【新潟】好き嫌いはわがまま?
オリンピックの中継で一番興味を持ったこと。それは一流アスリートの中にも、意外と偏食の人が多いことでした。野菜を全く食べなかったり、お菓子を主食にしていたり……。何事も好き嫌いは、その対象のせいではなく、自分の都合だといいます。食については豊かな日本。好き嫌いの理由は、確かに「わがまま」が、かなりのウエイトを占めるのでしょう。
しかし、ある食べ物を体が受け付けない、もしくは食べる気が起こらないという反応は、本来ならば、危険を察知し避けるという、人間の本能によるものではないでしょうか。
例えばピーマン。子どもたちが嫌うのは、食べるとそこに苦味を感じるからです。苦味とは「毒を示す信号」であり、それを摂取し続けることは、命に関わることだと本能は教えます。だからこそ、嫌うのです。しかし、この苦味への警鐘は、知能と経験という新たな武器によって、次第に「安全で美味しいもの」という認識に変化していきます。あえてその苦さを嗜むということ。それは果たして進化でしょうか、それとも退化でしょうか…。
自分の身は自分で守る。生物にとって最も基本的な能力です。しかし、昨今の食に関する様々な問題を考慮するに、人間は天敵のいない種であるがゆえ、その能力を最も疎かにし、最も衰退させている気がします。
私は、食べ物を最初に作り出す現場にいます。そして、どんなに空腹でも、釣り人が捨てたフグは絶対に口にしない空を舞うカモメたち、彼らと同じ空気を吸いながら、「おとぎ話のようなニュース」を聞いているのです。(富樫直樹)
お茶碗一膳分に相当する水田の面積は、新聞紙を広げた全紙ほど。一粒のお米も無駄にしないよう、刈り取りにも細心の注意を払って収穫したお米。今日も誰かの空腹を満たしています。
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