【東京】マカロンが教えてくれたもの
「昔栄えた工業都市」。これは僕の故郷・北九州市に対する定番のイメージです。食べ物に関しては、おいしい魚をとても安く食べられる町で、東京に出てきてからもそれなりに自信を持っているのですが、工業都市のイメージからか、「ちょっと手の込んだ料理やスイーツなんかは東京にかなわないよな」というのが僕の長年の思い込みでした。
でもある時、そんな思い込みをがらりと変えた一つのお菓子に出会いました。それは、北九州市のパティスリー「ドゥルセアルテ」のマカロンです。
写真上:「ドゥルセアルテ」のマカロン。もともとはマカロンを好きでなかった僕の心を鷲づかみに。北九州市のお土産としてマイ・ブームです。
「なにこれ?! すごく美味しい! マカロン? マカロンてこんなに美味しかった? マカロンの概念が変わったかも。こんなに美味しいお菓子があったりすると北九州も捨てたもんじゃないなって思います(笑)」
↑これは、友人から贈られたこのマカロンを食べて送ったメールの文面です。
「その町にどんなおいしい食べ物があるのか?」、このことは、町への愛着や印象を決めるのに大切な要素だと僕は思っています(ちょっと遠い町でも、雰囲気が良くて安くおいしいレストランがあれば、出かける回数が増えたり、住んでいる町においしいランチを食べられるお店があるとなれば、なかなか離れられなかったりするように)。また、「海の幸、山の幸に恵まれた町に住んでいる人たちには、おおらかで親切な人が多い」、これは旅の経験から得た密かな持論なのですが、すばらしい食文化がある町や、ものの価値をきちんと評価できる人たちが暮らす町には、心豊かな人やおいしいものを作る人が育ち、さらに集まりもするのではないかと思っています。
工業都市というイメージの影響から、「ハイソな食べ物はちょっとね……」と思い込み、決して前向きでなかった故郷に対する僕のイメージ。でも「ドゥルセアルテ」のマカロンとの出会いによって、それががらりと変わりました。そして、そんなちょっとしたことがきっかけとなって、北九州市の歴史を勉強してみたりもしています。少しずつ故郷への想いが塗替えられ、愛情もさらに深まっている最近。お菓子の力、侮れません。(金子広明)
北九州市は戸畑区にある「ドゥルセアルテ」。2階が雀荘というのが北九州市らしいです(笑)。
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