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2009年5月27日 (水)

【宮城】料理人とともに年を重ねるということ

Manmitakahashi仙台からのお便りの最後に、私が最も愛する仙台のお店を紹介しましょう。和食の「萬み 髙橋」です。親方の、髙橋正博さんは、京都の老舗「萬亀楼」で修業しながらも、サントリーに入社し、イギリスなど数カ国の和食店で料理長を務めた、一風変わった料理人。20年ほど前に出身地である仙台に戻ってきて店を開きました。私はその頃から通い始めたのですが、当時は、専門誌でしか見ることのないような、伝統的で技巧的な京料理を出していました。当時の親方の技はギラギラと冴えわたり、また、食べ手である私もまた、ギラギラとそういう「技」を味わうことを求めていました。

しかし、親方も50代半ばとなり、今では、手間はかけても技に走らず、余分なものを究極まで削ぎ落とした、しかし凛とした料理を出すようになりました。私としては、めったに出さなくなった以前の料理を食べたい思いも強いのですが、食べ手である私も同じく年を重ね、結局は、親方の今のスタイルの料理を食べるために通っています。これは、食べ手として、単に生物学的に年を取って好みが変わったということだけでなく、それなりに食の経験を深めた結果なのではないかと勝手に納得しています。

Shintamanegi「料理には再現性がない(から尊い)」とよく言われますが、食材や社会環境の変化、料理人の変化だけが理由ではなく、食べ手が変化するということも大きな理由だと思います。美食の受容理論という訳ではないですが、美食学においても、もう少し「食べ手」とは何かに目を向けてみてはどうでしょうか。料理は食べられて、初めて料理になるのですから。(天野 元)
削ぎ落として、ここまで来ました。ダシで煮ただけの新玉ねぎ丸ごと1個。

●萬み 高橋
宮城県仙台市青葉区国分町2丁目12-5 TEL:022-225-6646
カウンターの他に、座敷、テーブル席もあります

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