけ」「頭無しおばけ」(?!)「鳥」「うみへび」「大きな花」「公園」「丸」「三角」とひとつひとつに名前がある、ユーモラスな形のお供えです。ひとつひとつのサイズは2~8センチ程で、その数およそ70種類。米粉と水を混ぜて粘土状にし、色粉を混ぜ、一番搾りの椰子油を手に付けながら女性のお坊さんが全てをひとりで作ったとのこと。その約70種類の小さなお供えが直径20センチ深さ7センチほどの植物の葉で作られた器に入っています。これが3組供えてありました。このお供えは「小宇宙」を表し、人間が一生に経験することをイメージ上でリハーサルする、という意味があるのだそうです。膨大な時間をかけて作られたこのお供えを「今は家畜に餌として与えるけれど、昔は大きな鍋で茹でて全部きれいに家族で食べたものだよ」とお坊さんが話してくれました。(海月)
↑「小宇宙」を表すお供え。赤ちゃんが今後経験する、人生の様々な事柄が詰まっていると思うと、感慨深いです。
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