【宮城】横丁で味わうシャモの焼き鳥
仙台でも再開発が進み、千鳥足で歩ける横丁がなくなりつつあり、逆に人気が高まっています。単に老舗の店があるだけでなく、様々な理由で廃業した店の跡に、若い人が出店するケースも多く、あらゆる年齢層のニーズを満たす、懐の深さが横丁の魅力になっています。仙台の横丁のなかでも、私が大好きなのが、「文化横丁」。この写真を撮った日も、東京から来た若い女性3人組が、地図を片手に写真を撮りながら横丁探索をしていました。
仙台の中心街にあるその名もレトロな「文化横丁」。80年の歴史があり、横丁にあった活動写真館「文化キネマ」が名前の謂れ。仙台の人たちは「ブンヨコ」と呼んでいます。
その文化横丁で、行く度に感動するのが、焼き鳥の「鳥安」。店主の大沼さんは、料理の修業をしたことがない異色の方。焼き鳥が好きだった大沼さんが、転職を考えていたときに出会ったのが川俣シャモ。川俣シャモは福島県伊達郡川俣町で生産されている、その道では有名なシャモです。元々、江戸時代から養蚕が盛んだった川俣町では、旦那衆が闘鶏を楽しむ文化があり、純系の軍鶏とレッドコーニッシュやロードアイランドとの交配により、20年ほど前に川俣シャモが誕生。「柔らかくて美味しい」を連発する顎の細い方には評価されないかも知れませんが、平飼いされたシャモは、しっかり噛めば噛むほど肉汁が溢れてきます。「鳥安」ではこの川俣シャモの焼き鳥だけを提供していますが、モモだけでなく、ツル、ソリ、ペタ、ボン尻などの各部位のほか、レバーなどの内臓もあり、一串一串全く違った感動を与えてくれます。
東北各地の味が楽しめるのが仙台の魅力ですが、ディープな横丁を「奥の細道」になぞらえて、食紀行をするのは、知る人ぞ知る密かな楽しみでもあります。(天野 元)
串の打ち方もすばらしい、モモ。皮の表面はパリッと、皮の裏はねちっこく、その下の身のなかでは熱々の肉汁が踊っています。
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