【ゲスト/東京】東京で秋田を味わう-1 「春だから日本酒」
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●井川直子 フリーライター
食・飲、それを取り巻く人をテーマに雑誌等に寄稿。数年前より日本全国の地方イタリアンを巡り、その旅の記録を『料理通信』本誌にて連載中。著書に『イタリアに行ってコックになる』(柴田書店)、共著に『麗しの郷ピエモンテ』(昭文社刊)。
------------------------------------------------------------------- タイトルの言葉、『料理通信』の編集者さんより頂戴したのですが、たしかに冷たい空気が緩んだところでふわふわと日本酒、最高ですな。ということで、3月、東京・赤坂で開催された「秋田の酒きき酒会」(主催:秋田県酒造組合)へ行ってきました。28蔵がずらり並んだブースで、それぞれ自慢の酒を5~8種類。グラス片手に心は「片っ端から」と叫びます。
今回は、秋田県が開発した新酵母「秋田酵母No.12」、「秋田酵母No.15」を使った日本酒も15種類ほどお披露目。香りに大きく関わる酵母ですが、No.12はバナナタイプ、No.15はメロンタイプだそう。言われてみると……あ、バナナかも! 日本酒は香りに限らず難しい表現が多いのですが、共通言語があれば初心者にはわかりやすいですね。
ところで秋田の日本酒はよく「甘い」と言われますが、秋田出身の私に言わせれば「丸い」。キレやコクの中にも綺麗な酸があり、やわらかな水そのままのイメージです。普段は「雪の芽舎」「刈穂」「天の戸」「春霞」「やまとしずく」などを好んで呑み、このきき酒会でも相変わらずの実力に唸りましたが、あえて今回、ご紹介したいのは「一白水成」「白瀑」「阿櫻」の3銘柄。
「一白水成」(写真左)の「特別純米」「純米吟醸 無濾過生原酒 袋しぼりたて」はフレッシュな酸味が心地よく、爽やか。「白瀑」の「山本 生原酒」は力強さと新酵母のNo.12の香りが膨らみ、同「ど ピンク」はピンクのど○ろく!? な超個性派(でも面白いくらい美味しい)。いい意味での若さを感じるそれらに対し、「阿櫻」(写真上)の「特別純米生原酒 中取り」は米のうま味をがっしり味わえるいぶし銀の仕事。
実は、3つとも1000石以下の小さな蔵元で造られています。秋田にはこういった小さな蔵が多く、しかしそういう蔵に珠玉の酒がある。応援したいですね。ただし小さいゆえに県内消費がほとんどだそうなので、売り切れ御免です。日本酒の仕込みはたいてい3月に終わるので、今がビチビチの新酒を堪能できるチャンス。ぜひ。(井川直子)
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