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2008年11月19日 (水)

【北海道】苫小牧で気高い洋食を。「第一洋食店」

Yamashitasan 創業は大正8年、今年で89周年を迎える老舗店です。初代は横浜グランドホテルで修業し、皇太子殿下(後の大正天皇)の道内ご巡幸の折には調理を担当しました。その縁で、王子製紙苫小牧工場の王子倶楽部のシェフを務めた後、独立し洋食店を開業したとのこと。現在は3代目の山下明さんが腕を振るわれていますが「2代目である父も、95歳ながら今でも時々厨房に立ちますし、明治から続く昔ながらの作り方で、今でも愚直にやるだけです」と語ります。
オペラ歌手でもある3代目山下明さんと店内。店は不定休。「オペラの公演がある日は休みます(笑)」。ホールは奈良岡朋子さん似の気品漂う奥様が仕切っていますが、写真はNGで残念!

Beefstew最もオススメというビーフシチューは、益子焼きの土鍋にぐつぐつと煮立っています。店の名前が刻印され歴史の重みある美しい銀食器でいただきます。創業から継ぎ足し継ぎ足し作り続けられたドゥミグラスソースの味にノックアウトされました。甘みと酸味とかすかな苦み。素晴らしいコクなのにクドくなく、雑味のない、五感に訴える味です。
「約3週間かけて煮込みます。自然に逆らわないでじっくりと煮ていれば自ずと味は出てきます。ソースは色を見れば大体の味が分かるんですよ」
牛肉の塊はナイフの一刺しでほろほろと崩れますが、肉の繊維一本一本がしっかりしているので噛みしめると旨みがいくらでも湧いて出てきます。肉の旨みとソースの旨みが交わる陶然たる味わいに、感動さえいたします。ブラボーッ!

残念なのはこの味を受け継ぐ4代目がいないこと。あと何年この味を堪能できるのか・・・。食べ物でこれだけ深く心が動かされるという体験を、是非!(大槻正志)

写真右上は幻の味「ミートコロッケ」。それ以外が「ビーフシチューコース」の全て。
これだけのセットでなんと2800円!グラスワインは450円です。

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