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2009年6月24日 (水)

【愛知】感性を豊かにする和菓子

Wagashinohi「6月16日は和菓子の日」ということをご存知ですか。食べ手にとっては和菓子をより身近に感じる日、作り手にとってはさらなる精進を願う日として、1979年に全国和菓子協会によって設けられました(詳細は全国和菓子協会のHPをご参照ください )。

長い年月をかけて、日本の四季や年中行事に深く関わりながら進化してきた和菓子は、私たちの様々な感性を豊かにしてくれる存在です。まずは「季節感」。和菓子の世界では、季節を1カ月ほど先取りすることが常であり、それは私たちの思いを移りゆく季節に馳せさせます。例えば、余寒厳しい頃には「早蕨」「春告鳥」など、春のお菓子が店頭に並びますが、それらを召し上がる時、皆さんは間もなく訪れる春の穏やかな陽差しを思い浮かべるのではないでしょうか。

また、和菓子は私たちの「想像力」もかきたててくれます。上生菓子の意匠は花や季節の風情を題材にしますが、そのものずばりの形は表さず、抽象的にほどよく単純化しています。その表現方法が私たちの想像力の扉を開いてくれるのだと思います。そして、「菓銘」に注目すると、さらに想像力が広がることでしょう。菓銘とは、和菓子一つひとつの名前のことで、古典和歌や俳句、名所や花鳥風月などからつけられています。例えば「唐衣(からころも)」という和菓子、これらは愛知県の県花、杜若(カキツバタ)をモチーフにした和菓子ですが、『伊勢物語』の主人公、在原業平の和歌にちなんでいます。

Karakoromo業平がカキツバタの名所、三河八橋(現在の愛知県知立市)を通ったときに「カキツバタ」の5文字を句頭に読み込んで、「から衣 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」と詠んだことに由来します。昔の人は「唐衣」という菓銘を聞いてこの場面を思い出し、カキツバタの花が一面に咲いている景色を想像しながらお菓子を食べたことでしょう。現在ではこういった想像をできる人は少ないかもしれませんが、逆にお菓子を通して古典世界を垣間見ることができるかもしれません。
写真上)愛知県の県花でもあるカキツバタをモチーフにした「唐衣」。

小さな和菓子、でも、そこには日本の四季折々の風情と文化が凝縮されています。みなさんも、季節や菓銘の背景を想像しながら和菓子を楽しんでみてください。(大島千世子)

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大島千世子:370余年の伝統を持つ和菓子の老舗「両口屋是清」に生まれる。日本の風土、歴史、文化によって育まれた和菓子には、日本人の季節感や感性が凝縮されています。衣食住において西洋化が進んでいる今だからこそ、日常生活の中にある和の心を大切にしたいと思っています。
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