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2009年5月11日 (月)

【東京】レストランでの「残心」

ざん‐しん【残心】(1)心のこり。みれん。(2)剣道で、撃突した後、敵の反撃に備える心の構え。弓道で矢を射放した後の反応にこたえる構え(広辞苑第五版)。

レストランにおいても(1)の意味での残心を意識する瞬間があります。大好きなレストランで、いつもに増してすばらしい時間を過ごして帰る時は、ああ終わってしまった、というやや未練がましい気持ちになります。「ル・マンジュ・トゥー」では、見送られ、振り返り、頭を下げる、を繰り返してようやく帰宅モードになりますし、「サリュー」ではソムリエの鳥山さんに思いっきり大きく手を振ることが、サラマンジェでは階段を半ば駆け上がって外に出ることが、楽しかった時間に区切りをつける私の儀式です。ただし「ル・マンジュ・トゥー」では、(2)もあります。お店を出たあと、谷シェフとマダムの楠本さんの姿が見えなくなるまでかなりの距離があります。逆に言えばその間自分たちの後ろ姿が見られているわけで、いくら酩酊していても、決して足をもつれさせたりしないよう気合いを入れて歩くのです。やせ我慢ではありますが、今考えると、この時間も楽しく、貴重なものでした。

1私事で恐縮ですが、私たち夫婦に新しいメンバーがまもなく加わります。今までのように頻繁に外食に行けた気ままな日常は過去のものになり(ラストリカートは別です。毎週日曜日お昼は子連れ客限定なのです)、このブログに書くのもこれが最後で、まさに未練ばかりですが、新たな日々がとても楽しみです。1年間ありがとうございました。(金 信秀)

ル・マンジュ・トゥーを出てから、お店の方が見えなくなるまで、優に50メートルはあります。

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