« 【和歌山】日本のハーブ「ぶどう山椒」 | トップページ | 【東京】レストランでの「残心」 »

2009年5月 8日 (金)

【神奈川】今さら地ビールを考える

Img_9299 前回のブログでご紹介した通り、今年は地ビール解禁15周年。1994年の4月にビールの製造免許取得条件の年間最低製造量が2,000KLから60KLに引き下げられ、小さな会社でもビール業界への参入が可能になりました。これが「地酒」のビール版として「地ビール」と呼ばれるようになりました。しかし「地酒」と違い、日本の地ビールの原材料(麦芽、ホップ)のほとんどは輸入のもので、“地”のものは水くらい。水はビールの9割を占めるものなので、大切なものであることは確かですが、水だけでビールの味が劇的に変わるものではありません。「じゃあ、地ビールって何?」というのはよく聞かれる声。実は「プレミアムビール」に明確な定義がないように、「地ビール」にも明確な定義はありません。大手5社以外の中小ビール会社の造るビールを便宜上「地ビール」と呼んでいるだけです。

では、地ビールと大手ビールの違いって何でしょう。それに対してのうちの社長の回答は「地ビールの地は自分の“自”だと思う。本当は地面なんて関係ない。自分のビール、それが自ビールなんだ」と。例えば、地ビールの商品開発は“自分たちが飲みたいビールを造る”というところからスタートしていることが多いです。これは、大手ビール会社が事前のマーケティング調査で、世の中の味覚の傾向やニーズ掴んでから商品開発を始めるのとは真逆です。周囲に求められた条件(価格や納期、コンセプト)ありきでモノを造るのが職人で、自分の中から湧き出たモノを形にして世に問うのがアーティストと考えると、地ビール職人はアーティストに近いのではないか、と私は思っています。

Photoビールのレシピ作成から、仕込み、完成までが細かく分業され1つの商品に何人もの人が関わる大手ビール会社と違って、地ビール会社では1人の職人が全てを担当します。だから、ビールの審査会では会社が表彰されるのではなく、ビールを造った職人個人が表彰されます。だから地ビールは地ビール職人というアーティストが造った作品と言えるかもしれません。(中川美希)

|

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【神奈川】今さら地ビールを考える: