【ゲスト/長野】善光寺門前の宿坊で精進料理をいただく
長野市の観光名所として有名な「善光寺」。その御本尊の分身「前立本尊」が公開される「御開帳」が、今年4月5日から5月31日まで開催されました。数えで7年に1度行われる行事ですが、今年は例年にない参拝者の多さで、期間中市内も観光客で賑わっていました。
善光寺の門前には、全国からの参拝者を迎えてきた宿坊・宿院があります。利用する方は、精進料理をいただき宿泊し、翌朝の朝事に参加することが多い様子。団体などの予約が無ければ、日中詣りの際にもお昼や夜に精進料理をいただくことが出来ます。
今回は、宿坊のなかの「徳行坊(とくぎょうぼう)」さんへ訪問し、精進料理をいただきました。打ち水がされた門をくぐり、中に入ると趣きある佇まいの玄関から座敷に案内されました。お食事は1人ずつお膳が用意され、既にお膳に盛り付けられた料理と追加される料理とがありました。
今回の献立は、右の写真奥左より時計回りに、
・季節の天ぷら~根曲がりだけ
・甘酢しょうが
・長いも柳皮(りゅうひ)こぶ巻き
・法飯(ほうはん)の具~三つ葉
・榧(かや)の実
・くるみ ・ごま ・たくあん
・晒しこんにゃくの薄作り、おごのり
・ごま豆腐汁仕立て
・生湯葉の梅びしお
・黒皮たけの酢味噌和え はり生姜添え
・箸あらい~揚げた生麩が入ったお吸い物
・食前酒(梅・カシス・木いちごなど季節により異なる)
・蓮の生麩しんじょう
以上の他、湯葉包み、さつまいもと季節の果物のきんとん、ご飯、汁物、水菓子でした。
野菜中心の料理ですが充実した内容で、充分満足できました。出汁は、野菜ときのこの旨み成分を生かした本当に上品な味わいです。献立の中の「法飯」は、行事食の最後にいただくもので、ご飯に出汁を注ぎ、刻まれたクルミなどの具材をのせいただきます。具材を器に盛る時と食べ終える時にたくあんで器をきれいにし、野菜も含め素材全て命あるものをいただいたことへの感謝と、料理を出していただいた主人への感謝を込めるそうです。ここでの精進料理は、単に「肉や魚を使わない」と言うだけではなく「物を粗末にしない」思いを第一に考えられているそうです。↑出汁をかけ、ごま・くるみなどをご飯に盛った法飯
最後に、お膳に用意下さった箸袋に書かれていた「食作法(じき作法)」を紹介します。
食前「この食(じき)の来るところを思ひ おのが業(わざ)の多きと少きとを量(はか)り 仏道を成(じょう)ぜんがために 今この食をうけむ」
食後「衆生(しゅじょう)馳走(ちそう)のたまものを 今すでに受く 願はくは この動力(どうりき)を徒らに消すことなからむ」(三水亜矢)
●徳行坊
TEL:026-232-0264
宿泊の場合は、2名より お食事の場合は、5~6名からいただけるそうです。
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