【富山】不屈の醸造術師
富山県庁前の噴水公園は、緑に囲まれ、市民の憩いの場となっています。その公園を眺める場所に12坪ほどの小さな工房兼店舗を構え、地ビールを造る若き醸造士がいます。
大谷崇(おおやたかし)。
今を遡ること9年前、彼はこの世界に飛び込みました。地元に新しくできた会社が地ビールの醸造士を募集したのです。彼には事前の知識も経験もありませんでした。新米醸造士として1から地ビールを学びつつ、会社や周りの状況の目まぐるしい変化にもめげず、チャレンジを続けました。そして迎えた2007年の春。彼の造る地ビールが少しは知られるようになった頃、事件は起きました。会社が地ビール醸造から撤退するというのです。
しかし、彼は望みを捨てませんでした。
「城端麦酒の山本君のように、僕は一人でも地ビールを造り続ける!」
と言ったかどうか、彼は会社の撤退を機に、独立して自らの地ビール会社「オオヤブラッスリー」を創業する道を選択したのです。無論、創業への道は決して楽ではありませんでした。醸造所の確保は勿論、資金計画、醸造計画、販売計画、販路の確保など厳しい審査を通らないと許可は出ないのです。一醸造士だった頃には考えたこともない壁が彼の前に立ちはだかりました。そして…クリスマスの日。彼は製造免許が明日出るという連絡を税務署から受け、ここにようやくオオヤブラッスリーは本格稼動を始めたのでした。そう、まだ1年目の新しいブルワリーなのです。
レギュラー商品の「越中風雅」、地元の大場養蜂園とのコラボ商品「みつ蜂さんの宴」(ハニーホワイト)、地元呉羽産の梨を使った10月上旬発売予定の梨の発泡酒など、今後どんな地ビールがオオヤブラッスリーから生まれるのか、予想できない面白さが彼の魅力だと僕は思います。(佐藤 健)
写真上:工房兼店舗から県庁前公園を眺める。
株式会社 オオヤブラッスリー
富山市内幸町8-7 丸美ビル1F
TEL&FAX:076-442-7787
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