【和歌山】湯浅醤油のルーツ『金山寺味噌』
和歌山県有田郡湯浅町は醤油発祥の地として有名な町です。ここでは金山寺味噌というおかず味噌が昔から作られています。
鎌倉時代、紀州由良の興国寺の開祖、法燈国師覚心が禅宗修行の為訪れた中国の径山寺で初めて金山寺味噌を食し、金山竜遊江寺でその醸造法を学び帰国。湯浅の水が醸造に適していることに着目し、その製法を伝えました。今回、金山寺味噌の老舗「太田久助吟製(おおたきゅうすけぎんせい)」の太田庄輔さん(63歳)にお話をうかがいました。
写真上:これが金山寺味噌。もともとは夏野菜を冬まで保存しておくために考案された保存食です。白いご飯や酒の肴にぴったりです。
仕込みは、まず煎った大豆と裸麦を蒸して、別に蒸しておいた米と一緒に混ぜ合わせてから冷まします。そこに種麹を入れ全体を攪拌して温めておくと(28~30度)、3日後に「麹糀(こうじばな)」が満開になります。これに塩、砂糖、瓜、茄子、生姜、しそを入れて桶に詰め、重石を載せます。この桶を室と呼ばれる適温の醸造部屋に入れて3日間発酵させたら仕込み完了です。室から出した後は、じっくり自然熟成させます。夏は仕込んでから30~40日、冬は100日ほど。きれいなべっこう色、まろやかな香りに仕上がった金山寺味噌にしばらく見入ってしまいました。
桶の木蓋の上に琥珀色の液が溜まっています。これは発酵が進むにつれて材料から出てきた水分です。とろっとして、甘い、旨みが凝縮された味でした。この液体こそ、醤油ができるきっかけとなったものです。(日比原さゆり)
太田久助吟製
和歌山県有田郡湯浅町北町15
TEL:0737-62-2623
FAX:0737-62-4811
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