【三重】海では岩牡蠣、山では伊勢茶がシーズンです
はじめまして。これから三重県の食材や生産者さんの情報をお伝えしていきます。よろしくお願いします。
『料理通信』2009年3月号で格好いい姿を披露した、「的矢湾あだこ岩がき協同組合」の北川聡さん。彼が養殖している岩牡蠣が、出荷の最盛期を迎えています。岩牡蠣は「夏牡蠣」とも言われ、出荷時期は4月から7月頃まで。
写真右:岩がきの出荷作業をする北川さん
岩がきの養殖で一番難しいのは「採苗」作業とのこと。採苗は、0.3mmほどの牡蠣の幼生をほたての貝殻に付着させる作業で、通常は人工的に行われるそうですが、北川さんは「天然採苗」にこだわっています。天然の岩牡蠣が放出する幼生を付着させるのですから、的矢湾、伊勢の海を知り尽くしていなければ不可能な技術です。また、温暖な的矢湾には植物プランクトンが豊富に生息するため、日本海側の産地より1年以上養殖期間を短縮できるとのこと。「若がき」でありながら、豊かな甘みと深い味わいのある、ふっくらとした身が人気の理由です。私は生で食べるのが一番好きですが、焼き牡蠣やグラタン風もとてもおいしい。牡蠣好きの方、そうでない方にも是非食べていただきたい逸品です。
一方、山間では伊勢茶の新茶がおいしい季節です。伊勢茶は、三重県で生産される緑茶の総称で、全国3位の生産量・栽培面積・生産額を誇ります。主な産地は四日市市を中心とした北勢地方と松阪市を中心とした南勢地方。特に南勢地方では、通常よりも茶葉加工時の蒸し時間が長い「深蒸し煎茶」が有名です。「蒸し時間の1~2秒の差が味を左右するため、高度な技術が必要」とは多気郡の川原製茶さん。濃厚な香りとコクが身上のお茶です。
私の1日は、夏でも朝食前に温かい伊勢茶を一杯飲み、「頑張るぞ!」と気合いを入れることから始まります。水に茶葉をいれて作る「水出し緑茶」もおいしいので、これからの季節、熱いのが苦手な方にはそちらもおすすめです。(大坪恵子)
伊勢茶畑の緑がまぶしいです。
●的矢湾あだこ岩がき協同組合
三重県鳥羽市畔蛸町164-1 TEL:0599-33-7888
●株式会社川原製茶
三重県多気郡多気町丹生1786 TEL:0598-49-3036
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大坪恵子:三重県のおいしいものは松阪牛と伊勢えびだけではありません。まだまだ知られていない美味をご紹介していきます。生産者のこだわり、現場の姿も合わせて伝えたいと思います。子供の頃から食べることが大好き、今はお酒も好きです。が、いつも体重計を気にする生活です(笑)。
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